転生したら美少女VTuberになるんだ、という夢を見たんだけど?   作:蘇芳ありさ

65 / 81
幕間『ファーストライブ編・導入』

 

 

 

 

 

 2011年12月16日(金)

 

 

 この日、Wisper社が提供するSNS上で行われた何気ない告知は文字通り世界を震撼させたと言っていい。

 

 今や完全に時の人となったバーチャルYTuberのアーニャが、日本時間の日曜にファーストライブを行う意向を表明したのだ。

 

 無論、告知から開催まで二日しかないことから実現を危ぶむ声がなくもなかったが、その手の杞憂はごく少数に留まった。

 

 アーニャ自身がWisperで行ったコンサートホールと楽団の募集に、世界各国からの応募が殺到したからだ。

 

 特にアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、そしてロシアといった大国は、この栄誉を他国に奪われてはならないと、政府機関自らダイレクトメールを打つ熱の入れようだった。

 

 なかでも花の都パリを擁し、自国の文化と芸術に並々ならぬ自信を持つフランスは、大統領自ら茶目っ気たっぷりにこう返信した。

 

『そういうことならばぜひ我がフランスをご指名ください。最高のホールと楽団、そして料理を持ってお待ちしています。それとあなたの友人としてご忠告申し上げますが、アメリカとドイツ、ロシアを選ぶのは悪くない判断ですが、我が国のお隣さんだけはやめておいたほうがよろしいでしょう。今後、どんな料理を食べさせられても美味しく感じてしまいますからな』

 

 この返信に、イギリスの外務大臣自ら『では業腹ですが、当日は貴国の料理を取り寄せるとしますか。お口に合わなかったら責任を取ると、大統領自ら明言なさったわけですからな』と反撃する一幕もあったが、各国の反応はアーニャにどこまでも好意的なものだった。

 

 原因不明の大規模な通信障害によってYTubeに接続できなくなるなど、暗いニュースに沈んでいた世論も沸騰し、その熱狂ぶりは、まだ開催地が決まっていないにも関わらず各地で前夜祭の準備が始まるほどだった。

 

 だが、気楽に喜んでいられる立場の人間ばかりではない。実際にアーニャのファーストライブが自国で開催されたらどうなるか──そう想像し、震え上がる立場の人間たちも残念ながら存在した。

 

 それは治安当局の関係者──この日本でも国内の治安維持に責任を負う警視庁警備部は、おりからの凶報(・・)に触れ、心から戦慄するのだった。

 

「なんだこれは! こんな話は聞いていないぞ!!」

 

 帰宅間際に呼び止められた警備部長が居並ぶ部下たちの前で上げたのは、どう贔屓目に考慮しても悲鳴以外の何物でもなかった。

 

 最前列でその怒号に打たれた次長は、理不尽な叱責に恐縮するどころかむしろ反感を募らせる部下たちを視線で制するのに苦労した。

 

 そちらの事情に明るい部下の説明によると、YTubeのライブ配信とやらで、時差のある地球の裏側からも合計で600万人以上もの視聴者を集めるほど熱狂的なファンを抱える『化け物』が、日曜にこの日本でコンサートホールを借り切ってライブを行うかもしれないというのだから、警備部長としては文句の一つも言いたいところだろう。

 

 まだ開催地は決まっていないが、東京を始めとする首都圏近郊、札幌、仙台、静岡、愛知、京都や大阪など日本各地の自治体が特需を期待して受け入れを表明したというが、やって来るのはただの観光客だけではない。

 

 昨夜の配信に現職のアメリカ合衆国大統領が含まれていたのは公然の秘密だが、噂によるとロシアのラスプーチン大統領も出待ちしていたとか。

 

 そんな国賓レベルの方々が来日するかもしれない(・・・・・・)となったら、実際に警備を担当することになるのは、この警視庁警備部だ。

 

 開催までの異例の早さはファンにとっては朗報かもしれんが、それに対処しなければならない人間にとっては悪夢以外の何物でもない。部長の気持ちも分からないではないのだ、と次長は胸中でぼやく。

 

「まったくなんて迷惑な小娘だ! やるなとは言わんが、やるならやるで、せめて半年前に申請しろというのに! たかが玩具屋の娘風情が何様のつもりだ!!」

 

「落ち着いてください、部長」

 

 ただ必要な報告を行っただけだというのに上司の勘気に触れてしまった次長が、興奮する部長を宥める。この次長はいまの暴言で部長を見る部下たちの目が冷たくなったことに気が付いたが、いまは待てと視線で必死に統率する。

 

 内紛など百害あって一利なし。どちらもガス抜きは必要だが、それにはタイミングが重要だ。

 

「まだ日本で開催されるとは決まっていません。ただ開催される可能性があるので、それに備える許可を頂きたいと申し上げています」

 

「それが迷惑だと言ってるんだ!!」

 

 手近な壁を叩いた部長が吠える。

 

「サミットでさえ何年も前から政府と協議して実行されているのだぞ! それをたった二日だと!? あの小娘は我々をなんだと思っているのだ!!」

 

「なんとも思ってないんじゃないですかね」

 

「なんだと!?」

 

 やはりこうなったか、と次長は内心で頭を抱える。高官同士の会話に割り込んで部長に怒鳴られた部下を、しかし次長は叱りつけるという発想を持たなかった。

 

 この部長は国内の政治感覚は優れていたが、これが国外となるとまるでダメだ。現状を正しく認識してもらうためには多少の荒療治は仕方ないと、そう次長は判断した。

 

「これをご覧ください」

 

 えらく好戦的なふてぶてしい笑みを浮かべた若い警視が右手を差し出し、スマートフォンに表示された画面を見せる。

 

「こちらにはアメリカ合衆国の大統領自ら、アーニャにこんなメッセージを送っています。どの国で開催されようとも、アーニャのエスコートと警備は自分たちが責任を持つと」

 

「……馬鹿馬鹿しい」

 

 多少気押されながらも部長はそう吐き捨てて生意気な部下を睨んだ。本当にこの部下は分かっているのだろうか。この官僚社会で上司に楯突くなど、せっかくのキャリアをドブに捨てるようなものだというのに。

 

「日本で開催されたら在日米軍を展開させると? そんな暴挙が認められると思っているのか?」

 

「ですがこちらのラスプーチン大統領は、素晴らしい提案だ。仮に我が国で開催されたときは、ともに女神を守護する栄誉を分かち合いたいものだな、と仰っていますが?」

 

 だが、この部下は怯まず指摘する。

 

「ロシアだけではありません。表向きはどの国も米国の協力姿勢を称賛しています。実際問題、こんな突発的な国際イベントに対応できるのは米国くらいのものですからね。……そんな国際協調のなか、日本だけが警備の面で問題があるから中止しろと言えると思いますか?」

 

 いまや部長はこの部下に──いや、この部下の意見に無言で肯定する場の雰囲気に完全に飲み込まれていた。

 

 次長がこの生意気な部下を叱り付けないことからも、これは警視庁警備部の総意ということだ。部長以外の。

 

「それと件のアーニャは、アメリカ合衆国の大統領自ら空港まで出迎えに行くと公言している時点で、国際社会では英国のエリザベート女王、ローマ法王、天皇陛下と同列の貴人として扱われていますので、どうかご注意を」

 

「もういい……分かった。お前たちの前で取り乱した件と、アーニャとやらを意図せず侮辱した件は謝罪する」

 

 もともと40代の若さで警視庁警備部のトップまで登り詰めるような男が無能であるはずがない。現状を正しく認識した部長は矢継ぎ早に指示を飛ばした。

 

「現場を取り纏めるのは次長に任せる。マスコミの対応も任せるが、その前に、たしかホロライブと言ったな? そちらに問い合わせて協力姿勢を明確にしろ。私は政府に詰めて、あのバカどもを何とかせにゃならん」

 

「お願いします。これは部長にしかできないことです」

 

 そう答えた次長の顔からは露骨な安堵が滲み出ていた。

 

「分かっとる」

 

 そう吐き捨てるように駆け出した部長を見送る部下たちの心証は多少持ち直したようだ。少なくとも追い落としを謀ることはあるまいと、現場の皮膚感覚に優れた次長はそう判断すると同時に、部長に深く同情した。

 

 部下たちも本当は分かっている。この警視庁はまだマシだが、政府与党に忠誠を誓い、彼らの手足となって働かなければならないキャリア官僚たちの多くは疲れ切っている。

 

 原因は言わずもがな。キャリア官僚を悪とし、殲滅すら志した支離滅裂な現日本国政府与党だ。

 

 例の中国漁船の大量侵入事件でてんやわんやの日本政府から確実に出るだろう。この大変な時期に余計なことをしてくれるなという暴言が。それを封じることができるのは、警視庁警備部の代表として交渉できるあの部長だけだ。

 

「よし、私たちも動くぞ。相澤は先方に問い合わせを。茂木は会見の準備を。松田はそうだな……とりあえず反省かな?」

 

「えっ? なんでですか?」

 

「言ってることは間違ってないが、上司にあそこまで挑発的な態度を取るやつがあるか。まったく、ヒヤヒヤさせおってからに」

 

 まだ若い部下たちを嗜め、指示を出しながら次長は思った。

 

 世界がアーニャの登場をもって一変したというのは、実際のところ誇張でも何でもない。少なくとも国際協調の枠組みは大きく変わった。ロシアがアメリカに付き、どの国も、どの企業も、どの団体も、みんなアーニャに恩を売りたくて仕方ないなかで、この日本だけがそこから脱落するわけにはいかない。

 

 高級官僚としてバランス感覚にも優れた警視庁警備部次長は、日本の国益のためにも固くそう信じるのだった。

 

 

 

 

 

 2011年12月17日(土)

 

 

「うわぁー、これは想像以上に凄いことになってるな」

 

 N社の所有する本社工場の向かいにあるビルの前で、ホロライブの0期生としてデビュー予定の白上フブキの演者たる女性は、そう悲鳴に近い声を漏らした。

 

 名前は春日マリナ。年齢は19歳で、カジュアルな格好をした彼女の右手には黒いラブラドール・レトリバーが繋がれたリードが、左手にはとことん怠惰な友人の手が握られていた。特に左手に込められた力は、もはや逃れられんぞと言わんばかりに……。

 

「だから今日はやめとこうって言ったやん。もともとウチらの研修はほとんど終わっとるんやから、今日くらい部屋で一杯……」

 

「だまらっしゃい! こんな大事な日にサボれますかっての!? それと未成年の飲酒は禁止です!!」

 

 そんな春日マリナに連行され、さっそく叱られたのは白上フブキの相方である百鬼あやめの中の人であった。

 

 名を篁蘇芳(たかむらすおう)。れっきとした旧家の末裔であるやんごとないお嬢さまであるが、その性根はご覧の有り様である。

 

「中村さんにも言われたでしょ? 今日はディスコで済ませず、遅くなっても構わないから必ず出社するようにって。あまり我が儘言わないの」

 

「はぁい……」

 

 まぁここまで来れば逃亡の恐れはないか。そう判断した春日マリナは、多少は反省した様子の相方の手を離してやることを自分に許可した。

 

 何しろこの世間知らずで生粋の怠け者は、自分がいなければバスにも乗れないのだから。マリナはここまで握られっぱなしだった自分の右手を痛そうに撫で、これ見よがしに息を吹きかける蘇芳を横目に、さて、どうしたものかと混雑するカバー本社前の様子に頭を悩ませた。

 

 もともとN社が将来的な本社工場の拡大に備え、先んじて確保した広大な敷地に建てられたホロライブの運営元。株式会社カバー本社の敷地が手狭なはずもないが、そこはいま大勢の報道関係者と数えきれないほどのトラックに埋め尽くされている。

 

「そんなところに蘇芳とゴン太を連れた自分が乗り込んだら、一発で正体がバレるんじゃないかなっていうのは、マリナの自意識が過剰なのかね?」

 

「知らんわ。でもゴン太もビビってるし、蘇芳もあの人混みのなかは通りたくないからもう帰らん?」

 

「ダメです。裏口を使います。あそこなら警備員の許可がないと通れないからまだマシでしょう。ほら、二人とも行きますよ?」

 

「はぁ〜い……ううっ、マリナのいけずぅ」

 

「ハッハッ」

 

 マリナの掛け声に一人はトボトボと、一匹は足取りも軽やかに迂回する。

 

 そうして向かった本社裏は、マリナの予想がピタリと的中して搬入待ちのトラック以外は存在しなかった。

 

「ビンゴ! すみませーん、こちら社員証です。通してもらっていいですか?」

 

「ええ、お疲れ様です。事情は存じているので、どうぞあちらの裏口からこっそり。みなさんそうなさってますから」

 

 担当したのは何度か顔を見たことがある、という程度に顔見知りの警備員だったが、彼はにこやかな笑顔でマリナたちを敷地内に招き入れると、あることだけは知っていた社員専用の出入り口の場所を教えてくれた。

 

「ありがとうございますぅ! こちら、もし宜しかったら。それでは失礼します」

 

 数本の缶コーヒーとスナック菓子を手渡して、ぺこぺことお辞儀をする友人の姿に蘇芳は「マリナもようやるわ」と溜め息をついた。実際、あの取り繕った外見はほとんど演技だ。なにしろ高校時代のマリナは、ゲームセンターで中学生からカツアゲする不良を『弱いものいじめは許しません』と全員叩きのめすような武闘派だったのだから。

 

 ……人呼んで浪花の虎。

 

 この近畿圏において、神戸の龍ともども不良少年(ヤンキー)を震え上がらせる、漫画の中から飛び出してきたような女傑(ヒロイン)なのだ。

 

 逆らうという発想はマリナが机の端を握りつぶしたあの日に、どこかに消えてしまった……。

 

「さ、行きますよ。……何ですかその顔は?」

 

「んー、別に何でもないよ?」

 

 まぁ、そんな他人の不幸を見過ごせないマリナだからこそ惹かれたのだと、蘇芳は珍しく相方の手を握り返して思った。

 

 遅くに授かった自分を両親は徹底的に甘やかした。働く必要もなく、将来の不安もない代わりに、誕生したその瞬間から死ぬまで不自由な揺籠のなか。生きるって何だろうと悩んでいた自分に、楽しいことをいっぱい教えてくれた大事な友達に、篁蘇芳はこう笑いかけるのだった。

 

「マリナ。うちらは80になっても一緒にゲーセンに通うお婆ちゃんになろうな」

 

「当然です。さ、ゴン太も行きますよ」

 

「ワン!」

 

 だが、そこで気合を入れたのは失敗だった。勢いよく社員専用のドアを潜った愛犬が、向かいの人物と衝突してしまったのだ。体重が25キロもある大型犬に足元を掬われたその人物は倒れかけ、危ういところで踏みとどまった。

 

「す、すすすみません! ゴン太がとんだご迷惑を!! これは飼い主であるマリナたちの失態です……!!」

 

 慌てて愛犬を引き止め、謝罪するマリナに、しかしその人物は朗らかに笑って逆に恐縮するのだった。

 

「いえ、こちらも前をよく見ていませんでした。どうか顔をあげてください。ここはお互いさまということにしておきましょう」

 

 相手がこう言っている以上、ここで「そんなわけには」と食い下がるのはかえって迷惑になると判断した春日マリナは素直に従い、そして驚愕した。

 

「えっ? N社の真白社長でしたか!?」

 

 相手はこの二週間余りでメディアへの露出が増え、一躍有名になったN社のナンバー3にして、アーニャこと真白ゆかりの父親である真白軍平その人だった。

 

「ははは、一つ訂正を。社長ではなく社長代行です。しかもその代行の文字もとっくに取れていますよ。……あのろくでなしは『真白くん、評判がいいからもう少し代行をやってよ』と寝言をほざいていましたがね」

 

 無関係の女性に腹に据えかねる上司の不満を漏らしはしてしまったが、マリナたちに笑いかけた真白軍平は恐縮する大型犬をしきりに撫で、安心させることも忘れなかった。

 

「賢い子ですな。やはり犬はいい。我が家にも愛犬がいますが、彼らは本当に私たちの心に寄り添ってくれる得難い友人です」

 

 よほど犬が好きなのか、やらかしたことを自覚して尻尾を垂れたラブラドール・レトリバーは、しかし被害者の真白軍平に励まされて元気を取り戻し、いまでは控えめに甘えている。

 

 見た目は神経質な秀才タイプだが、その気性は優しく、思いやりの深い人物のようだ。

 

 だがどんなに寛容な人物であっても、所属企業の親会社に勤める幹部社員の心証を損ねるわけにはいかない。春日マリナは相方に視線で指示を飛ばすともう一度頭を下げるのだった。

 

「これは重ね重ね失礼しました。自分はホロライブ0期生の白上フブキの演者を務める春日マリナと申します」

 

「うちは相方の百鬼あやめをやっとる篁蘇芳です。この子はゴン太。ほら、ゴン太も甘えとらんでちゃんと挨拶せにゃいかんよ」

 

「クゥーン」

 

 恐縮したように頭を下げる礼儀正しい二人と一匹の姿に、真白軍平は「ああ、貴女がたが、あの」と浮かべた笑みを深いものにした。

 

「これはお会いできて光栄です。あとで紹介しますが、娘のゆかりも喜ぶでしょう」

 

 真白軍平は娘の喜ぶ姿を想像したのか親馬鹿以外の何物でもない表情になったが、そう告げられた二人の理解はかなり遅れた。しばらく呆けたように硬直した二人の脳内は、だが全力で稼働している。

 

 あとで紹介する?

 誰を?

 ああ、娘さんを?

 あれ、でも、真白さんの娘さんって……。

 

「えっ!? アーニャさん、いえっ、ゆかりさんも真白さんとご一緒にいらしてるんですか!?」

 

「ええ、ゆかりなら別室で新しいマネージャーの方と顔合わせをして、今後の相談の真っ最中で……私は二階のオペレーティングルームで、電話対応の助っ人に」

 

 にこやかな笑顔の真白軍平の説明に、春日マリナは心の中で納得した。表の混雑と真白ゆかりの来訪は決して無関係ではないと。

 

「ではあまり待たせるわけにはいかないで、私はこれで失礼します。どうも、こちらのオペレーターだけでは判断のつかない案件が飛び込んできたようで……」

 

 そう説明した辣腕家と噂されるN社きっての事務方は、名残惜しそうにしながらもその場を後にし、エレベーターを使わず階段で二階へ向かった。

 

 そうして残された二人のVTuberはしばし感慨に耽る。

 

「ゆかりさんがここに……」

 

 ようやく実感が湧いてきたのか、マリナの手は小刻みに震えていた。

 

 マリナにとって、アーニャこと真白ゆかりは間違っても気安い配信仲間ではない。普段はアーニャ自身がそう望んでいるから合わせているが、僭越の自覚はこの自制心に優れた少女をもってしても抑えきれないものがあった。

 

 VTuberという革新的な配信スタイルを、次元違いの完成度で世に送り出した配信者たちの英雄。かつてNicoichi動画を牛耳っていた人気配信者たち(老害ども)を歯牙にもかけず、苦もなく駆逐した世紀の歌姫アーニャ。

 

 Nicoichi動画という狭い界隈で創立期から数字を押さえ、事実上支配してきた彼らには自分も苦い思い出がある。親交のあった配信者が同じゲームを配信したというだけの理由で嫌がらせをされ、リアルでの加害を仄めかされて泣く泣く引退した姿を見たこともある。

 

 マリナ自身も女性であることから目を付けられ、オフ会への参加を強く求められたこともあった。参加したらまず間違いなく無事には帰れない、そんなオフ会。

 

 相方の蘇芳を巻き込むわけにもいかず、引退するか、それともぶっ飛ばしてやろうかと悩んでいた時期に燦然と降臨したのがアーニャだった。

 

 活動の舞台はNicoichi動画ではなくYTubeだったが、ジャンルは彼らと同じゲーム系実況配信。自分たちのお株が奪われたと思った彼らは当然のように嫌がらせをしたが、効果は限りなく0に近かった。

 

 配信内のコメントを荒らそうにも、サーニャことアレクサンドラ・タカマキ博士の検閲に弾かれ、匿名掲示板で悪評を広めようにもそこは前述の博士が買収済み。

 

 そうして何もできずにいるうちに、あの権利関係に強いN社の支援を受けていることが明かされ、無法者たちは何もできなくなった。できるのは精々、自分たちの配信で人目を気にしながら愚痴るぐらい……その光景を、自分がどんなに胸の空く思いで見守ったことか……。

 

 アーニャが復帰ライブの配信で呼びかけたVTuberになろうと思ったのも、自分たちが脚光を浴びるためではなかった。ただ同じ道を歩きたいと。アーニャが人知れず自分たちを救ってくれたように、自分たちもいつか、この道を歩く後輩たちの力になりたかった。

 

 今や世界はアーニャ一色。そのアーニャに、いやゆかりさんに会える。

 

「えらいこっちゃ! おい蘇芳、いまの話は──」

 

 忘我から脱け出し、相方に振り返った春日マリナはそこで絶句した。振り返った先にあったのはとても世間さまにはお見せできない友人の姿だった。

 

「うへへ、アーニャちゃん……アーニャちゃんに会える……」

 

「……これだよ」

 

 もともと可愛いものが大好きで、ペットショップを冷かしたときに見かけたゴン太に一目惚れ。絶対に飼うと駄々をこねた蘇芳だ。アーニャも一目見るなり可愛い可愛いとうるさかった友人を、はたしてアーニャと遜色のない造形美を誇るあのゆかりさんに会わせていいものか……。

 

「おい、蘇芳」

 

「な、なによマリナ?」

 

 恐ろしくドスの利いた黒い声を出したマリナに、ビクリと身を竦ませた蘇芳は即座に正気に返って訊ねた。今の春日マリナに逆らってはいけないことを、篁蘇芳は自らの実体験から熟知しているのだ。

 

「おまえ分かってるよな? こっちはもともと問題児を二人も抱えているんだ。そこにおまえが加わって、まさか三人に増やしたりしないよな?」

 

「も、もちろんやわ。アーニャちゃん、じゃないゆかりちゃんに会えてもちゃんとお行儀良くしとるよ?」

 

 そう答えるともともとそこまで疑っていなかったのか、春日マリナはしつこく食い下がることなく納得して笑顔を取り戻した。

 

「ならば良し」

 

 笑顔のマリナはそう言うとエレベーターのボタンを押して中に入った。

 

 このホロライブを運営する株式会社カバー本社ビルの一階は、事務所や応接室など外向けの施設が集中し、真白軍平が向かった二階は戦場と揶揄され、電話対応をするオペレーティングルームや会議室などがある。三階は収録用のスタジオ。よって彼女たちの行き先は配信室や待合室などがあるVTuber専用のフロアである四階になる。

 

 エレベーターのドアが閉まり、動き出した狭い空間で、ふと隣を見やった春日マリナは一言。

 

「……ちなみに勝手にゆかりさんを抱きしめたら酷いぞ?」

 

「や、やぁねぇマリナったら! そんなセリフは社畜ネキにでも言うてやって?」

 

 ジッと疑惑の視線を向ける相方に、篁蘇芳は心から戦慄するのだった。

 

 

 

 

 

 そうしてマリナたちが向かった四階の待合室はすでに相当出来上がっていた(・・・・・・・・)

 

「やー、リアルじゃどんなものかと思ったけど、思っていた以上に想像通りで笑っちゃうよね」

 

「本当だよねー。ぺこらは人見知りであくたんはド陰キャ! ここまで想像通りだとアレだね、アーニャたんは画面の向こうから本当に見てたんじゃないかって思っちゃうよね」

 

「それはアレですね、サーニャさんのモーションキャプチャーが私たちの仕草や表情を忠実に再現しているのもあると思います」

 

 ホロライブの0期生が3人、1期生が5人。お互いの自己紹介が終わった彼女たちは、真っ白なテーブルを囲んで爆笑する。

 

「ま、違うと言ったらマリン船長が思っていた以上にまともでちょっと意外だったかな? あたし絶対セクハラしてくると思ってたしさ」

 

「いやいや、ぼたんさんねー。こちとらブラック企業を10年近く勤めた社会人よ? 本当にやっていいかの判断くらいつきますぅー。……まぁそのブラック企業も今日からVTuberになりまぁすって辞表を叩きつけて即辞めしちゃったから、社会人失格かもしれんが」

 

「ワオッ! それほんとに言ったんですか!?」

 

 そんな彼女たちの中心にいるのはこの三人。上から獅白ぼたんこと旧姓・志村牡丹。社畜ネキやマリン船長でお馴染みの蛍崎海音(ほたるざきあまね)。最後に桐生ココこと海外勢の先駆者。コーデリア・コリングウッド。

 

 すでに必要な研修をすべて修了している蛍崎海音を筆頭に、修了間際の0期生から研修の内容を聞き出そうとする1期生だったが、実際に対応しているのは蛍崎海音本人のみだった。

 

「ねえねえ、ぺこらとあくあは研修どうだった? わたし歳が近いから詳しく知りたい」

 

「えっと……どうだったって言われても……」

 

「普通……だよね……」

 

 どこまでも明るく無邪気ながうる・ぐらことグラディス・スチュワートの質問に、兎田ぺこらこと宇多田琴子と、湊あくあこと皆川あずさは、ただひたすらに視線を逸らしてモゴモゴと口籠る。

 

「えー、知りたい知りたいー」

 

「ハイストップ。ぐらちゃんあなたね、うちの娘たちを陽キャの圧で消し炭にするのはやめてくださる? この娘たちはね、コミュ障なの、ド陰キャなの、人見知りなの。得意技はカラオケで気配を消して、自分の番をスルーすることだけなの。他人(ひと)さまに話しかけられたら自害してでも逃亡しようとするの。お分かり? クソ陰キャを陽キャの圧で消し炭にしようとしないの? ハイッ、リピートアフタミー?」

 

「イエス。ぺこらとあくあはド陰キャの人見知り。勝手に話しかけちゃダメ・ダメ」

 

 ひどい言われようだが、窮地を脱した二人の顔には安堵しかなかった。

 

「ま、あくたんは配信でもこうだからある意味裏表がないって言えなくもないが、ぺこらはスゲーよな。今からおまえの配信を見る視聴者(ヤツ)、絶対ぺこらが人見知りとか信じないわ」

 

「え、ちょっと待って?」

 

 そんな絶好調の社畜ネキの発言に割り込んで場の注目を浴びたのは、自称いずれ世界の頂点に立つ女。エリート巫女・さくらみこの演者である御子柴さくらという少女だった。

 

「らいぶつーえーのおかげでイメージ通りってことは、アーニャたんの中の人も、アーニャたんにソックリってことぉ?」

 

「おまえ何周遅れの話をしてんだぁ!?」

 

 会話も理解もワンテンポ遅れる少女の頭を軽くではあったが引っ()たいたのは、このなかで志村牡丹に次いで背が高く、飛び抜けてスレンダーな女性だった。

 

 名前を谷村翠。ホロライブ1期生・星街すいせいの演者である彼女は、どうした理由からか初顔合わせからこうした役割が振られることが多い。

 

「……痛いんだけど?」

 

「こうでもしないとあんたはすぐに反応しないでしょ? 天然かぁ? 研修でしっかり矯正してもらえ!」

 

「まぁそんなに怒らなくてもいいんでない? 別に終わった話っていうわけでもなし。まだこっちのスバルちゃんと、0期生のフブキさんとあやめさんが来てないけど、あの三人もソックリさんだったら笑っちゃうなー」

 

「あー、ス虐の子ね……。なんか昨日の配信でアーニャちゃんが『ス虐の子のこ虎視眈々』ってフレーズを口ずさんでたから、すいちゃんすっかり洗脳されちゃったんだけど……」

 

「あー、それは仕方ない。誰だって洗脳される。なんだったら全員で合唱してお出迎えしちゃう?」

 

「やめろよぼたんさん……あたしだってすっかり洗脳済みで、腹筋がお亡くなりになってるんだから……」

 

「すぎゃくのこのここしたんたん♪すぎゃくのこのここしたんたん♪」

 

 獅白ぼたん、星街すいせい、そしてマリン船長が大空スバルの持ちネタに顔を引き攣らせたそのタイミングで、謎の振り付けまで交えて『ス虐の歌』を響かせたのはさくらみこだった。

 

 これには誰も耐えられず、凄まじい笑い声が完全防音の室外にも響き渡り、たまたま近くを通りかかったスタッフがギョッとしたように立ち止まるのであった。

 

 その笑いの渦が収まるのに要した時間はおよそ5分──すっかり涙も枯れ果てたマリン船長がしつこく歌い続けるさくらみこの肩に抱きつく。

 

「……何?」

 

「何じゃねーよ。やっぱりお前もしっかり面白いじゃんか! ったく、一人だけ脱落したら可哀想だから気にかけてやろうと思って損したわ!!」

 

「…………え? そ、そうなのぉ?」

 

 相変わらず何一つとして理解してなそうなその顔に、またしても腹筋が痙攣するホロライブのVTuberだったが、獅白ぼたんはゲラゲラと爆笑しながらも絶賛した。

 

「そうだよ! アーニャちゃんがみこちのことを天然だって言ってたけど、あたしもようやく意味がわかったわ!! みこちは特に面白いことをしようとしなくても居るだけで笑えるんだよ……!!」

 

「そ、そうかな……?」

 

 さくらみこの照れ笑い──相変わらず何一つとして理解してなさそうな顔はムカつくが、同期から脱落者を出したくなかったのは星街すいせいも同じだ。

 

「……うん。あたしコイツのマネちゃんに言っとくわ。みこちは下手に手を加えないほうが面白いから、あれこれ教え込んで無駄に考えさせるなってね」

 

「え……? よく分かんないけど、お前いいヤツだな星街。 みこも好きだぞ、お前みたいな女」

 

 ……後に星街すいせいはこう語った。アレは一生の不覚だと。

 

「あれ? すいちゃん顔が赤いよ?」

 

「赤いですね……あれは好きって言われることに慣れてない顔ですね」

 

 不覚にも上手く流せず赤面した星街すいせいは、ニヤニヤ笑うがうる・ぐらと桐生ココの追撃にあえなく轟沈。魂が抜け出すような叫びをあげてソファーの上で悶絶した。

 

「こっちは……うん。報復が怖いぺこだからスルーして、っと……」

 

 そんな星街すいせいに親近感を覚えながらも、触らぬ神に祟り無しと決め込んだ兎田ぺこらが話題を変える。

 

「とりあえず、みんながイメージ通りなのは、分かった……でもそうなるとさ。ぺこーらたちだけじゃなく、アーニャちゃんまでそうなんかなぁ?」

 

「えっ!? そ、そのことに触れちゃうの……?」

 

 ……だが、これはハッキリと失敗だった。兎田ぺこらが演者の挙動を追跡するが故に、実物の雰囲気すら完璧に再現するLive2Aに話を戻した上で、先ほどは深く触れなかったアーニャの演者について言及すると、湊あくあの顔色が変わった。

 

 もちろんその顔が意図するものを見逃さなかったぺこらとしては、内心で「しまった」とほぞを噛むような思いだ。

 

「うん。多分そっくりなんじゃない? マリンもアーニャたんの中の子であるゆかりたんの写真は一番画質がいいヤツを保存してるけど、笑っちゃうくらいソックリだもんね」

 

 横目でチラリと観察した問題の人物は、見たところそこまで反応したようには思えないだろう。

 

 彼女はたしかにネットや配信で暴れている姿からは想像もつかないほどの常識人である。情も深く、研修や訓練を上手くこなせず隠れて泣いたあとに、細かな気配りや配慮を感じたことは数えきれず、そこには感謝しかない。

 

 口に出すと調子に乗るから決して言わないが、兎田ぺこらは心から感謝し、そして尊敬している。そこは間違いない。

 

 だがそれにはある前提があった。そう……アーニャたんが絡まなければ、と。

 

「…………うん、そうだよね。笑ってる顔も同じだから、配信中に見せてくれたキュートなアクションも、幼気(いたいけ)なボディも、きっと全部、全部同じだよね? マリンそう思うともうね。もうね」

 

 やばい。そう判断した兎田ぺこらは咄嗟に目配せをした。受け取ったのはUNO対決以来の盟友。即座にうなずいた湊あくあは履いてるスリッパの片方を手に取り──。

 

「大ニュース! 大ニュースですみなさん!!」

 

 そのタイミングで相方とペットを連れた健康少女が飛び込んできたのだ。

 

「うわっ、ヤバイほどイメージ通りなんだけど? 白上フブキさんと百鬼あやめさん、あと愛犬のゴン太くんでしょ? あたし獅白ぼたんの中の人。名前は志村牡丹。よろしくねー」

 

「あっ、みなさん1期生の方ですね? おっしゃる通り、自分は白上フブキの中の人で名前は春日マリナ。こちら百鬼あやめの中身の篁蘇芳と、ゴン太そのものです。どうぞよろしくぅ」

 

 そうしてその姿を視認するや吹き出しながら気軽に挨拶する獅白ぼたんに、素早く状況を理解して挨拶する白上フブキ。

 

「フブちゃん遅えぺこだよ、何してたぺこだよ」

 

「すみませんぺこらさん! 外せない講義がありまして……」

 

 そんな頼れる仲間の登場に安堵した兎田ぺこらは即座に危機を訴え、ちらりと問題の人物を確認した白上フブキは、もう一人の危険人物を捜索。

 

「? ハローフブキ。わたしぐらだよ。がうる・ぐらで、グラディス・スチュワート。よろしくね」

 

「あ、やっぱり。よろしくお願いします」

 

 幸いにもLive2Aがいい仕事をしていたので苦労せず解決。もう一人の味方(・・)もすぐ見つかった。

 

「ところでそちらの方は桐生ココさんですよね?」

 

「あっ、やはり分かりますか! はい、ご挨拶が遅れましたが、おっしゃる通り私が桐生ココの演者、コーデリア・コリングウッドです。どうか先輩としてご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます、白上先輩」

 

「はい、本当はもっときちんと挨拶したいのですが、時間がないので──」

 

「もしかしてもうすぐアーニャたんがこの部屋に来るのぉ?」

 

 その言葉に室内の気温が上昇するのを白上フブキは感じた。

 

 さくらみこ。このなかでは演者としての技量は随分と落ちる彼女を、だが侮ってはならない。これまでの人生を本能と直感のみで生き抜いた彼女は、この場において最高の撮れ高を引き当てたのだ。

 

「……どうしてそう思うんだい?」

 

「え? なんとなく……」

 

 なんとか言葉を捻り出した白上フブキに、さくらみこが真顔のまま首をひねった次の瞬間。

 

「愛しとるよ! いま行くよアーニャたん!!」

 

 猛然と叫んだマリン船長が立ち上がって駆け出したのだ。

 

 ……しまった。

 

 これあると見越して待機していた兎田ぺこらと湊あくあの手は届かず。咄嗟に白上フブキが通すまいと腰を落とすが、その前に立ちはだかった女傑が瞬く間に爛れた欲望の化身を制圧した。

 

「あー、なるほどねー。こうなるのが分かってたからあんまりアーニャさんの話をしたくなかったんだ。でも安心したよ。やっぱり社畜ネキは社畜ネキだったんだねー」

 

「後生! 後生だからぼたんさん離してぇ! マリン船長ね、もうアニャ禁生活三日目なの! 禁断症状が出る前にアーニャたんの成分を摂取しなきゃなんないのに、いつまでも自家発電で凌げるわけないだろ……!!」

 

「だからって大事な用事で来社してるアーニャさんのところに突撃していいわけないでしょ? 諦めなよ、社畜ネキもさ」

 

 無人島に行くなら自分を連れてけと自己紹介の席でのたまった獅白ぼたんが、趣味はサバイバルで特技が柔道と射撃(アメリカで実射経験有り)だと知らなかったのがマリン船長の不幸か。

 

 そしてホロライブのVTuberきっての危険人物が地べたに這いつくばった頃には、もう一人の危険人物も身柄を拘束されていた。

 

「離して、離してよコーデリア! わたしはまだ何もしてないでしょ!?」

 

「ええ、ですから今回はお尻ぺんぺんは勘弁してあげます。観念しなさい」

 

「いや、お二人ともお見事です。これならVTuberきっての武闘派の看板を安心して下せますね」

 

 危険人物を速やかに制圧した獅白ぼたんと桐生ココのの素早い対応を白上フブキが賞賛し、兎田ぺこらと湊あくあがホッと胸を撫で下ろす。

 

 そんな室内をゆっくりと確認したさくらみこは最後にこう口にした。

 

「…………何これ?」

 

「おまえが言うなぁああああ!?」

 

 スパーンと気持ちいい音を立てて星街すいせいがスリッパを振り下ろした。先輩の湊あくあが対社畜ネキ用兵器として装備した姿に学んだ星街すいせいだった。

 

「痛いんだけど?」

 

「おだまり!!」

 

 おかげで右手を痛めずに済んだことにお礼を言われた湊あくあは、めずらしく目を逸らさずに笑ったそうだが、それは本筋とは無関係の余談と呼ぶべきものであった。

 

「うん、やっぱり楽しいわ。配信者辞めんで良かったなぁフブキ。ゴン太もそう思うやろ?」

 

「ワンッ」

 

 そんな一同を見渡して、本当に楽しそうに笑う友人に同意するのは癪に感じる白上フブキだった。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。