ルビー家滞在記【オリジナル】完結   作:苺のタルトですが

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14日本橋

母も他の人たちと同じくエマのゲームをしている。

うちの娘が作ったんだぞと暴露しそうになっている母を、シバくのが最近の妹の悩みの種らしい。

まあ、評価されているから余計にウズウズしているのも分からなくもない。

 

母の録画をテレビにセットし、プレイスタート。

映像をシークレット前まで進め、母とシークレットの出会いを見る。

 

「ゲームの世界観でソードマスターと呼ばれる男。ひたすら戦闘に特化した生活と、味覚が可笑しくなりそうな程の作物をぐちゃぐちゃに耕して育てたのが、シークレット出現の条件?」

 

エマが映像を粒さに観つつ、メモを取る。

いやいや、そんな母親しかしないような方法で。

 

「この男、やたら話しかけてきて、無視しても話しかけてくるので、切りつけたのだ」

 

「いや、遊び方ッ」

 

どこの世界観に恋愛ゲームと牧場ゲームを金揃えた主人公が問答無用で切り付けるってんだ。

ナターシャは思わず突っ込んだ。

鈍感という単語で説明できない思考に早々に疲れそうになる。

 

『ぐあ!』

 

ソードマスターが易々と切り付けられる。

これって、想定されてないんじゃない?

 

「ねえ、エマ……」

 

「ソードマスターの戦闘力は現在、ゲーム内屈指。ママみたいな戦闘お化けでもない限りやられない」

 

「キャラクターを怪我させたらどうするの?」

 

「そんなの決まってる。捕まる」

 

「ああ。警邏が来たが全員倒した」

 

「指名手配ルートじゃん!」

 

「指名手配?ああ、だからか」

 

母は正解を得たサカナみたいな顔をして、笑みを満開させる。

 

「更にやってくる奴らが増えて生活が楽しくなったんだ」

 

1人だけ異次元な遊び方してる。

ザワッと顔が深刻になる。

 

「隠居した暗殺者の生活やめよ?」

 

己はなんのゲームをしているのか思い出した方がいい。

 

エマがハッとなる。

 

「そうか。マーマ自体がゲームのルートから外れてるんだ」

 

エマは本来のやり方と違うルートを開拓してしまったのだと、気づく。

 

「そんな修羅の道を行くプレイ。勿体無いからやらないよ」

 

エマによれば、警邏の戦闘力もかなり強めに設定していて、なにか倫理観に抵触するとやってくる人達。

ナターシャはみたことがない。

もしかして街に行けば思い出すかも。

捕まればペナルティが科せられる。

簡単に捕まるルートを選択する人は居ない。

サブアカとかでやってる人の動画を見たけど、速攻捕まってしまい、ろくに生活もできなかった。

 

「警邏がドミノみたいに倒されちゃった」

 

録画を見ていると、警邏やバウンティハンター達がやってきては母に襲いかかるが、母は軽く倒す。

 

「本当はこの人達、悪くないのに」

 

警邏を倒す母が悪いことをしたのに、ひっどい場面。

 

「バウンティ認定されたら外すことって出来るの?」

 

「罪よりも遥かに凄い英傑並のことをすれば免除される」

 

母が楽しく倒したり、作物を育てたりしているのを見る。

因みに家族特権で3Dとフルダイブを選べる。

 

ソードマスターという攻略対象を引き当てた母と攻略対象者の会話は当然ながら噛み合わない。

母は既婚者だから、口説かれているとか感じるわけがないよね。

 

「君に私の技を伝授しよう」

 

「ほう。まあ、見てやろう」

 

武力を持つ者同士の会話なのに、なんだか気まずい。

 

「これはソードダンスの『旋風雷神』」

 

と、ソードマスターは母に技を覚えさせる。

母は技を覚えると早速切り出す。

ソードマスターは自分に並ぶ武人に頷く。

 

「凄いよ。私をもいつか超える」

 

「当たり前だ。というか、恐らく超えているぞ」

 

「そ、そうなの?は、はは、参ったなぁ」

 

攻略対象を困らせてしまうとか、ゲームを間違えてんじゃん、母さん。

キャラクターよりも強いと言い切るところ、母さんだな。

ほんと。

 

「ソードマスターを攻略出来る筈なのに、高感度下げてる。だめっぽい」

 

妹が残念そうに呟く。

 

「私も無理だなって思う。恋愛ゲーム要素もあるのに、全く活用する気がないのなら、仕方ないね」

 

私達は母上の状態を知り、攻略は無理だろうと、そこで見るのをやめた。

ジュスティヌは続きを見ないこちらを残念がっていた。

あとはひたすら母が畑と人を耕すのを観るだけになるので、あとはだらだらと観るときに見れば良いだけだ。

真剣に観る時間は終わった。

 

(そろそろ日本観光したいかも)

 

真っ赤でキラキラした姿は目立つけど、私は行きたいなって思う。

エマも誘おう。

 

「行く」

 

「どこ行きたい?」

 

「日本橋」

 

(に、日本橋……?)

 

私は地球に住んでいた時は地方住まいだったので、後にも先にも行ったことはない。

 

「大丈夫。エマがサーチしておいた」

 

「エマ!良い子!」

 

(エマの方が地球のこと知ってるの、私の元人間って設定、どんどん意味がなくなっていくなあ)

 

日本橋に行くことにした。

母はミステリーのゲームに手を出そうとしていた。

長くなるので、こっそり出た。

やはり、マスコミなどがちらちら見えていた。

 

「何で行く?新幹線?バス?車?タクシー?それとも、船かな?」

 

「ヘリコプターをチャーターした」

 

「ああ、ヘリコプターねー。ヘリコプター!?」

 

うっそ、私ヘリコプター人生初!

 

予約したからとエマがヘリコプターの発着場へ行く。

わくわくドキドキする。

宇宙を宇宙船で飛ぶのは慣れているが、ヘリコプターはないので、新鮮。

仮に、ドラマみたいにヘリコプターが不時着しても私達は無事に生還可能。

その他の人たちについても、一緒に助けられるから、トラブルがあっても大丈夫。

これが飛行機でもね。

エマも私もそういう訓練を親から叩き込まれている。

 

うちはでかいからないんだけど、宇宙にもならず者は居るから。

戦える方法を学ぶのは必須科目みたいなもん。

 

ヘリコプターが来たので乗り込む。

ヘリコプターの運転する人は始め、私たちの見た目で宇宙人だということに驚いていたが、なんとか落ち着いてくれ、ヘリコプターが離陸。

徐々に上へ上がる感覚も私達は感じ取る。

上空となった時、絶景に感動した。

 

「凄い高いよエマ、みてみて、日本橋ってあそこ?」

 

高所から見ると別物だよね。

 

「あそこ。航空写真でチェック済み。降りる準備しないと」

 

「うん。わー、ヘリコプターって便利だね」

 

契約も視野にいれていると彼女はいう。

契約って良いね。

毎回探さなくていいし、迷わなくて良い。

同じ人だと、気を使わなくていいし、宇宙人ということに毎回驚かれずに済む。

うん、メリットばっかり。

 

「降りよう、姉」

 

妹に足されて、慣れない足取りで降りる。

 

「へい、タクシー」

 

ヘリコプターの操縦士さんにお礼を言って、私達は日本橋へ向かう。

発着場は少し離れているのでタクシーにのる。

乗るまで人目に晒されて、写真も撮られたが、エマの念力でこちらを撮れなくしているので、映像は撮れなくなっていた。

 

「また無断撮影」

 

「この姿だから、目立つね」

 

真っ赤な髪だからイコール宇宙人って丸わかり。

 

「でも、撮られないから平気」

 

「私達、技術力のある宇宙人で良かったね」

 

それがなかったら撮られまくって、私生活もなんでもかんでも赤裸々に暴かれていたに違いない。

 

「日本橋見えてきた」

 

「日本橋、日本橋」

 

タクシーの運転手に降ろしてもらい、橋へ。

 

「初めてきた」

 

「人いっぱい。もう帰る」

 

「はっやっ」

 

ひとごみが多いとはいえ、リタイアがあまりにも速すぎる。

 

「でも、私達のほうが観光されてる」

 

もう少し観光していこうよと説得する。

やはりカメラを向けてくる者達に魔法で防御しながらも、日本橋まで来たのだから、楽しもう、と妹の手を繋ぐ。

ルビー姉妹は日本橋を観光し、ついでになにかつまむ事にした。

何を食べようかと悩む。

ここは地球だから私が張り切ってなにか食べるように進言しようとしていたが、エマのほうが調べていたらしく「レストラン」と私を引っ張った。

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