【完結】北斗神拳、アイドル界に炸裂!   作:朝比奈小町

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第三話 星野ダイアモンド伝説

*星野ダイアモンド

——我が四歳の時である!

華やかなテレビ局の仕事が終わり、いつものようにとミヤコと母上を護っていると、道端に遠い目をし、絶望に満たされうらぶれた老人がいた。

 

空き缶を路上に置き、身なりも汚く、頭もボサボサで、見るからに覇気がない。

——物乞いだ。

 

今も昔もいて、どの世にもいる世界の弱者。

——哀しみを知る者。

 

俺は近寄る。

母代わりのミヤコは手を引くが、俺は強引に突き進んだ。

 

「うぬは何故こんなところで物乞いをしておるのだ」

 

老人は気付かぬようだ。

しかし、立ち止まる目の前の我に気付くと、目に僅かにだが活気が戻った。

 

「……仕事を全力でやっていたんですが、体と心を病にやられまして」

「そうか」

「……親戚も援助してくれず、親戚が富んでいるので役所も援助してくれず……。行く先が無くなってしまいました。……私はどうしようも無い人間なんです。働き口はなく、老いていくだけ。そして自死する勇気もない……。はぁ……」

「そうか。しかしうぬが卑下したら、誰もうぬを護るものは現れぬ。腹を出せ」

「はら、ですか……?」

 

老人が腹を出す。食う物もないのか、骨と皮だけだ。

それでも皮はたるみ、全く活力を感じられぬ。

 

「ぬぅんっ!」

「はうぁっ!」

 

秘孔を突くと、老人は数秒倒れた後、急にしゃっきりと立ち上がった。

今までのうらぶれた様子は微塵も感じず、矍鑠としている!

 

「何故かは分かりませんが、急に活力が湧いてきました! ……今まで、不安や死が頭から離れなかったのですが、……急に何でも出来る気がします! ありがとうございます、なんとお呼びしたら……」

「よい。ただ、拳王とだけ呼べ」

「ははぁっ!拳王様っ!」

「これで糊口をしのぎ、生活を立て直すが良い」

「ありがとうございます、拳王様。このご恩、何かで報いたく思いまする」

「よい。達者でくらせ」

 

*アイ

ダイアちゃんがお腹に何かすると、老人は急に動きが良くなり、なんというか、生きるエネルギーが戻ったように思えた。

 

ダイアモンドがお金を多少渡すと、老人はダイアちゃんに感謝を述べた後、立ち去った。それを見送ると、ダイアちゃんはしみじみと言う。

 

「母上……」

「なに?」

「我は母からの愛を知り分かりました。世は平穏であり、星々は輝いております。民草はそれを見上げますが、誰も地につけた足を見る者はおりませぬ。……誓いましょう!我が人々を支える地となることを」

 

私は急に胸が熱くなる。この子はたまにどこか怖いときがあるけど、それでも私と違って、【真実の愛】を私並みに振りまいているのかもしれない。

嘘でも真実でもどっちでもいい。

愛を、たっくさん周りに振りまいているのだ!

……この子は私の子だと確信できた。

 

それが嬉しい……!

前から我が子の実感があったが、より一層愛しくなる。

 

……ダイアモンド!

 

*ミヤコ

以前から、ダイアは破天荒だったが、この時ぐらいから明確に王者としてのナニカを体得していた。相対する相手にはビシッと背を伸ばさせ、ハキハキと明朗に語り、何かをやっても上から目線。

 

ルビーとアクアは神の御使い、と言っていたけれど、この子もまた、

——人智には及ばぬ神の御使いなのかもしれない。

 

私は急にシャキッとした老人が去るのを見て、そう思った。

………まだ四歳ながら末恐ろしい物を感じた。

(斎藤ミヤコ——苺プロ社史—— 芸文秋冬出版)

 

※星野ルビー

 

――お姉ちゃんは強い。

 

――地球最強のメス

――人類史上最強

――地上最強の生物

 

女らしくない、「強い」って言葉ばかり並んだ賞賛の数々。

でも私は知ってる。

――お姉ちゃんが私たちを愛してくれて、優しいところを。

 

――お姉ちゃんはアタシとお兄ちゃんの仲を取り持ってくれたのだ。

 

最初、私たち三姉弟は二歳の時点で互いにもう人格を持っていることに気づいた。

 

おそらく寝言で私が「ゴローせんせー」と言ったのが原因だったのだろう。

ビクン、と震えたお兄ちゃんをお姉ちゃんは見逃さなかった。

 

そこからいざこざがあったらしい。

お兄ちゃんとお姉ちゃんの間で。

——自分の前世について話すことだ。

 

もめない訳ない。

 

もちろん、私にもハードルが高い。

お兄ちゃんもハードルが高かっただろう。

 

だけど、お姉ちゃんは言った。

 

「うぬらが言わぬなら、我から話そう」

 

どうやらお姉ちゃんの前世は19XX年の生まれで、20世紀後半には人類は核戦争が起こり、世界各国互いに滅ぼしあっていたこと。

そこから血と暴力だけが闊歩する世界となり、世の中は闇に包まれたこと。

お姉ちゃんはこれを憂いて、当初「恐怖」によって世を支配しようとしていたこと。

 

そこから「愛」と「哀しみ」を背負うも、同じ北斗神拳の後継者である義弟に負けたこと。

負けたけど、

――敵の手に掛かることをよしとしなくて自害したこと

 

そしておそらく最終奥義によって転生したこと。

夢想転生(というらしい)に開眼した人は継承者の中でも極々わずかしかいないらしい。

お姉ちゃんもなぜここにいるのか、よくわかっていないのだとか。

 

私はお姉ちゃんに勇気づけられた。

……それを機に、アタシは自分をしゃべった。

 

――宮崎の病院で難病と闘っていたこと

――周りの医療スタッフの人は優しくて、恩師と呼べる初恋の人もできたが、

――私は恩師の治療の甲斐無く死んでしまったこと

 

――母も父も会いに来てくれなくて、そのまま寂しい愛に飢えた人生を送ったこと。

 

話す最中、途中涙と嗚咽が止まらなかったが、それでもお姉ちゃんは黙って聞いてくれた。

まるで、信者の懺悔を聴く牧師のように静かに、優しく聞いてくれた。

 

私はお姉ちゃんに気づいたら抱きしめられていた。

お姉ちゃんの体が暖かくて、その涙は慈悲の涙で、私はすっかりお姉ちゃんの虜になっていた。

 

——癒やされていたのだ。

 

そうして、気づいたら私は全てを喋っていた。

 

——ゴローせんせー

 

その言葉がトリガーだったのだろう。

ブルリ、と震えたお兄ちゃんを見逃さず、お姉ちゃんは瞬時に秘孔(アタシはこの時は良くわからなかったけど、北斗神拳の要にして真髄らしい)を突いて、お兄ちゃんに質問に答えさせたこと。

 

そして、ここからが一番大ごとなんだけど、

――なんとゴローせんせーがおにーちゃんになっていたのだ!

 

私も何言ってるか分からない!

お兄ちゃんも私が何言ってるか分からなかった!

 

——でもこれが真実だったんだ!

 

私はお兄ちゃんに泣きながら、懇切丁寧に説明した。

お兄ちゃんは混乱しながらも、私の説明を受け入れて、最後に手を回してくれた。

——もうそれだけで十分だった。

 

私の心から喜び、悲しみと、うれしさと、悲喜交々とした感情が表れた。

いろんな感情が表れては消える。

——嬉しさ

——喜び

——感動

 

それと同時に悲しく思った。

 

——誰が先生を殺したのか!

——先生が悪いことをするような人じゃないのは私がよく知ってる!

 

……でも先生は犯人を許しはしなかったけど、

——怒った私をなだめ、

——共感してくれた。

 

……先生のことなのに。

……先生が死んだことに泣いてしまったのに!

——私じゃなくて本当は先生が泣くべき所だったのに!

 

——急に申し訳なくなって、お兄ちゃんの胸で泣いた。

——お兄ちゃんは私の事を無言で抱きしめてくれた。

 

……受け入れられた気がした。

 

私のことをもっと理解してもらえた気がした。

病院でいい子のフリをする私じゃない、

 

——本当の私を見て貰えた気がした。

 

私は、私たち三姉弟は本当の意味で家族になれた気がした。

胸が、熱い。

 

……この気持ちが多分、愛なんだろう!

 

*星野アイ

「みんな、お兄ちゃんや妹ちゃんのことが大好きなんだね」

 

朝、カーテンを開けて私が起きると、3人とも皆抱き合って寝ていた。

ルビーを中心に姉弟寝ている。

 

私はケータイで写真を撮った。

スマホじゃない、私物用の個人ケータイ。

 

「ガシャー」と質の悪いデジタルな音を起てて写真が保存される。

 

…………うちの子達、可愛いな。

この「可愛い」って気持ちが、『愛』だといいんだけど……。

 

私は皆を寝かせたまま、朝食をつくる。

なんだか私も、『お母さん稼業』が板についてきたのかもしれない。

 

……『子を作れば母になって愛せる』、そう思っていた。

でもそうじゃないと知って、……私は凹んでいたけど。

 

最近この子達に愛着が湧いてきた。

 

……画面を見ながら思う。

そこにはすやすやと安心した様子で寝こけている我が子達がいた。

 

——愛着が湧いた気がした。

 

……この気持ちが『愛』なんだろう……。

 

*星野アクア

水道橋の東京ドームにて、姉はまたワンパンで相手を打ち倒していた。

 

「勝者ぁああああ〜〜〜〜! 星野ォオオオオオ! ダイィイイイイイアモンドォオオオオオ!」

 

リングアナのコールと共に沸き上がる会場!

会場のボルテージが上がる!

熱狂的な格闘オタクどもに、ようやく最近姉は認知されてきた!

 

「「うぉおおおおおおおっ!」」

 

妹のルビーも僕と同じく、会場の熱気の渦に呑まれ、

——俺も興奮という興奮を味わっていた。

 

我が姉はスゴイ。

世界最強だ!

そんな姉が誇らしい!

 

————

*星野ダイアモンド

 

母上が我に何か長方形の本を見せてきた。

 

「なんだ、これは」

「これ、ダイアのファイトマネー。10億円入ってるよ」

 

母上がページをめくると、残高と書かれた欄に9個、0がついている。

 

「どうしようね!どう使おうね!」

 

母上は何故か我以上に舞い上がっているようだ。

そこに水を差すように割って入る斎藤。

 

「お前にゃ任せらんねーよ、使い道がないなら取っておけ。それが母親の『愛』ってやつだろう」

 

「そうなんだ……。そうだよね! もし私に何かあったときとか、ルビーやアクアの教育費にも、ダイアの遠征費に充てられるもんね!」

 

皆、どこか舞い上がっている。

……今まで母上は金銭の心配をしていたのだろう。

三つ子がいるのだ、他の家庭は知らぬが、苦労するのだろう。

だが、母上の喜ばしげな様子に、我も誇らしい気持ちになる。

母上の助けとなることができたのだ!

 

これ以上の喜びなどない!

 

「でも、お母さんは心配だなぁ。仮にも可愛い女の子なんだし、そんなところに立たなくても……」

「よい!我が立ちたいのだ!」

「……もしかして、お母さんのためだったりする?お母さんを護るためって言ってたけど、こういうことなの?」

「無論!金があれば護衛も雇える!我が強くなれば、これ以上母に火の粉が降りかかることもなかろう!これも母上のため!金は全て任せよう!」

「……私の気が狂っちゃって、全部使うことになっちゃうかもよ?」

「その時は我がまた稼げばよい。とにかく、我のそばにいるのだ!この金で余生を過ごしてもよい。親孝行だ。受け取るのだ、母上!」

「……そっかぁ。ありがとうね、ダイアモンド」

 

母上は我の言葉に嬉しそうにしながら、通帳とハンコを棚に入れようとする。

そこに斎藤が待ったを掛けた。

 

「アイ、そういうのはな。客人のいない所でやるんだ」

「えー!社長は客人じゃないでしょ!」

「そうなんだが……。それに、ハンコと通帳を一緒にするな。盗まれたら一緒に金も盗まれる。どちらかだけなら金は盗まれないぞ」

「さっすが社長!常識人っ!そういうのは施設で習わなかったな……」

 

そう言い、母上は寝室に戻っていった。

社長はため息をつきつつも、こちらに話を向けてくる。

 

「なあ、ダイアモンド。拳願試合って知ってるか?」

「知らぬ」

 

拳願試合とやらは知らぬが、どうやら我はもっとファイトマネーの大きい所に出して貰えるらしい。

——願ったりかなったりだ。

 

——強敵(とも)との戦いは血湧き肉躍るわ!

 

『表』の放映できる試合後、我を出待ちしている男がいた。

 

——気配からして、先日の老人だ

 

我から会いに行くと、その老人は平身低頭して挨拶してくる。

 

「先日は、この老いぼれの身を助けてくださり、ありがとうございました……」

「礼はよい。何の用か」

「ははぁっ。おかげさまで、体の調子が良くなり、仕事にも就けました。そのお礼をあなた様にしたく存じますが、お金も名声も若いのにもってらっしゃるご様子。どのようにお助けしたらよろしいでしょうか……」

「ならば、我と同じく、地に伏せる人々を助けよ。

「それだけで、よろしいので?」

「無論、並大抵のものではないだろう。だが、その為ならば、我のあらゆる力、惜しみなく使おう」

「ははっ!ご随意のままに!」

 

そうして、老人は別れ、まずは活動をするのでそれにいらしてほしい、と言い残し去った。

我は気付いたらこの男につきまとわれることとなるとも知らずに。

 

……何故、母上ではなく、ひな壇に我が座らされているのだ。

皆目不思議でならぬ!

 

司会の中年男はどうやら乗り気な様子!

 

「さぁ〜!今日も始まりました!BOWBOWBOW!今日は最近話題の新人格闘家、星野ダイアモンドちゃんに来ていただきました〜〜〜!」

 

「…………」

 

「ダイアモンドちゃん、イヤ!ダイアモンドチャンピオンとお呼びしたほうが良いこの方は、なんと体重差100kgの相手を打ち破った総合格闘技の新たなるホープなのです!」

 

「……くだらぬ!さっさと用件を話せ!」

 

「ああぁ〜〜っとこれは失礼!では今日の本題に入っていきましょう!ではこちら!」

 

そうして、モニターに映し出されたのは、本日の内容。

 

「『普段、どんなトレーニングをしているのか!?』です!」

 

男がそう言うと、おお〜〜〜〜〜〜〜〜っ!と盛り上がる観客席だが……。

 

——事前に打ち合わせされた感が強く、しらけてしまうわ!

 

「事務所の了解を得て、密着をして来ましたが、思ったよりもトンデモない事実が出てきました!では深掘りBOW!」

 

VTRが始まる。

我を尾行する者がいるのは知っていたが、壱護に必死に止められていたがこのことだったのか。

壱護はどこだ、と見渡すと、VTRが始まってもスタジオの壁際におった。

……おのれぇ、首を洗って待っておけ!

その身の穴という穴から血を噴き出させてみせよう!

 

『星野ダイアモンドの朝は早い。斎藤夫妻の里子である彼女は幼稚園に行った後、そのままトレーニングに励む。その様子を、ジムトレーナーの御劔(みつるぎ)トレーナーは語る』

 

『彼女が来たときですか?ええ、驚きましたよ。最初は初心者向けのフィットネスをオススメさせていただいたんですが、彼女は不服そうにサンドバッグを殴りましたね。……ええ、一発だけ。でも、それで十分でした』

 

『彼は一息置くと、告げる。この頃からダイアモンドの才能のカケラは既に現れていたのである』

 

『すると、サンドバッグが吹っ飛んだんです。ええ、文字通り。粉々に砕けました。サンドバッグは普通の人が殴っても、大して揺れません。ヘビー級ボクサーが殴ったり蹴ったりして、ようやく大きく揺れる程度です。でも、彼女が殴るとすぐに吹っ飛びました、吊ってある鎖ごと。唖然としたと同時に、とてつもない才能がこの世に生まれ、同じ時代に生まれた人は可愛そうだとも同時に思いましたね。……勝てるわけがないと』

 

次に場面が変わり、我がトレーニングをしているところが映し出される。

 

……ベンチプレスを隠し撮りしたシーンだ。

 

『次にジムのトレーナーに我々は取材した。ジムのトレーナー長、愚地トレーナーである』

 

——彼女に教えたことを聞かせてください。

 

『彼女に教えたことですか?? うーん……、最初のベンチプレスのフォームだけでしたね。その後はスポンジが水を吸うようにどんどん彼女は吸収していきました。正しいフォームを教えると、彼女は喜々としてやり始めましたね。イヤー、とても幼稚園児とは思えない程、気持ちいい豪腕っぷりでした』

 

——爽やかな笑顔で答えてくれた愚地トレーナー、その顔に曇りはなく、むしろ彼女を応援する爽やかさがあった。

 

『我々は続く彼女の練習先の高評価と練習量に驚くばかりだが、なんとまだ続きがあったのである。教えてくれるのはこの男、ダイアモンドチャンピオンのことを拳王様と称して止まない元ホームレス』

 

『身なりは普通だが、この男、元ホームレスなのである!』

 

——お名前とご経歴をお願いします。

 

「田中ヤスシと申します」

 

——どうやって彼女と知り合ったのですか?」

 

『私が物乞いに身をやつしていた頃、彼女は私を助けてくれた上に、現金を置いて行ってくれたのです。そうして、私が再就職に成功した頃、テレビで放送されていた試合を見て彼女を知りました。そうして、彼女を出待ちしていたとき、彼女のほうからやってきてくださったのです』

 

——何をお話しましたか?

 

『あなた様のお力になりたい、どうしたらよいでしょうか、と尋ねたのです。すると、星を見てる者ばかりが多すぎる。うぬは地を見据え、支えるものとなれ』

 

――ええと……、つまりどういうことでしょう?

 

『同じように、炊き出しなどをして、困っている人たちを助けよ!ということです。私は彼女に身命を賭して誓いました。必ずや、あなた様の願望を叶えましょうと』

 

「むず痒いわぁ!」

 

あまりにも直接的に我を高揚させよう、という意気地!

鏑木をニッ!と殺意でもって見やるも、鏑木は震えるだけで、その両足を地に着けている。

 

我の殺意を受けて、不動とはなんたる覚悟の者か。

 

それともこの体が未だ幼児故に、殺意が伝わらぬのか!

 

会場は赤子か猫が怒っているのを微笑むが如く、柔和な雰囲気に包まれておる!

 

「ぬぅん……!」

 

我がさらなる怒気を発しようとしたその瞬間に――

「おい、ダイヤ、抑えろ!」

 

壱護の声が我の耳のイヤホンを通じて喋りかけてきた。

 

「これも番組の演出なんだ……!ここでお前が本気を出すと、場は冷めて次は呼ばれなくなってしまう!」

「…………」

「だから、ここは抑えるんだ……!」

 

我の所業を恐れたのか、なんとか止まるように懇願する壱護。

 

だが、

 

――我は媚びぬ、引かぬ、顧みぬ!!

 

「我が人生に一遍の悔い無し!」

「アァ〜っと! 出ました! ダイアちゃんの勝利ポーズ、『我が人生に一遍の悔い無し』です!人差し指を天に向け、仁王立ちをする勝利ポーズです!」

 

司会の者が、我のことをそう揶揄するが、我は構うことはない。

 

「プロデューサー……壇上へ上がるが良い!」

「…………本当に? Pが板の上に上がっちゃ不味くない?」

 

鏑木と呼ばれる男は日本に「えんため」なる娯楽を提供する男。

幼児を出して安直に数字を得ようとは……、なんたる腑抜けか!漢気のない意気地無しめ!!

 

「フハハ、我が矯正してくれるわ!ねやぁっ!」

「たわばっ!」

 

※ミヤコ

あれからダイヤがプロデューサーを殴ったかと思って心配になったが、よくあるダイアの闘い方のように、音が無かったら指先で謎の掛け声で服の上から胸をコツンと突いただけだった。

 

それからバターン、って大きい音を立てて倒れ込んだプロデューサーだったけど、ものの数秒で立ち上がり、見るからにツヤツヤした顔で若々しくなっていた。

 

――白髪が消えてるの……、

――流石におかしくない??

 

「…………いかに自分が数字を追っかけていて、大義や主題を求めていないか分かったよ……。気づかせてくれてありがとう、ダイアちゃん。いや……こう言ったほうが正しいのかな」

 

――拳王様

 

その後、拳王様!拳王様!

と叫び出した知り合いの姿を見るに、本当にダイアちゃんが怖くなっちゃったけど……。

 

会場も何故か「「「拳王様!拳王様!拳王様、ばんざーい!」」」と叫び出し、そのままダイアちゃんはシュプレヒコールを浴びながら堂々と手を掲げ退場していった。

 

退場までも、カメラがついてまわり、それに一切動じぬ胆力。

 

本気で幼女か????

 

――私も何を言ってるのか分からないが、

――私も何がなんだか分からなかった。

 

催眠術だとか、そういうチャチなモノじゃ一切なかった。

 

これが――カリスマ性

 

もしかしたら……、アイを超える逸材なのかもしれない。

 

※星野ダイアモンド

それから我の人気は鰻登りに急上昇したらしいが、我は我の筋を通したのみ!!

 

――だが、これから、

――我のこの国での伝説は留まらないのである!!!




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前提)2024/7/18発売の本誌にて新情報が発表。

  • 無視して完結目指して更新?
  • 1,2週新情報待って完結目指して更新?
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