ブルーアーカイブ ―宇宙に輝く黄金の螺旋―   作:まさみゃ〜(柾雅)

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06 アル・アジフの断片03

「さて、おおよそのお話はクロウたちから聞いていると思うので省きましょうか」

「“まだここに来たばかりだから詳しくは知らないよ?”」

 

 ウィンフィールドと呼ばれる執事が紅茶を淹れる。

 私たちはこの屋敷の主人、豊穣ルリから現在のアーカム隠秘学院の状態を聞くことにした。

 

「そうですね……まず初めにご存知でしょうがクロウ含む私たちは【マスターテリオン】刻門シシネと敵対しています。

 具体的な目的は未だ把握は出来ていませんが、今回の接触でクロウが狙いというのはよくわかりました。

 しかし先生、アナタが我らの自治区へ足を踏み入れた途端、元々姿を見せなかった彼女は姿を見せる様になりました」

 

 そう言って彼女は口の渇きを治めるため一度紅茶を口に含む。

 そして直ぐに1つの手紙を取り出した。

 

「そして私がクロウを回収する為に出発しようとした直前にこの様な手紙が届きました。

 どうやら渾沌には気を付けろとの事のようですが……この手紙自体本当にアレからのものなのか真偽が不明です」

 

 見覚えのある封蝋。

 私は自分の持つ手紙を取り出すと記憶通り確かに豊穣ルリの持つ手紙の封蝋と同じものだった。

 もし同じような封蝋がつけられる道具があった場合はその考えは破綻してしまうが、キヴォトスではどちらかと言うとこう言ったアナログな道具は珍しい故に偽物はあり得ないだろう。

 私はシシネから届いた手紙をルリに見せる。

 

「これは……。となるとますます分からなくなってきました……」

 

 頭が痛いのか、彼女は顳顬(こめかみ)を抑える。

 封蝋と手紙の内容を確認した彼女は直ぐに私へ手紙を返すと席を立つ。

 気が付くと外は雨が降り始めてきたのか、ポツポツと雨音が聞こえて来る。

 

「すみませんが今日はここまでにいたしましょう。それに本日は長旅でお疲れでしょう?

 ウィンフィールド」

「畏まりました。ではシャーレの先生、ヴァルキューレの皆様、お部屋へ案内します」

 

 そうして私たちは彼女の屋敷を案内される。

 キリノは屋敷の内装が普段見慣れていた近代的な建造物とは違って珍しいのかキョロキョロと見回している。

 

「それにしても大きなお屋敷ですね先生……!!」

「その割には人が少ない気がするけどね〜」

「……2人とも失礼だぞ」

 

 そう言えばカンナは元々シシネを知っていた。

 だからなのかいつも通りの心持ちの2人に少し呆れている様子。

 

「いえ、事実このお屋敷にはメイド3人に私とお嬢様を含め5人しか居ませんので」

「そうなんですね〜」

 

 すると、不意に私の隣にいたカンナの持つ携帯端末に着信が来る。

 

「……失礼します」

 

 彼女が携帯端末を確認すると、次第に表情が険しくなっていく。

 どうやら良くない知らせだったらしい。

 通信を終えると彼女は溜息を吐いてから私に謝った。

 

「申し訳ありません、先生。速やかに対応しなければならない事案が発生してしまったらしく、わたしたちは先に戻ることになりました」

 

 その言葉にキリノとフブキはすぐに反応する。

 本部の要請ゆえに3人は直ぐに屋敷を出て行ってしまった。

 

「……ではシャーレの先生、こちらのお部屋をお使い下さい」

「“ありがとうございます”」

 

 まさか銀行強盗が多数の箇所で同時に発生するとはね……。

 

 

 

 翌朝、私は改めて豊穣ルリたちから現状の説明をされていた。

 

「それ故に私たちはクロウ達にアル・アジフの断片を回収させてるのです」

 

 刻門シシネを倒す為。

 彼女達はクロウをそうたり得る者にする為に。

 

 現状、私の持つ情報ではシシネは何度も彼女達と戦っていることになる。

 そしてここに来る前にシシネと話した時、彼女のの口振りからして自身が敗北した世界線もあったのだろう。

 そうなると、私は本当に彼女達だけに力を貸してシシネを倒すべきなのか迷いが生まれる。

 

「刻門シシネは強大な力そのもの。それ故にこの地区の治安はある程度保たれていると言ってもいいでしょう。しかし、彼女の本質は悪なのです。だからこそ、ここで終わらせなければならない……!!」

 

 ルリが拳を握り締める。

 その時、屋敷全体からアラートが鳴り響く。

 アラートを聞いたルリは、すぐさま、今では珍しい折り畳み式の携帯電話を取り出すと、誰かに指示を出し始めた。

 

「ではお願いします、クロウ。

 ──先生、どうか私達にお力添えを」

 

 そして私に向かって頭を下げる。

 私は、まだ何をすべきかは分からない。

 けれど、だからと言って、今助けを求める彼女達の手を振り払う理由にはならない。

 それ故に、私はルリの指定する場所へ向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 道中何故か段ボールに体育座りで座る西ヒカルとエルザが居た。

 私には2人を放っておくことはできず、泣き付かれたこともあって連れていくことにした。

 あ、ちょっと人の服の裾で鼻をかまないで!?

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