私を先頭にして小隊が列を作っているが、その正面ではまた別の隊が同じように並んでいる。そして、それは私の列の後ろも同様。人が通れるある程度の道筋だけを開けた状態のまま少し離れた場所でまた別の列を作り出していた。さらに、左右も同様、私たちが配属された前線基地へと配属された全員が広場の中で並んで立っていた。その人の様子だけが一列に並んでいる様子以外に見えているのは、広場の向こう側で立っているテントであったり施設であったり等。その他切り倒さずにいる木々の様子の他は私らが踏みしめている雑草だけであった。
今も空が曇ったままであるがために、全体に光が入らず薄暗い光景が周囲を支配している。特に木々が生い茂っている場所ではそれが特に顕著であった。そして、軍隊の影になることで日陰になっている雑草たちの様子も同様。そして、それは壇上へと上がった指揮官も一緒であった。
その人物が壇上に上がった時はもちろんのこと、その階段を上がっている時ですら周囲の人物らが一斉に首の角度を変えるように反応を繰り返しているのを感じる。しかし、それに対し私はただ顔をわずかに下へと下げるかのような形にしているのみ。なお、それも周囲の隊員たちが一斉に敬礼をする音を聞くと共に取り戻し、すぐに同様の動きをする。
一方で、周囲を一瞥するかのように指揮官は壇上で敬礼をしながら左右を見渡しているようであった。私の方からではその表情を見ることはできないが、左右を見るペースはそこそこに早い上に、方向転換をする際には数秒間には満たないが確かに間が出来上がっている。その際に一度会釈するかのように首だけを動かしていた。
一方で、正面側に列を作っている者たちも特に何もせずにただ目の前にいる男の様子を見ているだけにしていた。それに対し、私は敬礼している自身の袖が下がっている姿へと視線を向ける。そこはもうすでに濡れていた物は乾いていたようだが、それに対して未だ敵を切り裂いた際に突いた返り血がそのままになっていて。赤と黒が交じり合ったような染みが斜めに飛び上がるような形で付いたままになっている。
ただ、その一方で男は今も自分の話をずっとしているのみ。壇の下の所でスピーカーを持ったまた立っている男から出ている音を数回マイクテストとして確認した後に、一度休むように手だけで指示したことで私も含めて全員が足を開く。我々を激励する言葉を何度もかけている。そして、その後に何度も周囲の隊員が拍手をしていた。共に私も音もさせずに拍手を繰り返す。続けて顔をわずかに下へと向けたまま口を紡ぐ。
「では、今回の優秀者を表彰する」
その言葉を指揮官が発すると一緒に壇上へと上がってきた男から資料を受け取ると、それから振り返り、一瞬の隙もないほどに一度だけ同じ音を声として出す。その後に私に付けられた番号を読み上げていた。それに従いまっすぐ進むのと角度を回転させるかのような動きで足を軸として方向転換するのを繰り返して進む。その間指揮官の男が顔の向きを私の進行に合わせて変えている物の、それ以外で周囲に動きはなく、音も風で木々が揺れる音以外には何もない。
結果として私が壇上へと上がる際の足音ですらも遠くの兵士の方にまで聞こえそうなほどとすらも言えた。しかし、私は足元の方へと視線を向けるのみ。それから、指揮官の前に立つと、胸を張ることもなくただまっすぐに立つ。そうすると、相手は両手にした勲章を持ったまま私の胸の前で首事視線を左右に動かしている様子。
数秒後に小さなひとりごとを発した後にそれを付ける。それから私と指揮官がほぼ同じ時に体と顔の向きを変えたところで、一斉に拍手が始まっていた。それには音の乱れすらほぼない状態。ただ、私は壇上にいることもあり、ただ人々の様子の向こうへと広がる草原とそのさらに向こうに訓練用の道具が散見しているそのさらに先。木々がうっそうとし暗くなっている様子を見つめるだけにしていた。
拍手がだいぶ小さくまばらになり始めたところで私は先ほどと同じ速さで壇上を降り、元の場所へと戻る。そうすると、また指揮官の男はマイクへと向けてスピーチを再開しているようであった。
周囲の喧騒と机と椅子の隙間を通ることで、開いていた場所に座り込む。片方の辺に十数人はつける長テーブルと背もたれのない椅子が土の上に置かれているののさらに上に屋根だけのテントが立てられた食堂。その場所の中でも一番端となる場所に座った。その場所にたどり着くまでお盆に乗せたスープ等が崩れないよう意識していたこともあり、座る瞬間に一度ため息を吐いた。
机の下に水溜まりが出来ていた方へ意識を奪われたのもあり、視線を一度そちらへと向けるために体の向きを大きく変える。私の靴の先端がそこに触れているため、水面では何度も端の方へと向けて広がっていく波の様子があった。それらはどれにも一定の間隔がどこにもない。
また、水溜まりの深さはほとんどなくわずかでも靴を水面へと入れようとするならば、すなわち地面と触れ合ってしまうほどの物であった。それに対し、私はただかかとを持ち上げた靴の爪先側を入れたままにしている。その状態で両方の肘を机の上に乗せたまま、同じ高さで両方の手を握り締め合うような形で手の指を重ね合わせている。さらに、それへと体も近づけるかのように姿勢を前のめりにしていた。
そして、私がいるこの場所は配膳が行われている場所から最も遠い場所な上に、太陽があるのはそっち側な結果として周囲は日陰側となり薄暗い。私の体も周囲の光景や足元の水溜まりと同じような色になっていた。
さらに、私の少し離れたところには武器を持った兵士が今も見張りとして立っている基地の本部が設置されている。そこも濃い目の灰色に土が付いているのを一切隠さない様子を当たり前のように見せている。それに対してこっちはただ自身の食料を見つめているだけにしていた。
一方で、七個ほど離れた椅子の上に座っている男たちは他のグループたちの会話に紛れている物の確かに何かを話しているようで、その声に紛れてしまうがために具体的な内容を聞き取ることは出来ない。ただそれでも隣の男の肩を叩くようにしている様子やそれに従うかのように体を私以上に前のめりにしている様子がある。それを聞いている側もジョッキに注がれている酒をあおっていると、それを机へと置く大きな音と振動が私の元にもやってくる。
ただ、その間も私は髪の毛を落としたままずっと同じ体勢でいるだけに。私の視界の中で唯一光っているのは、今日貰った物も含めて自身の胸元に付けられた勲章だけであった。
体から軍服とシャツを脱ぐため、前に付いているボタンをすべて外し終えてから両方の腕を動かしてそれを外へと逃がす。それから一度自身のベッドの上へと投げ捨てるかのようにし、それからまた寝巻用の含めと着替える。その際衣擦れの音がしているはずだが、周囲が何かしらのゲームに夢中になっている男らが大きな声を出しながらその行く末に反応をしているようで、私の元へとその音が届くことはない。
ただ、それで首を前のめりにしたまま袖を通した服のボタンを眺めながら1つ1つ付けていく。それが終わると、長い髪の毛を外へと出してから服を畳んだ後に体をベッドの上へと寝転がらせた。出来る限り音と振動を立てないよう腕を付いてから四つん這いになる後に片側の肩を落っことすような動きで寝転がった。自身の肘と膝を胴体の前へと出す体勢で、前腕を顔と平行にするような体勢でいるだけにし、布団をかけることもなければ、そこから寝返りを打つこともない。しかし、その間も周囲ではずっと騒がしい声を男たちが発しているが、それらがどのような意味を持つ言葉なのかを私は理解できなかった。
しかし、それらは途中で現れた監視員の語尾が来る直前で音を何度も伸ばすような呼びかけによって一斉な返事に変わる。皆それぞれに自身のベッドに入り込んでいるようで、私が使用している二段ベッドの上側、そこへも大きな音を私の方にまで響かせながら乗ってくる音がする。しかし、それに対して私がしていることといえば、布団をかぶって自身の顔や体を隠すことのみ。それでも男たちはみなそれぞれに眠る挨拶をしているようあった。
監視員の合図と共に部屋の電気が消されたのちにも周囲ではわずかな話声が聞こえているのは変わりない。その中でも、私はただ自身の体を覆っている布団に大きなしわを作るだけにしていた。
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