ノットネゴシエイト・サマナー   作:Nピーマン

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ねんがんの COMPをてにいれたぞ!

 

場所は変わり、とある陸橋下。

住宅街からは掛け離れた場所に位置し、ここだけまるで人の文明圏から隔絶されているような様相だ。

そんな人気のまるでないその一角から湧き出るは、重々しく禍々しい空気。

 

瘴気とも言えるその空気の発生源は言うまでもなく、異界の入口だった。

丁度人間の大人が入れる程度の入口は、あたかも人を誘い込む用途に開いたような、そのような意図を感じ取れる。

 

それもその筈。

一月に10件。学生や社会人を含め、実際、ここらでそれだけの人の失踪事件が多発している。おまけに運良く逃げ帰った人から得体の知れない何かを見たとの証言もある。

 

正しく、俺が嫌う自分が捕食者で、人間は餌であると認識している悪魔の類が主であろう事は想像に固くない。

 

よし、COMPを手に入れがてらその異界の主をぶち殺そう。

 

そんな何処かのキャッチフレーズみたいな事を思い浮かべながら異界の中へ入り込んだ。

 

 

 

歪な肉塊。

異界は、そう言い表しても遜色無いほど不快な肉触手で覆われていた。壁を覆う肉触手はまるで生物のように脈動を打ち、血液のような何かを循環させている。

恐らく、この異界を維持させるためのマガツヒか何かだろう。

 

こう言った不快な場所には、不快な物も比例するように存在するもので。

 

餓鬼道に落ちた元人間の悪魔、ガキも多量に巣食っており、壁の肉に齧り付いたり、ここに迷い込んだ人間の残骸を傍目を憚らず貪っている。

 

ただただ不快。この言葉以上の物は俺では見つけられないだろう。

 

「うぅ、気持ち悪ぅ。」

 

悪魔のモー・ショボーでさえこの様子だ。

悪魔の中でも特別趣味の悪い奴なのだろう。

 

なら、気兼ねなく殺せるな。

 

俺は群がるガキ共の頭を叩き割り、あるいは破魔の小秘石を投げ付け、浄化させながら奥へと足を踏み入れていく。

 

道中複数の部屋を見つけた。

罠が仕掛けられているやもしれないが、無視して背後から襲い掛かられても厄介だ。

俺は複数の部屋のドアを少し開け、破魔の小秘石を投げ入れる。しばらく経ってから、ドアを蹴飛ばして開け、バールを構えながら突入する。

 

・・・いずれも中はもぬけの殻だ。

 

悪魔の姿もなく、かと言って生存者がいる訳でもない。

投げ入れた小秘石もそのまま残っているのを見ると、どうやら本当に何もいなかったらしい。

 

その部屋にあったのは、かつて誰かがいたであろう痕跡のみ。

とある有名校の学生服や社会人のスーツ、はたまた私服などの衣類や、鞄類やスマホ類など乱雑に置かれている。

 

スマホか。

 

「確かCOMPはスマホ型なんだよな?」

 

「うん。そのスマホって機械の中に悪魔召喚プログラム?っていうのが入ってて、それがCOMPって呼ばれてるらしいよー。」

 

なら、虱潰しにスマホを漁ってみるか。

 

と言っても、当然の如くどのスマホも顔認証や指紋認証ロックが掛かってやがる。この様子じゃ、持ち主は多分生きていないだろうから、解きようがない。パスワード形式の物もあったが、そんな物解いている内に背後を悪魔共に襲われたりしたらそれこそ、本末転倒だ。

 

「・・・ねぇ?」

 

「どうした?敵か?」

 

「そうじゃなくて、ソーイチローのスマホ、光ってない?」

 

モー・ショボーの指摘通り、スマホをしまっているポケットから煌々と光が漏れ出しており、共鳴するように遺品の中の一つのスマホもまた光出していた。

遺品のスマホの画面を見ると、そこには文字が浮かび上がっていた。

 

>所有者ロスト。当プログラムは他適性者へ移行する。

 

遺品のスマホは、そこでブツリと画面が切れたと思いきや、サラサラと音を立てながら塵へと還る。

代わりに俺のスマホから、文字が浮かび上がった。

 

>Summon system OK?

 

悪魔召喚プログラムはどうやら自動で継承されたようだ。

そういう仕組みなのかは知らんが、気味の悪いシステムだ。悪魔を取り扱っている時点で趣味は最悪だろうが・・・。

ともあれ、目的の一つは達成できた。

 

問題は悪魔召喚プログラムが作動しているという事だが。

 

Summon system OK?

この画面を見る限り、新たな悪魔が召喚されるらしい。

この肉触手の異界の空気とは似ても似つかない神聖な空気が立ちこめる。

現れたのは、白い羽を携えた青髪、白いワンピースの姿の少女であった。

 

「貴方が新たなサマナーでしょうか?」

 

「らしいな。COMP前保有者が死んで、俺に引き継がれたらしい。」

 

「そう、ですか。」

 

何とも言えない悲しそうな表情を浮かべる。

前のサマナーに何か思い入れでもあったのか。

ともあれだ。

 

「哀悼の意を示すのなら、ここの主を殺して、ここを出てからにしろ。いずれにせよ、アンタとここの敵は相性が良さそうだ。協力して貰うぞ。」

 

「は、はい。それは構いませんが・・・。」

 

「俺は吉井宗一郎。ただのサマナーだ。アンタは?」

 

「私は天使:エンジェル。今後ともよろしく。」

 

今度の種族は天使か。まぁ見たまんまではあるが。

というか俺が天使を従えるのはなんか酷く違和感あるな。

悪魔を結構な数殺しているが、天使的には大丈夫なのか?

 

いや、歴史的に見て幾度も異教徒虐殺もしてるし、まぁ、問題ねぇか。

 

「・・・酷く失礼な事を考えてらっしゃらないですか?」

 

「・・・さぁ?なんで頭痛が痛いみたいな名乗り方してるかとか、そんな事全然考えてないぞ。」

 

そんな事を指摘してやると、エンジェルはその色白い顔を紅く染めながら怒り出した。

 

「し、仕方ないでしょう!私達は下級天使の中でも最下級の天使なのです。役職という役職を与えられる事なく、上の階級の天使からの指示を仰ぐことしか出来ない存在なのです。」

 

「指示待ち厨って、コト?!」

 

「滅しますよ!」

 

薄目を開かせ威嚇し出すエンジェル。

 

「・・・ねー、ソーイチロー。」

 

「あぁ、分かっているさ。来てるんだろ?」

 

「え、え?」

 

モー・ショボーの呼びかけに反応し、バールを構え、破魔の小秘石をいつでも取り出せるようにしておく。エンジェルだけは切り替えができていないようだ。

 

数拍もしない内にそれらは殺到した。ガキやゾンビのような低級の悪魔どもがこの一室に入り込んできた。数体とかそんなレベルではなく、何十もの数がこの小広い部屋に。目を爛々とさせ、まるで餌が掛かったと言わんばかりに。

 

「悪魔の大群か。一匹一匹の強さ的には大した事なくとも、数が集まれば強さが変動する。一回だけ遭遇して痛い目あったし、厄介だが、大群となりゃ纏めて悪魔共を殺すことが出来る。」

 

異界の悪魔の滅殺に丁度いいと思わないか?

そうエンジェルやモー・ショボーに問いかける。

 

「ま、まさか、そのために私を怒らせたり、声を出させたりしたのですか?!」

 

「それもあるが、アンタ煽り耐性なさそうだったし、煽ったりからかったりしたら面白そうだったから。」

 

「本当に滅しますよ貴方!?」

 

カンカンにして怒り出すエンジェルとそれを引き気味に見ているモー・ショボーを他所に、俺は悪魔の大群の中でも、一際でかい悪魔の個体に俺は呼びかける。

 

「お前がこの異界の首魁か?」

 

「イィィヒヒヒィ、そうだ。人間。俺様がこの異界のボスのピシャーチャ様ダァぁ!!」

 

頭の先の2本の触手の先に眼球、首先から大腿付け根まで胴体は縦に裂け、口のようになっている異形の悪魔。

ピシャーチャ、確かインドに伝わる火葬場に潜む食人鬼にして屍喰鬼か。

 

いや、外国産といや外国産の悪魔だが。

日本に仏教が伝来してその性質が変質し、持国天の忠実な従者となった筈のピシャーチャが何故本来の食人の鬼神へと変貌を遂げているんだ?

 

やっぱ現代社会における影響。ミームが後を引いているのか?

 

ともあれだ。やる事は変わらん。

俺はバールの先を悪魔の大群に突きつける。

 

「悪いが、お前らには死んでもらうよ。仏教四天王の従者だろうとなんだろうと。人を殺し、人の尊厳をコケにしている報いは受けてもらおうか。

 

 

というよりお前らの存在が気に食わん。くたばれ。」

 

「イィヒヒヒイ!勝手に俺様の縄張りに入ったばかりか、人間如きが俺様を断罪するダァ?イキがるんじゃねぇええ!マガツヒ袋の分際ガアア!?」

 

 

 

【外道:悪鬼の大群Lv20が 一体 出た】




大群なのに一体とはこれ如何に。
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