ルビー家滞在記【オリジナル】完結   作:苺のタルトですが

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28地球人の調査員はその日、ハマった

男も調査のためにインストールしたが、出来が良く、最新の技術を使われていることくらいしか、ゲームの知識を持ってない自分には分からないので、感想は簡素なものしか出てこない。

 

若者が好きになるのは当たり前のクオリティだ。

 

部下と別れ、家に帰って体験した男は度肝を抜く。

 

先ず、男の行動を振り返る。

 

そのVRは耳に付けるタイプらしく、良くアニメなどで表現されるフルフェイスのものではなかった。

 

「ふむ、耳にか。スマホでもまだあれだけ分厚いというのに」

 

地球の技術よりもさらに飛躍し過ぎている代物だ。

 

噂によると米国で申請が行われているとか、いないとか。

 

焦れて売り始めたのではあるまいか?

 

という予測も立てられている。

 

母親が子供の作品を他者に自慢したがるように売り始めて、こっちは技術のバーゲンセールをされているので、たまったものではないが、止める権限はない。

 

法律もない。

 

よって、混乱を抑えるしかない。

 

て、肝心のVR、拡張現実というらしいが、それをつけてボタンを押すと目の前にホログラムが現れて情報を記入し、スタート。

 

ゲームを始めると体にそよそよと風があたる感覚。

 

「なっ、なぁ!?」

 

目を大っぴらに開ければそこは草が生えた草原。

 

空にはようこそ、VRのチュートリアルへ、と表示されて、チュートリアルを進めるまで10分もの時間を要した。

 

目の前にあるものが今だに信じられなかったのだ。

 

他にも感覚はしっかり伝わり、胸が驚きに熱くなっていく。

 

男は更に進めていき、内部ゲームを起動する。

 

簡単クエストと名付けられたそれは、いつの間にか剣を手に、目の前にモンスターと言われる存在がいた。

 

モンスターは軟体生物っぽく、うにゅうにゅしている。

 

それに対して切るように指示される。

 

取り敢えず指示通りに切る動作をすると滑らかに切れてモンスターは帰る。

 

砂の様に消えて行くのを見ていると、次は違うモンスターが現れては切る。

 

次はあそこまで行った後にあれを取れ、といった指示を受けて、そこに行く。

 

不思議と息切れもなく、疲れもない。

 

「疲れない。凄いな」

 

一旦手を休めた。

 

次のゲームを選ぶ。

 

次は私の贈り物というアプリゲームで一位を保持し続けているバケモノ級のもの。

 

何が凄いのかゲームに疎い男にはイマイチ分からないが、ゲームに詳しい相手から聞いた話では、プレイヤー毎に体験出来る事が違うらしい。

 

AIなのかと話題にもなっているが、VRでこれが使えると説明されたのならば、そのアプリゲームの開発者は地球外の生命体となるのが確定しているようなもの。

 

「なに!」

 

ゲームが始まると、画面で見ていたものが立体となったような街が目の前に現れる。

 

ゲームをそこまでやらなくても、待機画面だとわかる。

 

寧ろ初めの触りだけして毎回やめているから、恐らく誰よりも待機画面を知っている一人。

 

「な、な、ま、街っ!?街が!?」

 

「ああああ!ああああ!久しぶりね」

 

発音の良いソプラノが突如聞こえた。

 

「へ!?」

 

ああああ、と呼ばれて、今呼ばれているのは自分なのか?と首をきょろりと動かすと溢れんばかりの美人が自分に向かって手を振る。

 

素っ頓狂にも、顔を戻せず相手を凝視するしか出来ない。

 

落ち着くと既視感がある事に気付く。

 

あー、なんだったか、ゲーム内でレアリティが高いからとおすすめされて待ち受けとかいう設定にしておいたキャラクターだったな。

 

毎回待機画面が見る事が殆どなので、この美女を2D、3Dにしている姿ならば良く見ている。

 

「えっと、名前は……?」

 

覚えてない。

 

取り敢えず、質問したら答えてもらえるのか?

 

「フレミィよ!貴方とは長い付き合いじゃない」

 

業務でゲームをしていたから、名前を適当にしていた。

 

「もし、ゴミとか付けていたらそう呼ばれていたってことか?ゾッとするぞおい」

 

世の中、奇特なものも居る。

 

居るのだろう。

 

男はフレミィと名乗る女の子を眺めて、こんなに可愛い子にニコニコされたら頬が熱くなる。

 

「今日こそはクエスト行きましょう!いつも贈り物ばかり貰ったら帰るでしょっ!それに、その耳!ふふ、貴方ったらこの世界がそんなに好きじゃないのかとヤキモキしていたのだけれど、それを買うほど好きだったなんて、なんだか嬉しいわ?」

 

「耳?ああ、VRか」

 

これも調査の一環なんだがな。

 

いつもログインボーナスだけ貰うようなゲームプレイ方法を指摘されて、やや気不味くなる。

 

しかし、ことを進めねば。

 

いつまでも立っていても検証にならない。

 

フレミィはちょこちょことついてきて、街を歩く。

 

「パン屋に寄っていきましょう。バトルをする前に食べるとバフを得られるってこと忘れてないわよね」

 

(普通に忘れていた)

 

パン屋に入ると良い香りがする。

 

思わず買った。

 

それを食べるとバフとやらが付いた。

 

そして、クエストを受ける。

 

その後、男は全くやらなかったゲームを毎日ログインだけではなくしっかりやるという程、ハマっていった。

 

「さだはる!今日も来てくれたのね!ご飯はもう食べた?」

 

ああああ、という名前も変更をした。

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