いつも読んでくださる皆様のおかげです。
ありがとうございます!
※黒川あかね
神々の生まれた地、高千穂の山々に囲まれて、私はダイアちゃんに
彼女から、かつてない怒りを感じている。
――多分、私のために怒ってくれているんだ……!!
私にはそれが嬉しかったと同時に、ダイアちゃんが対峙する人物に恐怖していた。
スラリ、とダイアちゃんの武威を流しながらも、悠然と構えている金髪の男性。
ここに、21世紀最大の修羅場が発生しようとしていた。
※ツクヨミ
私は、背の高い杉の木の上からそれを見ていた。
神々の生まれた高千穂の地。
そこに現れた神の拳、北斗神拳。
――その対決を。
「どうなっちゃうんだろうねぇ……。彼女」
私の観測した世界では、黒川あかねはアクアの彼女となっていた。
「B小町の妹グループに加入するのは見たコトないかなぁ……?」
「それに……、これから覚醒するアクア君も、無垢な魂ゆえの現象なのかな……」
「ふふ……。これも並行世界、剪定事象の面白みだよね……?」
「ねえ、君もそうは思わない?」
――神木ヒカル君
※黒川あかね
MVを撮影を終えて、お休みとなった6日目。
私は悩んでいた。
――日焼け……しちゃうよね?女優なのに……
――一人でも大丈夫……、かな……?
登山するといっても、観光案内所によればハイキング的なコースらしい。
それでもソロ登山は心細い。
まして、私は自分で言うのも憚られるが、都会っ子だ。
こういう、野山を散策する趣味なんて、山頂まで舗装路とロープウェイが敷かれた高尾山ぐらいしか……。
登山口で悩んでいると、ちょうどよく、金髪の華奢な青年が声をかけてきた。
「私も一人ではやっぱり不安なので……、一緒に行きませんか?」
見知らぬ青年は好印象で、爽やかで、私がアイドルだとしても、平日のこの時間に登山する客は他にいなかったので、信用してしまった。
――これが後悔する選択だと知らずに。
………
……
…
宮崎の山々は九州ということだけあって、冬でも緑生い茂る常緑樹林ばかりで、本州とはまた少し違った気候を感じられて、本当にきてよかった。
冬山登山ではない、通常の登山が初心者の私にはありがたい。
冬はコンクリートで冷える東京と違い、言葉にし難いが自然な寒さが私を貫く。
汗をかいて発熱した躰を貫くものだから、それもそれで汗冷えしない範囲で心地よい。
「はぁ……、はぁ……」
「………………」
二人とも無言で山を登り進む。
多分……、こっちで道はあっているはず。
手元のコンパス。
時計と太陽の方向。
等高線から見る地図。
加えて、所々に見える明るい星々。
「あんなところに明るい星ってありましたっけ……?」
「…………? 私には見えませんが……?」
何を言っているんだろう?
あんなにも天高く、昼間から輝く星7つ星があるのに。
「……あんな星座あったかな?」
※ミヤコ
皆それぞれで温泉宿を満喫していると、ダイアと黒川さんだけがいないのが目に留まった。
「そういえば、黒川さんは?」
「なんか登山してみたくて、山に登ってくるって言ってました。あとダイアも」
「ふーん……」
有馬さんがマッサージ椅子にハマりながら答えてくれる。
都会っ子を地で行く黒川さんには、九州の山々は珍しいのだろう。
するとルビーがダイアに食いついた。
「あれ、なんかお姉ちゃんもいないけど……」
「ダイアは山に修行に行くとか言ってたわね」
「え!?それなら私も行きたかった~~~!!!!ダイアとトレーニングしたかったのに……」
急に落ち込むかなさん。
よっぽどダイアのことが好きなんだろう。
……いつになったらダイアはハーレムを作るのをやめるのかしら。
そんな素っ頓狂な考えが頭から離れなかった。
(ちなみに私は50人を過ぎてから数えるのをやめた。)
※黒川あかね
――『鎖場』と『ガレ場』
よく登山に登場する、鎖で登る道と、足元が不安定でガレキだらけの箇所をそう言うらしい。
確かに鎖を補助的に使って渡る道は、よく見ると下は30mぐらい崖になっているらしく、本当に初心者向けのルートなのだろうか……?と疑念が湧く。
でも、私には良くわからなかった。
「こっちであってるんですよね……?」
「多分、方角的にも間違いありませんよ。怖いなら私が先に行きましょうか?」
山慣れしているこの人がいうなら、間違いないかもしれない。
装備も格好も、私と違い板についている。
「下まで相当な高さがあるからね、この登山ルートで初心者でも危ないところはここだけだから、気をつけてね。電波も圏外だし……」
「は、はい、わかりました」
――でも、私の判断は間違いだった。
※神木ヒカル
残り1m。
鎖場に手をかけ、わずか15cmしかない足場を横伝いしようとしている。
(今がチャンスかな。じゃあね、黒川さん。君もまた美しい『星』だったよ……)
と彼女の肩を掴んで振り落とそうとしたところで、
――反対側から肩をつかまれてギクっとした。
※黒川あかね
――落ちる!?
その恐怖を感じたところで向こう側から、――ダイアちゃんが現れた。
――ダイアちゃん!?
突然のダイアちゃんにオロオロしてしまう私。
とりあえず、ダイアちゃんにあの青年に気を取られているうちに、私は鎖場を戻り、元の安全な位置に戻った。
ダイアちゃんと、青年は見知らぬ顔ではなさそうだ。
…………何か、因縁深いものを感じる組み合わせだ。
動揺する私をよそに、ダイアちゃんは物騒なことを言い出す。
「………うぬのような矮星には、引導を渡さねばならぬと思っていた」
「きみが星野ダイアか……。とても僕と彼女の血を引いたとは思えないなぁ……。ほんとに同じ三つ子なのかい?」
「…………分かっていることを聞くが、母アイに狂信的ファンを送り付けたのは、うぬで間違いないな」
――嘘は許さぬ
私はレクリエーション登山してたはずなのに、とても混乱していた!
――ダイアちゃんどうしてそこに!?
――ダイアちゃん、斎藤社長夫妻の娘じゃないの!?
確かに、斎藤夫妻の顔立ちではない。
ダイアちゃん、ルビーちゃん、アクア君。
この三人、顔立ちはアイさんからきている。
——ダイアちゃんだけとりわけ別っぽいけど!!
でも、ルビーちゃんとアクアくんなら納得だ!
「仮にそうだとして、……今、僕をここで殺すのかい?」
「我は天命により、愛を知り、
――座して待て!
ダイアちゃんの闘気が膨れ上がるが、柳のように受け流す青年。
あろうことか、世界最強のダイアちゃん相手に、挑発し始めた!!
「ふーん……。僕が東京に戻ったり、スマホの圏内に戻ったら、有る事無い事バラしちゃうかもよ?」
「ぬはは! 我を侮るな!」
――うぬの意図など見え透いておるわ……!
――うぬが自覚せぬだけでなぁ!
「なんとも滑稽な男よ……。自らの手で人を『星』にすることでしか、悦びを感じられぬ男とは……」
「…………」
「座して待つのだ……!この拳王の命令が聞けぬのか」
「キミほどの輝きを持つ巨星にそこまで言われるなんて……。うれしいよ。連絡、待ってるよ」
名刺を取り出し去っていく青年。
ちらっと見えたが、そこには「神木ヒカルの文字」。
…………、劇団ララライのOBにそんな名前がいたような……?
去っていく青年、神木ヒカル。
一方で、私には天頂にある7つの星々がさっきから見えなくなっていることに気づいた。
でも、そんなことよりダイアちゃんだ!
ダイアちゃんが、鎖場など関係ないようにひとっ飛びしてくる。
――その体には汗など微塵もない、結構な山奥なのに!
「ダイアちゃん……、さっきの人は一体……」
「……我の血縁上の父となる人物であるが、……詳しくは東京に戻ったら話そう」
ダイアちゃんは微動だにしないが、普段から観察している私には彼女が動揺しているように見えた。
「そう……、そっか……。私には話してくれないんだね……」
少しショックを受ける私に対し、ダイアちゃんは一切ぶれなかった。
「うぬぅ!そうではない」
力強く私を抱きしめるダイアちゃん。
「ヤツは巨大な矮星なのだ……!いるだけで周囲を歪ませる!無論、この手で処すことも考えたが……、それは母上が望まぬであろう!だが、我の『愛』は下手だ。女一人手に入れることもかなわぬこともあった!」
——あのダイアちゃんが女性一人手に入らない!?
——あのモテモテのダイアちゃんが!?
私には衝撃だったけど、恋愛は論理で通じないこともある。
そういうことも、あるのかもしれない……。
「うぬの知恵を借りることになろう……!」
「うん……、うん……!」
アカネ、ダイアが求めてきてくれて、頼ってきてくれてうれしい。
そして、何より私を助けてくれたことも!!
助かったことから安堵したのか、一気に冷や汗が出てきた。
崖下を見る。
30mなんて落下したら、とてもじゃないが、見つけてもらうのに数日かかる。
骨折、それも大腿骨骨折か頭部挫傷は免れない。
大量出血、ゆえに動けない。
食糧不足故の餓死。
水不足による脱水による死。
あらゆる状況が想定できてしまう死の場所だ。
隠されたらなおのこと見つからないだろう。
恐ろしさに気づき、ブルブルと体が震え始める。
ダイアちゃんの優しさと力強さ、暖かさが伝わってくる。
彼女の力強さが嬉しくて、恐怖は自然とおさまった。
安心する、その包容力に、力強さに。
そして同時に、頭上午天から輝く7つの星々が綺麗に消えた。
ダイアちゃんはずっと上を見て、気に掛ける私が気になるらしい。
「……うぬには見えるのか、あの星々が」
「うん……。さっきまで見えてたんだけど……今はみえない?かな? 気づいたんだけど、私以外の人が見えないの、おかしくない……?」
「そうか……」
ダイアちゃんは見えてなさそうだったけど、すこし安らげていた。
わたくしのさらにことを強く抱きしめる。
それが私にはうれしいと同時に
——不吉だった
「ダイアちゃん……、私で手伝えることがあれば、なんでも言ってね」
「うむ。その時は貴様を頼る」
私は嬉しかった。
ダイアちゃんに頼られることが。
――それが私の演技力じゃなくて、
――知恵だとしても……!
※アクア
あれから、MV撮影を終え、東京に戻ったB小町4Seasonsは、売れに売れていた。
待ちに待った二週目。
——芸能界定着
ルビーはあのMVが功を奏した。
1週間にして脅威の『5000万回再生』。
このペースだと、1億再生も近い。
いくら『拳王』としての姉がいれど、皆三者三様の輝きを放っていた。
5人それぞれの違った輝きを!
——太陽の如き輝き、有馬かな
——光と闇のコントラスト、カミソリのような切れ味のルビー
——おバカキャラで回りを盛り立てるMEMちょ
——『努力の人』、女優兼アイドル黒川あかね
——言わずと知れたスーパー超人、カリスマ、ダイア
それぞれに違う魅力に、そこにアネモネさんの映像美と、B小町作曲のヒムラさんの魅力が相乗で載った!
何より、今回のMVで目を引くのは『ルビー』。
「カミソリのようだ」と言ったアネモネさんは表現がうまい。
――さすが映像プロダクション経営者だ。
『美』の言語化が上手だ。
これができるかできないかでディレクターとしての『技量』が決まる。
僕もカメラマンとして見習うべきところがある。
そしてあれ以来さらに売れたルビーには、
——社長の助言があったらしい。
※ルビー
あのMVが発表される前、テレビ案件のアンケートを出されたところで、壱護さんに呼び出された。
高級そうな本革椅子にふんぞり返っている。
THE成金、って感じのオーラがすごい。
壱護さんのおかげで私たちも、この会社も成り立ってるし、売れている。
感謝しかない。
「お前の魅力は何だと思う?」
「礼儀正しくてまっすぐにアイドルしてるところ?」
「バカで図太いところだろう……。まっすぐにアイドルなのは否定しないが、それもお前の魅力の一つだしな……」
ショックを受ける私。
でも壱護さんは続ける。
「いいか、テレビでは『キャラ』を作るんだ」
「キャラ……」
「たとえばダイアを見てみろ……。高身長、テレビ越しに伝わる圧倒的武威、スタントマン不要のアクション女優、寡黙にして人類最強!なのにアイドル!?そしてオリンピック金メダリストにして国民栄誉賞受賞者!これほどってまで『+』の要素を盛り込んでいる。一方で、泣き芸につよい有馬かなに人情に厚い様子で語り掛けることで、彼女の『超人で近寄りがたいところを和らげている』」
「そうなんだ、お姉ちゃんすごい……」
「お前の姉は凄すぎる。だが『人情味』、というやつだな。それがダイアの超人感を緩和し、人に厚いパブリックイメージ、つまり大多数の人が持つプラスのイメージを作り出している」
「なるほど……」
「お前の魅力はバカで図太い、そしてまっすぐにアイドルしている……。基本的にだいたいの男はお前のような女が好きだ。だから……」
社長は一息入れると、宣言した。
「テレビの事前アンケートに力を入れるんだ。あれは脚本、構成作家の台本の元となる。強烈なおバカエピソードを入れるんだ」
「『強烈なおバカエピソード』……」
「それを心して書け」
………
……
…
とあるピン芸人のお笑い登竜門のバラエティーショー!
ひな壇に審査員(多分ビジュアル担当だと思う)として座らされた私は、
——司会者におバカエピソードをフラれていた
「ルビーちゃんも、あんなにすごいお姉さん持ってるんだし、やっぱり何か変な経験したことあるの?」
「そうですね……」
考えるフリをする。
——もう答えは決まっているのに。
「予防注射って先に消毒するじゃないですかー?その時に『アルコール大丈夫ですか〜?』って聞かれて、『私アイドルなので飲めません!』って返しちゃったら、診察室のお医者さんと看護婦さんに大爆笑されたことがあって……」
下をうつむきながら、恥ずかしいエピソードをすると、視界さんがピコピコハンマーを机に叩きながら、
——お前、あほやなー!
と突っ込むとさらに会場が笑いの渦に包まれる。
「下手な芸人より面白エピソードトークするのやめてもらえませんか!」
と別のひな壇芸人さんから突っ込まれ、
「わ、私、アホな子じゃありません!」
とかわい子ぶると、さらに一同大爆笑に包まれる。
ぷく~~~っと、怒ってますアピールすると、カメラが何台か私にズームするのが見えた。
——多分、このシーンは使われるだろう
私は今芸能界の2週目を駆け上がっている!(厳密には私自身は1週目だけど!!B小町4Seasonsですでに1周している)
後日、芸能界の定着の意味を、真の意味で実感した。
——バラエティーに起用できることがわかると、あらゆるところからオファーが来ることになる。
そして私は、
——Youtuber、
——テレビタレント、
——アイドル、
最高レベルのアイドルへと至った。
今週号2024/7/18本誌が衝撃的すぎて……、確かに伏線はあったけど、どこにアイを殺す伏線があったのか、わからないまま……。
いや確かにサラッと出てきてましたけど……。
どうしましょうね。
そのまま本編が進むのを待つか、一定程度の情報を持っている人(コミックス14巻まで程度)を前提に完結させるか……。
迷っています。
アンケート作ったので良ければどうぞ。
確約はできませんが、参考にさせていただきます。
余談)Video gameの語源て、今更ですけどVideo端子でゲームするところからVideo gameになったんだな、と今更自力で気づきました。
面白いですね、もうVideoは廃れているのに。
今年はASMRに注力する予定でしたが、気づいたらこれ書いています。
ASMRを書け!(自戒
前提)2024/7/18発売の本誌にて新情報が発表。
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無視して完結目指して更新?
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1,2週新情報待って完結目指して更新?