昨日、氷華のオリジナル呼吸の出番はそんなに無いと言ったな?あれは嘘だ。
ランキングに入ってたのかびっくりするくらいお気に入り増えててビビり散らかしました。そろそろ100人いくなぁって思ってたら、一日で70人くらい増えて変な声でました。何で一週間くらいで考えた設定でここまで伸びたんですかね?鬼滅の刃スゴい。
それと、タグ追加してみました。取り敢えず、最低限のものだけ付けたので、後から他にも増やしていくと思います。
「はぁ……私が
「なあ、義勇」
「……どうした?」
「
「……元からだろ」
「だよなぁ。鱗滝さんと話してる時も俺達が知らない鬼殺隊の情報が出てきてたもんな」
「……鱗滝さんですら知らないことも言ってたぞ」
「氷華って、頭がいい振りしてるだけの、ただの馬鹿なんじゃないか?」
「……元からだろ」
氷華達、鱗滝一門の三人は山を駆け抜けながら会話を交わす。まあ、一人はお館様との会話で過去のやらかしを悔いているようで、ぶつくさと独り言をいっているが無視させて貰う。
三人が向かっているのは、この藤襲山で一際強い存在感を放つ鬼の場所だった。ただ只管に、走る。そして、徐々に周りの空気が変わり、ついにそれが現れた。
「ううん?その狐の面は、もしかして鱗滝の弟子達かぁ?」
「先生をご存じで?」
「ああ、勿論だ!此処に来てから一瞬たりとも忘れたことはないさ!」
手が大量に生えて、そのまま身体を構成しているような鬼――手鬼が氷華達の前に立ちはだかる。
「狐達、今は明治何年だ?」
「……めい、じ?何ですか、それ?」
「今は明治40年だ」
「そうかぁ!来年で此処に来て40年になるのかぁ!目出度いなぁ!目出度いなぁ!!来年が記念すべき年に、三人も俺のかわいい狐達が来るなんてなぁ!!派手に前祝いしないといけないなぁ!!」
明治すら分からない氷華は相変わらずとして、錆兎が氷華の代わりに手鬼の言葉に答える。ドシンドシンと、大きな身体を動かした余波で地面が揺れる。そのまま、ペラペラと手鬼は話続ける。
「鱗滝はなぁ!俺を此処に閉じ込めたんだ!だから、俺は鱗滝の弟子を率先して喰っているんだぁ!」
「この、下衆が!」
「……死ね」
「成る程、通りで先生から悲しみの気配を感じる訳ですね」
錆兎は直球なまでの激情を、義勇は相変わらずの無表情だが言葉は何処までも直球に怒りを示していた。そして、氷華は何時も通りの言葉遣いをしているが、徐に側頭部に着けていた厄除の面を顔に被せて表情を隠す。
その後もペラペラペラペラと手で出来た異形の鬼は氷華達の怒りを煽っていく。
「今まで、俺は何人喰ったかなぁ?30人?いや、40人だったかなぁ?うーん、でぇも……11人は喰ったかなぁ。鱗滝の弟子のかわいい狐を」
「……お、のれぇッ!」
「……許さない」
「………………義勇、錆兎、この鬼は私に下さい。少し、頭に来ました」
氷華から僅かに放たれた確かな怒気に、二人はお、おう。と返事を返すことしか出来なかった。だが、そんな氷華の怒りに気付けなかった馬鹿が一人…いや、一体。言うまでもなく、手鬼だ。
「厄除の面が目印の、かわいいかわいい俺の狐!一本ずつ手足を捥いで喰って上げたりしたからなぁ!他にも、生きたまま目玉をほじくりかえしてみたり、腹を捌いたりしてなぁ!これがなかなかいい声で鳴くんだぁ。まだまだあるぞ?他にはなぁ――」
「もういいです、黙ってください。命を何だと思っているんですか」
――ヒュゥゥゥウウウ
狐の面を被り直したことで表情が見えなくなった氷華が、ぬらりと揺れながらゆっくりと歩きだす。青い刀身の日輪刀は、抜き身のまま右手だけで握り、だらんと垂らしながらゆらゆらと。そんな氷華の口からは、冬の山で吹き荒ぶ吹雪のような呼吸音が聞こえていた。
「どうしたぁ?恐くなっちゃったかぁ?もう、恐くならないように喰ってやろう」
――全集中 雪の呼吸……
氷華に四方八方から手鬼が伸ばした腕が迫ってくる。それはさながら、腕で出来た牢獄のようであった。
「俺の養分になれ、女狐」
ぐちゃっと、音を立てて潰れる氷華。
……弐の型 泡雪
だが、潰れて血飛沫を撒き散らす筈だった氷華は、まるで手の上に降ってきて体温で溶ける淡く儚い雪の様に溶けて霧散した。
「消えた!?どうなっている!?何処へ行った!」
手鬼は氷華がいた辺りを目を凝らして必死に探す。だが、見つからない。木の上や死角になりそうな場所も必死に探す。見つからない。そして、後ろはどうだと振り返った時に漸く手鬼は氷華を視界に捉えることが出来た。
「ッ!?な、何故そこにいる!?何時から!?」
「私が歩き出してからですよ。ずぅっと此処で、貴方が私を必死に探している滑稽なところを見てました。随分と鈍感さんなんですね?頭も――」
手鬼の肩の上でぷらぷらと足をばたつかせながら手鬼の顔を覗き込む、無機質な狐の面。狐の面はずいっと手鬼の顔に近づくと、こつんと手鬼の額を左手の人差し指で軽く押す。右手の刀身が嚇くなっている刀を見せつけながら。
手鬼の顔から汗が大量に吹き出る。鬼になってからと言うもの、鱗滝によって囚われてから久しく感じなかった恐怖によって。それと同時に、自慢の腕を伸ばして再び氷華を押し潰そうとするが、手鬼の腕は動かない。その理由は、至って単純なこと。
「――そして、身体も……」
――ブシュッ!
氷華が手鬼の肩から飛び降りて地面に着地すると同時に、手鬼の身体全体から血が吹き出て、滝のように地面に流れ出る。頸が繋がった頭と僅かな肩回りの肉だけを残して、賽子のように細切れになった手鬼の血肉が辺りに散らばる。
既に、氷華によって切り刻まれていたから腕が動かせなかったのだ。音も、臭いもしない、不可視の移動と斬られたことすら気付かない斬撃。だが、気付かないからと言って、痛みがないと言う訳ではない。
(なッ!?き、斬られた!?いつの間に!?再生は、出来ないッ!それに、斬られた所が熱いッ!?全身が、灼けるように痛いッ!このままだと頸も斬られる!?い、いや、俺の頸は硬い。幾らこいつでも、俺の頸は斬れない!今まで誰にも斬られなかったのだから!)
頸と僅かな肉だけとなった手鬼は、地面へと向かって落ちながら必死に思考を回す。結果は、氷華の力では頸を斬れないと言う諦めの悪い答えだった。
「こんな言葉を知ってますか?井の中の蛙大海を知らず。正に貴方の為にあるような言葉だと思いませんか?この藤襲山で最強だった貴方も、こうして私には手も足も出ない。あ、一杯あった手も足ももう一つ残らず無くなっちゃっていましたね。……そうですねえ、山の中の鬼外界を知らず。とかどうです?」
手鬼の思考を知ってか知らずか、そんな言葉を氷華は手鬼に投げ掛ける。そのまま氷華は刀を構えることなく、容赦など無しにあっさりと頸を斬りに行く。まるで豆腐に包丁を通しているかのようにすっと刃が通って抜けていった。
「頸よりも、貴方の巨体の方が斬りにくかったですよ。まあ、どちらとも刹那のうちに斬れたので、大差ありませんでしたが」
30秒ほどの残心の後、カチンと音を鳴らして納刀した氷華は、手を握って欲しいと言う手鬼の呟きを聞く。だが、手鬼の願いを叶えることは氷華には出来なかったのだ。
既に、身体は氷華によって細切れにされたことで随分と前に崩れ去り、残っていなかったから。仕方なく氷華は、涙を流す鬼の元へ近寄ると、涙を氷華が纏っている小袖の袖で拭ってやり、頭に絡み付くように添えられた手を右手で握り、左手で瞼を閉じさせてやる。
「……おやすみなさい、ちゃんと罪を償うんですよ?」
「ごめんなさ……お、にいちゃ――」
完全に灰になって消えた手鬼を無言で眺め、手を合わせてから立ち上がる。そこには、同じように手を合わせる義勇と錆兎がいた。
「聞こえましたか?彼の声が」
「……ああ、聞こえた」
「これが、氷華の言っていた人間の頃の記憶か……。それにしても、こんな小さな子どもに兄殺しの重荷を背負わせるとはな、鬼舞辻無惨……なんて惨いことをするものだ」
氷華の鍛練によって備わった超感覚とも呼べる気配探知の技術は、本来であれば見えないようなものも見えてしまう、聞こえない声も聞こえてしまう程にまでなっていた。
「そろそろ行きましょうか、ですがその前に私達の兄弟子、姉弟子にも祈りましょうか」
「そうだな、そうしよう」
「……賛成だ」
そうして数分の間、手鬼に喰われた鱗滝の弟子へ向けて手を合わせて祈りを捧げた氷華達は、再び鬼を斬りに夜の闇の中へと身を投げ出した。この藤襲山から鬼の気配が消えたのは、これから数時間後のことだった。
「なぁ、さっき使ってた呼吸と型教えてくれよ」
「雪の呼吸ですか?余りお勧めはしませんよ?泡雪もそうですけど、生生流転のような攻撃に特化した型がないので錆兎とは相性が悪いですよ」
「じゃあ、さっきの鬼を細切れにしたのはどうやって?」
「あれは普通に自力で斬っただけです」
「強すぎだろ、お前」
「……化け物め」
「何か言いましたか?義勇」
「……俺は悪くない」
明治コソコソ噂話
「氷華の柱稽古とも呼べる鬼ごっこは、追い掛ける方に隙が出た瞬間に高速移動で氷華が全力で隠れてしまい、かくれんぼが始まるから気配探知の能力も鍛えられるみたいなんだ。義勇と錆兎はかまぼこ隊程ではないけど、随分と感覚が鋭くなっているんだって」
雪の呼吸 弐の型 泡雪……存在感、臭い、音を極限まで薄くさせて透明に極めて近くなり高速移動する型。練度が低いとバレやすいし、攻撃する時に闘気や殺気が漏れたら解除されてしまう。氷華レベルになると、炭治郎、善逸、伊之助の優れた感覚を持つ者が動きを止めて集中することで漸く感知できる。でも、動きを止めたらその時点で氷華に細切れにされることだろう。
年号さん…堂々と退場です。かなちぃ…