ルパンファミリーのフランケン   作:無悪岩

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「なぜお前がここにいる、権六よ…」

 

「そう固いコト言いなさんな、ジョージ博士サン…」

 

 

 とあるプレハブ小屋にて。テーブルを挟み、ジョージ・シュタインハートと、その向かい側。権六と呼ばれたサングラスをかけた、カタギにはとても見えない男。険悪な空気で、彼らは話し合っていた。

 

 

「タレコミがあったんだ。今晩、ここを畳むらしいじゃないか…。その前に、常連の俺が買い物に来ることなんざ、なんら不思議な事じゃないと思うがね…?」

 

 

 チッ、とジョージが舌打ちし、窓から倉庫の様子をのぞく。コンテナや、それを動かすための大型のクレーンや重機がいくつか存在し、そのコンテナの中には兵器がぎっしりと詰まっている。ジョージが8年かけて、ここまで築き上げた城だ。

 それを捨ててなお、まだ自分には有り余る財がある。そしてそれを元に、新たな拠点を築き…今度は1つだけでなく、2つ…いや3つ作り、人材を更に雇おう。

 そんな夢を描くが、その前に目の前の厄介な人物にはお帰りいただこう。はぁ、と重ためのため息をつく。

 

 

「好きにしろ…。ただし、迷惑料として割り増しでいただくぞ…」

 

「そりゃ、手厳しい…。ところで博士、わざわざご自分がお作りになった兵器を破壊してまで、ここを捨てる必要があるのかね?」

 

「…場所が割れた拠点に価値があると思うか?」

 

「いいや。だがどうも俺には、商品を捨ててまでするコトかね、と勘繰っちまうのさ…」

 

「…なにが、言いたい」

 

「オット、すまない。どうもいかんね、職業病みたいなものだ」

 

 

 ハハハ、と高笑いする権六。全てではないが、大方の事は勘づいているのだろう。彼に背を向け、再び窓に目をやるも、扉が勢いよく開かれた。

 

 

「博士ぇ!大変です!」

 

「何事だ!私は今忙しいんだ!!」

 

 

 実験用の眼鏡をかけ、顔はハッキリと分からないが、白衣を着ていることからジョージの研究所の職員だろうか。それが息を切らせながら報告する。その研究員の背が少々低かったのが権六は引っかかったが、ジョージはそこまで気が回らなかった。

 

 

「上階にて大量に煙が!ま、まさか爆薬が…!?」

 

「慌てるな!大方、予告にあったコソ泥の仕業だ」

 

「し、しかしぃ…」

 

「安心しろ、爆薬は私の持っているスイッチによってしか爆発しないようセッティングしている」

 

「博士、アンタの部下がそこまで言ってるんだ。すこしぐらい見てきてやったらどうだ?」

 

「…いいや、私は忙しいのでね。権六、お前こそ部下に命じて見てこさせたらどうなんだ?ここの構造は皆頭に入っているだろう」

 

「フッ…。まあアンタには世話になってるからな。オイ!」

 

 

 権六が小屋の外にいる部下に声をかけ、何人か呼び集め、博士の代わりに異変を確認させにいく。

 

 

「では、俺のブツを積み込むとしましょうや、博士」

 

「まだ貰うものは貰っていないぞ、権六」

 

「おおっと、こりゃ厳しい」

 

「博士ぇ、私は…」

 

「キミは後のことをしたまえ。私はこれから、この者と用があるのでね」

 

 

 そう言うとジョージと権六の2人は小屋から出ていき、報告に来た研究員だけが取り残される。

 窓から2人の様子を確認すると、眼鏡と白衣を適当に脱ぎ捨て、屋根に向かって話しかけた。

 

 

「ふぅ、もういいぜ、お2人さん」

 

「煙を炊いた程度で、案外簡単に引っ掛かるモンだなあ」

 

「ちょ、なんでそんな簡単に屋根から飛び降りれるんですか。おかしくないですか」

 

 

 研究員に変装したルパンが、屋根の上で待機していた2人に声をかけ、次元がそこから飛び降りる。

 一方フランケンは、スーツを着ているにも関わらず怖いのか、ソロソロと降りようとして、結局ずり落ち、お尻を打った。スーツによって守られているらしく、そこまで痛がってはいなかったが。

 

 

「しっかし、権六といやあ、ムササビ権六!ウラの世界じゃ、お前の親父。ルパン二世に迫るとも劣らないほどの実力者。そんなヤツを呼び込んだのか」

 

「そ、権六相手なら、ジョージも拠点の爆破に待ったをかけるだろ~?それと、ヤツぁ少数での行動を好んでるからなあ。こうやって、イタダキやすいのサ…」

 

「イタダキ…?まさか」

 

 

 ここに来るまで兵器の奪取方法の一切を聞かされていないフランケンだったが、権六の名前を聞いて、何かを察した。

 

 

「ルパン、次元。まさかとは思いますが、お父さんから直接ではなく、積み終わったムササビ権六とやらの方から奪取する、ということですか!?」

 

「さぁ~すがフランク博士のマゴ!」

 

「頭の回転が良くなってきたか?ハナシが早くて助かるぜ」

 

 

 さぁて、ジョージと権六が気づいて帰ってくる前にいただけるモンはいただくぜ、と準備にかかるルパンと次元に、待ったをフランケンがかけた。

 

 

「いやいやいやいや!無理ですよ!!相手はプロの大人!こっちは子ども!!人数も研究所の職員や権六とやらの部下がいくら少ないと言っても、こちらは3人!そもそも権六の積み荷をどうやって奪取するんです!?」

 

「まぁそこはこの俺に任せろって。ホラ、見てみろ」

 

 

 そういって窓を指さし、外を見るように促す。倉庫内では、権六の部下だろうか。3~4人ほどガラの悪そうな男がコンテナ周辺をウロついている。すると、奥の壁がいきなり開き、大型のトレーラーが入構してきた。

 

 

「まさか…アレごとコンテナを奪うんですか…?」

 

「ピンポ~ン!様子を見て、トレーラーごといただくって寸法ヨ…」

 

 

 その前に、ジョージからお宝を頂戴しねえとな、と笑みを深くするルパンに対し、あまりにも無謀すぎるとげんなりする。自分をここから出す、なんて言葉に釣られてホイホイとついてきたが、それも実現でき無さそうな気がしてくる。希望と興奮に満ち溢れた道中だったが、冷水を頭から被ったように、一気に絶望が襲い掛かってきた。

 そんな彼女をよそに、いってくるぜ、とルパンと次元の2人は小屋を出る。

 

 

「イ、イヤ他に方法があるハズです。トレーラーの奪取とまではいかなくても、武器の暴発や、爆破のドサクサに紛れて脱出…。ダメだ、お父さんが私を連れ出す前にここを爆破するワケがない…」

 

 

 腕を組んで脱出方法を考えるが、やはり現実的なプランは浮かばない。父に加え権六というその道のプロまでいるのだ。どうすべきか、フル回転で思考する。

 その間に、小屋の外でうめき声や何かを殴打する音が聞こえたりしたが、彼女はそれに一切気づかなかった。

 

 

「権六とお父さんの仲間割れを狙う…?いや、さすがにそれは難しい…。ならばやはり、爆破に紛れて…?イヤ、それこそどうやって…」

 

「終わったゼ、嬢ちゃん」

 

「ぎゃあ!!!!」

 

 

 うーんうーん、と頭を捻らせて色々と策を練っていると、いきなり後ろからルパンにをかけられて、素っ頓狂な叫び声をあげて飛び上がる。

 

 

「これまたマンガみてえな驚き方しやがって…」

 

「マンガが何か知りませんが、悪かったですね!」

 

 

 自分の肩を抱いて部屋の隅に後ずさりするフランケン。勢いが良過ぎてアタマを壁にぶつけてしまい、次元に本当にマンガみてえだ、と呆れられる。

 

 

「と、というか彼らはどうしたんです…?」

 

「片付いたぜ。全員オネンネしてらァ…」

 

 

 えっ、と窓から倉庫の様子を見ると、さっきまでいた連中は姿を消し、よく見てみると全員が床に倒れていたり、縄でぐるぐる巻きにされている。

 まさか本当に、しかもこの短時間で、たった2人でこれをやったのか。楽勝だったと言い合う2人に、信じられないと言葉を失ったフランケンだったが、それと同時に希望が再び湧き出てきた。

 

 安全を確認したのち、部屋から出て辺りを見渡す。本当に全員ルパンと次元にヤラレてしまっているようだ。胸が上下していることから、どうやら死んではいないようだが、しばらくは目を覚まさないだろう。

 

 

「じゃあ早速、ここから逃げましょう…!お父さんと権六が返ってくる前に」

 

「おっと、そうしたいのは山々なんだがな、チビ。まだやるべきヤマが残ってんのよ…」

 

「ああ…。次元の言う通りだぜ…。なぁ?ジョージさんに権六よォ…!」

 

 

 ルパンと次元が振り返り、ジョージと権六の名をルパンが叫ぶと、空っぽのコンテナの影から2人が現れ、更にその奥の物陰から、先ほど様子を見に行った権六の部下と研究員も姿を現した。

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