今回は短めです。ただ、次は長めだと思います(原作の描写が多めなので)
第五話 ふーわいわっと?
「アスラ=アダムス君、君は一体…なにものなんだね?」
事件の翌日、まだ破壊の跡が残っているアルザーノ帝国魔術学院、その学院長室にて椅子に座っているリック学院長がアスラに問う
「実を言うと…俺もなんにもわかんなくて…」
そういうリックはふぅ…とため息をつきこう答える。
「すまない…私たちは、なるべく君たちに普通の学園生活を送らせたいだが…
「そんなこと…!重々承知しています…だけど、俺もっと学院に通いたいんです!!だから!!」
「
そういい、リックは学院の中庭の方へ指をさす。
そこには、木よりも大きく自然的な中庭にはふさわしくないものだった。無機質で巨大で…両手に武器のようなものを持っている…まあ、【機甲の天使】だった。
「あ」
「あ、じゃないよアスラ君…あれすごい迷惑な位置にあるよ…?」
「いや…なんというか、ほんとは呼び出した魔導器?みたいなものの中に入れられないかなーと思ったら、全然入らなくて…で…適当における場所ないかなーと思ったら…ちょうどいい場所があって…」
もじもじしながらアスラがそういうと、またもやリック学園長はため息をつき
「はあ…グレン君と君は似てるな…いやほんとに…」
「まあ君が一体、どこの何者なのか、なぜあれを持っているのか、あれが何なのか…それを追求することはできん…というかアスラ君も全然知らんのじゃろ?」
「まあ、知ってることは教えましたけど…なぜかあの魔導器?を渡してきた奴の名前思い出せないし…」
実を言うと、アスラはあの指輪を渡してきた男のことを上手く、思い出すことができなかった。いや…もしかしたら女だったかもしれないし…人間でもなかったかもしれない…そもそも、指輪は道で拾ったような気がする…と記憶に
「なら、私たちは君の学園生活を邪魔することはできないし、それを全力で支援しよう。幸い、あの事件の当事者しかあれの存在は知らないしの」
「…!!はい!!」
アスラは屈託のない笑顔で元気にそう答えた。
だが、アスラは心の中で引っかかっていることがある。彼女のことを……
「あ、あと…ルミアは一体何なんですか?
リックが、アスラが心配そうにルミアのことを聞くと、申し訳なさそうにこちらに目配せをしながら
「教えることはできないのだ…教えてしまえば…君は普通の生活には戻れないかもしれないよ…」
リックがそうアスラに伝えると、アスラは拳を握り締める。一年前、自身の腕で助けれなかったあの命のことを思い出しながら
「それでも、知りたいんです。もう二度と、
紫色に光る眼をぐっとリックに向けながらアスラは強く答える
「そうか…君は…やはり強い子じゃな…」
「ルミア君は…王族の…アリシア七世女王陛下の実の娘…エルミアナ王女じゃ」
「…!女王陛下の…!?」
アリシア=イェル=ケル=アルザーノ七世
その美貌と圧倒的な政治の巧さにより、帝国民から圧倒的な支持を得てる女王陛下だ。
(ルミアが…3年前病死した…エルミアナ王女…!?いや…まて…)
女王陛下の娘、その言葉にアスラは踊らされていたがよく考えてみれば
「それじゃあ…天の智慧研究会がルミアを狙うってのには少しパンチが弱く無いすか…?」
「それに関してなんじゃが…私たちも詳しくは分かっていないんじゃが…アスラ君、ここからは少し心を落ち着かせて聞いてくれないかの…?」
「はい…」
「天の智慧研究会はなにやら…ルミア君の《異能》を欲しがっている…のかもしれない」
「異能…?」
異能
魔術とは違った一部の人間の身が持つ超常的な力、他者の魔力を爆発的に増幅させたり、体を発火させたりなど…その存在は魔術至上主義の人間からは忌み嫌われてることが多く、リックはアスラに話すことを少し躊躇していた
だがアスラは、異能という言葉を聞いても、少しもルミアを軽蔑したりするような目をせず
「…なんとなくわかりました…俺にルミアを守らせてください…」
と答えた。
「うむ…君ならそう答えてくれると思った…」
「もちろん、友達が異能だからってなんでそんな躊躇したんですか。そん位で友情が崩れたら友達失格ですよ!」
少し笑いながら、そういうアスラにリック学園長も笑みをこぼす。
「君になら…任せそうじゃな…王女護衛任務…」
「どんなことでも…ルミアを守れるんならやってやりますよ…」
そういうと、リックはその概要を話し始めた。
「帝国宮廷魔導士団の人たちも手伝ってくれるなんて…心強いな…」
アスラは中庭の【機甲の天使】、もといネメシスを見上げる。大きく、まるで世界を包み込んでしまうのではないと思ってしまうほど雄大だ。
(今思えば…なんでこんなの扱えたんだろ…具体的にどうやってやるかって言われたら答えれないし…なんか、
アスラはとても不思議に思う。昨日はあれだけ自在に動かしていたものが今はスントもウンともいわない鋼鉄の塊になってることに
(まあリック学院長が、保管とか隠蔽は学院側で何とかしてくれるって言ってくれたし…一旦は大丈夫そうだな…)
「あ!!アスラ!!やっぱりここに!」
「うえっ!?シ、システィーナ!?」
銀髪の長く美しい髪を揺らしながらこちらに向かってくるのは、アスラの友であるシスティーナだ。
「な、なんだよシスティーナ。言っとくけど、これは渡さねえぞ!」
「違う!これがなんなのか分かったのよ!!!」
「!?」
「…多分」
「…ちゃんと言い切ってくれたらしまったんだけどなぁ…」
やれやれ、と片手で頭を押さえるアスラ。そしてシスティーナは興奮した様子で
「これの正体は、おそらく童話『機甲の魔法使い』に登場する『
「へ…?」
アスラは聞き覚えのある言葉にあんぐりと口を開ける。
機甲の魔法使い──それは少し前にアスラが誰かから聞いた童話のことであった。
『機甲の魔法使い』にでてくる
「で、でもシスティーナ。ただの偶然じゃねえの…?童話の方は、結構姿違ったし…」
「それが!!様々な文献を調べてみたところ、この北セルフォード大地の各地に
「な、なるほど…」
最後の自分たちがこそが神なのだという主張は分からなかったが、確かにこの機体とネメシスの共通点は非常に多い。
ちなみにシスティーナは魔導考古学に対して熱が入るとこのように人が気圧される速度で語り始める生粋の魔導考古学オタクである。
たいていの人はこの熱量を笑って受け流すが、アスラは素直でちょっとお馬鹿なので真剣に聞いていた
「魔導考古学界隈の中ではヒーロー中のヒーローに乗れるなんて…私だったら感激だわ…」
うっとりとした目でネメシスを見あげるシスティーナ。
ネメシスは実際、物語の中では重要な役割を数多く果たしているためヒーローと呼ばれるのも納得だ。
「ていうか…システィーナ。そんなに『機甲の魔法使い』に詳しかったんだな」
そうアスラが聞くとシスティーナはくるりとこちらへ振り返り
「実は『機構の魔法使い』は『メルガリウスの魔法使い』と繋がっているという説があるのよ!!メルガリアンの私にとっては読むしかないに決まってるじゃない!!!」
「そうなの?」
「そうよ!!なぜなら──」
(あ、これまた始まるやつだ)
その二人の様子は破壊の跡を気にさせないほど、平和な空気を作っていた…
事件数日後、学院側は【機甲の天使】を秘密裏に保管し研究を進めていた。
そしてそんな中、何も知らない生徒たちはというと…
「えっ!?もう
素っ頓狂なアスラの声が放課後のアルザーノ帝国魔術学院の二年次生二組の教室に響き渡る。
「だからこうして決めてるわけじゃない…まったくもう…」
やれやれといった感じで腰に手をつけるシスティーナ。
システィーナは壇上に立っており、みなの方を向いている。
教室の空気はまるで葬式かのように盛り下がっている。
「…話を戻すけど…『変身』の種目に出たい人ー?」
無反応。教室はシーン…と静寂に包まれていた。…アスラはすごくまっすぐに上に手を挙げているが…
なぜこんなにも盛り下がっているのかと言えば、『魔術競技祭』。毎年アルザーノ帝国魔術学院で開催される魔術の技の競い合いの時期が既に来週に迫っているのだが未だに二組は出場選手が決まっていない。
その理由は魔術競技祭には悪習があり、成績上位者のみで出場選手を固めるというものだ。
つまりは、成績上位者以外は一回も競技祭に出れずに学院生活を終えることもあるということだ。
そして、システィーナはグレンに「お前たちの好きにしろ」と言われたので、折角だから参加したい者を出場させようとしている。
(魔術競技祭…一年の時も出場したのだけれど…面白くなかったわ。お父様の時代はもっと楽しかったと聞いていたはずなのに…)
「アスラ…本音を言えば出したいんだけれど、さすがにアナタは変身が大の苦手じゃない…」
「ちぇー…」
アスラもなんだかんだ自身に変身の才能がないことは分かっているので不服そうにしながらも納得したようにシスティーナの方を見つめるアスラ。
まったく話の進まない教室の中…ばぁんっ!!!と派手に音を立てて教室前方の扉が開かれた
「話は聞いたッ!ここは俺に任せろ、このグレン=レーダス大先生様にな──ッ!」
両袖に腕を通さず羽織ったローブが、無意味にバサリと翻る
「ややこしいのが来た…」
意味不明な登場の仕方をしたグレンにクラス中は困惑していた。ただしアスラは目を輝かせてグレンの方をみていたという──
つなぎ回!!書くのが難しい!!
ちなみにグレンとかからはあまり機甲の天使についての話は聞かれませんでした