正直に言うと、1巻2巻は割とうろ覚えだったので展開に迷ってました。
3巻以降はやりたい展開満載なんで期待しといてください
(ここは…どこだ…)
アスラは何も身につけず、水中のような場所に深く沈んでいる。
下は暗く、上は明るい。上には二組の仲間、グレン、ルミア、そしてシスティーナが見える。
アスラの体は深く沈んでいく。そんな中どこからか声が聞こえる。
『人は何かを果たすために生まれる。それは生まれたときからなのだ。』
『俺たちはそんな──貴方の言うことなんて─!!』
『君も才能を、役目を与えられ生きてきたのだ。それを否定するということは、君の才能、そのすべてを否定することなのだ』
『たとえ才能がなくたって、■■に乗れなくたって──俺を愛してくれる人が──貴方のいう世界は、絶対違う!』
どこか、男二人が言い争っている。一人は大人の…一人は少年の…どこか懐かしく感じる…
ふと下を見ればそこには銀髪の美しい少女がいた。
アスラと同じ紫色の瞳、柔らかくしなやかな肢体。もう二度と出会えないと思った、あの存在に手を伸ばす
(ユナ──!!!)
「来ちゃダメ」
アスラの意識が覚醒する。アスラは今、保健室のベッドに横たわっている
「!! 大丈夫!?アスラ!!」
システィーナの声だ。焦ったようにアスラの方に呼びかけ体を少し揺らしている。
「ん…ふぅ…大丈夫だよ、システィーナ、ちょっと疲れただけ」
そういうと、アスラは上体を起こし腕をブルンブルン振る。
「良かった…」
「…『精神防御』抜けちゃってごめんな」
「大丈夫。ジャイルが第三十一ラウンドで既に気絶してたから二組が今二位よ」
「そうか…良かった。じゃあ俺もうちょっとしたら戻るから!先に戻っておいて」
そういうと、システィーナは少し寂しそうにしながら
「分かったわ。戻ってきたらみんなと一緒に昼ご飯食べましょう」
「おっけー!」
アスラがそう答えると、医務室の奥から一人の女性がぴょこっ、とでてくる
「あれ、アスラ君起きてたんですか?」
「あ、セシリア先生。もう大丈夫っすよ、別にそんな【マインド・ブレイク】をもろに受けたわけじゃないですし」
アスラを呼んだ娘の名はセシリア・ヘスティア。線の細い、精緻な顔立ちをしており、抱きしめれば折れてしまいそうなほど華奢でたおやかな身体つき。足元まで届きそうなプラチナブロンドの緩く三つ編みにした、儚げな印象を与えさせる娘だ。学院の法医師であり、その腕は折り紙付きである。
「ダメですよ、こういう時はしっかりと水分をとってから言ってください」
めっ、と子供を叱るように言いながら、セシリアはコップ一杯分の水をアスラに渡す。アスラはそれをとって飲みながら
「ホントに大丈夫ですよ。俺、もう出る種目ありませんし、そこまでバテるようなことはしません」
「それならいいんですけど…あまり無茶はしないようにしてくださいよ」
セシリアがそういいながら微笑むと
「分かってますって…」
と照れ臭そうにアスラは返した。
その様子を見てると、システィーナは心の内が、もやぁ…となり自分がそう感じたことに対して少し顔が赤くなる
(なによ私!ベ…別にアスラとはそんな…!)
「大丈夫か?システィーナ?」
「べべべ別に何もないわよ!!!」
「?」
アスラは感情を読み取る力があってもなかなか女心には致命的な鈍さを見せた。
本当にグレンそっくりと言えるだろう。
学院生徒たちでにぎわう魔術競技祭──その通路の一角にて
「あーもうちょっと水飲むべきだったかな…」
アスラはダルそうな顔で通路を歩く。正直に言えばちょっと体調が悪いのでもう一度医務室に引き返そうと思ったが、いじられそうなのでやめておいた
そう思いながら歩いていると、二人の人間にぶつかる
「あっすみません…」
アスラは二人の内の一人、鷹のような鋭い目をした蒼髪の男に問いかけた。もう一人の方は小柄な少女だ。眠そうな目をし何を考えているかよくわからないかおでボーっとしているように見える。だが、実際には隙がほとんどない。今ここでナイフを突き出そうとしてもそれよりも早く攻撃を返すだろう…そんな恐ろしさがあった。
驚くべきところは、どちらも帝国宮廷魔導士団…つまりは軍人であることだ。軍人自体は女王陛下が来ているため、もちろん護衛のために必要だが、この二人は普通の軍人とは一回り二回り…いやとてつもない差がある。
雰囲気でいえば、去年、謎の人間複数体に襲われたときに助けてくれたあの女性に似ている。というか、同等のモノだ。推測するに…
「お前はアスラ=アダムスだな」
「えっああはい」
「突然ですまないが、俺たちの任務に協力してくれないか」
「あっ!あなたたちリック学院長が言ってた…!」
「そうだ、話が早くて助かる」
アスラはリック学院長からこの二人の話は少し聞いていた
男の名はアルベルト=フレイザー、少女の方はリィエル=レイフォードというらしい。
どちらも帝国宮廷魔導士団の中でも精鋭の特務分室という部隊に所属している。
特務分室は魔術戦のスペシャリストしかいない、帝国の奥義と言ってもいいだろう。
「それで…アルベルトさんとリィエルさん…俺は一体何を…?」
「ん……アルベルト、この男の子弱い、役に立たないと思う。勘だけど」
「こいつは表向きは普通の生徒だが、あの魔導兵器を使えばそれこそ、並みの兵が束になっても敵わない。そう伝えたはずだが?」
「……ん、ごめん。その時よくわからなかったから」
「……………お前にやってほしいことは簡単に言えば王室親衛隊の監視だ」
リィエルの回答にため息をついたアルベルトだが、もう気にしないでおこうと思いながらアスラの方へと振り返りそういう
「王室親衛隊…って女王の味方ですよね?なんで監視する必要が…?」
「俺達も一枚岩ではなくてな、王室直系派、反王室派や赤い血派や青い血派など…アルザーノ帝国はさまざまな思想主義と派閥が争っている魔窟だ。そして最近、右派……伝統やしきたりを重んずる派閥の筆頭である王室親衛隊に不穏な動きがあると報告を受けた」
「俺の任された仕事って、ルミア…エルミアナ王女の護衛ですよね。それで俺に任せるってことは異能関連のことですか?」
「そうだ、円卓会で異能者差別に対する新しい法案が閣議されるようになって特に顕著になったそうだ」
帝国では異能者は悪魔の生まれ変わりだと信じられている。つまり異能を持つルミアは王室親衛隊から何らかの危害が加えられる可能性がある。
「女王陛下の名のもとにて、法は作られる。旧態派の王室親衛隊は差別の対象である異能者を法的に保護されていたら神聖な王室の威光に傷つく、と考えているのだろう」
「…ん、やっぱりわからない」
「「「……………」」」
数瞬の間、場に沈黙が流れる。
「お、王室親衛隊は女王陛下がやってくるこのタイミングに仕掛けてくるから俺にルミアの護衛と王室親衛隊の監視をしてほしいってことですか」
アスラはあごに手をつきながらそう答える。政治面にはあまり詳しくはないが、何とか話を飲み込んだ
「そうだ、可能性は0に近いが、少しでも女王陛下の身に何かが起きる可能性があるならそれを防ぐ、それが仕事だ。だが、お前はまだ子供だ。自分の身が大切なら協力しなくてもいい」
こちらをしっかり見つめ、そういい放つアルベルト。その目は鋭く冷たいものにも見えるが、奥底には煌々とした情熱と意志があることが伺えた。
「………やります。俺も任務に協力します」
アスラはアルベルトのその目に対して答え、紫色の双眸でアルベルトを見返した
「………ん、とりあえず王室親衛隊は私たちがぶちのめすから大丈夫」
(…この人、強いけどほんとに大丈夫かなぁ)
アスラはリィエルに対して一抹の不安を抱えるのであった
「そして帝国軍からお前に支給品がある」
「え?」
そういうとアルベルトは懐から一つの小さな箱をとりだし、
「《解き放て》」
と唱えた。すると、箱が融解し中からボンっと中に収納されてた一着の服が出てきた。
「これは…うちの制服?」
中から出てきたものはアルザーノ帝国魔術学院の制服と似たようなもの服が出てきた。だが、肩掛けがなくなっており肌の露出がかなり少なく赤色の装飾もところどころ入っている。どちらかと言えば制服というよりスーツに見える。
「そうだ、この学院の制服を模したお前だけの制服だ」
「にしては結構デザイン違くないすかね…?結構目立つと思いますけど…」
「この学院の制服は肌の露出が多すぎる、マナの吸収効率のことも考えているんだろうが防御面積が広いことに越したことはない。それに機能も優れている。その服には帝国軍の軍服のように【フィジカルブースト】や三属
「そして、その服は着ているものへの対衝撃性を高めてくれる。【機甲の天使】に乗る以上直接的に
「すごい…こんなものまで…でもなんで…」
アスラは感心している。だが、なぜここまで迅速に帝国が対応してくれるのかが少し疑問であった。
「理由は簡単だ。アスラ=アダムス。酷な話ではあるが、帝国内ではお前と【機甲の天使】を始末しようとする派閥も現れている。特に王室親衛隊だ、その点も相まって俺は今、お前に頼み込んでいる」
「なんで俺とネメシスの存在がそこまで…!」
「【機甲の天使】は現在、童話と同じように科学と
「それを始めるための準備…【機甲の天使】の解析、戦闘データの採取のためにお前が使われているんだろう。だから軍の対応が早かった」
「………」
アスラは初めて思い知った。自分の存在がそんな世界に影響を与えているのかと、そして何故自分が扱えるようになってしまったのだろうと思う。
「…子供のお前にこのようなことを任せてしまってすまない。だが、王室親衛隊の方は必ず事件は起こさせないようにする。なるべくお前が【機甲の天使】を扱わないよう細心の注意を払う。俺たち軍を信用してくれ」
「…分かりました」
ネメシスを背負う責任とその重圧、アスラは重たい表情を見せながら観客席の方へと戻っていった。
「で、まぁ【セルフ・イリュージョン】はこんなもんだな」
白魔【セルフ・イリュージョン】でルミアの姿になってるグレンがリンと会話している。
次の《変身》の種目について話しているようだ。
(にしても…腹が減った…マジでどうしよう)
グレンは数日前からまともな物を食べていないので、背と腹がくっついてしまいそうなほどの飢餓状態に陥っている。
だが、流石に生徒にたかるということはいくらグレンとはいえできなかった。
「あっルミアったらこんな場所に」
そんな中、システィーナがこちらへと向かってやってくる
「あっシスティ、どうしたの?」
いち早くシスティーナの存在に気づいたリンがシスティーナに話しかける
「あはは、私ルミアに用があってね」
「あっいや俺は…」
グレンが否定する間もなくシスティーナはルミア(グレン)に笑いかけながら言った
「早くお弁当食べよう?ルミア。あとでアスラも来るから、あとはアイツなんだけど…あいつ一体どこにいったのかしら…?」
「え…弁当…?」
気づけばシスティーナは、バスケットを二つ手に下げていた。
(こ…こんなかには…まさか…!)
思わず涎をごくりと飲み込むグレン
今、弁当を持ってきたシスティーナは変身魔術で化けたグレンのことをルミアだと思っている。
これは、もしやすさまじいチャンスではないか…?とグレンは思う。だが、
(いやいや…さすがにダメだろ…教師が生徒の物盗み取るなんぞ…いくら何でも俺はそこまで堕ちちゃいねぇよ!堕ちてたまるかぁ!!)
……ぐぅ~~。
グレンの腹が盛大になった。
「ぷっ、あはは!ルミアったらそんなにおなか空いてたの?」
(うん…やっぱ食おう。プライドと命を天秤にしたらプライドなんてどれだけ軽くてもいいんだよ!!)
グレンは悪魔に魂を売ろうとしていた
その後、結局グレンの変身魔術はルミアが来たせいでばれてシスティーナにこっぴどく怒られた
そして、ルミアとアリシア七世は久しぶりの会話が起きる。だが、ルミアはもう既にエルミアナ王女ではなく一人の少女、ルミア=ティンジェルだった。彼女とアリシアの間に親子としての会話が起こることは終ぞなかった。
そうして、平和な時間が進む中…王室親衛隊が動き出した。
そんな中、アスラは…
「……………」
アスラは【機甲の天使】がある魔術学院地下へと来た。
本来、ここまで来るには様々な結界、そしてここは最重要施設、教授格でも入るには前の事件も相まって中々許可が取れない。だが、アスラはここへとやってきた。それは彼と【機甲の天使】の運命の力という見えない糸のようなもので繋がれているからなのかもしれない
機甲の天使は今現在、様々な魔術的保護がされており、常人が動かそうと思っても全く動かせない。
「あんときも…出てきた…ていうよりは、飛んできた…って感じだよな」
あの時以来、指輪からは何の力も感じないし生じない。代わりにその力をこの【機甲の天使】から線で繋がれてるように感じている
「確か…管理者の名前は…オーウェル=シュウザ―…いないけど大丈夫なのかな…まぁあの人変人だからそういうもんか…」
(不思議だ…前見たときは、なんも感じなかったのに…触れているとずっと一緒にいる友達みたいに自然な感覚だ…)
自身がなぜこれを扱えるかはわからない。だから、帝国から狙われているなんて夢のように感じる。
(でも、これは俺が
誰かを守るため、皆と一緒にいたいから、けど、こんな力はいらない。そう思ったのは早かった。
(ただ…みんなと一緒にご飯食べたい…システィーナと…)
魔術師は歩み続ける、その姿そのものが魔術師たるゆえんとなる。だが、アスラはあの日、妹が死んでから全くといっていいほど進んでいないように感じている。考えすぎて足を止めるというのは、時に何も考えずに足を進めることよりも《愚者》ということ。成長したいならば…
世界で最も有名な童話作家と言えるだろう、ロラン=エルトリアが言った言葉。それが正しいことなのかはアスラ自身も未だわからなかった。
アスラのキャラはグレンとシスティーナとルミアを足して三で割ったようなキャラにしたいと思っています。