┌(┌^o^)┐レズゥ…

昔「同性同士の恋愛を気味悪がっているけど理解しようとしている女の子を書きたい」とか思いながら気の迷いで書いた作品

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天子が告白された日

 「貴女が好き!友達としてじゃなくって、恋人として、私と…付き合って欲しいの!」

 

 目の前に立つ、一人の人間の言葉に私は唖然とした。その人間は顔を真っ赤にして、目にいっぱいの涙をためて、両手で自分の服をぎゅっと掴んでいた。

 私こと、比那名居天子はこのような、好意を剥き出しにした言葉を聞いた事はあまり無かった。免疫がなかったためか、私の顔もほんのり熱い。

 実際コイツは私も気に入っていた。変な所で気が利くし、思ったことを直ぐ口に出しちゃうけど悪い奴じゃないし、困った時は相談にも乗ってくれた。

 一緒に散歩もしたし、一緒に料理もした。一緒にお風呂に入った事もあるし、一緒のベッドで寝たことだってある。だから私は知っていた。

 

 「その……アンタ、女だったわよね?」

 

 「う、うん、そうだよ!」

 

 コイツは紛れもなく、女の子なのだ。

 

 

 

 

 

 

 私は今、自室で頭を抱えていた。アイツの放った言葉が頭の中で何度も反響して、頭を振っても離れなくて、気が付けば頭をぐしゃぐしゃと掻きむしっていた。

 

 「とんだ、変態だわ……」

 

 私はアイツの事を信頼していた。ずっと友達で居たいと思っていた。だが、今は裏切られたという気持ちで一杯だった。

 実際の所、アイツには何もされてない訳なのだが、胸が苦しかった。ただアイツが私の親友であり続けてほしいと柄にもなく願っていたのだ。

 しかしそうはならなかった。アイツが何時でも私の理想で居続ける訳ではないという事実が、私の心をギュウギュウと締め付ける。

 もう、何もかもが嫌だ。私は顔を枕で隠し、逃げるように眠りについた。

 

 

 何時間眠っただろうか。寝始めたころは夕方だったが、今は真っ暗である。夜明け前と言ったところだろうか、少し肌寒い。

 ぐっすり眠ったことで少し気分が落ち着いた。今思い返してみれば私は昼間、アイツに色んな暴言を吐いたような気がする。

 このままでは私も、アイツも目覚めが悪いだろう。だから、昼間の事にちゃんと話を付けよう。

 そう思い立った私はベットから起き上がり、アイツに与えた部屋に行くことにした。

 向かう途中、ギシ、ギシ、と床が軋む。部屋は向かいにあるのだが、こんなに遠くに感じることは今までになかった。

 そしてアイツの部屋の前に立ち、大きく深呼吸。

 

「……ねぇ、居る?」

 

 辛うじて聞こえるくらいの小さな声で扉の向こうから囁いた。少し待ったが、返事はない。

 そっと扉に手をかけて、もう一度呼びかける。今度はもう少し大きな声で。

 

「開けるわよ」

 

 やはり返事はない。少し待ったあと、私はもう一度大きな深呼吸をして、扉をゆっくりと開いた。

 扉を開く時に開ける景色に意識を集中し、唾を飲み込む。

 まず、小さいチェストとその上に乗った花瓶と花が見える。

 次に、筆記用の机とお洒落な椅子。

 そして、開いた窓と風にはためくカーテン。

 最後に……誰も居ない、ベッド。

 

「え……?」

 

 もう一度誰も居ない事を確認して、部屋に入る。少しシーツの乱れたベッドに触れてみると、ほんの少しだが温もりを感じた。そして、アイツの匂いも。

 次は窓の方を見てみる。外には綺麗な半月が空にぽつんと浮いている。そして下を見てみると、足跡があった。

 何を思って窓から外へ出たのだろうか。私は後を追うように、アイツの足跡に自分の足を重ねた。

 

 優しい月の光が夜露に濡れた草に煌めき、なんとも幻想的な風景が私の目に飛び込んでくる。しっとり濡れた土の匂いが心を落ち着かせ、また、草を踏んだ音も心地よい。

 そして私は歩き出した。足跡なんて最初の二、三歩から先は消えかかっているが、それは問題ではなかった。だってアイツの居る場所なんて一つしかないもの。

 

 五分ほど歩いた場所にある、小さな岬。やはりそこに、アイツは居た。顔を腕で隠し、仰向けで泣いている状態で。

 

「ねえ」

 

 私が声をかけると、アイツはびくりと反応した。そして恐る恐るといった感じで、腕を顔から降ろす。

 私は側まで歩いた後その場に座り、アイツの顔を覗き込んだ。目は真っ赤になっていて、瞳は潤んでいる。

 

「ねえ、どうして私なんか好きになっちゃったの?」

 

 私の問いかけに返事はない。

 アイツの両肩を掴み、もう一度問いかける。

 

「ねえ、どうして?」

 

 やはり返事は無い。代わりに潤んだ瞳で私を見つめるばかりだった。

 

「言わなきゃ分からないわよ、馬鹿」

 

 そして私は体をぎゅっと抱きしめた。アイツの口から少しだけ声が漏れた、ような気がした。

 しばらく抱きしめた後、私はアイツと身体を離して向き直る。

 

「昼間は、ごめんなさい」

 

 そう言いながら、私は顔を近づけた。

 

「それと……貴女のようにではないけど、愛してる」

 

 そう言い、額に軽くキスをした。

 その後すぐにアイツが抱きしめてきた。大きな嗚咽を漏らしながら。そしてその嗚咽は、朝日が昇るまで治まることはなかった。


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