ブルーアーカイブ ―宇宙に輝く黄金の螺旋― 作:まさみゃ〜(柾雅)
【Side:S.C.H.A.L.E】
昼下がり、シャーレにて。
「“……手紙?”」
今時電子化でやり取りしている中、珍しさに目が留まる。
しかし内容を読めば確かに電子メールやメッセージアプリより紙媒体である方が意味を持つものだった。
──From. Arkham Hidden Academy.
「先生が急に此方に伺うとは珍しいものですね」
「“急な連絡でごめんね”」
尾刃カンナにお詫びの品としてドーナツを渡す。
いつもこれを渡すと手が汚れるから少し不満そうな表情を浮かべるが、なんだかんだ言って彼女は美味しそうに食べるのでついつい買ってしまう。
「それであの学校……いえ、あの区域についてですね。
実を言うと我々ヴァルキューレでもあちらの内情を全て把握していません。
と言うより、全ての学校が不干渉を選択せざるを得ない故に把握出来ないが正しいのですが」
警察組織であるヴァルキューレなら何か知っているかと思っていたが、結果は空振り。
その不干渉にも理由があった。
「ゲヘナ程とは言いませんが、あちらは混沌としていない事は分かっています。しかし……いえ、やはりあそこ『アーカム隠秘学院』の異質さを基準に見ればゲヘナの方がまだ安全ですね」
彼女らしくない、変に歯切れの悪い回答。
それ程までの場所なのだろう。
「あちらの区域の近くでよく聞く話といえば定期的に爆発と巨大な影が見えるそうで……ああ、被害は現状一つも発生していませんのでご安心を」
「“うーん……そしたら自分の目で確かめないとだね”」
「……今何と仰いましたか、先生?」
彼女に昨日届いた【招待状】を見せる。
手紙の内容は挨拶が遅れてしまった謝罪とこの手紙が招待状替わりになると言うもの。
そして、この手紙を所持している限り安全であると言う事。
「まさかアレから直接コンタクトを!?」
アーカム自治区にはどうやら1人の生徒を信仰している組織が自治を行なっており、その『信仰の対象』からの手紙と言うのでカンナは驚きを隠せないでいた。
さらに言うならその生徒は普段から姿を見せず、極稀に目撃情報が挙げられるほど。
「アレが何を考えているのかはアレにしか分かりません。本来ならどんな手段を以ってしてでも止めますが……」
「“うん、それでも私は行くよ”」
「……ハァ。その代わりに条件で私たちが同行します」
「“分かった。っと言っても、もともと一人で行くつもりはなかったから助かるよ。
あとは……キリノとフブキにも頼もうかな?”」
こうして私は、彼女たちと共にアーカム隠秘学院へ向かう支度を始めた。
【Side:???】
今夜も満月の夜。
街の人もこんな不気味な月夜には出歩かない。
「居たぞ追え!!」
「……クソッ!!」
一つの影にめがけて複数の影が発砲する。
追われる人物は何発か被弾するが、痛みに耐えながら裏路地に逃げ込もうとする。
そして薄汚い道の続く先へ進むと、目の前に急に現れた強い照明によって捕捉された。
照らされたのは黒色混じりなウルフカットの銀髪の少女。
同時にどこからともなくエレキギターの音色がその場に響きわたる。
「やはり我輩の読みは当たっていたようだなぁ
「ゲッ、なんでお前が此処に居んだよ。さっさとミレニアムに帰りやがれこのキチガイ!!」
追われていた少女はそう言いながらもすぐに銃を手に取れるように腕を腰に伸ばす。
だがそれを許さないかのように、騒音ギターの人物の背後から何発か銃弾が放たれる。
「キチガイとは何だキチガイとは!! この千年に一度と謳われる天才たる我輩の名を覚えるつもりが無いと!? 嗚呼なんと……なんと嘆かわしい……!!!!」
そう言いながら白衣の少女はエレキギターを掻き鳴らす。
控えめに言って騒がしい。
「いいかその耳をよ〜くっかっぽじって聞け!! 我輩は大・天・才!
「なげぇ!!」
追われていた少女は、白衣の少女にめがけて爆発物を投げる。
それを反射的に、白衣の少女の背後にいた部下らしき一人が撃ってしまった。
その瞬間大きな音と共に閃光が視界を埋め尽くす。
「……さっさとこの場をずらかるか」
ギャーギャー喚く声を背に、大翼クロウはその場から離れた。
しばらく大翼クロウが夜の街を走っていると、不意にその足を止める。
あのキチガイからの追跡を振り切ることが出来た事は確実のはず。そう思っていると言うのに、彼女の本能が違和感を知らせてくる。
「……ほぅ、今回は随分と勘がいいのだな? 我が愛しの怨敵」
「──ッ!? 誰だ!!」
背後から耳元で囁かれ、彼女は咄嗟に跳び退き囁いてきた何かに意識を向ける。
そこには金髪金眼の少女。
装いは自分と真逆を意識させるほどに黒い。
「はじめまして……になるかな? 大翼クロウ。もっとも……余は貴公の事を、おそらくは貴公以上に良く知っているが」
そう言いながら少女はクロウを舐め回すように見る。
そしてその視線は彼女のとある所持品に留まる。
「……なるほど、今回はまだ契約していないようだ。時間はくれてやる、その
「な、何を言っていやがる!! これは依頼の品で勝手に使えるわけないだろ!!」
しかし少女はその回答を許さないかのように、いつのまに接近してクロウの首を片手で掴む。
「もう一度言う。魔道書を使え、大翼クロウ」
「ぐっ……そ、もそも……だ…れ、だっ、お前……っ!!」
首を絞め上げられながらも、クロウは少女に問う。
その問いに一瞬だが少女の表情に変化が見えた。
「……余は七頭十角の獣、背徳の獣、聖書の獣、そう呼ばれている。
しかし貴公は余の怨敵だ。故にあえてこう名乗ろう──」
──【マスターテリオン】
【Side:S.C.H.A.L.E】
「……この辺りからですね」
「“ここが……っ!?”」
車から降りると、急に視界が歪む。
軽い目眩のようなものですぐに回復したのだが、嫌な汗をいつのまにかかいていた。
「先生? 大丈夫ですか?」
「長旅で疲れちゃったのかな、センセ?」
中務キリノが咄嗟に駆け寄り支えてくれる。
彼女に礼を言い大きく息を吸うと、嫌な汗はひいてきた。
「“それにしても……どこか知っているような気がする”」
デジャビュ、と言うのだろうか。
一度も足を運んだことはないはずだと言うのに、アーカムの街並みは既視感しかなかった。
「──……っ〜〜……っ……!!」
体調が整うまでその場を動けずにいると、何処からか声が聞こえてくる。
その声は焦っているようではあるが、肝心の声の主が見えてこない。
「──そこの人退いてくれーーっ!!」
上の方から少女の声がはっきりと聞こえてきた。
その方向を向くと少女は着地体勢に入っており、足は丁度此方が立っている場所を着地点として向けている。
咄嗟に避けると、少女は三点着地で見事無傷で着地するが、何かを落していた。
「“これは──”」
拾って確認しようとすると、今度はあたり一帯をエレキギターの騒音が響き渡る。
それに対して先ほどの少女は「ゲッ」と嫌そうな表情を浮かべた。
「いくらこの街の中で逃げ廻ってもこの我輩の目が黒いうちは平穏なんてないのだよ、大翼クロウ!!」
そこに現れたのは白衣を着た褐色肌の少女。
ギターケースに片脚を乗せて、華麗にエレキギターを演奏するがそれと同時に何かを語っているためにその騒がしさに目がいってしまう。
「うるせぇ!! てかお前瞳の色黒じゃねぇだろ!!」
「我輩の歌を聴けぇ!!!!」
そこでカンナが何かに気付く。
どうやら彼女はあの白衣の少女に憶えがあるようだ。
二人が言い争っているうちにカンナは白衣の少女の背後に回る。
「西ヒカル、確保!!」
「な、何事ってゲェッ、狂犬!?!?」
突然の組付で呆気なく捕まる白衣の少女。
表情はみるみる既視感のあるものへ変わり、西ヒカルが大翼クロウと呼んでいた少女はいまいち事態を把握できないでいる。
……状況の整理のため皆んなには落ち着いてもらおう。
【西ヒカル:加入】
パターンA
「わーはっはっ、ここで会ったが1万と2千年目!! いや、8千年だっけかな? そんな事よりも、我輩が来たからにはもう安心だ先生」
パターンB
「ふーはははッ!! 愛と正義の大・天・才!ドクターウェ──ってコラ、我輩を無視するな!!」
パターンC
「愛しの大導師(グランドマスタ)〜っ!! アナタの可愛い可愛い忠実な僕である我輩がステキな夢の港町、ダイラス=リーンから異常な空間と時空の歪みを検知し第一どころか第六の宇宙速度を超えはるばるやって来ました〜……って誰ぇ!? あ、先生? お近づきの印に先ほど拾った……あれ、なんか入れておいた木箱が成長してる……ま、いいや。先ほど拾ったこのイカしたなんか輝く腕輪をやろう。はい、どーぞっ」
パターンD
「我・輩・招・喚!!」
パターンE
「やぁやぁ先生、そこいらにアル=アジフの断片略してアルペンを見なかったかな? 情報をくれたら我輩の『たのしいりかじっけん:ろぼとみーしゅじゅつ』の被験者になる権利をやろうではないか。え、いらない? あらそう……本当にいらない?」
パターンF
「フハハハハハッ、アーハッハッハッゴホッゴホッグエェエエ──。あ゛っ゛あ゛っ゛あ゛っ゛あ゛っ゛。フゥ……我輩が来たからにはもう安心であるぞ先生!! 百人力どころか百万、いやそれ以上の成果を期待したまえ!!」
イベントシナリオ1話読了後に西ヒカルは加入し、上記の加入台詞のどれかがランダムに流れる。
なお、他のパターンはボイスのリストに載っているため後程確認が可能。