【完結】北斗神拳、アイドル界に炸裂!   作:朝比奈小町

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【本編】
第一話 ラオウ、夢想転生ッ!!


――俺は、ケンシロウに敗北したッ!

――愛と言う哀しみを背負ったケンシロウに!

――末弟だと侮っていた、最も才の無きケンシロウに!

 

「このラオウ、天に帰るに人の手は借りぬ! 我が生涯に一片の悔い無し!!」

 

我が突くは北斗の秘孔、死の秘孔ぞ!

猶予がある。

常人には数瞬、闘技者には数刻程度の猶予が!

 

「さらば!ケンシロウ、ユリア!」

 

天の豪雷が轟く。

頭上の雲海は去り、核戦争で曇っていたはずの太陽光が我を! 我を輝かす!

そうして、我はその生涯を世界と武闘に賭し、その生を閉じたはずだった。

 

*

だが、我は再目覚めた。

20世紀末、核戦争も起こらず、世は暴力によって乱れず、民が安穏と暮らしている世へと!

 

俺には我慢がならぬ!

混沌には恐怖をもって秩序を!

秩序あらば首魁となってを国を!

故に我は欲した!

国を!世界を!天を!その全てを!

 

しかし俺には欲すること叶わぬ!

なぜならば‥‥、我が身は乳飲み子であるが故に!!

 

しかし生まれ変わるなどなんたる幸いかっ!

神の偉業かっ!

 

神など信じぬ!

 

もしや奥義、夢想転生のせいやもしれぬ!

——夢想転生——

哀しみを負う北斗神拳伝承者にしか使えぬ秘奥義が、我らを共鳴させたのかもしれぬ。

この名も知れぬ赤子と、ラオウと、ケンシロウと!

 

しかし、天命こそが我につげる!

これは今世でこそ天下を取れと言う天命だっ!

 

覇道を!覇道をこそ!我が手に!今度こそ手に入れて見せよう!

 

*星野アクアマリン

――俺の姉はどこかおかしい。

 

ウチの家族は三つ子の姉弟だ。

上から順に、ダイアモンド、僕、ルビーの順だ。

皆、物心ついた時は二歳ぐらいだった。

そうして、気づいた。

――皆、何故か前世の記憶があることを。

 

妹のルビーは僕と同様、星野アイの重度のオタクだ。

蛾が炎に集まり、吸い込まれその羽を焼くように、僕と彼女も同じく焼かれている。

 

アイは巨大な恒星だ。

どんな星々でも吸い込み、その身で、その光で、その熱量で、焼き尽くすだろう。

無論例外はない。

――もちろん、ファンの色目だけれど。

 

しかし、ルビーも僕も、前世があるとはいえ、どこかダイアモンドは異質だった。

 

しかも三つ子であるはずなのに、すでに骨格が違いすぎる。

ガーガーといびきを立てるが堂々と眠り、バクバクと大量に食べ、スクスク育ち、

――そして何より堂々としている。

 

僕とルビーは一般人の範囲だ。

それでも、姉のダイアモンドはお母さん同様、恒星のようだ。

 

……いや、もしかしたら母よりも巨大な恒星なのかもしれない。

この時は、「なんか昔の王様なのかも」ぐらいにしか思っていなかった。

 

僕はその時、姉の片鱗すら見えてなかったことを、

――数年後に思い知る。

 

*星野ダイアモンド(ラオウ)

己れの成長の遅さが憎い!

乳飲み子とはなんたる力のなさ!

なんたる貧弱さ!!

 

そして、この覇王であったラオウをして、乳に吸い付かざるを得ないとは……!

男児としての不覚よ!

 

葛藤はあった!

だが乳飲み子として母の乳を飲むのは道理!!

 

しかして、覇王であった誇りがそれを許さぬ!

だが体は乳を欲す!

成長の為にも乳は必須!

 

ぐぬぅ〜〜!!

儘ならぬものよ!

 

「はーい、ダイヤモンドちゃん、ママのおっぱい飲みましょうね〜〜❤︎」

 

そうしてもたらされる母の乳。

抵抗するも優しく払われ、むべなるかな。

二歳児の非力さが惜しいが、味はまさしく甘露。

この幼き体にいみじくも染みる!

 

生前、「愛」など自害する寸前まで感じることはなかったが、もたらされるこの滋養で理解した!

これこそが愛!

我が母上の名前こそアイであること、我が過去、「愛」を感じることが出来なかったこと。

――これは偶然ではあるまい!

 

母を通じて、愛を学びなおせという天命なのだ!

 

――女の乳を啜る

 

それこそは恥辱であるが、幼き者、未熟な者に対する無償の奉仕!

これこそが愛!!

 

恥辱でこそあるが、受け止めよう!

母の愛を!

何故ならば、我は覇王!

ラオウであったがゆえに!!

 

覇者は媚びぬ!

怯まぬ!

退かぬ!

 

ならば全力で受け止めて見せよう!

『愛』すらも!!

 

意識が目覚め始めた数年、母と我と兄妹たちは安穏たる時を過ごした。

否、幼児の身であるが故に、そうせざるを得なかった。

 

だがそれは我が身に至福の癒しをもたらした。

前の生で武闘に明け暮れたのとはまるで対照である。

我が「これはこれで良い」と思っていたのは、我が腑抜けていたのかも知れぬ。

肉体に我が精神が引っ張られていたのかも知れぬ。

だから、幼児の身であり、数年武闘に徹しなかったせいもあり、のちのことに気づかなかったのであろう。

しかしてこの頃は平穏で至福の時であった。

 

* 星野アイ

 

アタシには三つ子の赤ちゃんがいる。

ルビー、アクアマリン、そして女の子の……、

――ダイアモンドだ。

皆、1歳の頃は可愛かった。

けど、この子達は2歳をすぎた頃になんだか変わり始めた。

 

周りに相談する人はいなかったけれど、芸能界に長くいる佐藤社長(ごめーん⭐︎本当は斎藤だった)によると、

「早熟な子はいる。でも中高生になる頃にはみんな同じぐらいになるさ、心配するな」

とのこと。

 

社長はそー言うけれど、アタシにはわからなかった。

ルビーとアクアマリンは良くも悪くもまだフツーの範囲内だ。

でもダイアモンドだけは違う。

 

同じ三つ子のはずなのに、彼らの4倍は食べるし、おっぱいも4倍吸う。

一回本気で吸われすぎて、おっぱいに噛み跡ができちゃうかと思った。

アタシも思わず叱っちゃったら、少し控えるようになったけれど、それでもガブガブと飲み続け、ルビーとアクアよりも体の成長速度が早くてビックリしちゃった。

 

三つ子で、みーんな4歳のはずなのに、ダイヤモンドだけ頭いっこ分おっきい。

 

アタシがアイドルをやってるせいか、テレビを見るときはアイドルや歌番組や映画、アタシが出た作品を家族みんなで見る。

しかし、ダイヤモンドだけは全然興味なさそうに別の何かの練習をしているみたい。

 

部屋の中で何かわからなかったけれど、ずっと何時間も踊り続けるダイヤモンド。

……まるで昔、施設で男の子たちが見てた、中国のカンフー映画みたいだ。

起きている時間はずっと、何かしらの稽古をしている。

ダンスかな?と思ったけど、数年前に義務教育で見せられた古い時代の舞に近い。

 

ダイアモンドは可愛いけれど、その時間だけはお母さんたるアタシすら話しかけるのも躊躇われた。

雰囲気が鬼のようだ。

真剣に取り組む様は、常軌を逸しているのか、才能なんだろうか?

嬉しいのが半分、赤ん坊らしくなくて悲しいのが半分。

複雑なキモチ。

 

しかし良く見ると、ゆっくり動く時が半分、本気で動く時が半分。

型の訓練と、実践を想定した練習なんだろうか?

大体、疲れてその場で寝落するのだけれど、そうした時はアタシがベッドに運んでいる。

すると、概ね不快そうにしている。

 

母に何かされる、というのも嫌らしい。

どうにも変わった子だな、ってゆう感触は何かアタシの中で確信になりつつあった。

 

始めた当初は「アタシのいない間に何かに影響されたのかな? かわいい〜❤︎」ぐらいに思ってたけど、

――最近は様子が違う。

――でもアタシも母になったせいか、

――自分の子供だからかわからないけど、前向きに捉え始められていた。

 

ちっちゃい体のままなのに、すでに何かしらの風格がある。

大昔だったら王様になってたかも!

 

さっすがアタシ!

赤ちゃん産むのにも才能があるんだね!

 

将来は芸能界かな!?なんてアクアとルビーには思っていたけれど、この子だけは格闘技で名を挙げるかもしれない。

もしかしたら政治家!? 総理大臣になっちゃうのかも……! なんて勝手に思っている。

 

この子たちがスクスクと育ち、アタシがアイドル辞めてる頃には、すでに大物になってるかも‥‥!

なーんて!

 

最近気づいたんだけど、夜空に星空が見えるようになった。

明るすぎて見えない東京の中でも星空なんて……。

 

なんだかいいことあるかもっ♪

 

来週、東京ドームだしっ❤︎

あんなおっきな会場でやるの楽しみだからコーフンしちゃうなー♪

 

*星野ダイアモンド(ラオウ)

母上が玄関を開けて出て行ったら、殺気を感じたので北斗無想流舞で数瞬で移動、咄嗟に母を引っ込めたが、

――時すでに遅し!

 

「母上っ!!」

 

愛ゆえに!

愛ゆえに苦しまなければならぬのだとしたら、これは何だ!

 

「ぬぅんっ!」

「ぐぁばっ!」

 

賊を一刀両断にする。

賊は死んだ。

 

脳髄と脊椎と臓腑がヒラメの如く開かれた後、肉体は四散した。

 

賊のことなどどうでも良い。

 

だが、目の前には愛する母の姿が。

愛する母が、腹を抱え、血を流し倒れている。

我がギリギリ間に合ったせいか、刺し傷ではあるが深くはない様子。

これならば、まだ助かるっ!!

 

「母上っ!! すまぬ!! 我が一生の不覚!!」

「ダイヤモンド……」

「怪我は浅い、今治療する。その場で動くなぁっ!」

 

我の北斗神拳は剛の拳、トキほどではないが我も才あり、我が拳も柔拳なり!

 

「ぬぅんっ!」

 

北斗神拳の経絡秘孔を優しく突く!

 

「ああっ!」

 

母は悲鳴をあげ、それを気に動揺してた我が妹弟たちが集まってくる。

 

「ママぁっ!大丈夫!? いくらお姉ちゃんでもママを殴るのは許さないんだからっ!」

「だ、ダイヤモンドもルビーも落ち着け! 今、警察と救急車呼んだから!」

 

同時に我の前に立ち塞がる兄妹。

二人とも、鳥肌をたて、まるで生まれたての鹿の如く震えている。

我の闘気を一瞬でも間近に感じたと言うのに、前に立つ意気や良しッ!

――良い弟妹を持ったのやも知れぬ。

 

「案ずるでない! 我が北斗神拳は剛拳でもあるが、同じく柔拳でもある! 母上の経絡秘孔を突き、治癒力を増大させた」

「ケーラクヒコー!? ニューケンっ!? 何それっ!? わかんないよっ」

 

我が妹ルビーは理解し得なかった様子、泣きながら困惑し、我の前に立つ。だがアクアはその対照であった。

 

「経絡秘孔。東洋医学の観点から見る、生命の根源たる穴のことだね……。現代の西洋医学とは対照的で非科学的なモノだ」

 

弟のアクアは口は動かしながらも、手は止めない。

手つきが慣れた様子だ、どこかで医術の経験があったのかも知れぬ!

今世は運にも恵まれておろう。

 

「お母さん、傷は浅いから、大丈夫だよ……」

「ありがとう、アクアマリン……」

 

母上はその身を廊下の壁に寄りかからせる。

我も心配であったが、弟のアクアは目を見開き始めた。

 

「え……、血が止まってる……!?」

「え、え……!? ほんとーだ……」

 

アクアも母上も刺された傷が少しずつ塞がっていくのに困惑している。

トキならば、もっと上手いのだろうが、我はこれが限度だ。

武闘に生きた身である。

我が弟トキほどではないが、これほどならば上出来である!

 

そうして、我が弟がその医術でも血を止めている間、紺の制服に身を包む治安機関の兵隊どもが現れた。

 

「なっ!? なんだこれっ!? 体が……、四散してるっ!?」

「血だらけじゃねーか!? 応援を呼べっ! 大至急だっ!」

「おいっ、女性が倒れてるぞ! 大丈夫ですかっ!?」

 

*星野アクア

……あれから結局、アイは仕事に行った。

数億円単位で動くドーム公演。

途中で止める訳にはいかない。

止めたらそれだけで苺プロが傾く。

警察は事情聴取もあり、引き止めようとしてたが……。

アイの後ろにいるダイヤモンドの強烈な圧に押されて、すごすごと現場検証と残った死体を片付けながら引き下がった。

後ろにいる僕ですら、ゾワゾワと悪寒が止まらなかったのだ。

 

――警官たちには恐怖に思えただろう。

――謎の幼児が一言も発さずに、

――「邪魔をするな」と言うのだ!

 

心配だったアイの体調だったが、「むしろ体の調子が良くなった」とさえ言う彼女に、心配だったが、傷ひとつなくなったのを見て理解してしまった。

――ダイアモンドが、とてつもない恒星であること。

――結局僕なんて必要なかったこと。

 

犯人は結局、「強烈なファンだった自爆テロ犯」、と言うことになった。

何より証拠がない。

僕だって見ていない。

――人が四散するなんて状況。

 

誰が信じられるだろう、

――人ひとりが細胞の一欠片に至るまで飛び散るなんて。

 

でも爆発なら、犯人が爆心地にいたならば、なんとか理由づけは強引だが出来る。

無論、検死だってできないだろう。

だって文字通り、細胞の一欠片に至るまで全て吹っ飛んだんだから。

 

結局僕はいらなかった。

 

姉のダイヤモンドが僕ら姉弟の中で一番優れていて、

――僕が今まで必死に受験勉強を突破して、

――よりもっと勉強して医師免許の国試にも合格して、

――散々婦長に罵倒されながら初期研修をやり、

――現場を這いずり回りながら色々な苦労をしたこと。

 

あの術を見ると、結局無駄な時間だったんじゃないかって、思うことがある。

でも、アイの護衛に行くと言って聞かない姉は、ただ一言、僕の頭を撫でながらこう言った。

 

「よくやった。これからも、うぬの医術が必要になる時が来る。そして、母上の側で、貴様自身の今世についてよく考えるのだ。我が道は覇道を行く、母を守り、惰弱な民草を育て守る存在となろう。貴様も母上と相談し、よく考えるのだ。そして、真の言葉をもって想いを伝えよ」

 

僕はその一言で救われた。

実際に救われたのだ。

何もできなかった自分、後悔と涙の連鎖に陥りそうになった自分。

 

だが、これだけ強大な姉のダイアモンドが言うのだ。

 

僕も母の助けになれるよう、頑張ろう。

その日、転機が訪れた。

 

※ルビー

ドーム公演のあと、打ち上げなんて無いまま、念には念を押して病院に行ったらしい。

本当はママがお腹を見せて、跡が一つも残っていないことで、シャチョーもミヤコさんも事件を信じていなかったのだが……。

帰ってきた際、玄関前の血の惨劇を見て慌てて病院に連れて行ったらしい。

ママを信用しているのは分かるが、アイドルの管理くらいちゃんとしてほしいものよねっ!

 

運営仕事しろーっ!

 

でも、その後、お母さんにアタシたちは大事な話をされた。

 

今日、ダイアモンドお姉ちゃんのおかげで九死に一生を得たのかも知れないこと。

お父さんとはもう会えないこと。(お兄ちゃんの入れ知恵らしい。お母さんが誰かと連絡とったことを聞いたら、お父さんに連絡したら即日引越しが決まった。まるで夜逃げみたい……、というか夜中に出ていったし、夜逃げだった)

 

そして何より嬉しかったのが……。

――お母さんがアタシたちを愛している、と言ってくれたこと。

 

――行動としては愛されていた

――愛されている実感はあった

――でも、

――「愛している」

――その言葉だけは聞いたことがなかった。

 

言わなくても伝わる感情だと思っていたが、ママは心配だったらしい。

――ウソをつく職業だから、この言葉がウソだったらどうしよう

母から出てきた言葉が心配だった。

 

「例え世界の誰もが愛さなくても、アタシも兄さんもお姉ちゃんも、ママを愛しているよ」

 

アタシがそういうと、ママは号泣した。

素の顔で見たこともないほど号泣してた。

涙に溢れ、ママはアタシたちを抱きしめた。

アタシの胸に喜びが溢れ出る。

嬉しい感情が止まらなくて、それは涙となった。

アクアお兄ちゃんは冷静だったが、アタシはその涙を見逃していない。どこか少し嬉しそうだ。

ダイアモンドお姉ちゃんは悠然たる面持ちでそれを受け止め、ママを抱き返していた。

 

アタシたちは、家族だったけれど、より一層家族への絆が深まった気がした。

 

「ママね、刺された時、あなたたちの未来について考えちゃったの」

「どーゆーこと?」

 

舌足らずなアタシが言うと、ママは嬉しそうに微笑んだ。

 

「ルビーはかわいく生まれたし、ママの後を継いでアイドルになってくれたら嬉しいなー、なんて思っちゃったし……」

「なる! アタシなるよ、アイドルに!」

「ママ、その言葉、嬉しいなぁ……」

 

ママはアタシの言葉を噛み締めるようにしている。

あれだけのことがあったのに、まだ続けるらしい。

度胸も据わっている、さすがアタシの尊敬するトップアイドル!

泣いている姿でさえ魅力的で、どこかコーフンしちゃう!

 

「アクアは将来俳優さんかな、なんて思っちゃった」

「…………」

 

むすっとしているが、お兄ちゃんは恥ずかしくて照れているみたいだ。

……どうやら満更でもないらしい。

 

「今日、ママを助けてくれてありがとう、ダイアモンド♪ ……ダイアモンドはね、将来スポーツかお医者さんで有名になってくれたら嬉しいな、なんて♪ でも大物っぽいから、総理大臣とかなっちゃうかもね。なんか器とか才能?そういうのも大きいっぽいし、将来いっぱい人の役に立ってほしいな」

 

はにかみながらママは言う。

でも、

――お姉ちゃんの次の一言が衝撃だった

 

「断る」

「……そ、そっかー。どんな未来もあなたの選択、だものね。ママは応援してるよ」

 

ママは少ししょんぼりしている。娘のアタシが慰めてあげたかった。

でもお姉ちゃんは続ける。

 

「我は誰の指図も受けぬ。しかし、愛する女は我が手で守るのが道理」

「……? ダイアモンドは将来何になりたい?」

 

ママは優しく、お姉ちゃんに問いかける。

だが、――次の言葉が更なる衝撃となる。

 

「我はアイドルとなり、その覇道を押し通る」

 

この場の全員、アクアお兄ちゃんとママとアタシ、みんな目を見開いている。

衝撃的すぎて、背筋にシビレが走った。

肌に鳥肌が立つ。

ママも衝撃的だったらしい。

 

「ア、アイドルっ!?」

「うむ。母上の愛、しっかりと受け取った。しかして恩を返さぬは道理にかける。よって、我がアイドルとなり、母上を支え共にあろう」

「そ、それがどうしてママを守る事になるの? ママはあなたに自由に進む先を決めてほしいの……」

 

ママの事を無理に背負う必要ないんだよ?とママは言う。

お姉ちゃんの優しさに嬉しくなっているみたいだが、自分の運命を背負わせたみたいで気まずそうだった。

だけど、お姉ちゃんは気にしないように言う。

多分お姉ちゃんなりの気の使い方なのだろう、数年一緒にいるのにまだこの時はアタシもお兄ちゃんも気づいていなかった。

 

「よい。我が自分でアイドルの道を選んだのだ。アイドルになり、普段より共におり、我の拳によって万難を排そう! 艱難辛苦に喘ごうとも、どんな苦難も払おう! そしてやるからには覇道を歩まねばならぬ! それこそが我が宿命なれば!」

 

アタシたちは非常にビックリしていたが……、ある意味では真理な事に気づいた。

今日の真犯人は(お兄ちゃんによればおそらく父だけどママの前で言うのは憚られる)、またママを狙ってこないとも限らない。その時に一番近くにいるのはマネージャーかアイドルの同僚だけだ。

マネージャーは無理だから、アイドルになって、一緒にB小町を支えようという考えなのだろう。

 

――アタシたち、まだ四歳だけど。

 

お姉ちゃんの言葉はまだ続く。

 

「『武』とは見せつけ、それだけで相手を怯ませるものでなければならぬ! 故に、この世界で一番の闘技者の大会に出て、覇道を押し進むのだ!」

 

そうして、お姉ちゃんは武闘家(?)闘技者(?)としての道を進むと同時に、アイドルとしての道を進むことになった。

 

誰もが思っていなかっただろう。

この時、本当にこのお姉ちゃんがママよりどデカいアイドル兼タレント。

――そして最終的に政治家になるだなんて……!

 

誰もそんな事はまだこの時は思っていない。

――お姉ちゃんの快進撃は始まったばかりだ!




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前提)2024/7/18発売の本誌にて新情報が発表。

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  • 1,2週新情報待って完結目指して更新?
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