神様ホイホイしてます   作:影元冬華

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スタレが原作に追加されたので投下します

pixivでも同じの出してます


「愉悦?違います存護です」

 拝啓、無神論者の癖に神社とかでよくお宮参りとお祈りだけはしっかりしてた前世の私、今世で無意識にやったら大変なことになるからやめておけ。いえ、もう手遅れですが。

 

 

「そこの女、止ま──うわぁぁぁーーー!?」

「た、隊長ーーーーーー!!!」

 

 

 全力ダッシュで逃げる私、これでも無罪。後ろから追いかけてくる黒い制服と槍を持った集団、その先頭にたっていたらしい隊長は華々しい死を遂げた。

 

 

 

 

 

 社会的に。

 

 

 

 

 

 

 無残に飛び散った衣類とバキバキに砕け散った武器、全身真っ黒な衣類に包まれていた筈の男は一瞬で生まれたばかりの赤子の如く肌色成分99%へと変貌し、雄叫びが悲鳴に代わり他人には見せられない哀れな痴態を晒す。そして転がる隊長と呼ばれていたらしい男とその後ろで怯えながら自らの末路をなんとなく察している部隊の人達。

 幸いなのは予め追いかけてくる集団がここら一帯を人払いしていたことで、無残に【社会的な死】を遂げた男の恥部と姿を見ずに済んだことだろう。

 どうして、と言いたいのはこちらである。生まれてこの方、犯罪は犯していないのに指名手配を受けて追いかけられている。全くの無罪でである。

 

 只々、今の私がこの集団に言える言葉は一つだけ。

 

 

 

「私のそばに近寄るなぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 前世のアニメで見たキャラのセリフが、現実になるなんて思う訳ねえだろ。

 

 

▽▽▽

 

 それはもう本当に突然の事だった。両親と私(幼女)は豪華でも貧乏でもない普通の暮らしができる家庭と惑星に住んでいて、ただちょっと両親の出身惑星の関係で信仰する神様が一つだけじゃなかった人生である。

 自宅にちょこんと置かれた鳥居を模した模型と仏壇、あとは祠と狛犬と飾られたミニ神社に毎朝形式的にお祈りをしていただけである。

 

 きっかけは父上が仕事で1週間ほど行方不明生死不明になったときである。ミニ神社に向ってそれはもう必死にお祈りしていた。父上が無事に帰ってこられますように、と。何ならお供えとして綺麗な石をお供えに置いた。何も知らない子供としてはもう100%純粋な信仰心と行為だろう。それがどっかの星神に引っかかったのか、なんかリアル宇宙猫もとい宇宙に放り出された幼女は目の前で腕組後方父親面をしたクソデカ神様に気に入られた。

 

 

 琥珀色、巨大な御姿、石でできたマッスルボディ。そう、【存護】の星神たるクリフォトに目を付けられた。

 

 

 幼女は思考停止した。いつもより豪華にお祈りしてたら突然謎空間とクソデカ存在を目にしたのだ。前世を思い出すほどのショックを受けても仕方ない。

 情けないことに前世を思い出した幼女は神様の前でフリーズしたのだ。情報量の洪水どころじゃなかった。

 

 そこからなんか頭を撫でられてやけに人間味を感じさせるハンドサイン、親指を上に出してこぶしを握ったグットサインをしてログアウトした。幼女は現実のミニ神社の前でお祈りしたまま固まっていた。

 

 

 なおお供えした綺麗な石は姿かたちもなく綺麗に消えていた。

 

 

 

 

 その後五体満足で元気に帰ってきた父上以下同僚たちはにっこにこしながら語った、『きっと神様が助けてくれたのさ!』と。

 

 

 

 

 そしてその日から悲劇とも奇跡とも言える謎現象が多発し始めた。

 日常生活、不審者が出たと思ったら突然服がはじけ飛んだ。その時の私は友人と公園で遊んでいただけだった。そこら辺にいた子供とその親は突然全裸になった男に悲鳴を上げ、服がはじけ飛んだ不審者は公然猥褻罪で逮捕された。その後、ストーカー拉致誘拐監禁などの余罪がボロッボロに判明し、一生を檻の中で過ごすことが確定した。なお私の視界的には遊具で隠れて何も見えていない。気が付いたら全裸の男が隠れて発生していただけ、という認識だった。

 

 

 

 

 

 

 順調に育った私は社会人となり、住んでいた惑星を出ることになった。なおこの時一緒にシャトルに乗っていた人から「信仰してる星神はどなた?」と聞かれたがぶっちゃけどれでもない。マッスル石ボディの神様に目を付けられた自覚はあったが、前世の諺の「触らぬ神に祟りなし」の精神でそ知らぬふりと無信仰を貫いている。無信仰でも朝に手を合わせる位はしているが。なので「一概には言えない。全て平等で貴賤はない」と答えた。質問してきた人はびっくりした顔を一瞬したけどすぐに笑顔になって「そっか!急に聞いてごめんね!」と言ってニコニコしてた。そのあとはなんかすごい列車に乗ってどこかに行った。

 

 

 

 

 

 就職先の仕事にて、相手が銀河を又にかけるクソデカ有名企業のスターピースカンパニーとの取引を担当することになった。ただし相手は利益優先の圧迫脅迫をさも当然と言わんばかりに振りかざしてクソデカ企業の名前の下で下請け企業を毟り取る気満々のクソ野郎だった。

 最初は「取引条件の為に盛ってるだろう」と思っていた。しかし譲歩どころかどんどんこちらが不利に、相手が有利になる条件を吹っ掛けられ、最後は「この取引を飲まなかったらこの会社を潰す」と脅迫してきたのだ。

 

 

 前世持ちの一般市民の私は激怒した。かの暴虐を必ずや排除したうえで取引先のスターピースカンパニーに苦情と慰謝料請求を叩きつけねば気が済まなかった。

 

 ブち切れながらも目の前にいるパワハラ取引相手にポーカーフェイスで拒否の意を示し続ける。しかし相手は引き下がらないクソじじい。そして私が女であることを理由に『接待』を要求してきた。

 

 

 一般人、キレた。

 

 

「──黙って聞いていれば木っ端と見下すクソ野郎が!スターピースカンパニーの名前だけで怯えて黙っていると思ったら大間違いだこの野郎!おまけに私が女であることを理由に『接待』を求めるなど言語道断、二度とその面を見せるな。これ以上の取引も会話も無い。とっとと消えろ」

「なっ…!お前、スターピースカンパニーとの取引を蹴るのか!?全宇宙を敵に回して成り立つとでも!」

「黙れといったはずだ。クソデカ企業だろうがお前みたいなやつが上にいる企業など関わりたくないわ!会社を潰されようが殺されようが、そんなものは到底認めないし私はお前を赦すことはない!」

 

 

 最早口調もへったくれもない。若干父上の口調が混ざってしまったがそんなことも気にしていられない。キレた一般人は取引相手に盛大な啖呵と怒号を浴びせて客室を出た。なお書類には同意しない旨と拒否の旨をきっちり書いている。

 突然の大声になんだなんだと同僚部下上司がワラワラと集まってくるが、仔細を伝えると複雑な顔をしながらも皆同意してくれた。会社は潰れるかもしれないが、このまま取引を承認しても毟り取られて過労死一直線になる。それを理解したからしょっぱい顔をして黙り込んだ。だがしかしこのままでは腸が煮えくり返った私の怒りは収まらない。取引に来たクソ野郎は大声で怒鳴り散らして罵倒しながら去っていったのが更に油を注いでいる。

 

 こうなれば自らの命をもって一矢報いるべき。そう考えスタピ(最早正式名称を言うことすら嫌になった)に対して取引の録音音声と映像を郵送し、会社には辞表と副業で稼いだお金を全て慰謝料として渡し、犯罪者になることを前提に仇討ちもといヤケクソで野郎を処しに向かった。

 

 

 

 だがしかし、あのマッスル石ボディの神様はそれも全部見ていたらしい。

 

 

 

 

 夢枕に立たれて「まかせろ」のグットサイン、そして手に持っていた副業で使ってる愛刀をそっと床に置かせられた。

 

 

 三日後にスタピのとんでもなく上の人から謝罪の手紙と慰謝料、担当者以下同じようなことを強要していた社員を一斉解雇処分と罰則、そして一斉監査を入れる旨が届けられた。手紙の差出人に「ダイヤモンド」とか書かれていた気がする。

 なお会社に出した辞表は撤回せず、きっちり他取引先への謝罪と引継ぎをした上で無職になった。

 

 

 もともと副業一本でも生きていけるくらいには稼げていたので、今後もまぁ生活には困らないはず。とりあえず今住んでいる貸家から出て、そして惑星も出ていくことにする。道中で羅浮からの討伐応援の依頼を受けてついでにお金を稼いでおく。討伐系は危険手当もきっちりつくのでおいしいのだ。武術を叩き込んでくれた両親には感謝せねばならない。なにせこれで稼いでいるのが現状なので。

 

 そんなこんなでブラブラ懸賞金稼ぎみたいな事をしていたら何故かスタピに目をつけられた。マジで何もしてない。

 懸賞金を掛けられた相手はしっかり下調べして冤罪じゃないことを確認してから縛り上げるなり斬り伏せるなりしてるが、道中で物損人身事故は絶対に起こさないようにしている。なのにスタピから追いかけられ始めた。

 

 最初は声かけだった。でも威圧的に「ついて来い」なんて言ってくるからお断り申し上げた。

 次は物騒な物を持った連中が後ろに居た。でもシバけるので無視した。

 問題はその次からである。出待ちされてストーカーされたのだ。

 

 

 一般人、やはりキレた!

 

 

 スタピ=敵認定をした瞬間である。そして暴力で解決してやろうと意気込んで瞬間──

 

 

『きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』

『うわああああああああ!!!!!!!!』

「!?」

 

 

──スタピの連中の服(と武器)が弾け飛んだ。

 

 響き渡る悲鳴、汚ねえブツを咄嗟に隠して内股になる全裸の集団、そして脳内に浮かぶ腕組みマッスル石ボディの神様。神様が怒っている感じがする。

 つまりまぁ、これは神様の恩恵です。しかしいいのか存護の神よ、これでは絵面が愉悦である。え、なに、あんたの木っ葉なので問題ない?そっかぁ…スタピってそう言えば存護の傘下でしたね…。

 

 とりあえず目の前の全裸集団を纏めて縛り上げて汚ねえ部分は一応隠す。視界にモザイクが入ったのは加護なのか恩恵なのか。いや、私の視界を存護する前にちゃんと教育して。

 

 

 こうして謎のスタピストーカーの日々が始まったのだった。

 

 

 

▽▽▽

 

「──まぁ、それで逃げるの面倒でさ。彷徨いてたらナナシビトに手招きされて列車入りしたんだ」

「スターピースカンパニーって、やること極端なんだね…」

「列車入りした直後にちょっと一悶着あった時も衣類パァン事件が発生して、それから列車に『ムラクモに関わる時は必ず事前連絡を入れる事、緊急の場合は絶対に敵意殺意を含まないこと』ってルールができた」

「…因みに被害者は?」

「最近はヴェルおじ、最初の人はもう降りたからプライバシーの観点でノーコメント」

「ングッ、ゲホッ、ゲホッ」

「え?」

「ヨウおじちゃん…?」

「待て、誤解だ!」

「うん、ヴェルおじは完全に流れ弾だったから…なので過保護に触れちゃったのは星核ハンターの人」

 

 

 宇宙ステーションヘルタに所用で拠ったある日、荷物の積み込みで暇だからとなのかと星に列車に乗った経緯を説明していた。ヘルタステーションも一応スタピ傘下ではあるが仕事の取引先だった為事情を知っている。なので寧ろ同情して隠してくれている。ありがたい。

 そして最近の被害者の星核ハンターと聞いてお茶が咽せたのか、ヴェルおじの次に咳き込んだのは丹恒だった。

 

 

「ゲホッ」

「いやぁ…あの人はすごかった。全裸になっても襲ってくるし、そのまま神様圧迫面接加護でドカドカ攻撃が入っても向かってくるからさ」

「全裸で?」

「全裸で」

 

 

 あの後保護者枠が来て連れて帰ってくれたから助かった。なんだよ「憎い奴らと同等の気配がする」って。神様ガードが触れたんか。死なないお前も加護も持ちか?お互い苦労するな…。

 

 

「あ、ちなみに神様ガードは女でも平等だよ?」

「聞きたくなかったよそんな事!!」

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