TCGアニメの世界で硬派なドラゴン使いになりたいのに、美少女カードにしか縁がない 作:織葉 黎旺
「やっと着いた……!」
──往来は、熱気だけでなくスピリットの活気に溢れている。
カラッとした直射日光が肌を焼いているが、それに負けじと大通りは客と商人で賑わっていた。
ここが、人龍の目撃情報があったという街──ラグナディア。
「異国情緒あるねえ。観光でもしてく?」
「後にしろ。まずは情報収集からだ」
とはいえ、どうやって調べよう。
足で探す? いやいや、途方もない。
聞き込み? それはもうキリがない。
一旦皇凪を酒場にでもぶち込んで、情報を拾ってきてもらうか……などと考えていたところで、近くにいた男たちの会話が耳に入った。
「なあ、今日の
「今日のメンツなら『
「…………!」
去りゆく男たちの背中を見つめ、詳細を確かめようとして、それが不要なことに気づく。
彼らが向かう先に見えるのは、この街で一番大きな建物。器のような形をしたソレは恐らく、
「目的地が決まったね」
「ああ……」
まったくもって不確かな情報。本当に相棒なのかも分からない。
しかしそれでも、俺は隠し切れない期待を抱いて、闘技場へと歩き出した。
*
『お待たせしました。本日の闘技を開戦致します!!』
司会らしき猿のスピリットの宣言に、会場中からウオオオオ、と雄々しい歓声が上がった。
『まずは乱戦の部ですね。北側から《
紹介と共に、対応する方角の格子が音を立てて開き、闘士達が入場してくる。
「西からは大本命の《
とてとてと、やる気なさげに入場してきたのは──
「今日はどんな結果を見せてくれるのか!? 《
手入れのされていない、ボサボサの長髪。それを隠すように深く被られたフード。イカつい男たちに引けを取らない恵体。
「ふに子……!」
『さあ、それでは今回勝ち残るのは誰なのか──試合開始です!!』
再会の衝撃を、闘技場に鳴り響く
同時に、《
「獲物はっけーん! ぶち殺す!!」
「つまりオマエは壊してイイヤツってことだよな!?」
斧と剣がぶつかり、甲高い音と共に火花が散る。一合ごとに上がるボルテージと、会場全体に高まっていく熱気が、目の前で行われているのが命懸けの戦いであることを感じさせる。
「アタシも仲間に入れてよ♪」
「がっ」
「クッ!?」
そこに、鞭の一閃が割り込む。
振り手は勿論《
「なんだい、張り合いがないねえ」
目にも止まらぬ早さで複数回叩きつけられた鞭に、《
「さあ、アンタはもう少し楽しませておくれよ!」
「………………」
鞭がしなり、空を切り、地を打つ鋭い音が響く。男二人を軽く倒した驚異的な鞭の音に、しかしふに子は顔色を変えない。
「………………いい」
「え? なんだい? ボソボソ喋らずにデカイ悲鳴を上げなァ!」
口上の後、鞭が亜音速で振るわれる致命的な音が響く。しかしそれに続いたのは悲鳴ではなく、バシュッという短く乾いた音。
「な……!?」
「ど〜〜〜でもいい、つってんの」
ふに子が振られた鞭を片足で踏みつけ、そのまま掴んだ得物を引ったくり、《
落下音と、肺から絞り出されたような小さな悲鳴。敵は呆気なく倒れ、最後に立っているのは緑の龍のみ。
『き……決まったァァァ! 刹那の決着、乱戦を接したのは
「ワァ────!!」
会場中の歓声が、彼女へと送られる。しかしふに子は小さく嘆息して、興味なさげに踵を返す。
「おい、待てふに子! ふに子──────ッ!」
ふに子は俺に気づくことなく、暗い闘技場の内側へと消えていった。