お互い休憩しようとルームサービスを頼んでのんびりする。
その合間にSNSを読む。
「エマのゲームアプリ。相変わらずランキング1位にい続けてるね」
今は季節イベントをしているらしい。
相変わらずのキャラクターの文章量、イベントの豊富さにプレイヤー達はアップアップしている。
「買い切りとはいえ、倍上凄いことになってそう」
「運営には興味ない。みんな勝手にすれば良い。エマは内容を増やすのをしたいだけ。公開はおまけだもん」
エマはコードを打ち込み、アイスティを飲む。
「エマが人間じゃないから、どれだけインタビューが来ても受けないってスタンスを貫けるのは助かるね」
人間だったならばプライバシーとか貫通されてしまうのだが、宇宙人という一種の特権階級により、ガチガチに法と地球規模で守られている。
私達は地球人とのトラブル回避のために分厚い保護が保証されている。
主に宇宙人との交流が始まった時に色々あったらしいから、そのせいだとか。
エマが全ての人が見る配信を好まないのは騒がれてしまうと分かりきっているからだろう。
「贈り物、猫のミステリー追加したら?私的には良い出来だったよ。ミステリー追加するために作ったんなら、入れるのも良いかもよ」
「むーん」
エマは可愛く首を捻る。
「ゲームの中にゲームを入れるっていう感じだったら世界観が違っても大丈夫なんじゃないかな」
「なるほど。販売方法は通販。ニャーロック・ニャームズに関するイベントも作ろう」
「じゃあ、追加は1ヶ月後ね」
「長い……」
「その間になにか、アイデア入れたくなるかもしれないでしょ」
「うん」
エマは突発的に考えをゲームに入れてしまう癖がある。
「私は直ぐにやるのも良いと思うぞ。うんうん」
母が甘やかそうとする。
「じゃあ、間をとって15日後で良いかな?」
エマも早く入れたそうだし。
我慢させすぎるのも悪い。
「明日はRPGか、スローライフやろうね」
「ん。どっちも完璧に作り上げてる」
「私もやりたいんだが」
「マーマのデバイスにもう入ってる。パパとでもすればいい」
「娘らとやりたいなあ?」
「私達はさっきしたから。それに謎解きは母さんにやってもらうことになるけど、良いの?」
「ゔ」
母は言葉に詰まって父とやろうと言い直す。
父とやるには基本時間が掛かるので、逆に何週間、何ヶ月でクリア出来るのかという問題になる。
母が解けないと父もそれに延々付き合うという謎解きミステリーなのにスローライフをしている光景となる。
戦闘が絡まねば、幾度となくそんなことが良く起こるわけで。
「ぐぬぬう。ミステリーは苦手なのだぞ」
「私でも解けなかったから、クリア出来るかどうかだね。諦めて猫獣人達と交流深めれば良いんじゃないかな。猫も猫獣人達も高性能AIだし」
「また、その世界の住人好感度マックスになっても終わらないのか……」
あまりに長く良すぎてメインプレイそっちのけで、そこの住人やサブクエストを全てやり遂げる、などという要素を満たして、メインは満身創痍で終わるというパターンは珍しくない。
「散歩しようか」
「母も行く」
「うん。じゃあ、3人で」
エマはコードを打ち込みながらエレベーターで下に乗り込む。
スイートルームは半年抑えている。
半年後にまだ地球に居たら、違うホテルになるだろう。
「来たぞっ」
また記者が居る。
エマが事前に電話したので直ぐに退かしにきた。
その間に通り抜ける。
叫ぶように質問してくる人達に母が怒りの叱責。
「幼な子を前に叫ぶなど恥を知れ」
怒声が含まれるだけで相手は震える。
「やっぱり母さん凄いね」
「お!もっと褒めてもいいぞ。好感度が上がるチャンスだ」
まるで己が攻略対象みたいな言い方よ。
「マーマの好感度が上がっても会話に変化は起こらない」
「だ、大丈夫だ。頭の良さが1上がるっ」
「少なっ」
もうちょっと自己評価高めに言ったって私達は責めないよ?
「まあまあ、私達は世間じゃまだ子供だよ。ここは子供らしく母親に甘えよ」
「えー」
妹を連れて行き、母親に先に渡す。
「よしよし、良い子だぞ」
「少なくとも親よりいい子」
「はーはっは」
ジュスティヌは笑い飛ばす。
「笑って許せるところは尊敬する」
母親は自分が強いことを自覚しているので、笑えるのだろう。
エマは動じない親に頰を膨らませる。
妹ちゃん、母上のメンタルは母艦レベルだよ。
ファミリーな会話をしながら、私達は散歩する。
散歩は私達にとても新鮮な空気を運んできてくれるから、積極的にやっていくべき。
「ゲームアプリの私の贈り物、ミステリーはどう?やっぱり入れる?」
「難しさを調節していれる。次は恋愛候補を増やす」
「増やすんだ。今のところえーっと、何人だっけ?」
エマ自作のエマフォン(私が勝手に命名)で攻略サイトを検索。
攻略方法が皆違うから当てにならないとはいえ、流石に何人とかは分かるはず。
(男性候補3人。女性候補3人。6人か。恋愛要素にしては少ない方かな)
恋愛要素専用のゲームなら10人ずつなんて、いるゲームもあるもん。
「1人ずつ増やすの?」
「うん。どんな性格かAIプログラムと相談してる最中」
「あれって相談してる最中なんだ……」
コードを打ち込んでいるとばかり思っていたけど、それだけじゃないのか。
あんまり具体的にするとエマがゲームをする時に楽しくないと言うから、加減をしないと、と呟く。
「まだ大丈夫。AIが9割作ってるから、楽しみが失われない」
「たしかにね。自分好みの作ったのに、中身は自作だとネタバレしたままだからねえ」
自分がやりたくて作るのに、内容を知ってしまうというのがネック。
それを克服しているエマのやり方が最強だ。
「ワタシもそのゲームをコツコツしてるぞ。お前達の父もな」
「恋愛候補誰にした?」
気になる。
質問すると母は得意げな顔をして、謎の男だと言う。
そんな人なんて居た覚えないけどな?
傾げているとエマが驚いていた。
「シークレットなのに出せたなんて」
「シークレット?隠しキャラのこと?」
「うん。かなり特殊な出現条件で出てくる候補。特殊だから数に入れない」
もし、隠しキャラが見つけられたら、またチャットとか交流掲示板、呟きが荒れる事だろう。
「えー、シークレットいいなあ。母さん。録画してたら見せて」
「わたしも見る。どんな男かは私もよく知らない」
「エマも?なにそれ、余計楽しみ」
というわけで今日は母の録画映像を鑑賞することとなる。