システィーナは現れた機甲の天使に対して驚愕していた。
(あれは…どこかで見たことがある…!気がする…)
『システィーナ!!グレン先生!!すんません!!遅刻しちゃいました!!』
その機甲の天使からアスラの声が聞こえてくる
「アスラ!?どういうことだよ!!」
『俺もよくわからないけど!!こいつの使い方は…知ってる!!』
そういうとアスラは左手の銃のトリガーを引き発射する。
発射された弾丸は通常のように鉛のものではなく、魔力が込められたビームであった
その一撃で鉱物の巨人の左足が破壊される
『うおおおおお!!!』
そのまま機甲の天使は流れるように左手の銃を背中に入れ、右手の剣を両手で構える
『アスカロン!!!』
そう叫び、アスラは内部のレバーやスイッチを操作すると右手に持った剣の刀身のビームがいっそう光りだし、巨人に袈裟切りをする。見事巨人の胴体は二つになり、そのまま大地に伏せる。
「す…すげぇ」グレンは倒れたままそういう。
『グレン先生!!そこで倒れてないでさっさと動いてルミアを助けに行ってください!!増援が来ます!!!』
アスラはそういうと背中から出している粒子をきらめかせ飛び上がる。そしてそのまま高速で別の場所へと行ってしまった
「《慈愛の天使よ・彼の者に安らぎを・救いの御手を》!」
システィーナはグレンに白魔【ライフ・アップ】をかける。
「馬鹿、やってる場合か…」
グレンが口元をぬぐい、無理して立ち上がる
「よくわからんが、あいつが相手している間に俺たちは隠れ──」
言いかけて、グレンは足を止める。
「そう簡単に逃がしてはくれねえのかよ…そっちは」
「驚いたな…【イクスティンクション・レイ】が使え、更にはあの子供…『
カツン…と、破壊の爪痕が刻まれた廊下に靴音が響く。
その声の主はダークコートの男──レイクと言われていた男だ。レイクはあごに手を当てながら不思議そうにこちらを見る
「あのギガント・ゴーレムを投入するだなんて過剰戦力もいいとこだと思っていたが…なるほどな…」
(まずい!?すでに先生は!)
そう、既にグレンは満身創痍である。
更にレイクの後ろには5本の剣が浮いていた。恐らくレイクの魔導器なのだろう。既に起動している以上【愚者の世界】の封殺対象にはできない。
「あーもう、浮いてる剣ってだけで嫌な予感するなぁ…あれ絶対いい感じのタイミングで術者と一緒に攻撃するタイプのやつだぜ…チクショウ…」
「グレン=レーダス、そしてアスラ=アダムス、経歴でいえば
「はっ、あのゴーレムを倒した功績は10割あの謎の巨大機械人形だけどな。」
(白猫、あの剣【ディスペルフォース】できるか?)
グレンは背後のシスティーナへこそこそと耳打ちをする。
(私が残りの魔力全部使っても多分、ぎりぎり足りない…そもそも唱えさせてくれる隙がなさそう…)
(そうか…)
グレンはそう言うと、機甲の天使が飛び上がった方向…【イクスティンクション・レイ】によって開けられた場所に突き落とした。実に四階からの落下である。
「わ──きゃあぁぁああああ!?」
全身を包む無重力感と共にシスティーナは落下していった。
落下中にシスティーナが【ゲイル・ブロウ】を唱えたのか、外から突風が吹き荒れる音がした。
「ふん、まあな。あの巨大機械人形に任せようと思ったが、あっちもそれどころじゃなさそうなんでな。で、なんだその露骨な剣の魔導器は?俺対策か?」
「知れたこと。貴様は魔術起動を封鎖できる…そんな術があるのだろう?」
「あら?やっぱりバレてます?」
なぜ知っている?などとは聞かない。魔術師にとってそのようなことを知るすべは星の数ほどある。
「魔術を封じる術なら、あのポーン・ゴーレムに対し使えばいい…つまり、既に起動しているものには効果が
レイクが指を鳴らすとグレンはレイクの方に向き直り構える。
二人の激闘が今、幕を開ける──
──時は少し遡る
今、この瞬間アスラはギガント・ゴーレムに連れてかれそうになっている
(ふざけるな…!!こんな運命…!!認めるかぁ──!!!)
そう強く想った瞬間、彼の意識は──プツンと途切れ、そして
彼の懐から世界を埋め尽くさんとばかりの光が溢れでる。アスラは彼方まで行こうとしていた意識を取り戻す。
その瞬間──
ギガント・ゴーレムの右腕が粉々に破壊され、アスラは消えていた。
そしてギガント・ゴーレムの目の前に現れたのは無機質な巨大な機械、『機甲の天使』であった。
「…!?」
気がつけば、アスラは狭いところにいた。周りにはたくさんの精密な機械がおいてあり、その中には現在の科学力では全く解明できない程の叡智が詰められたものが無数に存在している。
「なんだよ…!これ…!!扱えっていうのか!?俺に!!」
そういうと、アスラは自身の目の前にあった半円球の物体を見る。
「…!!まずい!皆が!!」
なんでそう分かったのかはわからないが、半円球には赤い印がアルザーノ帝国魔術学院の敷地内に表示されていた
「くっ…《翔べ!ネメシス!》」
アスラがルーン語でそう詠唱すると、機甲の天使──ネメシスが目を光らせ、背中からエンジンをブーストし、空へと大きく飛び上がった……
そして現在に至る
学院に貼られた結界を右手の剣─アスカロンで破壊しグレンたちの元へと間に合った。
そして今、アルザーノ帝国魔術学院敷地内、迷いの森の上部にて、多数のギガント・ゴーレム達と交戦をしている。
(先生やシスティーナに危害を加えようとした奴は真っ先に倒したけど…まだこんなにいるのかよ!!)
アスラは苦戦していた、なるべく学院へ被害を出さずにギガント・ゴーレムを倒すにはどうすればいいかを考えているうちに周りにいるギガント・ゴーレムの数は10体を越えていた
(ちくしょう!!ニ、三体程度だったらこの程度のやつらにぃ!!)
更に、追加されたギガント・ゴーレムは背中についた機械の羽で空を飛びながら剣や盾で武装しており、光を屈折させ付与したものを透明にする黒魔【ライト・インヴィジブル】が
様々な方向から迫りくる攻撃を何とか捌き、左手の銃を気流の動きで分かった敵のいる方向へ向け、発射する。
「当たれえええ!!!」
緑の残像を空中に描いたビームが運よくゴーレムの胴体に当たり、撃墜する。
喜んだのもつかの間、その隙をついたギガント・ゴーレムの一体が、実体化した剣でネメシスを背中から貫いた。
「ぐぅっ!!邪魔するなああ!!!」
即座にネメシスの疑似マナエネルギーブースターを全開にし、ゴーレムをその勢いで離す。
「この程度でぇ!!!負けるかぁあああ!!」
瞬間、アスラの意識が覚醒する。先ほどよりも更に感覚が鋭敏になる。
(………
鋭敏化された感覚により空間認識能力が一気に発達し、ゴーレム達の位置を瞬時に把握する。
そしてその感覚を得た瞬間、背中の羽のようなものの一部を切り離す。それらが踊るようにして宙を舞いそこからビームを発射する
そのすべてがゴーレム達に当たり、勢いを失い撃墜した。
撃墜数、9体 残るは3体。ここまで僅か5分のでき事だ。
(残りはよく見えないけど…なるべく狙わないようにしてた盾か!!)
アスラは羽を元に戻しビームライフルを発射したが、ゴーレムは盾で防ぎまるで何もなかったかのようにこちらを向いていた
あの盾に【トライ・バニッシュ】のような
ネメシスのビーム砲は機体の貯蓄疑似魔力エネルギー、そしてアスラの持つ魔力を何倍にも
このゴーレム達もレイクが召喚したポーン・ゴーレムのように三属
(なら…それ以上の出力で──!!)
ネメシスは背中に戻していた剣──アスカロンを取り出し、両手で構えながら疑似マナエネルギーブースターを全開にしながら
「《
黒魔【ラピッド・ストリーム】…猛烈な爆風を発生させ、自身を加速させる術を起動し、突撃する。本来アスラは使えない軍用魔術であったが、ネメシスによって
ネメシスは目で全く追えない速さでゴーレムを貫き、撃墜させた。【トライ・バニッシュ】で無効化されるものにも限度があり、アスカロンの保有するエネルギー量はその無効化範囲を十分に超えていた。
その勢いのまま、もう一体のゴーレムを真っ二つに切り裂き、撃墜する。
そして、最後に残ったゴーレムにありったけの疑似魔力エネルギーを込めて【トライ・バニッシュ】の無効化範囲を超えた出力の腰のビーム砲を放った
「堕ちろ!!!」
そのビーム砲の一撃はギガント・ゴーレムを丸のみにし、そのままそこに表れることはなかった
その壮絶な戦闘は、僅か7分にも満たなかった。
(…これでとりあえず…終わり…………!!)
アスラは目の前の半球状の物体を見る、生体反応は二人……だが、先ほどは三人いた。
(そうか…グレン先生、倒してくれたんだ)
アスラはほっとした表情で安全な場所に機体を降ろし、そのまま──眠ってしまった。初の本格的な戦闘、多大な魔力の消費、唐突な出来事が起こったことによりアスラは既に疲労困憊であった。
───意識が覚醒する
「…!?グレン先生!!システィーナ!!」
アスラは眼前の半円球の物体を見るが…そもそも、既にネメシスは停止しており、動く気配もない…
機体を降りて、時刻を見れば既に17時20分を回っていた。もうすべてが終わって、皆でパーティでもしているのであろう…そうアスラが考えていると
「うおおおおおおおお!!!」
とグレンの叫びが遠くから聞こえる。
「先生…!?」
グレンの叫びが聞こえた瞬間、アスラは再度機体に乗り、動かそうとする。
「《翔べ!ネメシス!》」
アスラが詠唱すると、ネメシスはもう一度その目を光らせ、駆動し始める。そしてそのままグレンの声がした方向…白亜の搭付近へと…
グレンは疾走していた。
天の智慧研究会の魔術師、レイクとの激闘を制した後、五時間も眠っていた。
だが、敵の真の目的…ルミアの誘拐とそれを実行するのに必要な、学院内にある転送陣の書き換えに気づかず、敵に転送陣の移送先を変える時間を与えてしまったことを…
グレンは今、転送陣のある白亜の搭へと向かい、全力で駆けている。魔力は完全には回復しきっていないが、システィーナの介抱によって何とか戦える程度には回復している。
「うおおおおおお!!」
そして、搭への道を踏破し、最後に至る並木道に不自然といるゴーレム達を倒しながら、全力で向かっている。そしてそこに…
『先生!!』
空から機甲の天使が表れグレンに話しかけると、グレンは驚愕する。
「うおお!?ってお前か!?まーた新しい敵かと思ったぞコンチクショウ!」
『すいません!!それより!一体何が起きてるんだ!?先生!!』
「説明は省く!!とりあえずこいつら片付けてくれ!!」
『了解!!下がっててください!!出力30%、フルバースト!!』
そうアスラが言うと、両手にライフルのようなものを持ちながら敵めがけて極太のビームを発射し更に、背中の羽のようなものの一部が分離しビームを発射する。見た目の大胆さにかかわらず緻密に操作された攻撃であり、目的地点である、白亜の搭には一切傷をつけず、周りの敵を一掃した。
「…………」
グレンはその光景に驚くしかなかったが、すぐに冷静さを取り戻し
「ありがてえ!!」
と言い、搭内部の螺旋階段を駆け上がっていった。
そのまま、10分、20分、ゴーレムを殲滅して搭の中に誰か入ってこないか監視していると…
突如、 搭からグレンとルミア、そして一人の青年が出てくる…その青年はやわらかい金髪に、涼やかに整った顔立ち、ダークブルーの深い瞳を持つ、二十代半ばの青年だ。アスラはこの容姿に当てはまる人物を一人知っている。
『
「久しぶり、アスラ君」
「グレン先生!これ…どういう!?」
驚きながら機体の胴体から外へと出るアスラ。
グレンはそう聞かれるとめんどくさそうに頭をかき、
「あー、なんというかカクカクシカジカで…」
「成る程!!カクカクシカジカか!!」
「冗談はやめとくか…まあ簡単に言えばな…」
天の智慧研究会、その目的がルミア=ティンジェルの誘拐だったこと、ヒューイが裏で手を引き転送陣の移送先を変えてたこと、そしてヒューイ自身が学院を爆破する爆弾になっていたことを説明した。
だが、グレンは自分が【愚者の世界】を発動し、転送陣の設定の書き換えに遅れたが、ルミアの感応増幅者の能力によって、一命を取り留めたことは放さなかった。感応増幅者などの魔術にかかわらない
「ヒューイ先生…なんで……」
「最初からそんな人間だった…それだけですよ……」
そういうと、ヒューイは優しく微笑みながら、申し訳なさそうにアスラの方を見る…暫くアスラはその様子を見て…
「そんな…!そんな…!!アンタ…!!」
わなわなと震えながら拳を握りヒューイの方へと歩く。
そして──ヒューイの頬を構えた右フックで殴る
「「!?」」
「そんなこと言うなよ!!」
右フックの勢いで倒れたままのヒューイをそのまま馬乗りになって殴るアスラ。
「アンタがいなくなってどれだけ悲しい思いをした生徒がいると思ってんだ!!そいつら全員差し置いて、なにがそれだけですよ…だ!!!!」
「アスラ君、もうやめてください!!」
「やめろアスラ!イケメンを痛い目にするのは悪くねーがそこまですんのは…!!」
「うるさい!!!アンタ!!ほんとに謝りたいと思うんなら、何してでもいいからもう一度講師にでもなれ!!!アンタなら、皆受け入れてくれるはずだ!!!」
「…ぐふっ…私は…この魔術学院に戻る資格があるんですか…?」
ヒューイがそういうとアスラは殴るのをやめ、少し落ち着きながら
「あるに決まってますよ!皆アンタの帰りを待ってる…何年かかってもいいからみんなを心配させないでください…!」
そうアスラが言うと、ヒューイはあざだらけになった顔を微笑ませながら、
「まったく…やられましたね…そこまで言うなら…もう一度やりたくなっちゃいましたよ…アスラ君」
「ああ…戻ってきてくださいよ!ヒューイ先生!」
アスラは拳をグッと握りヒューイの目の前に出すと彼も、握った拳同士を合わせる。
「殴ったときは気でも狂ったかと思ったが…案外どーにかなったっぽいな…」
「男同士の仲直りの仕方って感じですね…先生…」
橙色に光る夕陽は、二人の精神を強く結びつけたのであった…
彼女は想う…【正義の魔法使い】を目指していた者を
(あなたの
彼女は横にいるグレンを見上げる。
(確かにあなたが恋焦がれるように思い描いていた夢の形とは違ったのかもしれません。でも、あなたの夢は確かに多くの人を救ったんです)
(実際に…あなたは私を救ってくれたんですよ?その日からずっと…あなたのことを)
彼女は愛おしそうにグレンの方を見る…その目は恩によるものか、それとも…
「ん?なんだルミア?」
不思議そうにルミアの方へと顔を向ける。
「いえ…なんでもないですよ。先生♪」
可愛らしく、いたずらっぽく唇に指をあて、微笑むルミア
「…?まあ元気そうならよかったな…」
グレンはその動きの意図が読めない鈍感な男であった…
この小説は最低でも、原作十巻まではやりたいですね。できることなら最終巻辺りまで…
最後の結末の変化に関しては、アスラがゴーレムを一掃したことによりグレンの余力が残って搭から普通に戻ってきたわけです(ルミアの"異能"は使いましたが…)
感想ありましたら書いてくれるとありがたいです。
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