プロットが7割くらい出来たので投稿します。鬼滅は完結までが短くていいですね。
前回は5連切断の怒りで書き忘れたので、主人公の天野氷華の読み方は『そらのひばな』です。あまのじゃなくてそらのです。読みづらいですね。
では、これから主要キャラ救済目指して頑張っていきます。まずは錆兎、真菰、テメェらだ、オラァ!
氷華が家を追い出され山を出立してから、1ヶ月の時間が経った。まず、最初の一週間で氷華は藤の花の家紋を持つ家を探し、そこを訪ねた。そこに住まう人に鬼殺隊への紹介を求めた。そこからは、あれよあれよと話は進んでいった。
まず、汚れていた髪や身体を風呂に叩き込まれたことによって清められ、氷華が家を追い出されていた時に纏っていた服とも呼べない襤褸きれは取り払われた。新しく着せられた衣服は、青の小袖と白をベースに上側が少し水色のグラデーション、下部には雪の結晶が散りばめられている羽織を着せられた。長々と時間を掛けて身支度を整えられた氷華は美少女と呼ぶに相応しい容貌を見せた。
そして、藤の花の家紋の家の人の紹介で、氷華は狭霧山に住む育手である鱗滝左近次の元へと送られたのだった。
――全集中 水の呼吸 肆の型 打ち潮
――全集中 水の呼吸 捌の型 滝壺
「義勇も錆兎も良い切り込みですね。……ですが、まだ甘い」
そして、現在氷華は二人の同門を相手に稽古していた。
氷華は、黒髪の少年――冨岡義勇の流れる水の様に流麗な袈裟斬りを手に持った木刀を滑らすようにしていなし、いなした時の力を利用してその場で一回転し遠心力を付け、目の前に迫った錆色の髪をした少年――錆兎が流れ落ちる滝のように勢い良く振り下ろす木刀へと自身の木刀をぶつけ、錆兎の木刀を彼方へと弾き飛ばす。
片や斬撃をいなされ体勢を崩し、片や空中で強い衝撃を受け武器を手放し体勢を崩す。二人の目の前には木刀。まるで二人同時に木刀が迫った様に映る。
「バカな……」
「嘘だろ……」
「5年早かったですね」
――スパパーン!
静けさと霧に満ちた狭霧山に、小気味良い音と共に二人の男の情けない悲鳴が響き渡った。
「ただいま戻りました、先生」
気絶するまでボコボコにされた義勇と錆兎を両脇に抱えて下山した氷華は、近くに立てられた小屋の戸を開けて中へと入る。氷華の声に反応して振り返ったのは天狗の面を付けた白髪の老人にして、氷華を含めた三人の育手を務める元柱――鱗滝左近次だった。
「お前に先生と言われる様なことはしていないのだが、戻ったか氷華。義勇と錆兎は……またこっぴどくやられたようだな。布団は敷いてある、寝かせてやれ」
「分かりました。私も水の呼吸を教わったのですから、先生と呼ぶのは当然ではありませんか?」
「1日で体得しておいて良く言うものだ」
鱗滝の言葉を聞きながら、氷華は床に敷かれた布団の上に義勇と錆兎を寝かせ、上から掛け布団を掛けた。その様子を眺めながら鱗滝は氷華へと声を掛ける。
「して、二人の鍛練の進みはどうだ?」
「……そうですね、木っ端の鬼であればよっぽどのことが無ければ負けることはないでしょう。それに、相性が合えば血鬼術を持つ中の上、もしくは
「……………………そうか」
鱗滝は何か言いたげな雰囲気で天狗の無表情な面を氷華へと向けていたが、それらを呑み込んで自分の作業に戻るため手元に視線を戻し、鑿で木材を削り始める。そんな鱗滝を氷華は不思議そうな表情で見つめて一言。
「聞かないんですね?」
「何だ?聞いた方が良かったか?」
「いえ、先生にも何れはお伝えする積もりですが、最初にお伝えするのはお館様と決めてますので」
「…………またお前は……秘密が多い割には口が軽すぎる!」
「先生は信頼出来ますので」
そう言って氷華はくすくすと笑う。鱗滝は深い深いため息を吐いて氷華の方へと目線を向け――ているのだろうか?天狗の面を被っているから分かりにくいが、多分見ているのだろう――口を開いた。
「今度の満月の夜、藤襲山にて今年初めての最終選別試験が執り行われる。そこに参加しろ」
「分かりました、先生。そのふじかさねやま?は、何処にあるのでしょうか?」
氷華の言葉に鱗滝は返す。
「栃木にある」
「とちぎ……?栃の木ですか?」
氷華の頭の上に?が浮かんだ。
「ああ、栃木だ」
「……成る程。藤なのに栃?」
その呟きは鱗滝に聞かれることはなく、氷華の頭の上の?は更に増えていた。残念ながら、戦国の世で生まれた氷華には栃木が分からない。下野と言わなければ伝わらないのだ。俗に言うジェネレーションギャップである。
頭の半分以上を占める?を頭を振ることで後回しにし、氷華は鱗滝へと最終選別試験についての質問を続ける。
「最終選別試験とは何をすれば良いのでしょうか?」
「詳しくは言えないが、藤襲山で7日間生き延びる。それだけだ」
「成る程。それには、私と共に義勇と錆兎も参加するのですか?」
「無論だ。故に、明日からは厳しく行くぞ」
「らしいですよ?頑張って下さいね?二人とも」
氷華と鱗滝が揃って布団の方を見ると、ビクッと2つの布団が大きく揺れる。遅れてのそのそと出てくる黒と錆色の頭。
「午前は儂が鍛えよう。午後は氷華、お前に一任する。徹底的に鍛え上げろ」
「分かりました、先生」
どうやら、話の途中から起きていて狸寝入りしていたらしい。が、そもそも氷華と鱗滝にはバレていたらしく何事も無かったかのように話が進められる。
「そう言えば、先生にお願いがあるのですが宜しいでしょうか?」
「何だ?言ってみろ」
「義勇と錆兎との手合わせでは、些か満足が出来ませんので、先生の手を貸して頂きたいのですがどうでしょうか?」
「ぐっ……」
「む……」
氷華に遠回しに弱いと言われた錆兎と義勇は低い呻き声を上げる。だが、氷華がそう言うのは仕方ないことだろう。
今の氷華は全盛期の力こそ取り戻していないが、始まりの呼吸の剣士と呼ばれる、鬼殺隊の全盛期の時に最前線で戦ってきた業と経験があり、既に下弦の鬼の首など余裕で斬り飛ばせ、上弦の鬼とも一刻くらいは戦えるだけの実力があるのだ。最強の剣士である継国縁壱の強さで換算すると大体1/100縁壱くらいだ。因みに、全盛期の氷華は2/3縁壱くらいである。
そんな1/100縁壱である氷華と、刀を握り始めてほんの少ししか経っていない1/10000縁壱くらいの素人が録に斬り結べる筈がない。だから、仕方のないことなのだ。
「構わん。だが、その前に聞かせろ。お前は錆兎と義勇が弱いと思うのか?」
鱗滝の被る面の無機質な眼差しが氷華へと向けられる。それを受けた氷華は首を横に振り否定しながら口を開く。
「そんなことはありませんよ。確かに今は弱いですけど、直ぐに今の先生を越えることになるでしょうね。二人とも呼吸の精度が目に見えて上がってきてますから。錆兎に至っては既に全集中・常中の領域に片足を踏み入れていますよ」
「そうか……錆兎が常中に」
「鱗滝さん、常中とは何ですか?初めて聞くのですが」
名前が出されたからか錆兎が話に入ってくる。鱗滝はそんな錆兎の疑問に頷いて答える。全集中の呼吸・常中とは、全集中の呼吸睡眠時間も含む一日中続けることだと。その説明に、更に氷華が錆兎の胸元に視線を向けながら、捕捉を加えるために言葉を発した。
「今の錆兎は、睡眠時や気絶している時、極度の疲労状態にある時を除いて常に全集中の呼吸を使っています。因みに、今は呼吸が途切れていますね」
「そのようだな。……となると、儂と氷華の二人で錆兎の常中が切れた時に喝を入れるとしよう。儂が、午後と夜中に見るから、氷華は午前の間見ていてくれ」
「分かりました。では先生、そろそろ手合わせをお願いしたいのですが」
「良かろう、義勇と錆兎も付いてこい」
氷華の願いに鱗滝が頷き、錆兎と義勇に声を掛ける。
「俺もやりたいです!鱗滝さん!」
「まだ早い。と言いたいところだが、一本だけなら良いだろう」
「よし!義勇もやるだろ?」
「俺は(三人に比べて実力がないから)いい」
鱗滝の許可を得たために錆兎は勇んで木刀を手に取り、義勇のことを誘うが義勇は実力不足を理由に断る。本心では手合わせをしたいとは思っているのだ。だが、言葉が足りない為、付き合いの悪い奴に見えてしまう。
「そんなことはない。氷華が弱いと言ったことを気にしているのならそれは違う」
「そうですよ、義勇。もし勘違いさせてしまったのなら謝ります。義勇は鍛練を積めば必ず強くなります。私が保証します」
「実力がないならないなりに努力するしかないだろう、義勇。それが男と言うものだ!」
「……!」
だが、どういうことか、鱗滝一門には何故か冨岡弁が通じてしまった。これが、未来で多くのすれ違いを起こす原因になるのだが、そのことは置いておこう。
「……分かった、俺も行こう」
そんなことも知らずに義勇は外面は仏頂面で、内心はウキウキとしながら木刀を手に取り他の三人に続いて外に出るのだった。
明治コソコソ噂話
「実は氷華が鱗滝に意味深なことを言った時に考えていたことは、鱗滝さんがお館様に伝えてくれたら早く会えないかな?なんてテクニカルなことを考えていた。……訳ではなく、義勇と錆兎の才能の高さに嬉しくなって口が緩くなってただけで、鱗滝が何か言いたそうにしてるのを透き通る痣ぱわーで気付き、慌ててそれっぽいことを言っただけだったみたい。氷華はちょっぴり抜けている性格なんだね」
錆兎と真菰は年号さんを倒すだけでいいのが楽でいいですよね。ここでは、真菰は錆兎達の後に鱗滝さんのところに来た設定でいきます。