「いやね、最近仲間の中でめっちゃ流行ってるんだって」
大きな音がしないまでも両方の手をテーブルへと置くような動きとともにわずかに体を前のめりにしている黒髪の女は、それとともに大きく後ろへと伸ばしている髪の毛も一度持ち上がるかのようにしていた。しかし、それもほんのすぐの間、目の前にいる獣人の女にわずかな軽口を叩かれているのに押し戻されるかのような動きで椅子へともう一度座り込んでいた。
その間も天井出回っていたシーリングファンの音は消えることはない上に、周囲には私とラゼンらのほかにいるのは店員のみ。その足音や食器が動く音ですらも私の元に届く。目線をそっちへと向けると、木製であることを表現したいのか、私たちの横にある窓など以外ではその木目を一切隠していない。それは机であったり椅子であったりも同様。
また、両方の手を膝の上に乗せたままわずかに背中を猫背にしていた私の横の窓には、街路樹の低木や何かの木が緑色の葉を生い茂らせている様子であったり、この喫茶店の向かいになる白い壁で出来た家の芝生で出来た庭で犬が昼寝をしている光景等が見えていた。そして、その手前側にはガラスに反射することで見えている私が顔を彼らの方へと向けながらも視線だけは外へ向けていた。
しかし、その光景は反射していた物の、しばらくの間その光景は視線の焦点が合わないがためにほとんど確認できないまま。また、それがあった後にはシーリングファンの影響で何度も光と影が繰り返されているのが私自身にも確認できた。
なお、私が視線だけで窓の向こうを見ている間も、女性2人を中心として流行っていると言うものの話をしているようであった。
そして、私の向かい側であり同じく壁に近い側であるものの、窓がないせいで体をどこにも映していないラゼンもそっちの方へと顔や体ごと視線を向けているようである。さらに、その反対側へは頬杖を突くようにしながら体重をそこへと預けているかのようであった。
しかし、頭をわずかに床へと向けて垂らす私は視線を相手の方へと向けながらいた。しかし、それに数秒間経った後に気づいたラゼンが最初は視線だけを、それに続いて頬杖を突いていた体勢を、片方の腕を中心として背もたれへと体重を預けるかのようにしてきた。
それから、最初は視線だけを相手へと向けるようにしていたが、それはほんの一瞬のこと、次の瞬間には軽く咳払いをしつつ両方の手を机の上で重ね合わせながら体を前のめりにしていた。
「みんな今俺がいる闘技場に集まって来てくれた奴らなんだよ」
話をしながら声へ特に強調した抑揚をつけるわけでもないラゼンは、視線のほとんどと顔のわずかな向きを私の方からそらしてほかの仲間の方へと向けているようであった。膝にスライムを乗せている女と獣人と機械で全身を覆う大男。彼女らもラゼンの声に気づいたのか、一度会話を止めて私らの方へと視線を向けているかのようであった。それはスライムですらも同様。
一方でそれらに気づいた私は一度瞬きをしながら彼らの様子を一瞥。流すかのようにしながらも彼らの様子を1人1人スライムも含めて視線を投げつけていく。しかし、全員が全く異なる様子でいる姿を一切変えようとしない。瞼を使って目の中を狭くしている様子を一度瞬きすることで辞め、もう一度ラゼンの方を見ると、一度だけ歯を見せて笑いかけるかのようにしていた。
「この者たちも戦士なんだな」
私が途中で声の音を一旦止めるような話し方をし終えた後、すぐに反応するかのように少し大きめ声を出しながら、私のすぐ横にいる女が背中を反らすことで胸を私に向けて張るような姿勢をしながら私の側の腰に自分の手を当ててる。また、それの向かいにいた獣人も私の方へとほんのわずかに上瞼を落としながら見つめている上、さらに体を前のめりにしながら肘を突いた片方の手に自身の顎を乗せていた。
それに対して、私は一度足元に置いてある剣を自身の足で動かし、その爪先へと乗せる。しかし、それは移動速度をだいぶ遅くしていることで音を立てないようにする他、視線は常に獣人の女であったりラゼンに向けておく。
「まぁな、俺らみたいに道場を出てるのは少ないけど」
最初は私の方を見ながら話していたラゼンだが、それはほんのわずかな間のみ。すぐにまた別の者の方へと視線を向けている。その間、顔や目線の向き以外で向こうが顔の表情を変えることはない。一方で、こちらは一度口を開けてそこから息を吸いながら口を紡ぎ直す。
それから、自身の前に置いたまましばらくとなっていた珈琲のグラスに手を付ける。それと共にその正面に現れていた水滴に手が触れる。しかし、その時はもちろんのこと、その中身を飲んでいる間も私は表情を変えることは目を閉じていたことのみ。その間はしばらくの間目を閉じていること以外には何もしない。
ほんのわずかではある物の少しずつ唇に触れた後に、舌も同様に薄汚れた液が湿らせていた。
「2人は同じ道場だったんだ」
「そうだ」
珈琲の入ったグラスを置くよりも前に、一度瞬きした後に横にいた女のその質問に答える。それと一緒に素早く首の向きを変えることで相手の様子を見つめた。それでそちらの方からわずかな声を出しながら口を開けつつ、肩を後ろに下げている。それから数秒間経った後に女が視線を逸らしながらまたラゼンに向けて話しかけているようであった。
私が唇を平たくしたまま今もラゼンが昔話をしている様子をしばらく見つめているが、問われた側も一定の音となる声を出しながら顎を持ち上げている体勢で首を女や私の方へと見せつけるような姿をしている。しかし、それに対し女はわずかに足を小さく動かすかのようにしている以外には何もしない。
「これから蛟蛇のことももっと知りたい」
何度か言葉にならない声を出した後に発していた女の言葉は最初が必要以上に早口であったが、それも途中で落ち着きを取り戻している。その際には自分の手の指同士をくっつけながら目線を私の方へと向けたり戻したりを何度か繰り返しているようであった。
一方で私はすでにグラスから離した手をまたもう一度膝へと戻したままその先端を手のひらに当てたままわずかに動かし、眉へ両方とも力を入れたまま目元をだいぶ細くした状態で相手から視線を逸らし、それから調味料が並んでいる場所とテーブルとその下の方のカーペットの様子だけが見えている方に自然と視線が吸い込まれていた。
「どうかしたか」
しばらく誰も話さずに店の環境の音だけがしている状態が続いた後にラゼンが最初に声を出していた。しかし、それは途中で止まることもなく、語尾の方をわずかに持ち上げるかのような話し方を変えずにいるよう。
それが終わってからほんのわずかに隙間を変えた後に私の顔は同じ方を見たまま視線だけを持ち上げて相手の方を見つめるが、相手はわずかな声を出す以外には何もしない。
数秒間のみ時間だけが過ぎて行くのだけを感じた後に、私の方から相手の名前を一瞬だけ聞こえるような声で呼ぶ。わずかに音が高くなりそうになった物の、それは一度口を瞑ぐことで止めた後にまっすぐ相手へと伝えるような声の出し方をしていた。
ただ、相手は今も背中を背もたれへと預けるような体勢のまま両方の脇を開く体勢でいる。その間、こちらはただ向こうの様子を見続けていたが、足元に乗せた剣の動きに余裕を持たせる足だけを開いていながらも脇は締めたままにしている。
「俺も、そうだな、知りたい」
ラゼンがただその一言だけを言いながら私の方をじっと見てきているのだけを、しばらく見つめ返しながら視線を顔事わずかに下へと向け、頬で両方の目を持ち上げるかのようにしながら一度だけ下の唇で上の物を持ち上げるようにしながら両方の目尻を垂らす。
しかし、そうしているのもほんの数秒間の間のみ。すぐに体を立ち上がろうとすると、横にいた女に進行を止められてしばらくその場で立ち往生することになる。そのまま相手を中腰のまま見下ろすことにしているが、相手は自身の手元にあったジュースを飲みほそうとしているようである。
「うわっ、これすごく冷たい」
他の者、ラゼンも含めて私以外のそこにいる人間は全員その女の発言に同意するかのようであった。