転生したら美少女VTuberになるんだ、という夢を見たんだけど?   作:蘇芳ありさ

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復帰配信のゲリラライブ 〜未来のVTuberに声援を〜

 

 

 

 

 

 2011年12月3日(土)

 

 

 時刻はもうすぐ夜の8時になる。

 

 言われるままにカメラとマイクをセットしたが、説明不足は勘弁して欲しいところだ。結局たいした打ち合わせもできずに本番となったが、大丈夫なのだろうか?

 

「ねぇ? パソコンのモニターはコードの長さが足りないから、こっちまで運べないんだけど?」

 

「今後の課題ですね。次回から延長コードを購入して運べるようにする必要はありますが、今夜は歌うことに集中してもらう予定ですから、配信の様子がどうしても気になるようでしたらスマホで確認してください」

 

「スマホの画面じゃ、文字が小さくてコメントを拾うのが大変なんだけど……」

 

「雑談は歌い終わるまでしない方針ですから問題ありません。……とりあえずワイヤレスイヤホンを装着して頂ければ、配信に乗らないように指示を出せます。それでは5分前になりましたので、本番に備えてください」

 

 言い出しっぺのサブちゃんもこんな感じで、遠回しの抗議なんて物ともしない。

 

 不幸な事故により凍結されたアーニャの復活直後となる今夜の配信は、豪華全8曲のメドレーでの汚名返上・名誉挽回を期することになる。

 

 そう言うとよほど自信があるように聞こえるかもしれないが、その内情はお寒い物で、歌ひとつとっても完成しているのは5曲だけで、残りの3曲はその場のノリで作らないといけないとか、無茶振りにもほどがあるでしょ?

 

 それもぶっつけ本番とか、チート能力さんが荒ぶりそうで不安しかないんだけど……今はその荒技こそが必要とされているのは理解している。

 

 サブちゃんの話によると、アーニャのアカBAN以降のネット世論はかなり荒れてるらしい。

 

 主体となって荒らしてるのは、旧来の人気配信者とその支持者たち。動画配信サイトの先駆けであるNicoichi動画で活動する彼らは、自分たちこそこの界隈を創り上げた功労者だという自負があり、それ故に生意気な新人であるアーニャが以前から気に食わなかったそうな。

 

 そんな彼らにアカウントの凍結という口実を与えたことが直接の契機(きっかけ)。出る杭は叩けとばかりに匿名掲示板やSNSでの攻撃が激化しているとのこと。

 

『これは以前から予想されたことでした。今までは表立った攻撃を正当化する根拠に乏しかったので大人しくしていましたが、アーニャに好意的な発言をした無関係な第三者まで誹謗するとなると看過できません』

 

 その通りだ。彼らが何をしたかはよく()ってる。いずれアーニャが標的になることは覚悟していた。

 

 戦争なんてくだらねぇぜ、それよりも俺の歌を聞け──とは、とあるアニメのキャラクターの名言である。

 

 そう言い切れるだけの確信はわたしにはないが、だからといって負けるわけにはいかない。

 

 これはわたしの戦い。多くの人を巻き込んで始めたわたしの戦いなのだ。

 

 事前告知無し。待機場も無く、枠を取ると同時のゲリラ配信。エレクトーンの前にいるので、配信の様子はスマホでしか確認できず、雑談も歌い終わるまで無しと、何もかもが異例尽くめの配信。

 

 さらに今回はサーニャも不在で、サブちゃんは予想される荒らしの対処とわたしのサポートに全力を注ぐ予定だ。

 

「時間になりました。今回はオープニングを流さないので、そのまま演奏してください」

 

 こくりと頷いてまずは挨拶する。

 

「みんないつもありがとう! 電子の世界からこんにちは。インターネットの妖精。北の国からやって来た、今日はちょっぴり気合いの入ってるアーニャだよ。よろしくね!」

 

 心の準備はバッチリ。社名を出しちゃいけないことも覚えてる。うん、いい調子。これなら落ち着いて歌えそうだ。

 

「さて、今日は色々と問答無用で歌っていくよー! まず一曲目はオープニング代わりの『Non-stop parade』だね。どうせなら英語版を歌ってみようか」

 

 まだわたしとサブちゃんしか繋いでいない配信だが、孤独とは無縁だった。なんという目敏さか、演奏を始めると同時にコメントが届けられた。

 

[アーニャたんだ!]

[復活ktkr]

[アーニャたん! お姉さん復活するって信じてたよ!!]

[あれ? これアーニャの配信?]

[やった! 復活してたのは知ってましたが、まさか定刻通りに即日配信とは!]

[Hi, Anya! I'm glad to see you again!]

[おお。復活即ゲリラとはやるね]

[I have to hurry to inform my family about this!]

[ほら、だから配信するって言ったでしょうが]

[えっ、これ英語版?]

[うそん? これ本当にFAQの人?]

[Great native pronunciation]

 

「なんとまあ……張り付いていたとしか思えない発見速度ですね。現在の視聴者は536名。いい調子です」

 

 本当にどうやって見つけてんだろって思っちゃうよね。でもこれがネット全盛期の当たり前なのかもしれない。

 

 光が繋ぐ。世界を繋ぐ。ネット回線の宣伝みたいなフレーズだけど、この歌の趣旨はまさしくそれだ。

 

 インターネットの普及によって世界は縮まった。いまも地球を七周半。光がわたしたちを繋いでいる。孤独なんてどこにもない。これはそんな歌だ。

 

[これがあの電波ソングか……?]

[日本語訳の字幕のせいで同じ歌に聞こえる不具合w]

[これ英語知らないと歌えないよね?]

[Anya's English is perfect!]

[アーニャたんFAQをネタにしてごめんね]

[英語も凄いが歌も凄いわ]

[なんという平成の歌姫だよ]

 

 ──配信前にサブちゃんに言われたことがある。わたしのチート能力のことだ。

 

『ゆかりは絵や歌の才能を発揮するときに、チート能力さんと他人の力を借りているように仰りますが、その認識は間違っています。確かに発現こそ天使たちが干渉した結果ですが、その才能は紛れもなくゆかり自身のものです。ですからそんなに申し訳なさそうな顔をしないでください』

 

 ひどいイカサマ(チート)をしていることには違いない。だってわたしはなんの努力もしていない。

 

 絵と歌も、語学とプログラミングも──この容姿ですら生まれたときから勝手に備わっていたものだ。

 

 だから誰に聞かれてもこう答えるようにならないといけない。気がついたら出来るようになっていた。身につける努力は何もしていないと。

 

 それでズルいと言われても責任なんて取りようがない。批判など知ったことかと。

 

 わたしが世界初のVTuberとしてやってくならば、そう言えるだけの図太さが必要だと。

 

 サブちゃんはきっと、そう伝えたかったに違いない。

 

視聴者(リスナー)が各種SNSで宣伝した結果、接続者が急増しています。現在2万人を突破。そのまま続けてください」

 

 頃合いを見計らっていたのか、1曲目を歌い終わってひと息ついたタイミングで報告が入る。

 

 よしよし、順調か。ならば一気呵成に2曲目と行こうか。

 

「お疲れさま! 次はエンディングテーマの『祈り』だよ。今度は原曲のロシア語版。翻訳の字幕は英語と日本語を付けるからしっかり聞いてね」

 

[えっ、ロシア語版?]

[ちょっ、アーニャたんロシア語って?]

[ははは、ご冗談を……]

[歌と英語がすごいのは分かったけど、さすがにロシア語はね]

[そういやアーニャたんってそっちの国から来たんだっけ?]

 

 人数の割にコメントが少ないのは、みんながそれだけ余韻に浸ってる証拠かもしれない。

 

 だからこれはチャンスだ。休ませてあげたいけど、ごめんね、休ませてあげないんだ。わたしが満足するまで相手をしてもらうから覚悟してね。

 

[凄すぎる。何なのこの歌……]

[アーニャたん(´;ω;`)]

[Аня - богиня.]

[What a sad song]

[なんじゃこりゃスッゲェ]

 

 この歌は雪の妖精であるアーニャの歌だ。春になったら消えてしまうと分かってるけど祈らずにはいられない。春の訪れを報せたくって、アーニャは積雪の下に芽吹く生命を探し続ける。

 

「素晴らしい……チャンネル接続者が10万人を超えました」

 

 そこから先は本邦初公開の『星海の夜』と『希求のラビリンス』を、それぞれフランス語版とドイツ語版で熱唱する。

 

 もはやコメントは完全な無言。それだけ余裕がないのだと判る。

 

 さらに即興で3曲ほど、英語とギリシャ語とウクライナ語で歌ったら、いよいよ本題の最終曲。

 

「みんな、ここまで聞いてくれてありがとう。次で最後だからもう少し頑張ってね。タイトルは『この中にいるかもしれない、大好きな貴方へ』。この曲は日本語で歌うよ」

 

 主題歌は『いまも地球を七周半』で迷わなかったが、エンディングテーマは『祈り』とどちらを採用するか、最後まで悩んだこの曲こそ、まさにわたしたちの秘めたる祈り。この世界にはまだ存在しない、あの女性(ひと)たちに捧げる歌。

 

 根底にあるものがそれだから、他の視聴者さんに悪いと思って採用を見送ったが、いまは遠慮をしない。この曲を聴いている視聴者全員──ひとり、ひとりに呼びかけるように、日本語版を歌いあげる。

 

 遠くから見ていたって何も変わらない。話しかけても後が続かないのは分かってる。それでも取り残されるのは嫌だから、やるだけやってみたんだよ。友達になれるか分からないけど、この一歩にはきっと意味がある。そう信じて踏み込んだんだ。

 

[もう涙が止まらない]

[アーニャたん……]

[なんという俺らの応援歌]

[Oh my anya]

[こんなんマジもんの歌姫やん]

[私たちは間違いなく歴史に立ち会っている]

[ごめん、もう前が見えない;;]

[すごい歌だよ……]

[I witnessed a real angel]

 

 声を励みに想いを綴ると万雷の拍手が聞こえたような気がした。途切れがちだったコメントがあっという間に流れるのを見て、わたしはそう感じた。

 

「お疲れさまです。現在チャンネル接続者は……驚かないでくださいよ? 67万人です」

 

「うぇ!?」

 

 なんか変な声が出たけど、サブちゃんが画面を切り替えてる途中だったので、配信には乗らなかった。

 

「さあ、どうぞこちらに。貴女たちへのメッセージを届けるなら、今がチャンスです。頑張ってください、ゆかり」

 

「う、うん」

 

 急かされるまでもなく、配信画面にアーニャを連れて登場するサーニャ(サブちゃん)のしたり顔に苦笑する。今回は裏方に徹するとは言ったけど、しれっと美味しいところ持っていかないとは言ってなかったね。

 

「うん、みんなお疲れさま。これだけ歌うと汗かいちゃうね」

 

[アーニャたんマジ最高ぉおおお!!!!]

[アーニャたんすごかったよぉおおおお]

[Anya! I want this album!]

[すごいよ、アーニャさん]

[すごいね。こりゃ人気が出るわけだ]

[アーニャたん復活ッッ!! アーニャたん復活ッッ!!]

[いやー、これは脱帽ですねー!]

[I'm just grateful that everything has an English translation]

[これこそまさしく平成の歌姫でありますな]

 

 見慣れた液晶のモニターに表示されるのは、サブちゃんが事前に厳選したコメントだけのはずだったが、それでもかなりの勢いだ。追いかけるのはちょっと無理かも……。

 

「皆さんご静粛に。本日の配信はアーニャから皆さまへのメッセージをもって締めとなります。聞き逃しては勿体ありませんよ?」

 

 そんなわたしの気持ちを察したのか、サーニャがパンパンと手を鳴らして呼びかけると、コメントのほうも落ち着きをみせた。わたしはサーニャに一礼してから本題を切り出す。

 

「みんな、聴いてくれありがとう。この曲はね、アーニャのようになりたいって、メールをしてくれたファンの子たちのために作った曲なの。本当はもっと早くお返事したかったけど、ごめんね、待たせちゃって」

 

[アーニャたんがいい子すぎる]

[また涙が止まんなくなっちゃった]

[尊いって言葉を本当の意味で理解した気がする]

[そらこんないい子なら憧れる子も出るわな]

[ファンのためにここまでするのか…]

[疑ってごめん、英語すごかったよ]

[やっぱりいい子だなぁ]

[Anya is a goddess]

[ファンの子も良かったね]

 

「今日はマネージャーさんを通して、会社の人といろいろ話し合ったの。みんなのメールを見て、マネージャーさんに頼んだんだよ。そうしたらマネージャーさんがすっごく頑張ってくれて、会社の人と相談して、VTuberのオーディションをしてくれることになったの。だからもうちょっとだけ待ってね」

 

[マジか!]

[アーニャたんやっぱりきちんとした会社に所属してたんだ]

[超絶有能マネージャー再び]

[サンキューマッネ]

[まさかVTuberが正式名称とは]

[マネさんいい人だな]

[やったねアーニャたん、仲間が増えるよ]

[Thank you, great manager]

[これは有能マネに感謝の流れ]

 

 このとき、わたしの精神はこれ以上ないほど高揚していた。ようやくみんなに返事ができて満足したのもあるし、お父さんを誉められて嬉しかったのもある。

 

 ようするに興奮のあまり舞い上がったわたしは、注意力が散漫で足元がおろそかだった。

 

「うん、みんなお父さんのおかげ。色々とがんばってくれたお父さんに感謝しなきゃだね」

 

[ん……?]

[アーニャたん?]

[なんでお父さん?]

[あれ?]

[聞き違いかな?]

[マネージャーさんにじゃなくて?]

[なんでお父さんがでてくるの?]

[Oh my god]

[もしかてマネージャー=父親ってこと?]

 

「あっ……」

 

 やらかしたと思ったときには遅かった。わたしの頭は名前のように真っ白になった。

 

「はい、本日の配信は以上になります。それでは皆さまご機嫌よう」

 

 どうやって誤魔化そうかと頭を抱えるまでもなく、27インチのワイドスクリーンから配信画面が消去され、各種機材が沈黙する。

 

 その様子をハラハラしながら見守っていたんだけど、画面内のサブちゃん(サーニャ)が一仕事やり遂げたような顔をしていたので、わたしはホッと胸を撫で下ろすことにした。

 

「ごめん、まずかったかな?」

 

「いえ、失言したのは事実ですが、今回は燃え上がるような性質のものでもありませんし、炎上はしないでしょう。……まさか以前の配信で許可を得た件から、お父さまがN社の関係者と嗅ぎつける変人もいないでしょうし、安心なさってよろしいかと」

 

「そっか。よかったぁ……」

 

 サブちゃんの予測に慣れきったわたしは大して気にしなかった。それでもお父さんに迷惑をかけたらいけないから、後で部屋に行って謝っておこう、とその程度だ。

 

 しかしこの失言は誰にも予想できない速度で拡散して、真相に到達することになる──。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 多くの視聴者が突然の配信終了に首を傾げる中、彼女は独り、自宅の一室で膝を抱えて呆然としていた。

 

 異次元の配信──そうとしか言いようがないほど、自分たちの配信とは次元が隔絶していた。

 

 彼女もまた配信者(ストリーマー)として活動していたが、残念ながら成功したとは言い難い。特に力を入れていた歌も、ゲームの実況も。酷評されるどころか、存在を認識してもらうことすらできていない。

 

 才能以前の問題でつまずき、出口のない迷路に迷い込んだそんなある日、本当に偶然『アーニャ』の初配信を目にした。

 

 白状すると最初は嫉妬した。自分がやりたかったことの、この上なく完成された姿を見せつけられて。

 

 だから盗んでやろうと思った。踏み台にしてやろうとメールして──彼女は恥じた。恥を知った。

 

 そして『アーニャ』がなぜ、あんなにも大勢の人に愛されているか理解した。

 

「うん……(すい)ちゃんも頑張ろう」

 

 もしあの子に会えることになったら、そのときは謝ろう、と彼女は涙を拭った。最後の歌は、きっと自分のような臆病者のために歌ってくれたのだから──。

 

「……とりあえず、アーカイブを見直そうか。なんで急に終わっちゃったのかよく分からないんだよね」

 

 タブレットを操作して最後のほうを見直すと、アーニャが自身のマネージャーを「お父さん」と呼んだことを、視聴者に指摘されるところで打ち切られていた。

 

「お父さんかぁ……なるほどね?」

 

 アーニャのマネージャーが実の父親なら、彼女が父親の勤め先の企業からかなりの支援を受けていることは明白。

 

 寄らば大樹の陰という言葉もある。自身もアーニャのように、れっきとした企業の後援を受けられるならそれに越したことはない。なんと言っても、アーニャはさっきの配信で「VTuberを募集している」と、自分宛に返事をしたのだから。

 

 もし問題があるとしたら、それは──。

 

「……面接して受かるかどうかだね。とりあえずネットで情報収集をしたら、コンビニにダッシュして履歴書買ってこよっと」

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 とあるマンションの一室で、その女性もまた『アーニャ』の配信を視聴していた。

 

「いやー、すごいもん見ちゃったなー。VTuberかー。お姉さんも受けてみよっかなー」

 

 さるブラック企業に勤めるお疲れOLであるこの女性もまた、秘められたメッセージを受け取った一人。

 

「いまの会社いてもなー、将来が不安なんだよねー。今月のボーナスもどうなるか分かんないしさー。でも年齢的に厳しいか? 仮に面接に受かってもなー、他の子が全員アーニャたんと同世代だったらさ、そんなのただの罰ゲームじゃんねー」

 

 椅子の上であぐらを掻いて、マシンガンのような独り言を吐き出しながら、缶ビールをゴクリとやり、プハーとやった女性は腕組みをして悩む。

 

「それにアーニャたんすごすぎるんだよなー。歌もすごいけど、いったい何ヶ国語を使いこなしてたんだよ。マルチリンガルにもほどがあんだろ? いまVTuberになっても、アーニャたんと比べられるだけなのはミエミエじゃん。それはちょっと厳しいかなーって」

 

 とりあえず結論を急ぐ話でもなし、アーカイブで神歌のメドレーを聴きながらアーニャたんを愛でるスレに入り浸るかと呟いて、その女性は三本目の缶ビールを空にした。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

「……わたしにもできるのかな」

 

 そしてとある民家の二階で視聴していた少女もまた興味を惹かれた。

 

 自他共に認める人見知り。そんな少女が自問する。はたしてコミュ障の自分にアーニャの真似ができるのかな、と。

 

 答えは出なかった。自身と正反対の輝ける偶像。それに憧れるだけに留めるのか、それとも噛み締めた奥歯が砕けても近づこうともがき苦しむのか。

 

「仮にできても比べられるんだろうなー。そんなのごめんだよ」

 

 だが彼女には才能があった。努力する才能。成し遂げるまで食らいつく根性が。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 最後に、とある地方の古びた民家の一室で、こたつに潜り込んで視聴した少女もまた呟いた。

 

「やるにぇ」

 

 舌足らずで語尾の発音がおかしいこと以外は、特筆することもない普通の女の子だった。

 

 

 

 

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