ひろがるスカイ!プリキュア〜救けて勝つヒーロー〜 作:伽華 竜魅
ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!
早朝。
今日も昨日と同じソラシド市が見渡せる場所までランニングをした僕は、ノートとペンを地面に置いたまま次のトレーニングをしていた。
シュッ、シュッ!と音を立てながら、空中に蹴りを入れていた。
「はぁ…はぁ…違うな、飯田君のはもっとキレが良かった。『エンジン』による速度アップとかもあるけど、まだまだだ。でも【セントルイススマッシュ エアフォース】を20%で出来たのは、あの日から『OFA』の力が増した結果だ。本来ならオーバーするけどインパクトの瞬間は45%あたりじゃないとダメだから……それに、カバトンの出すランボーグはこれまで相手した3体のうち2体が遠距離攻撃をしていた。物に憑依させて暴れさせる力なら、爆弾やガス系に憑依でもされたらとても危険だ。それに『OFA』でまだランボーグをソラさんのように止めを刺して元に戻せるかどうかも分からない。リカバリーガールもいないから、100%で腕や脚を破壊でもしたら治るのにどれぐらいかかるかわからない……そもそも、戦い終わったら傷は治るけど、粉砕骨折レベルの怪我は治るのか?」
ノートに書きながらまとめていく。
まだまだこの世界のことや"個性"とは違う未知の力についてわからないことが多すぎる。
それに『ミラーパッド』で世界を超えて通信できるのは驚いたけど、それはスマホや通信機と同じで、通信し合う者同士がお互いに『ミラーパッド』を持っていないといけない。
だけど『ミラーパッド』はスカイランドの技術によるもの。超常世界にそんなものは聞いたことも見たこともないから、100%通信は無理だ。
何らかの方法はあるんだろうけど、今の状況だとそれらの答えに辿り着くのは無理だ。
「あれ、出久さん?」
「わっ!?」
背後から聞き覚えのある声が突然聞こえて、驚いてしまった。
咄嗟に振り返れば、上下ジャージの腰に黒いミニショルダーを巻いたソラさんがいた。
「ソラさん!? 何でここに…!?」
「それはこっちのセリフでもあります! 私はましろさんと一緒にランニングを…——」
「ソ~ラ~ちゃ~ん……」
ソラさんがここにいる理由を言おうとしたら、虹ヶ丘さんの声が聞こえて声の方に視線を向けた。
視線の先には虹ヶ丘さんがヘトヘトになりながら走って来ていた。
そして着いたと思ったらそのまま地面に座り込んでしまった。
「虹ヶ丘さん!? だ、大丈夫…?」
「見ての通り……えっ? えぇ!? 出久くん!?」
今気づいたの!?じゃなくて…!
「あの、あっちにベンチがあるから、そこに座って休もうか?」
「あっ…じゃあお言葉に甘えて~…」
虹ヶ丘さんはヘトヘトのままベンチへ向かい、座り込み、ソラさんもその隣に座った。
僕は立ったままだ。2人は今さっき来たけど、僕はさっきまでノートをまとめながら休憩してたからだ。
「ランニングして体を鍛えたら、もうちょっとソラちゃんと出久くんの役に立てるかなぁって…でも「千里の道も一歩から」だからね~…」
「それってどういう意味ですか?」
「毎日コツコツ頑張らないとダメってこと」
「ほぉ~…いい言葉です!」
千里の道も一歩から。か…そう考えると、やっぱり僕は遅れているな。
みんながこの手足でどこへ行こうと考えてる時、僕は手足の動かし方を学んでいた。
『OFA』の制御【フルカウル】を習得して、無意識下で使えるように身体に覚えさせた。
『いいか坊主、お前にはこれから6つの"個性"が発現するさ』
スキンヘッドの継承者の言う通り、一歩でも早く備えな——
「ぶっ…!」
そう考えていると、急に顔が冷たい水に襲われた。
「いつの間に覚えたの!?」
「1日5文字ずつ毎日コツコツで…ってましろさん! 水が出久さんに!」
「えっ? あぁ! ご、ごめんね出久くん!!」
「大丈夫……」
顔がびしょびしょだけど、タオルで拭けば大丈夫。
それよりも考えに没頭している間に2人は何か話していて、それで虹ヶ丘さんが驚いた感じかな?
「それよりも、どうしたの?」
「えっと、ソラちゃんが文字を覚えてるのに驚いちゃって…アハハ」
「そうなの? すごいねソラさん!」
「はい! 毎日欠かさずやっておりますから!」
ソラさんってすっごい努力家だなぁ…それに、昨日のあの大岩をプリキュアにならず生身で壊したんだ。あの独特な構えも聞いておきたいし。
「……私も毎朝ランニングを続けたらソラちゃんや出久くんみたいに強くなれるかな?」
虹ヶ丘さんがそんな質問をしてきた。
と言っても、僕は"個性"あっての力だし、ソラさんは分からないけど…そう考えていると、ソラさんはその答えをするかのように首を横に振った。
「だよね…」
「いえ、そうではなくて…ましろさんは、今のましろさんのままでいいんです」
その言葉を静かに聞いていると、突然グ~と音が聞こえた。
「ぅあ…ッ」
「フフフッ」
ソラさんのお腹が鳴ってしまった音みたいだった。
それを聞いた虹ヶ丘さんは少し笑った。
「もうそろそろ戻ろうか。家に着くころにはちょうど朝食だと思うし」
「そ、そうですね! 行きましょう!!」
——◆——
虹ヶ丘宅。
トレーニングから帰って来た僕たちは私服に着替え、朝食を終えて食器を片付けてるとき、突然インターホンが鳴りだした。
「こんな朝から誰だろう?」
「私が出ますね」
朝から来るとしたら配達員とかだろうか?
ソラさんが玄関に向かい、虹ヶ丘さんはエルちゃんにミルクを飲ませている。
すると、なぜか玄関の方が騒がしくなっていた。
皿洗いも終わったため、虹ヶ丘さんと一緒に玄関に向かえば、ソラさんと知らない女性の人がいた。
「あげはちゃん!?」
「ましろん!」
だけど虹ヶ丘さんは知り合いだったようで、互いに名前を呼び合った。
「なんで? どうして?」
「ちょっと、こっちに用事があってさ」
「……どちら様ですか?」
「虹ヶ丘さんのお知り合い?」
僕とソラさんが質問すれば、先にリビングに移動しソファに座ってから女性の人はタブレットを取り出し、紙芝居風に説明を始めた。
なぜそういう説明の仕方なのかは気になるけど、内容を聞けば、どうやら昔、虹ヶ丘さんと近所同士で仲良くしていたらしい。
言わば僕とかっちゃんと同じ幼馴染関係の様だった。だけど、親の都合で引っ越す事になり怒って家出したとか……そこから先も話そうとし、ソラさんは釘付けになっている。
けど話が長くなるからと、虹ヶ丘さんがストップをかけて自己紹介に移った。
「私『
どこからツッコめばいいのかわからない!!
血液型はまでは普通で、誕生日のペリドットは宝石のことなのはわかるけど……あ、あとはラッキーカラーか。でも最後のは多分カフェとかそう言うの何だろうけど…全く分からなかった……。
「初めまして! この家でお世話になっているソラって言います!」
「僕は緑谷出久です。年齢は16歳です」
ソラさんが自己紹介をして、僕も自身の名前と年齢だけをとりあえず言った。
だけど、なぜかソラさんと虹ヶ丘さんは驚いた顔でこっちに振り向いた。すぐに押しとどめるように何か言いたげなのを抑えた。
「この街の子?」
「いえ、エルちゃんと一緒に別の世界から! 出久さんもまた更に別の世界から——」
「ソラさんストォォップゥッ!!!」
僕は思わず声を上げて止めに入ってしまった。
チラッと後ろを見れば、虹ヶ丘さんも指でバツ印を作って口に当てていた。
そしてソラさんは気づいてしまい、慌てだした。
「そ、そうでした! 大騒ぎになるからスカイランドの事やエルちゃんがプリンセスだって事は内緒にするって3人と決めたのに!」
「わ~! わっ! わ~ッ!!」
「それらも言っちゃダメェェッ!!!」
何でも言っちゃうタイプなのかソラさんは!?
「あげはさん、今耳にした事は綺麗さっぱり忘れてください!」
そんな簡単に忘れてくれるなら苦労しないよソラさん…!
もうツッコミが絶えないよ…!
「隠し事〜?」
の、のけものにされて不満になってるのか口を尖らせておられる…!でも、別世界のこととか簡単に話せる内容じゃないから…。
「ごめんねあげはちゃん。でも、友達の秘密は言えないよ……」
「オッケー。でも、いつか私にも教えてくれると嬉しいな。それじゃあよろしくね、ソラちゃんにいずくん、そしてエルちゃん!」
「えるぅ〜!」
「い、いずくん…?」
聖さんが謎のあだ名を付けて来た。
「出久の最後のくと、くんを合わせていずくん!」
「それは分かりますけど、初対面でいきなりあだ名呼びですか!?」
こ、こんなこと今まで……あっ。
『でも『デク』って『頑張れ!!』て感じがして、なんか好きだ私!』
麗日さんは入学日初日から、デク呼びだった…でも意味を変えてくれて嬉しかったし、ずっとデク呼びだったな…。
——◆——
『ソラシド福祉保育専門学校』と書かれている学校に来ていた。保育士になるための学校なんだろう。
と言ってもその学校に用があるのは聖さんだけで、僕たちは敷地にあるベンチで座っていた。
「える?」
「ここはね、保育士さんの学校だよ」
「保育士?」
エルちゃんが学校に指を指し、虹ヶ丘さんはそれを察して教え、ソラさんは首を傾げた。
「小さい子供のお世話をする先生のことを保育士って言うんだ」
「うん。あげはちゃん。昔から保育士さんになりたいって言ってたんだ」
そうなんだ。それで専門学校に……。
「虹ヶ丘さんは何かなりたいものあるの?」
「私も気になります!」
僕とソラさんはヒーローという共通の夢を持ってるけど、虹ヶ丘さんの夢はわからない。
それを聞けば虹ヶ丘さんは答えようとして……——
「——特に無い!?」
無いことに気づき、自分自身が驚く結果となった。
そして一気に頭を抱えて悩み始めた。
「ま、まぁそういう人もいるし、その分やりたいことがいっぱい見つかるから、焦らなくて大丈夫だと思うよ……?」
「うぅ…でもクラスメイトの皆はもう将来の夢が決まってるから……」
フォローしようにも虹ヶ丘さんは未だ焦っている様子だった。
ど、どうにかして落ち着かせようとすると、視界に見覚えのある何かが映り、そっちに視線を向ければ、思わず硬直した。
そこには街中では絶対見ない子豚…いや、紫でモヒカンを生やした子豚がいて、その子豚が向かう先には、あまりにも古すぎる罠と裏山で見かけた毒キノコがあった。
「どう見たって罠すぎる…!」
「だ、だよね! そうだよね出久くん!!」
虹ヶ丘さんも気づいていたらしい。
あんなわかりやすすぎる罠…
「ブタさんが危ない!」
だけどソラさんはなぜか助けようと走り出した。
「いや、罠だよね!?」
虹ヶ丘さんがツッコんだけど、それよりも止めないと!だけど僕が駆け出すときには既にソラさんは子豚を持ち上げていた。
「危ない所でした。ブタさん。あれは罠ですよ。近寄ってはいけません」
「ソラさん! そいつから離れ——」
「カバトントン」
子豚が呪文を唱え、額についている物が発光し、周辺に黒煙が広がった。
それが晴れれば、そこにはカバトンがいた。やっぱり!!
「ゴホッ…ゴホッ…あなたは……!?」
「グフフ……このカバトン様が豚に化けていたとは……あっ、お釈迦様でも気づくめぇ!」
「な、なんてずる賢い!」
コントかよ!!!そう心の中でツッコんだ。
「何のためにこんな真似を!?」
「へっ! まぁだ気づかないのねん?」
カバトンはそう言いながら、片手に『ミラージュペン』を見せつけるように取り出した。
「「あっ!?」」
あのコントのような間に奪ったのか!
「それを返してください!」
ソラさんはすぐに取り返そうと走るが、カバトンは後ろに飛んで距離を取り『ミラージュペン』をしまってから構えだした。
「カモン! 【 アンダーグ・エナジー 】!!!」
なっ!マズい!!!さっきの毒キノコに【アンダーグ・エナジー】が!!
「ソラさん!」
「わっ!!」
【フルカウル】を纏ってソラさんを抱き上げて、すぐに虹ヶ丘さんの傍に避難した。
そして毒キノコは大きくなり、
「ランボーグ!!」
「プリキュアになれないお前なんか怖くないのねん! 今日こそプリンセス・エルを頂くぜ!」
ソラさんは『ミラージュペン』を取られてプリキュアになれない!ここは、僕がやらないと!!
「【 フルカウル 】…!!」
全身常時8%!【『OFA』フルカウル】を纏う。
「ソラさんは虹ヶ丘さんたちを!! ランボーグは僕が相手する!!」
今日に限ってグローブを持ってきていない!
いや、至近距離なら【エアフォース】もできる。まずは被害を抑えつつ、アイツの攻撃手段を知らないと!!
「脇役も簡単に倒せるのねん! やっちまえランボーグ!!」
「ランボーグ!!」
僕は駆け出し、足を構える。
「【 セントルイス スマッシュ 】!!」
【セントルイス スマッシュ】を放つも、ランボーグはそれを両腕をクロスすることで防がれた。
そしてランボーグから黄色いうねうねとした触手が伸びてきて、身体に巻き付いてきて、次の瞬間には投げ飛ばされた。
「くっ! ッ!?」
触手が2人の方に!!
「やめろォ!!!」
投げ飛ばされながらでも、周囲を確認して市民の避難は確認済みだ!
『OFA』20%!!一気に飛び上がって……!!!
「【 スマッシュ 】!!!」
「ンボッ!?」
ランボーグの腹部を飛び蹴りし、そのまま押し通す!!すぐに弾けるように離れてから、【エアフォース】を放つ!!
ランボーグは【エアフォース】も受け、一気に離れた。
「ソラちゃん、ましろん! こっち!」
ッ!聖さん!!
「でも…」
「僕は大丈夫……だから早く聖さんの方へ!! 」
再度駆け出し、正確に撃つことはできないが指で【エアフォース】を放つ。
時間を稼げ!そしてソラさんの『ミラージュペン』を取り返すんだ!!!
——◆——
出久達の戦闘が繰り広げられている保育専門学校。
その遥か上の上空に……黒紫のロングマントを風に靡かせながら、重力を無視し浮いている人物がいた。フードで顔は隠れているが、その顔は真下を向いていることがわかる。
「……アイツらは、本物かな?」
その人物はボソッとそう言いながら、動くことなく上空で出久たちを観察していた。
手詰まって書けれない~でも書く~!