ルビー家滞在記【オリジナル】完結   作:苺のタルトですが

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37高性能知能搭載

フランズの有名な美術館。

 

「これは、酷い」

 

ただでさえデザインに芸術性があり、尖った建物なのに、本物になっているからか、あちこち豆腐が削れた様にそこが崩れ落ちている。

 

今の所は豆腐が落下している跡だけで済んでいるが、時間が経過したら恐らく豆腐がダメになった時の匂いになっていくだろう。

 

「ここは立ち入り禁止です」

 

「そうですか」

 

私は今の所ただの女の子なので入らせてもらうことは不可能。

 

離れようとするとこちらに駆け寄る大人が見えた。

 

「ナ、ナターシャさん、ですよねっ!?ま、ま、まって下さいませんか!」

 

建物越しに呼び止められ、立ち止まる。

追いついて相手が目の前にくるまで、息を整えるのを待った。

 

「よ、よ、ようこそっ。豆腐、じゃない……ルーヴ◯へ」

 

職員書をぶら下げているので、職員なのだろう。

 

「お、お待ち、しており、ました」

 

きょろりとナターシャの周りを見回して一人だけ?という顔をする。

 

お母様や妹様は?と聞かれて私がふらりと立ち寄っただけだと伝える。

 

「そ、うでした……か」

 

絵に描いたようなガッカリな顔。

 

「無理にとは言いませんが、絵の経緯と、美術館が豆腐になっている経緯って聞かせてもらえますか?」

 

試しに提案してみた。

 

母でなくては意味がないという目をしつつも、子供の私相手にしては懇切丁寧にこちらへどうぞ、と美術館とは違う所へ案内される。

 

テントが沢山張られていて、ここが美術館代わりの施設なのだろう。

 

確かに、あの今にも崩れ落ちそうな所に居るのは嫌だ。

 

いっそう大きなテントに入っていく。

 

中はなんだか途轍もなく真剣な顔をした人たちが話し合っていた。

 

あー、こういう空気の中で来るつもりは毛頭なかったんだが。

 

声をかけてきた人が一段の真ん中にいた人に声をかける。

 

耳打ちされた人はこちらに顔を向けてありありと目を開ける。

 

開けたまま、こちらへふらふらりと近寄ってきてなんだか不調っぽい。

 

逃げずに待っているとヨタヨタした人はナターシャをよくみて、ルビー色の髪を見て、泣きそうになっている。

 

「あ、も、もしかして、ナターシャさん?」

 

「はい。ナターシャという名前は合ってます」

 

どのナターシャかをナターシャ本人は知らないから、名前だけは合っていることを認める。

 

「よ、よかっ、こ、これで」

 

かたりかたりと震える相手。

 

まあね、人間がこんなファンタジーで未体験な事態になっているとなれば、精神的にやられるに決まっている。

 

ルーヴ◯という大きな博物館だというだけで肩書きはすごい。

 

この人は館長とか、責任者なのだろう。

 

向こうはこちらの手を握ろうか決めあぐねている。

 

「あの、色々教えてもらって良いですか?」

 

「はい!はい!勿論です!始まりは妖精に取られたあの絵です」

 

本物を知っている職員と優秀な警察機関の人や妖精の専門家、レジャーの人間。

 

様々な人が絵を取り返すために一致団結となり、集団で森に向かったそう。

 

絵を探しまくったが当然見つからず、フェアリーサークルを見つけてここに妖精が居るはずだと妖精の専門家が言うので絵の奪還の為に近づいた。

 

しかし、妖精の姿が見えない面々はどうやら妖精を踏んづけてしまったらしい。

 

怒った妖精達はフェアリーサークルをを起動させて、美術館の建物をあっという間に豆腐に変えたのだという。

 

「あー、踏んづけてしまったんですね」

 

「はい……現在脆くなり、時間と共に崩壊していっています」

 

美術館には表に出てないものもあり、運び出すのが困難らしい。

 

おまけにそういうのを置いてある棚も豆腐化していて、作品もバラバラでまともに保管が出来ないらしい。

 

「お願いします。どうか解決してもらえませんかっ」

 

「んー、ちょっと無理ですね」

 

頭の上に乗るAIシマエナガのキュー太郎が追加する。

 

「フェアリーサークルを起点にした事象の解決率は0.3パーセント未満」

 

「え、あの、え?その鳥話しました?」

 

「はい。この子は高性能AI搭載アンドロイドですから」

 

「野鳥やペットではなく?」

 

「コンシェルジュみたいなものです」

 

「そんなことより、解決策を提示する。絵を気に入ったなら、絵を描いたら良い。そのモナリ◯を気に入ったんなら、同じ画風で贋作を作成し、さらに妖精を書き足してやれば喜ぶ。所謂生贄だ」

 

「生贄ですか?それで解決するのですか」

 

「限りなく低いが、やらないよりはやった方が良い。運良く上手くいくかもしれない。上手くいかないかもしれない」

 

「そう、ですね。このまま豆腐が腐っていくよりは」

 

食べ物の行く末は腐敗。

 

匂いだって時間経過と共にひどくなり、呼吸さえままならなくなる。

 

ナターシャはとりあえず豆腐の形状を維持して、この状態をなんとか保全する。

 

崩れたところをどうにか出来はしない。

 

となると、出来ることは魔法を発動して、なんとか腐らないようにすること。

 

「豆腐がこれ以上型落ちしないように魔法でコーティングしてもいいですか?豆腐の劣化も食い止められますし」

 

「えっ!?そ、それはぜひ、あ、いや、でも、宇宙人対策課の方に聞いた方が良いのかな?」

 

この地球は異世界やら宇宙人やらが現れて暫し経過しているので、宇宙人のマニュアルや対応部署が設置されている。

 

「宇宙人対応場所の電話番号はこれだ」

 

キュー太郎がスイッと長細い嘴から長細い紙を渡す。

 

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