携帯獣のゲームのセーブをし、現実に戻ってくると、母がいい笑顔でいつでも行けるぞと眩い顔で告げる。
今から身も心もボコボコにしていくのに、こんなに綺麗に笑う人、居るんだね。
王子の位置情報をとっくに捕捉していたエマ。
母が王子とそっくりな人形偽物をすり替え、うちの宇宙船に連れて行き、私達は相手から見えないマジックミラー的なところから王子が「ここはどこだ!?」といった叫び声を堪能。
裕に1時間は放置。
「どうだね、◎◎王子、気分は」
喉もカラカラで、弱々しくなったところで私達は刑を実行する。
「今の誘拐犯みたい」
女親子達はなにかいうたびにキャアキャアと盛り上がった。
「誰だ!出てこい」
ボイスチェンジャー仕様。
「君はやってはいけないことをしたのだよ」
ドラマで見た時からやりたがったのは全員だ。
「様々な人間に迷惑をかけたのは、いけないことだ。親から教わっていなくとも学べたはずなのにな」
干からびた声で王子は叫ぶ。
「私を元の場所に戻せ!」
「ママに声をかけた罪は大きい」
エマはボタンを押して、トリモチのついた機械を王子に張り付かせる。
「な、なんだ!?」
「おお、正月番組でやってたな。こんなにやりがいがあるなど、良い装置を作ったではないか。私も押したい」
母が最後に頼むとエマはこのボタンを押すように進める。
そのボタンを押すと王子を乗せた機械はぐるんぐるんと回転し始める。
「なんだ──!」
「ちょ、驚いてる驚いてる」
母がさらにボタンを押す音がした。
ーーガッ
「ガボ!?」
「熱湯、いった!」
「あの熱湯は酸素を入れてるから溺れることはない」
安全には配慮されているらしい。
私的には問答無用が良かったんだけどね。
「ジタバタしてる」
「上がってきたぞ」
ガッと入れ物の縁に手をかけて這い上がる様子は王子とは思えない。
「ぶは!この、このようなことをして、たただで済むとはッ」
「おいおい、聞いたか!?」
母が頬を紅葉させ、嬉しそうに笑う。
「皆んな同じことを言うのだから、面白いな!」
種族が違っても、私達がコテンパンにした人達、寸分の違いなく同台詞を口にする。
「なんで、同じなんだろうね」
「総じて思考回路が似たり寄ったり」
「それだ、それそれ」
エマの考察、当たってる。
どんなに生まれが違っても言うセリフが同じなんて、面白い。
母の方が多くそのセリフを聞き流しているはずなので、大笑いしているのだろう。
「やめろ、やめろやめろ」
とは、言ってるものの、解放されるわけもなく、普通にトリモチ熱湯、粉が王子に襲いかかる。
「うぎゃーっ」
となり、お次は、泡泡がまとわりつく。
視界が見えていない状態じゃ、なにが起こっているのか分からないだろう。
「私も考えたやつ」
私の考えたものは、泡の次へのコースね!
ナターシャは笑顔でなんとか王子に次なる試練を課す。
たらい落とし。
「がっ、がっ、と、とめ、がっ」
話そうとしているけれど、声が出せない。
頭に次から次へとタライが落ち、頭に衝撃が走る最中だろう。
「次は私の、発案」
エマもポチッと押す。
ゴォォォ、と音がし、ダムのように水が降る。
この水も酸素入りなので溺れる心配がない。
「たっのしー」
王子が藻掻き続けていても、水責めは止めない。
何故なら性格矯正するからだ。
彼は宇宙人に声をかけて、あまつさえ、勝手に好きに扱おうとした。
それは許されざる事だ。
地球は注意で終わらせるのかもしれないが、宇宙人側から言わせてもらうとほしまるごとの連帯責任を負わせられる可能性を示唆されていたのにも関わらず、何の動きもなかったことが大問題。
「お前のせいで、地球は滅ぶかもしれんのだ」
「私には関係ない」
王子はまだ実感がないのだろう。
お前の行動は連帯責任で、地球が吹き飛ばされる事になったかもしれん、ということを切々と説明する事になる。
それでも反省の色を感じ取れぬので、更なる責苦を味合わせることになる。
「シャトルにくくりつけて大気圏突入体験」
「レッツゴー」
エマの合図でシャトルが地球の外へ行く。
「調べておいた報告をする。ナノボットの集めたものが届いた」
王子がシャトルで宇宙に行くのを見送った後、私達は事件の詳細を妹から聞いていく。