諸々身辺が忙しくて更新が遅れてしまいました...ッ! なんなら今回は以前よりももっと稚拙な文章になっているかもしれません...
稚拙な文章ですが、最後まで見てもらえたら嬉しいです。
よろしければ感想・評価お願いいたします!
追記:タイトル忘れてたので追加、本当に申し訳ございません。
ロキが入院してから3日。時刻はまあまあ早朝。
結構大慌てで。
"さっきの話、本当なんだよね?"
「はい...今日の朝、病院の方から連絡がありまして。
「ロキさんに直接電話しようとしても全く繋がらないし、事務所に行ってももぬけの殻だったし...」
「ユメ先輩にも連絡しようとしたんですけど、そっちも繋がらなかったんです」
「ん、隠し事。きっと私たちに内緒で銀行強盗してる」
「銀行強盗じゃないのは確かだけど...おじさんたちに隠し事してるのは感心しないな〜...」
そう、ロキがどこかへ行ったのだ。しかも入院してから3日も経っていないというのに。ロキは無茶をするのがデフォルト設定なのだろうか。
どこか不安気な空気のまま車を走らせる私たち。心なしか隣に座るホシノの目からハイライトが消えかけている気もするが、指摘すると怖いので黙っておく。
病院に着いた私たちは、受付をすぐさま終えて病室に向かうが、案の定目当ての患者はいなかった。そこにはただ忙しなく出入りする看護師やら医者がいるだけだ。
本来目当ての患者がいるはずのベッドは蛻殻だった。
「うわ、本当にいなくなってる...」
セリカが小さくそう呟いたのが聞こえた気がする。しかし、当の私はロキの行方不明という事態に頭を抱えてその呟きを拾う余裕はなかった。
「もしや、貴女たちはアビドスの方々でしょうか?」
そんな中、一人の医者がこちらに近づき話しかけてくる。
"えっと、貴方は?"
「私はロキさんの主治医をしています、烏丸という者です。彼のことで細かく説明しておきたいことがあるので、少しばかり時間を頂けると幸いなのですが」
烏丸と名乗った、黒い羽毛を纏う鳥類系統の医者が片手に持ったカルテで談話室がある方向を指した。
「さて...単刀直入に言いますと、彼の頭蓋骨の損傷は90%ほど治っています。これは異常といって差し支えないでしょう」
カルテに視線を落としつつ、烏丸医師が淡々とそう告げた。やはり、というべきか、彼の身体は医者も認めるほど治りが異様に早いらしい。
それもそうだ、骨折を1週間弱で治せるのだから異常以外の何ものでもない。
「ですが、その他にもおかしいことがありまして」
"おかしいこと...?"
「彼の心拍数なのですが、何故か毎度計測不可なのです」
「計測不可...?」
ホシノが不可解という顔で烏丸医師に聞くと、彼は頷いて話を続ける。
「彼に繋がれた心拍数モニターが全てエラーを起こすんです。他のモニターに変えたり、モニターの修理をしたのですが、どれも全部エラーを起こしてしまいまして」
「ただの偶然、というわけじゃ絶対無いですよね...」
「でも、確か機械系に弱いって言ってたような」
「そのベクトルで弱いってわけじゃないと思いますよ...?」
"これは、ロキに直接聞かなきゃいけないね"
「それが良いと思います。本人が知らないならどうしようもないですが、こういった明らかな身体の不調は本人に聞いた方が解決が早いこともあるので。
...っと、そろそろ時間ですね」
サッと腕時計を確認した烏丸医師は談話室を後にしようと立ち上がり、
「あ、それと」
何か忘れ物があったのか、彼はポケットを弄った。
「貴女方に預かり物があったのを忘れていました、こちらをどうぞ」
彼が取り出したものを受け取ってみると、それは1枚のメモ用紙だった。そこにはきれいな文字で、
『すぐ戻る、信じて待て』
とだけ書いてあった。
「ロキさんには、まだ完治したわけじゃないので病院に必ず戻ってきてください、とだけ伝えておいてください。
この病院も立ち退きで取り壊し間近とはいえ...患者は完治させてから帰したいので。なるべく威圧的にお願いします。それでは」
そう言うと、烏丸医師は談話室を去って行った。
「そっか、この病院も取り壊しに...」
「それほど、カイザーの手が迫ってきていると言うわけですね」
みんなが深刻な面持ちをする。それもそうだ、この前の柴大将の話にもあった通りアビドスではカイザーによる立ち退きが続いている。
由々しき事態ではあるけど、カイザーをどうにかできる材料が無いのも事実。手をこまねいている現状に歯痒さが起こる。
「というか、ロキさんの方も紙1枚残してどっか行くってどう言うこと!? 『信じて待て』とか病院脱走した人が言っても信じれないんですけど!」
「ん、落ち着いてセリカ」
「どうしましょうか、先生...」
"...立ち退きが進んでるなら、いずれ学校にもカイザーの手が届く...いや、もう届いてて、握り潰される寸前かもしれない。今はとにかく、カイザーに対抗できる証拠を見つけ出すのが最優先にしよう。
ロキの方は...まあ、信じて待つ以外無いかな...ロキは無責任にアビドスを見捨てるなんてことは絶対しないだろうし"
「ま、そうだよね〜...それはそうとしてお仕置きは必要だけど」
なんだかホシノの顔が怖いけど、何も言わないようにした。ロキ、帰ってきたら地獄だろうなぁ...
なんて心の中で未来のロキにお祈りで手を南無南無していると、ピピッという音がアヤネの方から聞こえてきた。
鳴ったのはどうやらアヤネが持っていた端末だったようで、ポケットから取り出されたそれを覗き込む。
「...? 学校の敷地内に誰かが入ってきたみたいです」
「カイザーローンでしょうか...?」
「でも返済期日ってまだ先よね? ロキさんはシステムに引っかからないし。ってことは...」
「ん、不審者」
シロコの言葉に一同は顔を顰めた。ただでさえ身の回りのことでてんやわんやなのに、その上学校に不審者が入ってくるのだから、顰めずにはいられない。
"人数がどれくらいいるか分かる?"
「センサーの反応では一人しか入ってないですね...カメラも接続してみます」
「それにしても、なんで私たちの学校に入ったりしたんでしょうか。お金なんて無いですし...」
"それは自分で言ってて悲しくならないの?"
「もしかしたら、セリカちゃんたちみたいな乙女の私物を持ち去ろうとする変態強盗だったりして...」
「ちょ、ちょっとホシノ先輩! 気色悪いこと言わないでよ!」
「変態じゃないにせよ、不法侵入したのは事実。ロキとの特訓の成果を見せる時がやっと来た」
なんてことを話し合いながら各々が学校へ向かう準備をしていると、ふと異変に気付いた。
ビィィィッ!! ビィィィッ!!
轟音とも聞き紛うほどのアラート音が静かだった談話室の空気を裂いた。音の出所は、アヤネだった。
「...アヤネちゃん? 今の音、何...? ていうか、どうしたの? 顔色悪いわよ...?」
先ほどとはうって変わりけたたましいアラート音が尚も鳴り止まない端末。しかし、アヤネはそれを止めようとしなかった。いや、どちらかと言うと、止める余力も無いほどに、焦燥しているように見えた。
先ほどから端末をいじっていたアヤネの顔色がかなり悪い。どうしたのだろうと私も様子を伺う。すると、アヤネが、うるさく喚くアラートを止め、端末をこちらに差し出した。
そして、小さな、そして震えた声で告げた。
「......えてます...」
"? ...!!"
「燃えてます...校舎が...!!」
差し出された端末に映っていたのは、真っ赤に燃え盛る校舎だった。画面一色に赤が映し出されていた。
窓ガラスは火を吐き出し、立ち上がる炎はパチパチとまばらの拍手が奏でる。
皮肉にもえもいわれぬほど綺麗にな炎の隙間には、何か植物のようなツタが校舎に巻き付いていた。
なんだ、なんなんだ。
その言葉が私の喉元から飛び出るか否かの瞬間、端末の映像にチラリと人影が映った。
いや、人影というにはあまりにも刺々しく、荒々しく、そして禍々しすぎた。辛うじて人の形をしているだけの化け物にも見えた。
はっきり言いたい。ソレは、恐ろしかった。私が今までに見た、どんなものよりも。
ソレは一瞬だけ姿を現したが、すぐさま映像がプツリと途切れた。おそらく炎の温度に耐えられなかったのだろう。
端末に塗りつぶされた黒が覗き込む全員の顔を映す。
「...なに、今の...!!」
「火で...全部燃えて......」
あまりに衝撃的な光景に、みんなが茫然とした声を出す。私とて、それは同じだった。声は出さずとも、困惑だけが頭を逡巡した。
最初に『誰』が、そして次に『何故』が。そのあまりにも真っ白なパズルは何をどう当てはめても納得のいかないものだった。たった一つの形を除いて。
"...カイ、ザー......?"
ポツリと零れた私の声は、きっと茫然としているここの誰の耳にも届かなかっただろう。何故なら、言った私でさえその言葉を再度咀嚼することが出来なかったから。
「...っ! 早く学校に帰りましょう!!」
一番最初に我に帰ったのは意外にもノノミだった。彼女の大声にその場の全員がハッとする。きっといつもなら病院で大声を出したことを誰かに咎められるか、あるいは自戒するだろう。でも、今はそんな余裕はない。
私たちは、すぐさま学校へと引き返すこととなった。
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「これは、ひどい...!!」
車をかっ飛ばして着いた校舎は、未だに燃え盛っていた。
先ほどの映像より鮮明に映るそれは、私たちのショックをさらに深くする。
「先生、消防はあとどれくらいで着く?」
"多分あと15分はかかると思う...それよりも...ッ!!"
みんなが一様に校舎を見やる。赤く荒ぶる炎、その外皮に覆われるように張り巡らされたツタ。その中から、先ほどの映像にチラリと映った人影が姿を表した。
「! せ、先生...アレ......」
"...うん、人じゃない。間違いなく"
かの人影は、全身にツタが巻き付けられ、片手には茨でできた槍のようなもの、もう一方の片手で古ぼけたトーチを握り締めている。顔と思わしき部分は紫色のアサガオやらバラやらが一面咲き誇り、足元からは校舎へと続くツタが伸びていた。
それはまさしく『異形』、この言葉が一番よく似合った。
「放火犯...で、間違いなさそうだね」
「火の勢いがかなり強いです、このままだと校舎も手遅れに...先生、今は交戦は避けられません」
"そうみたいだね。全員準備は────
ふと、放火犯がこちらへトーチを向けた。
ゾワリと腹部を刺激するような、生まれて初めて感じた死の予感に、私は咄嗟に叫んだ。
"ッ!! みんな避けて!!"
「「「「「 !! 」」」」」
私の大声を皮切りに、全員が散開した。
避けるために動かした足が地面についた瞬間。私たちがいた場所に放火犯に巻き付いていた炎を纏うツタが、もはや音速を超えるやもしれない速さで突き抜けた。
突き出されたツタは轟音と共に後方の地面を削り取り、そのまま纏っていた炎によって灰となった。
もし当たっていたら...ヘイローがあるみんなならとにかく、私は一撃で腹を貫かれていただろう。それを考えると背筋が凍える。
「あっぶな!? 先生ナイス!!」
"アレに当たったら、絶対にただじゃ済まないよ。みんな気をつけて!"
服やシッテムの箱に付いた砂埃を落とし、すぐさまみんなの指揮を始める。
"下手に防御しないようにして! 相手は未知の敵だから何をしてくるかわからない、初見殺し的な何かがあるかもしれないから。アレの攻撃はできるだけ避けて戦って!"
「了解!」
「行きますよ〜!」
次々と繰り出されるツタを、廃棄されたロッカーやら土嚢やらを身代わりにして避け続ける皆。
校庭は砂埃やら煙やらで視界が悪くなっている。相手にどう見えているか分からないが、攻撃を避けながら戦うにはうってつけのコンディションだ。
「突っ立ってるだけなら外さない...!」
遮蔽物のロッカーに隠れていたシロコはヘイトが逸れていた。それをチャンスとばかりに、シロコはロッカーの陰から下手人へ弾丸を放った。
が、効いている様子は見受けられない。
シロコの放った弾丸はツタによって絡め取られ、そのままぽとりぽとりと地面へと落ちていく。
「全然効いてない...」
"纏ってるあのツタが邪魔だね。なんとかあれが無くなれば..."
「って言っても...さっ!」
次々と繰り出される攻撃に、皆は避けるのに必死で攻めに転じる機会が無い。素早く、そして乱雑に打ち出されるツタは、次々と遮蔽物を破壊しそれらに炎を灯す。
このままだとジリ貧だ。校舎もタイムリミットが近い。
焦る頭で打開策を考えていると、突然シッテムの箱の中から声が聞こえた。
〈先生! 私、気づいちゃいました!〉
"! どうしたのアロナ?"
〈あの
"確かに...! ネーミングセンスはおいといてナイス洞察力!"
〈えぇ!? ツタヒメって名前そんなにひどいですか!?〉
"安直すぎるかもね、伝わりやすさならピカイチ! それよりも、みんな! じゃんじゃかツタ消費させまくって!"
私の出した指示に、いの一番に反応し動いたのはホシノだった。
「それならおじさんの出番だね〜?」
先ほどから避けることに専念していたホシノが、盾を真正面に構えて腰を落とす。そう、攻撃を受け止める構えだ。
両手でがっちりと掴まれ、より揺るぎなく強固になった盾へ。幾つか束ねられ、より素早くなったツタが飛ぶ。
ガァンッッ!!!
おおよそ植物が出してはいけないだろう音が校庭に響き────
「ってて...これはなかなか骨に響くね...」
呑気な声と共に、ツタが盾の前に跪いた。はらりと燃え尽きたツタが足元に消えた。
「すごい...多分150kmちょっと出てたはずなのに、受け止めるなんて...」
"この調子でいくよ! ホシノはヘイト買いつつツタを全力でガード、みんなはツタに一点火力集中!"
「「「「了解(です)!」」」」
一斉に指示を出すとともに、全員の銃口が一点を指し示した。
狙いはツタの根本。
"シロコは両脇の遮蔽物を使って。ドローンで爆撃して砂埃起こして煙幕代わりに!"
"ホシノはあと2発耐えたら遮蔽物に隠れて。隙は砂埃で多少カバーできるから"
"アヤネはホシノに救急物資投下して。ノノミはなるべく広範囲に弾丸をばらまいて!"
だんだんとツタの残数が減ってくる。心なしか、炎の勢いも弱まってきていた。
「っ! あと少し!」
何本ものツタをホシノが盾で叩き落とす。はらりとツタは灰へと変わり風に消える
「ん...! このままゴリ押す!」
シロコの弾丸がツタを貫きちぎった。なおも灰が風に混じる。
「このまま行きますよ~!」
ノノミのばらまいた弾丸により、ツタがじりじりと削られる。灰が宙に舞った。
そして────
『! 見えました!』
放火犯の周囲をグルグルと巻いていたツタに、隙間が開いた。纏わりつく炎の間から垣間見えたのは、苦痛に悶え苦しむが如く酷く歪んだ人の顔だった。
"今だよ、セリカ!!"
好機。舞い上がっていた砂埃から、セリカが姿を現す。ずっと潜み続け、狙い澄ました弾丸を貫かせるために。それが、今だった。
「これで...終わり!」
銃口はすでに捉えていた。その隙間の奥の、標的を。
勝った。
バシュッ!!
その音はおおよそ植物から出て良い音ではなく。
「嘘...でしょ...!?」
そしてまた、私たちの勝利を示す音でもなかった。
「またツタが生えてきました!?」
「いや、多分あれは校舎に回してた分...!」
隙間を埋めるように聳え立ったツタが、セリカの弾丸を弾いた。ぽとりと落ちた弾丸に火が燃え移り、すぐに消えた。
完全に倒した...そう思ったのはどうやら早計だったらしい。
と、
"! セリカ避けて!!"
完全に倒したと油断していたセリカが体勢を整えようとしていた最中。
セリカの背後の地面が砕け。
「! まずっ────
ツタが飛び出した。
ブシュッ
妙に軽い音が、鳴った。
ガ・稚(ガチで稚拙)