ひろがるスカイ!プリキュア〜救けて勝つヒーロー〜 作:伽華 竜魅
ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!
日もすっかり上った朝の時間帯。
僕たちは早朝に虹ヶ丘家に来ていたあげはさんの提案とお誘いの元、あげはさんの愛車にて山へと登ることになった。
「やはり凄い速さですね! 木や建物がビュンビュンです!」
スカイランドには車という物がない故に、ソラさんは座席から見れる外の様子を見て、未だに興奮している。『フェアリーパーク』に行った時にもとても興奮していたからね。
「スカイランドにはないんだっけ?」
「はい! スカイランドの鳥といい勝負になるかもしれません!」
「鳥さんよりも、私のピヨちゃんの方がビュンビュンできゃわわ〜だよ!」
く、車に可愛いとかあるのか…?いやまぁ、カッコいいって言える車はあるし…愛車だからこその表現的な奴なのだろうか。
「あの、何で僕たち山に向かってるんですか?」
助手席に座る僕の膝上に、僕が落ちないように支えている鳥姿のツバサくんがあげはさんにそう問いかけると、「たまにはみんなで遠出したいじゃん」と言った。『フェアリーパーク』の時も十分遠出だったってことは言わないでおこう…うん。
「後は、君のことも知りたいからだね! 少年」
「……その『少年』っていうのやめてください。出久さんは少年って言わないのに」
「アハハハ……」
僕とツバサくんで呼び方が違うことに不満があるのはわかったよツバサくん。
そんな会話をして、僕たちは無事に『らそ山』と呼ばれている山に到着した。
「結構賑わってるね!」
車から降りて、それぞれ荷物を取り出していく。
僕も僕で一応私服の下に
変身ができない僕は、下に事前に着ておかないといけないから。
「えるぅ! える、える〜!」
「どうしましたエルちゃん?」
エルちゃんが何かを見つけたのか、腕を伸ばしながら興奮している。
エルちゃんが腕を伸ばす先を見れば、そこには看板があった。
「『らそ山クエスト』…?」
「『ソラ吾郎の出す謎を解きながら、山登りに挑戦しよう』……」
「謎を解きながらの山登りですか! 面白そうですね!」
「『全ての謎をクリアすると、非売品グッズをプレゼント』か……にしても、ソラ吾郎って…」
描かれている鳥の姿がどこかで見たことあるというか……。
「エルちゃん、ソラ吾郎好きなんですか?」
「えるぅ〜!」
「なんだか少年に似ているね」
「似ていませんよ!」
その、申し訳ないけどとても似てるよ……にしてもエルちゃんは…あ、もしかしてツバサくんに似てるから看板に興奮しているのか?
そう思いながら看板の傍に置かれている無料の地図を一枚手に取り、道を進んでいく。
その間に内容を見ると、わかりやすくスタート位置とそこまでのコースが2つで分かれているが書かれていた。
「道は2つあるみたいですよ。片方は『歩きやすくてゆったり楽々のんびりコース』」
地図通りに左側を見れば、色鮮やかな花畑が広がっており、本当にとても歩きやすそうな道だ。
「もう1つは?」
「もう1つは……」
ましろさんに聞かれ、もう1つのコースを見ながら地図通りに右を見れば、序盤こそ花畑が広がっているが、奥に行くにつれて本格的に険しい登山の道が広がっているのがわかる感じだった。
「とっても登り甲斐がありそうな道…!」
ソラさんは目を輝かせていて、今すぐにでも行こうとしている感じだった。
「ソラちゃん。エルちゃんのお世話は私に任せて、行きたいほうに行きなよ」
「わぁ! ありがとうございます!」
あげはさんはそれを察してかエルちゃんのお世話を受け持ち、ソラさんはあげはさんにエルちゃんをスリングごと預けた。
「ではエルちゃん! 行ってきますね!」
「えぇる〜!」
エルちゃんに挨拶したソラさんは自然と、当たり前かのように僕とましろさんの手を掴んできた。
「出久さん、ましろさん、行きますよ!」
「えぇ!? 出久くんはともかく私もそっちなの!?」
僕たち3人は難易度の高い方へと登ることになった。
——◆——
あげはさんたちと別れてからしばらく経ち、今も現在進行形で僕たち3人は険しい山道を歩き続けていた。
「どんどん行きましょ~!」
「ま、待って~…2人とも~…」
先頭のソラさんは息切れを一切起こさず進んでいる中、後方にいるましろさんは息を荒くしながら必死に追いかけてきている感じだ。
僕はソラさんと同じペースで進められるけど、ましろさんが心配だし、真ん中でましろさんを気遣いながら登っている。
「ましろさん、無理せず限界だったら言ってね?」
「あ、ありがと…やっぱり出久くんも体力あるんだね……」
「まぁ、雄英高校までの道がちょっとした坂道でもあるし、毎日トレーニングしてるから」
「そ、そっか……」
ましろさんはぜぇぜぇとしながら必死に足を動かしている。その一方でチラッとソラさんを見れば、僕たちが少し話している間にもう距離が離れていた。
「ソ、ソラちゃんもソラちゃんですごいね……」
「そうだね……多分ここからもしばらくは険しいし、1回僕が運ぼうか?」
「えっ!? そ、そんな悪いよ!」
「大丈夫だよ。困ってる人を救けるのは当然のことだから」
僕はましろさんの前で屈む。
ましろ さんは遠慮してたけど、最終的に僕の背中に身を委ねて来た。
僕はましろさんを背負い、"個性"は流石に周りの人の目もあるし使用しないけど、それでも全然動ける。
「しっかり掴まってて」
「う、うん…!」
僕はそのままソラさんに追い付くために速足で登り始める。と言ってもそこまで困難ってわけじゃないから、すんなり超えていき、先に行っていたソラさんにあっという間に追いついた。
「あ、お2人とも…ってましろさん!? どうしたんですか!?」
「アハハ……ちょっと限界で出久くんに運んでもらっちゃったんだ」
そっとましろさんを下ろして事情を説明すれば、ソラさんはすぐに謝罪してきた。
理由としては周りのことを見ずに登ったせいでましろさんの不調に気づけなかったことらしい。
「謝らないで! そもそも私が2人より運動力も体力もないだけだから!」
「ですが…」
「まぁまぁ、ましろさんもこう言ってるし…ね?」
「…はい」
あ、これは結構自分に対しての自問自答的な感じで反省モードに入るかもしれないな……。
「まぁここから先も続くだろうけど、ましろさんは【シュートスタイル】で足腰強くするためのトレーニングにはなると思うから、ここからは頑張ろうか」
「あ、そうだね! うんそうだよ!」
「そういえば、ましろさんは出久さんに戦い方を習ったんですよね」
「うん! アレは全部足をメインにしたスタイルだから、こういった足腰を使う山登りはトレーニングには絶好だって今気づいたよ! よし! 頑張るぞ~!!」
急にやる気になったましろさんは先頭に立って山を登り始める。
そんなましろさんの姿を見てから、ソラさんを見れば何とか元気になったみたいで、僕も含め一緒にましろさんの後に続き山を登り始めた。
——◆——
同時刻、ロープウェイ乗り場。
そこの制御室にて制服を着た…否、変装したカバトンがいた。
「あとはランボーグにして、今度こそプリンセスを……」
「——随分とやる気満々じゃないか」
「ッ!?」
そんなカバトンの背後から中年男性の声が響き、カバトンは驚きながらバッ!と振り返る。
「よぉカバトン」
「おっ久~!」
「ヒッ! ヒィィイイッ!!!」
制御室の入り口、そこに黒紫のロングマントを羽織り、フードを外して顔をさらしているAMOがもたれながら腕を組んでいる。
更にその隣には和風をイメージした服装を身に纏う、全体の黒に赤がメッシュやグラデーションのように混じった赤黒の左側のワンサイドアップの髪をしている謎の少女が立っていた。
そんな2人を見た瞬間、カバトンはなぜか顔を青ざめさせながら腰を抜かし、床に腰を付けてしまう。
「お、お前…! な、何でお前がここにいるのねん……!!!」
カバトンは恐怖に震えながら少女の方に指を指す。
「むぅ……なぁんで私を見た途端そんな震えるのさ~!」
「昔やったことでお前はいろいろとあれなんだよこの馬鹿が」
「なぁっ!? ボスまでひどい~!!」
少女は不機嫌になり、頬を膨らませてAMOの身体をポカポカと叩こうとするが、AMOはそれを片手で顔を抑えて止める。
そしてデコピンで軽く怯ませてからカバトンに目線を戻した。
「どうせ今回も戦うんだろ? 一応忠告はしておこうと思ってな」
「忠告……ッ! ま、まさか……」
カバトンは震えながら少女へと目を向ける。
それに気づいた少女は大きく口角を上げてニヤける。
「そうだよ~! 私も戦うんだ~今回は!」
「お、俺も殺す気なのねん!?」
「そうなんじゃないよ~! まっ、勢い余って殺っちゃったらごめんね?」
まるで何回かあるかのような言い回しをし、少女は舌を出す。
「まぁともかくだ。お前はいつも通りやっていればいい。俺らも俺らでやるだけだ」
「せいぜい頑張って上司さんに捨てられないようにね~! バカトン!」
「俺はカバトンなのねん!!」
AMOと少女は制御室を後にし、カバトンは強気でいたものの、2人がいなくなった途端、再び膝と両手を地に着かせた。
そして大量の汗を流しながら、息を荒くさせていた……。
——◆——
休憩を挟みながらも頂上へと登り続けて行ったら、見覚えのある人物が進行先に立っていた。
「ん、あれって……」
「ツバサくん?」
その正体はツバサくんただ1人だった。
「あげはちゃんとエルちゃんは? 一緒だったんじゃ……」
2つのコースでそれぞれ分かれて行動したが、なぜかツバサくんだけ。
あげはさんとエルちゃんはいなかったのだ。
「そ、それが……」
ツバサくんは表情を曇らせながら理由を話した。
のんびりコースと言っても、ツバサくんはあげはさんにいろいろと振り回されていたらしく、謎解きもあったみたいだ。
その謎解きをツバサくんは時間を掛けて解いた一方で、あげはさんは既に謎解きの答えに気付いており、やらなくてもいいアスレチックを半ば強制的にされたりと大変な思いをしていたみたいだ。
最後はもう1つの謎解きを放置して自分たちの歩くコースからロープウェイに乗ろうとしたりと、自由過ぎるあげはさんの行動にツバサくんは我慢の限界が来たみたいで、エルちゃんも含め2人を置いてツバサくんは1人、コースを進んでここに来たみたいだ。
「僕…あぁいう強引な人は苦手です…」
「…あげはちゃん、わかってくれると思ったんじゃないかな? エルちゃんを守った時、カバトンに凄く怒ってた…だからツバサくんのこと、信じてやったことだと思うよ?」
「あれは……あいつがプリンセスをバカにしたから…」
「あげはちゃんも凄く怒ってたよ」
「そんなツバサ君なら言葉にしなくても気づいてくれるって、あげはさんは信頼していると思いますよ」
ソラさんとましろさんの言葉に、ツバサくんは何かに気づいたのかハッとした顔をしだし立ち上がってロープウェイの方に顔を向けた。
「意味のある事……ッ! もしかして、山を登った先に何かあるのかも…僕、山頂に向かいます!」
「うん!」
「気を付けて行ってくださいね!」
ツバサくんはバックを背負い、先に行っているであろうあげはさんたちの元へと向かうべく山を登り始めた。
「……じゃあ、僕たちも——」
立ち上がり、僕たちもロープウェイに行こうとした瞬間。
——ドォォォオオオンッ!!!!
突然何かに襲われ、僕は吹き飛ばされた。
——◆——
出久が吹き飛ばされ、そこに一緒にいたソラとましろは数秒何が起きたがわからずにいたが、すぐにハッ!と気づき慌てだす。
「な、何今の!?」
「出久さんが吹き飛ばされましたよ!? は、早く行かないと——」
2人が出久の元へ向かおうとするが、そんな2人の足元にリングが数個降り注ぎ地面に突き刺さったことで、2人は足を止めてしまった。
「こ、これって…!」
ましろが声を上げた直後、2人の目の前に1人の男性が宙を舞いながら降りてくる。
「よう……久しぶりだな」
「オール・マイ・オーン…!!」
その正体はAMOであり、2人は『ミラージュペン』を取りながら身構える。
そしてましろは何かに気づき、ロープウェイの方を見た。
「ッ! ソラちゃん! ロープウェイにランボーグが!!」
「え!?」
ソラもバッ!と振り返る。
2人が確認したロープウェイには、ロープ上をゴンドラの形をしたランボーグが飛び跳ねていた。
更にはランボーグの手にはあげはとエルが握られており、ウィングに変身したツバサが救けようと飛び回っていた。
「そんな……あなたたちの仕業ですか!!」
「生憎俺らの目的はお前らで、赤子じゃない」
ソラはAMOに向きを戻して問いただすも、AMOは冷静に答える。
そしてましろがソラの名を呼ぶと、2人は改めて『ミラージュペン』を構えた。
それを見てAMOはストックしてある複数"個性"を瞬時に発動できるようにし始めた。
——◆——
——◆——
同時刻。
突然飛来した何かに吹き飛ばされたデクは、身体を立ち上がらせながら、周囲を確認する。
「自分は何に吹き飛ばされた?」「カバトンの仕業か?」と考える中、彼の目の前に
出久は驚きながらも、
そして【フルカウル】と『
「——へぇ~状況判断が早いね~! まだ子供なのに、それでも数多くの難関…だっけ? まぁすっごく頑張っていったのはわかるよ!」
炎の渦が突然拡散するように散ると、それらは
そしてその炎翼と孔雀のような尻尾を背に生やした、AMOやドクターとはまた別の、謎の少女が現れた。
「お前は…?」
「私はオール・マイ・オーンの部下にしてその幹部の1人」
「ッ! オール・マイ・オーンの……!?」
「名は『フェネクス』。よろしくね? ボスが認めた……——」
その少女は口角を上げてニヤつき、蒼くつつじ色の輪のような柄が入っている瞳で出久を——
「——本物のヒーローさん!」
——デクを見ていた。
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