難産とかスランプとか気力とかリアルとか...様々な原因があり投稿が遅れてしまいましたね。
切腹(n回目)
稚拙な文章ですが、最後まで見てもらえたら嬉しいです。
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店の中には依然として静かだ。自分たち以外に客はおらず、大将も気を利かせて厨房の奥へと引っ込んでくれている。
「...てなわけで、その時が来たらお前らに協力してもらいたい。いいか?」
「...ええ。まあ、貴方には色々と恩があるし、これだけの報酬金を出されたら拒否するわけにもいかないわ」
アルがテーブルの上に置かれたアタッシュケースに一瞬視線を落とし、再度こちらへ視線を直す。
「それはよかった。それじゃあ、詳しい依頼内容は時期が来たらそっちに送っておく。依頼は滞りなくお願いな」
「うん、分かってる...それにしても、そんな大金をポッと出して大丈夫なの? そっちも借金やら何やらで金銭面が厳しいって聞くけど」
カヨコもあると同じようにアタッシュケースに視線を落とし、疑問の内をこちらに話してくる。
「そこについては大丈夫だ。あくまでこの金はアビドスの所有物じゃなくて振り子事務所の所有物ってことになってるし、この依頼も『アビドスとしての俺』じゃなくて『振り子事務所の俺』として依頼してるわけだ。これなら問題はないだろ?」
「...こんな大金を一気に動かしても動揺しないんだね?」
「...前に俺が居た所じゃこれくらいの大金が動くのは当たり前だったからな、ただの慣れだ。っと、話が逸れたな。とりあえず、依頼はよろしく頼むぞ」
「ええ、ここいらで私たちも一発逆転してやるわよ!」
そう言い、俺たちが依頼締結の証として握手しようとした瞬間...
「────ッ!! みんな伏せて!!」
咄嗟のカヨコの叫び声も掻き消すほどの爆発音とともに、視界が瓦礫で塗りつぶされた。
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「...迫撃砲、目標の建造物に命中しました」
「了解、第二小隊はそのまま前進」
アビドスの住宅街にて、規則正しく並び立つ複数の小隊と、それを率いるかのように後ろで指示を出す生徒2人。
軍服のような格好とその軍列の綺麗さから、重々しく厳重な雰囲気を漂わせる。
「...それにしても、本当に他自治区でこの様な大規模な進軍をしてもいいのでしょうか...?」
「アコちゃんも考え無しにこんなことはしないと思うし、大丈夫だと思うぞ」
小隊が順調に進軍しているのを確認し、彼女らも小隊の後方で歩みを進める。
そんな順調な中、小隊のから1名の風紀委員がその生徒2人に向かって急いで駆けつけてきた。
「報告します! 迫撃砲が命中した店内からターゲットと思われる人影が多数確認されました!」
「了解。おそらく、なんて考えなくても便利屋68だ。構わずにそのまま進軍を続けろ」
「それのことなのですが...確認された人影が合計で6名、うちの1人があの店の経営主とのことです」
「なるほど...まあ、こちらにも大義名分があるとはいえ、色々と面倒なことに────待て、6名...? その経営主含めて5名じゃなくて?」
「は、はい。迫撃砲が命中した店からは合わせて6名の人影がありました...おそらく、運悪く客が居合わせてしまったのかと...」
「...作戦の進行には然程問題は出なさそうだし、中止せずにそのまま進行。客は状態を確認して保護しろ」
「了解です!」
報告を伝えに来た風紀委員の生徒は、そのまま小隊の方へと戻っていった。
残された2名の生徒は先ほどの報告を聞いて少しばかり眉を顰めていたが、すぐに進行する小隊を見据え、爆破跡地へと向かった。
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...何が起こった?
身体が、熱い。というか、痛い、の方が適切か。
今、どうなってるんだ?
脚は...動くな。少し感覚麻痺ってはいるが、ちゃんと指は動かせてる。
腕も...いや、左腕が動かせないな...曲げようとすると異様に痛むし、多分骨折だろうか。
...呼吸は出来るな。ただ吸うとアホみたいに痛ぇ...肋骨も折れてんのか...
視界...瞼が開きにくいな、右腕でなんとか...
「っ...これは...」
瞼を無理矢理こじ開け、目の前に広がったのは、見るも無惨な姿に成り変わった店内と、そこに倒れ伏す複数の生徒...もとい便利屋68のメンバー。
全員擦り傷などはあるが、流血や骨折などの怪我はパッと見て伺えない。流石キヴォトス人ってところか、ヘイローが羨ましく感じる。
いや、そんなことよりも...ああ、やっぱ左腕が逝ってるな。あらぬ方向に折れ曲がってる。
とりあえず立ち上がって...
...
......
.........これ無理だ、立ち上がれねぇな。足が動かん。厳密に言えば動くっちゃ動くし、多分何か支えがあれば立ち上がれる。けど、痺れたみたいになってて走るのは厳しいかもしれない。
...まさか脊椎まで逝ってるとか無いよな...? だとしたら義足...最悪事務所を畳むのも視野に入れねぇといけなくなる...まずいな。
いや、この状況普通にまずいだろ!?
なんでちょっと冷静な感じに思考してんだよ馬鹿...!! ここが爆破されたってことは十中八九ここに敵が攻め込んでくる...なのにこっちは全員が全く動けない状態...まずいとか、そんなちゃちなモンじゃねぇだろ...!!
てか俺の仕事道具どこに...あ、俺が下敷きしてたわ...
「アル! 起きろ!!」
肺に突き刺さるような痛みを喉奥に押し込み、近くに転がってたアルを呼んでみる。
...が、伸びていて起きる気配無し。
おそらく大将も爆破に巻き込まれているので頼ることもできない。
ならばユメやホシノ、あるいは先生などに連絡するか。
幸い、俺のコートはP社の特異点が施された特注製...らしい。
なんでも、ポケットの中に入れたものは外部からの衝撃・損傷を受け付けなくなるという代物らしく、携帯も無事だった。
急いで先生の方へ通話を繋げようと携帯を操作する。
携帯の画面に、ぺちゃぺちゃと頭から出た血が落ちてそれを汚すが、そんなの気にする余裕もない。
ワンコール
ツーコール
『ロキ!? ちょうど良かった! あのね!』
ツーコールで先生は通話に出た。声色からかなり焦っているのがわかる。
「先生か? とりあえず落ち着いて聞いてくれ。柴関が何者かによって爆破された」
『うん、こっちにもその爆破音が聞こえて来てたから...って、なんでそれを?』
「俺がその爆破された場所にいるからだよ」
『えっ!? 大丈夫なの!?』
「正直言うと、かなりひどいな...負傷者は俺含めて2名。便利屋もいて、そっちはパッと見て重体の奴は0だ」
『分かった...って、ロキ負傷してんじゃん!! とりあえず、そっちにすぐに向かうから待ってて!』
「了解。ああ、あと俺結構四肢の状態ヤバくて、先生たちが到着する前にここに敵勢力来たら死んだと思ってくれ」
『え』
「それじゃ、よろしくな」
『ちょっ!? 待っ────
通話をブチ切りし、一呼吸して思考を改める。
まず、今ここが爆破されたってことは、狙いは中にいた大将か、俺か、便利屋か。大将が狙われるってのはあり得なくもないが、可能性は低い。過去に何かやらかしてるなら別だが。
俺...あるな。狙われる理由はめっちゃある。恨みはめっちゃ買われる職業柄だし、可能性は高め。
便利屋は...どうなんだろうか。確か便利屋って非公認の部活で、ゲヘナの風紀委員会から追われてるって言ってた様な...でもここアビドスの自治区だしな...他自治区に入り込んでまで便利屋を確保するとは考え難い。それこそ、他の...自分たちの地位や権限の向上に直結する様な人物がいないと、他自治区には乗り込まないはず。
となると、狙いは俺か。*1
爆破跡から見て、着弾地点は店の入り口。ギリギリ俺を殺せるか殺さないかの距離だな。おそらく、この爆破は機動力を削ぐためで、本命はまた別にあるな。というか、俺を殺すのが目的ならさっきの爆破を何度か繰り返せばOKなわけだし。本命は...まあ、おそらく...いや、十中八九銃だろうけど。
多分、敵は自分の
あとは相手人数がどんくらいいるかだな...恨みを買った奴ら全員だったらえげつない数になりそうだが...それだけいるんだったらこんな回りくどいことしなくても事務所囲んで銃乱射すればいい話だからなぁ...
多くて15人くらいだろう。多分。もっと多かったら絶望だが。
さて、思考がまとまったな。今俺がやるべきことは、とりあえず大将をここから避難させること。確か近くにシェルターがあったはず...大将、怪我してないといいんだが...
仕事道具を杖代わりにして立ち上がる。脚は痺れがまだ取れていないが、一応少しだけ動く様になった。脊椎までは逝ってなさそうだ。
そのまま、大将がいた厨房らしき場所に入っていくと、吹き飛んだ鍋やらお玉やらの下敷きになっている対象を発見した。
「大将、大丈夫か?」
「あ、ああ...アビドスの兄ちゃんか」
大将を下敷きにしている物をどかして声をかける。
幸いにもモフモフの体毛のおかげで怪我は無さそうだったので、裏口まで誘導し、近くのシェルターにすぐに避難する様に促す。
最初、大将は無惨な店に悲しみか、絶望か、あるいは両方の目を向けたが、すぐに裏口から外に出て、シェルターへと向かってくれた。
「...さて」
厨房らしき場所の影に腰を下ろしながらまたも考えに耽る。
敵が来た場合、どうするのが正解か。
まずは応戦という手。普通に考えて厳しいので却下。
次にここから離れるという手。包囲する形で攻めてきているなら無駄だし、この脚じゃ逃げようとしてもすぐに追いつかれそうなので却下。
それじゃあ隠れてやり過ごすか? それも却下。ただでさえ爆破されて見通しが良くなった店内だ、すぐに見つかるだろう。見つからなくとも、その腹いせで便利屋に危害が加わることは避けたい。
それじゃあどうするか...
「...奇襲するしかないかぁ...」
俺は傍に置いた仕事道具を握りしめて、そう呟いた。その時。
ガタッ
瓦礫を踏み締める音が耳に入る。アルたちが起きたのか?
否、足音が明らかに多い。しかも歩いている方向がまばらで、何か...あるいは誰かを探している様な歩き方。
間違いない。
敵だ。
そう考えに至った瞬間、俺は厨房から飛び出し、一番近い奴のドタマをかち割ろうと武器を振り下ろした。
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それは突然だった。
ロキが依頼で教室から出て行って1時間後くらいだったかな。
突然、住宅街の方から大きな爆発音が響き渡ったのは。
アビドスのみんなは最初、いきなりの爆発音で驚きつつも、どこで爆発したのか、位置の特定を急いでた。
結果として、爆発したのは、どうやらあの『柴関ラーメン』...
そう、私たちがついこの前セリカのバイト姿を拝んだ場所だ。
そこにかけられた一本の通話。相手はロキだった。
話してきた内容は、なんとロキ自身が爆発に巻き込まれていて負傷をしていること。そして、ロキが死にそうな状況になっていること。
端的にそれを伝えられ、私が何か言おうとする前に通話をブチ切りされた。
それをみんなに話したらめちゃくちゃ驚かれたし、ホシノとユメは呆れてため息すら出していた。
とにかく、すぐに向かったほうがいいだろうと判断して柴関ラーメンに向かったんだけど...
「ねぇ、何あれ...?」
そこには、ホログラム越しに土下座する水色髪の生徒、ずっと頭を下げ続けている眼鏡をかけた生徒、すごい申し訳なさそうな顔をしている銀髪サイドテールの生徒...
そして、それらを止めるように言い続けている満身創痍のロキがいた。
...何この状況
どうしても雑に終わってしまう。
これがにわKAくおりてぃ()