【完結】北斗神拳、アイドル界に炸裂!   作:朝比奈小町

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黒川あかね、登場です


第五話 【祝】拳王様、恋愛リアリティーショーご出演

※有馬かな

「はぁっ!?ダイアが恋愛リアリティショーっ!?!?!?!?」

 

アタシのでっかい声が事務所内に鳴り響く。

 

「先輩うっさ……」

「ルビー!あんたの姉のことなのに、何でそんなに冷静なの!?……それに、えっ」

 

――あの子アイドルよね!?

 

とアタシは聞いてしまうが、

――ルビーからの答えは淡白だ。

 

「そうだけど、お姉ちゃんと対等なオスなんて見つかると思う?」

「確かに……」

 

――見つかるはずない

 

でも、もしかしたら……とアタシは複雑な気持ちで企画書を見守る。

そこに4×4の恋愛リアリティショーの企画書があった。

 

——どの人物も若手か、

——業界では有名だけど、

——その他では知られていない新人ばかり。

 

――鳴島メルト

先日放送してた昔の大ヒット漫画「今日は甘口で」の出演者。

評判が悪かったし、私は出演してないから見てない。

 

顔がいいだけ。

演技は大根。

 

――鷲見ゆき

読者モデル上がりのモデルタレント。

ティーン系のファッション誌に出ている。

アタシも何回か見たことある。

 

――熊野のぶゆき

ダンサー。

メンズアイドルグループのバックダンサー兼振付師。

 

チャラそう……。

 

――MEM

配信系Youtuber。

新手のジャンル。

オバカキャラで通してるらしいが……?

ってかウチに加入したじゃない!(まだ秘密らしいけど!!)

 

いいのかそれで……!?

 

――森本ケンゴ

高校生バンドのギター。

他タレントにも曲をおろしているらしい。

 

 

そして――

 

「黒川あかね……」

「有名なの、先輩?」

「彼女、テレビには出てこないけど、舞台の世界では有名なのよ。映画にも出てこないからあまり世に知られてないけど、しっかりした演技力があって、一流の役者よ」

「へぇ〜」

 

ルビーは興味なさそうだが、アタシ達はアイドルだ。

――演技の舞台で勝負する可能性は……、ある!!

 

「ルビーも演技やる可能性あるんだから、勉強しときなさい」

「はぁ〜い」

「問題はアクアよね……」

 

アクアはYoutuber兼タレント兼カメラマンとして出るみたいだ。

 

——ってかいつの間にあいつカメラマンになってたの?

 

なんかグラビアの写真集(撮る方)とか出しちゃってるし

 

『美を見るのは健康にいい』とか、わけの分からんこと言ってるし……。

 

 

そして、まさかの姉弟出演で話題になっている分、この番組のいつもの3×3ではなく、4×4の構成になっているようだ。

 

「お兄ちゃんの恋愛見るなんて、複雑だけど……」

「あんたブラコンだものね」

「ブラコンじゃない!相思相愛!」

「そっちのがやばいわよ……」

 

そして、ルビーと私は数週間後、見知らぬアクアを見ることになる。

 

『みんなっ☆ 今日はよろしくねっ♪ 』

 

「いや誰!?」

「お兄ちゃんじゃないよこんなの!!!」

 

ヒートアップしちゃうルビーと私!!

そこにミヤコさんが冷や水を浴びせる。

 

「はぁ〜……。アンタたち、これがTV向けだってこと、理解しなさい」

「でもお兄ちゃんが……他の女に色目を使ってるの……、許せない……!」

「落ち着きなさい、ルビー。それにあなたもいい加減、兄離れしなさい……」

「ヤダヤダヤダ〜〜〜〜っ! お兄ちゃんはアタシのことだけ見てればいいの〜〜!!他のメスのことなんか見なくていいの〜〜〜!!」

「はぁ……」

 

ミヤコさんがため息をつく。

私は正直同意できるが……。

それよりも浮いたやつがいる。

 

「正直私はメルトが鼻につくわねぇ……」

 

『ちぃーっす』

『君可愛いねぇ〜』

『今度一緒に花火しようよ、この番組内で2人っきりでさ〜』

 

露骨に自分がイケメンなのを自覚して、女をカモにしている。

しかも口説きセリフがダサい……。

 

――鼻っ面を折ってやりたい……!

 

そんな私を尻目に、ルビーは姉と兄しか興味がないようだ。

 

「あ、先輩、お姉ちゃん出てくるよ」

「どれどれ……?」

 

アナウンサーがナレーションするが、

――格闘技のナレーションだった

 

『オリンピック級超高校生ッ!!拳王様の恋愛、どうなるぅ〜〜〜〜っ!?』

 

と煽って第一回は終わった。

 

「「ダイアの扱い!!!」」

 

私とルビーは思わずハモリ、ミヤコさんも天井を向いて頭を抱えていた。

 

 

※7chまとめサイト B小町Fans!!

【祝】拳王様、「今からガチ恋始めます」ご出演【アイドル×恋愛】スレPart1

 

1名無しの追っかけ

拳王様、恋愛リアリティショーご出演!

今からガチ恋公式hp : http://www.imagachi_season7.co.jp

拳王様公式プロフィール:http://www.ichigo-pro/Bkomachi_4s_Dia.co.jp

 

2名無しの追っかけ

えっ……

 

3名無しの追っかけ

まじ?

 

4名無しの追っかけ

嘘乙〜

………

……

と思ったら本当だった。

草も生えない

 

5名無しの追っかけ

拳王様が恋愛……?

 

6名無しの追っかけ

ばっか野郎!!

拳王様だって華の女子高生だぞ!(死語

 

7名無しの追っかけ

そっかそうだよね。

JKだったよね。

偉業が凄すぎて忘れてた。

(ミックタイソンとの伝説の試合を見つつ)

 

8名無しの追っかけ

(3分で終わったヤンキー100人vs幼女1人(拳王様)の対決を目そらし)

 

9名無しの追っかけ

(俺も200kmを出した始球式から目逸らし……)

 

ま、まぁ!そりゃ拳王様だし、自由だろ。

何よりもあの人は拳王様。

 

天すら言うことを聞かせられない存在。

かのお方が、そうと決められたらファンの我々は何も言えん!

 

10名無しの追っかけ

誰もアイドルの恋愛を止めるやつがいなくて草

 

でも確かに拳王様にふさわしい相手がTV番組ごときで見つかるとは思えん

 

11名無しの追っかけ

たし蟹

 

12名無しの追っかけ

ってか拳王様アイドルだったよね?

こういう恋愛番組出ていいの?

グループから卒業後、とかなら分かるけど

 

13名無しの追っかけ

安心しろ。

拳王様にふさわしい強敵(とも)なんざ早々いるわけないだろ。

 

14名無しの追っかけ

それはそう

 

15名無しの追っかけ

ほんまそれ

 

16名無しの追っかけ

言われてみるとそうだったわ。

拳王様が通常の恋愛するとは思えないしな。

 

17名無しの追っかけ

それに文冬がすっぱ抜いてたが、彼女30人以上いるらしいぞ。

もう有料会員じゃないと読めなくなってたが。

http://www.shuukan-buntou/124we5/diamond.co.jp

 

18名無しの追っかけ

あんな三文記事に金を払うのは尺だったが、読んできた。

…………ってか交際相手、女しかいねーじゃねーか!!!

 

19名無しの追っかけ

まじ??

 

20名無しの追っかけ

確実に男と付き合うイメージがないがそっちだったか……。

 

21名無しの追っかけ

いや分からんぞ、向こうだけが積極的な可能性があって、

拳王様はそれに付き合っているだけかも知れない。

マメなイメージないしな。

 

22名無しの追っかけ

>>21

それはお前の恋愛観の話だろう。

マメじゃなくとも惚れる女は勝手に惚れる

 

23名無しの追っかけ

スパダリ感が強そう

 

24名無しの追っかけ

ってか大体の女はその名声と賞金とタレント性(有名さ)になびく。

それに今調べたら日本の長者番付に入ってて椅子から転げ落ちたわ。

 

25名無しの追っかけ

むしろ男もなびく。

 

26名無しの追っかけ

??

男がなびいてないから問題な訳だが…。

拳王様のファンは他のアイドルと違うんだよな。

 

27名無しの追っかけ

ライブ会場も拳王様のファンだけ異様だしな。

皆なぜかモヒカンに革ジャンだし。

 

俺、その格好で現場参戦するからよく職質受けるんだけど、会場の駅降りた途端、職質全然受けなくなる。

 

28名無しの追っかけ

 

草草草の草

 

29名無しの追っかけ

>>27

もはや萌ゆ

 

30名無しの追っかけ

>>29

一周回ってしまったな……

今は「草」というが昔は「萌え」だった

 

確かに俺も職質受ける

いや、俺もファンだけど、確かに会場の駅降りた後は職質受けない

 

31名無しの追っかけ

みんな職質受ける前提で笑える

 

ってか拳王様のファンは目線が明らかに違うんだよな。

ルビーちゃんやかなたんのような、

 

・ガチ恋ファンとか、

・(うっすらガチ恋なんだけど)ファンとか、

・尊いから推してる、

 

とかじゃなくて人類のリーダー。

 

カリスマ。

命令で「死ね」と拳王様に言われたら、

 

——その場の熱気と、

——それで拳王様に貢献できるなら!

 

と、悦んで死ねるだけのカリスマ性がある。

 

32名無しの追っかけ

否定出来ないな……

 

33名無しの追っかけ

ほんとそれだわ……

 

34名無しの追っかけ

Fateだったら人類史に名を確実に刻んでる。

カリスマA+

 

35名無しの追っかけ

呼び出しても令呪で制御出来る気がしないんだが……?

むしろ命令したことに逆上されて殺される気しかしない。

 

36名無しの追っかけ

エクスカリバーでも倒しきれん。

 

37名無しの追っかけ

那須たけのこ先生がヘラクレスをセイバーで3回殺せなかった話はやめて差し上げて!

 

38名無しの追っかけ

じゃあ結論は出たな。

【拳王様はアイドルだが相手が勝手に言い寄るだけである!】

【拳王様にふさわしい男はこの世にはいない!】

 

はい解散!

 

39名無しの追っかけ

なんか強引な気がするが……、乙カレー

 

40名無しの追っかけ

うっす。

このクールが終わったら見に来るわ。

 

41名無しの追っかけ

おつー

 

42名無しの追っかけ

あじゃじゃした。

 

43名無しの追っかけ

おかのした

 

44名無しの追っかけ

おつかれ

 

………

……

 

【ティーン紙:BANBAN 雑誌インタビュー】

※鳴島メルトインタビュー

(以下鳴島)

鳴島:え、彼女のこと気になってたかって? そりゃあそうですよ、あんな美人芸能界でも見たことない!

 

※黒川あかねインタビュー

(以下黒川)

 

黒川:最初はダイアちゃんに助けてもらうなんて思ってもいませんでした……。だって、彼女、恋愛番組なのに、メルトくんとずっと闘技者?としての練習ばっかりしてるし……。

 

――「だから、私も彼女と付き合うことになるとは、思ってもいなかったんです」

 

 

※黒川あかね

「やめてよ!やり口に品がない!」

 

そうやって、モデルの顔を引っ叩いた私に、

――炎が燃え移った。

 

大手ニュースサイトにも乗るほどの炎上。

私の一言で消火されるはずもなく。

 

――むしろ炎は燃え盛った。

 

「今は何もツイートしない方がいいかもね……」

 

マネージャーさんは悪くない。

むしろ先方事務所に謝りに行ってくれたらしい。

社長も菓子折りを持って謝りに言ったが,『これで傷跡が残せたな!あとはどう挽回するかだ!』と、なぜか前向きになっていた。

 

——私は死ぬ程落ち込んでたのに……。

 

――何を書いてもボロクソに叩かれ、

――何をしても世間の陰口が気になり、

――何をしても誰かに見られている気がして……、

 

――そうして、

――全てが面倒くさくなった私は……

 

――自殺しようとしたところを,

 

――ダイアちゃんに引き止められた。

 

「北斗翔天拳! 自死など無用だ! うぬほどの才能が世から消え去るのが我は許せぬ!うぬぅ!」

「ダイアちゃん……?」

「ぬぅんッ!」

 

と力強い逞しさで,私は気づいたら歩道橋に押し戻され,

 

「君たち何してんの!?」

 

――巡回中の警察官に保護された

 

※ミヤコ

――ダイヤが警察沙汰になった時は覚悟したけど……。

 

「本当によくやったわね、ダイヤ」

「あれ程の才が世から失われるのは惜しい。当然のことをしたまで」

「…………あなた、いいことをしたわよ。誇ってちょうだい」

 

「なんで、相談してくれなかったの……!?」

「だって、だってぇ……!」

 

隣では黒川親子が揉めている。

その後,リアリティーショーの子たちがやってきて,あかねさんを慰めて帰って行ったが……、

 

――彼女は今、ダイアの膝枕の上で寝ている。

 

翌朝になって、目覚める彼女。

私もこっそり遠くから見守っていた。

どこか、近寄りがたい雰囲気を持っていたからだ。

でも、炎上しているタレントとウチのタレント。

私は念のため見守るほかなかった。

 

※黒川あかね

後で教えてもらったんだけど、ダイアちゃんと(そのマネージャーさん)、母以外の人は帰っていたらしい。

母のみ船を漕いでいるが、

――ダイアちゃんだけが朝起きた時に目があった。

 

「あかね、調子は良いのか」

「うん……、心配かけてごめん」

「我の拳で良ければ、貴様を癒そう。……義弟ほどではないが」

 

後半は何を言っているか分からなかったが、ダイアちゃんが私をポンと、小突くと、

――急に落ち込んでた心と体が、

――リフレッシュされたのを感じた。

 

「なに、したの……?」

「『生命龍』という秘孔を突いた」

「秘孔……?」

「うむ。だいぶ体が落ち着いたはずだ」

 

腕を回してみる。

いくらダイアちゃんに膝枕されていたとはいえ。

警察署の固いベンチで寝てたんだ。

 

体がカチカチになってそうだけど……、

 

「本当に体が軽い。おまけに……、あんなに落ち込んでたのに……」

 

――全然凹んでない

気分爽快!って言葉が今は一番近くて……――

 

――本当にダイアちゃんは何者なのかとても驚いた。

 

「全然落ち込んでないよ……、私のために……ありがとう」

 

「ならばよし!」

「…………本当にありがとう、ダイアちゃん……」

「強敵(とも)を助けるのは、我の務め。気にするでない」

 

そうやって私を抱きしめるダイアちゃんは、

――どこか力強くて、

――父性を感じさせる暖かさで、

 

――気づいたら私は彼女にドキドキしていた。

 

——そして感情の整理に時間が掛かった。

 

でも、一方で世間は変わらなかった。

警察署に詰めている番記者さんが誰か気づいたらしい。

 

そこから炎上につぐ炎上。

一方で、自殺未遂した私に対する目線は変わり……、

 

でもここから、私の全ては変わった。

アクアくんが監督となり、私とユキが仲直りした動画がバズりにバズり、

――世論の流れが一気に変わった。

 

でも、それにはもう一つ理由がある。

――今までSNSに興味のなかったダイアちゃんがTwitterを開設して、

(もちろん1ツイートもしてないのに、フォロワーは即時に10万を超えた!!)

 

――『黒川あかねは我が守る!異論がある者はかかってくるが良い!』

 

と一言だけツイートした。

力強く宣言し、

――誰も挑まなかったんだ!

 

(本当にそれしかツイートしないし、イイネ欄も全く押してない!)

 

札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡、沖縄!

日本中の全部の主要都市を周り、

 

――相手を待ち受けたけど……、

 

そこに猫一匹相手は現れなかった。

まるでその周囲1キロは空白地帯のようで……、皆息を潜めて、嵐が過ぎ去るのを待っているようだった。

 

それもVTRに使われて……、ダイアちゃんの伝説にまた一つ――

 

――新しいページが加わった

 

………………

…………

……

 

そして、私は……、

 

「ダイアちゃん……、好き……」

 

夜の公演で私はダイアちゃんに告白し、

――キスまでしていた。

 

周りのスタッフが騒然としている。

――それもそのはず

 

この番組で同性カップルが出るのは初めてだったはずだ!

 

私は興奮で沸騰しそうな頭の片隅で――

 

冷静に、冷静に、

 

――カメラの位置

――ライティングや音声さんの位置

――絵になりそうな背景の位置

 

全てを考え、ダイアちゃんとの撮影に臨んでいた。

 

目の前には目鼻立ちがしっかりした美少女のダイアちゃん。

少し動揺したようだったが、気を取り戻す。

 

「あかね、本当に良いのか?」

「……何が?」

 

本当は分かってる、ダイアちゃんの言いたいこと。

 

「我が何かに巻き込まれたら、うぬも巻き込まれることになる」

「うん。覚悟は、ある」

「…………」

「それに、ダイアちゃんが私を助けてくれたんだから……、私がダイアちゃんを助けたいの」

「…………」

「それに、好きなのも本当」

「我は女ゆえ、うぬとの子を成せぬ。本当にそれでも良いのか」

「ダイアちゃんだから好きになったの」

 

――でもダイアちゃんが男の子だったとしても、

――やっぱり好きになると思う

 

私の一言に、周囲が声は出せないが、静かに盛り上がる。

 

「分かった」

 

そういうと、ダイアちゃんは私の頭をがっしりと力強く掴み――

 

「んっ……!」

 

私に強引な口付けをした。

理解する(わかる)

 

理解させられて(分からされて)しまう。

 

女優ゆえに。

どんなカメラ映りになるかと言うことが。

 

――美女と野獣

 

――強引ながらも女性が求められるキス――

 

――その光景に

――日本全土が沸騰した

 

そして申し訳ないけど、鳴島メルト君はダイアちゃんに振られた男性として、よくも悪くも有名になった。

 

※有馬かな

苺プロの事務所にて私は落ち込んでいた。

内容はもちろん、

――先日放映された恋愛リアリティーショーの結果だ。

 

「はぁ〜〜〜〜〜…………」

「どうしたの、センパイ。深いため息なんてついて」

「そりゃそうでしょ……。新たなライバルが公式に出現だもの」

「センパイ、お姉ちゃんのこと好きだもんね〜」

「ちっ!違うし!」

「今時こんなテンプレなツンデレも珍しい……」

「だ、だから、違うって言ってるでしょ!!」

 

ルビーは私のことをいじってくるが、私はそのことを考えないようにしていた。

——なぜならダイアを考えると、

——ドキドキが止まらないから。

 

※メルト

本物を見た。

俺が芸能界で生きていける、という甘い認識は——

 

一瞬で消え去った。

 

そうか…あれが斎藤ダイアモンド…。

 

俺は本物に出会えたことに後悔などない。

 

——社長の言う通り、イケメンと美女はモテる

 

これは間違いない。

ただ——

 

——ニセモノでは、

——本物の輝きにかなわないだけ

 

ただそれだけのこと。

 

「社長、俺、芸能界引退します」

「どうしたの急に。イケメン枠でずっとやっていけばいいじゃない」

「………………」

「……なに、斎藤ダイアモンドちゃんに当てられちゃたの?それともフラれたことを引きずってるわけ?」

「……うっす」

「あんなのと比べるほうが間違ってるわよ。あなたも私も生まれる時代を間違えた。……でも、あなたみたいなイケメン枠は必ず世に求められるわ」

「…どうして…?」

「どうしてもなにも、彼女は女、あなたは男じゃない!求められる役割は違うわ!」

「…例えば?」

「察しが悪いわねぇ……。ジェンダーフリーだのなんだいわれてるけど、女性は根本的にイケメンがすきなのよ。それが本能!本能に理由なんて必要ない」

「でもそれだけじゃ……」

「ダイアモンドさんはイケメン?」

「スパダリではあると思うけど、イケメンじゃない」

「でしょう?枠は必ずあるわ。イケメンらしい芸、そうねえ…。女優業の看板は持てても、『俳優業』の看板は彼女持てないでしょ?」

 

——違う?

 

社長の一言に黙らされてしまう。

 

「あんなのオータニといっしょよ。気にするだけ無駄」

「いてっ」

 

バシン、と背中を強く社長は叩く。

 

——でも、

——それで、

——気合いが入った気がした。

 

「アンタはアンタで良い感じになったわよ。それにダイアにアピールすることでアンタは世に認知された」

 

——女に言い寄ったけど

——逆に女に断られた可哀想なイケメンとしてね

 

「かわいそイケメンは需要があるわよ〜♡ だからアンタはこれから挽回してけばいいのよ」

「うっす!」

 

社長は逆に俺を励ましてくれる。

何だか、不思議と元気が出てきた。

 

——そうだ!

——ダイアに女優ができても、

——俳優はできないのだ!

 

どこまで行っても、彼女は美人アクション女優の枠に収まる。

(俺はまだこの時、彼女の大躍進を知らないのだが……)

 

俺は折れた鼻っ面をたたき直すべく、再び稽古に舞い戻るのだった。

 

※有馬かな

 

「…………なんでアンタがいるのよ」

「かなちゃん、久しぶり。それは勿論、ダイアちゃんに呼ばれたからだよ♪」

 

私と黒川あかねはバチバチにやりあっていた。

——それも苺プロの事務所の中で

 

冷ややかな視線が互いに注がれる。

——そして一触即発で戦争になる雰囲気だ……!

 

私と黒川あかねには因縁がある。

私がダイアに拾われる前、有頂天になっていた時期にあかねをこき下ろしたらしい。(私は覚えてないけど)

――それ以来この子は私の反転アンチとなってしまったのだ!!

 

私はダイアに思わず強い調子で詰問してしまう。

 

「…………アンタ、私に飽きたわけ?」

「無論そうではない!我には巨星たる貴様を最後まで見届ける覚悟がある」

「ふーん……?」

 

私はダイアの一言に満足する。

——最後まで見届ける覚悟がある!

——最後まで見届ける覚悟がある!

——最後まで見届ける覚悟がある!

 

もはやプロポーズだ!

脳内で永遠に反芻できる!

 

私は勝ち誇った気分であかねをみる。

しかし……、

 

「でも、ダイアちゃんは私の告白、受け入れてキスしてくれたもんね〜」

「……………」

 

——存在する記憶

——お台場の公園で夜キスする高校生カップル

——電波に乗り、半ば公認のカップル

 

「ぐぬぬぬぬぬ……」

「あ、先輩が珍しくレスバ負けてる~」

「黙ってなさいルビー!」

 

茶々を入れるルビーに負けじと言い返す。

 

「アタシの方がダイアとの付き合いは長いんだから!」

「気にしないでいいよ、かなちゃん。これから私の方が長くなるから」

 

——ね~、ダイア♪

 

というもダイアも珍しく戸惑っている。

あの不動の大樹のようなダイアが。

戸惑っている!!

 

修羅場は初めてではないだろうに…、

「じゃあ、私も!!!」

 

と私がキスすると、素直に受け入れてくれるダイア。

 

その間、剛腕で黒川あかねを微動だにしないよう抱き留めている。

 

「……これで一回ずつ、平等だ。それでこの問答は終わりだ!」

 

そうして、なぜか私と黒川あかねは事務所から放り出された。

 

「なんであんたと私が一緒に放り出されるのよ!」

「知らないよ!」

 

住宅街の真ん中でやり合ってると、ミヤコさんが通りがかった。

 

「あなたたち~、これから同じ事務所になるんだから、仲良くしなさいよ~」

「……え?同じ事務所?」

「そう!私がダイアちゃんに引き抜かれて一緒にアイドルやることになったの」

「はぁ~~~~~~!?!?!?!?!??!」

「それに、移籍金もダイアちゃんが払ってくれて~❤」

 

アタシの目の前で、見せつけるようにのろけ、腰をくねくねさせる黒川あかね。

 

「なんでも、前のプロダクションの社長の秘孔?を押したら、社長が快諾しちゃって、噂なんだけど社長がはりきっちゃって奥さんと子供作ったらしいの、それで円満に退所。向こうの社長、結構いい歳なのにね~、すごいよね〜」

 

黒川あかねが何か言うが、私はそれどころじゃなかった。

 

(これからダイアとの百合営業が1/2になる……?)

 

——あまりの壮絶な新ニュースに腰が抜ける。

——目の前が暗くなる

 

「あら。それとメンバー加入の件、言ってなかったかしら、ごめんなさいね。当初は4人の予定だったんだけど、5人になったから」

「……ミヤコさん、そういうのは早くメンバーに伝えてもらわないと」

 

私は新たなる波乱の予感に、私は眩暈がした。

 




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by承認欲求モンスター

前提)2024/7/18発売の本誌にて新情報が発表。

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