3日前に聞いたらエマはMODを作っている最中なのだとか。
やはり作るのが好きなのだろう。
二次創作ばかり作っていて、今回はMODなのでいつもよりも0.6程テンションを上げている。
「どんな感じ?……うわぁ」
衝撃に備えては居たが、やはり足りなかったらしい。
この子、マインクラフダを作り直してるっ。
Minecrは2011年にリリースされたゲームだ。
その後はギネス記録にも認定され、今も根強く人気で、動画に乗らない時はない。
建築ゲームに見られがちだが、このゲームの最終目的はドラゴンを倒すことなので冒険ものなのだ。
やり尽くしているから、よし、MOD作ろう!ってならないけど、妹は一味違う。
手ずから色々作っては動画にアップして出来栄えをチラ見せする。
なにかの統計を取るためにアップしていると聞いた。
内容も聞いたけど専門用語がありすぎて
耳に入ってこなかった。
そのMODを見て、衝撃を受けたのはもはや私が知っている中身じゃなくなっているということだ。
中身が超高画質、超滑らかな3D、ドットどこ言ったの?と言いたくなるもの。
画面の中にすごくイケメンのキャラクターが居て、頭の上にステーブンと書いてある。
続投なの?
まさかのキャラクターはそのままなの?
勿論名前を変えられるけれど、この男の人は高身長にとんでもない美顔。
ステーブンがイケメンに擬人化なのか。
「リメイクしたよね?」
「うん。中身はそのまま」
エマに頼んで私も出来るようにしてもらった。
キュー太郎も気になっているらしく、覗き込む。
そろそろ妹にキュー太郎専用のデバイスの開発を頼んでおいた方が良いかな。
見た目は鳥だけど人工知能だから人間以上の頭脳と速度を併せ持つ、感情もあるアンドロイド。
ナターシャはやってみると別ゲームじゃんと慄く。
ゲームを進めると敵も美麗。
村人全員美形と美女しかおらん。
MODなんていう言い方をしているけど、別ゲーになっていて、同じと言われてもわからない。
居なかった動物も居る。
「キュー太郎、ここ、なにかある」
「新しいダンジョンを作ってるな」
「可笑しいぐらいデカい」
デカい、規模が広い。
広くてどこにいってもギミックなどがあり、宝箱もある。
これもAI生成の力か。
エマの使うものは地球の生成プログラムが違い、地球の人達のAIと私の知るAIは違う。
「そう言えば、冬には祭りがあるからどこか行こう」
「お、ついに出かけるのか。おすすめの祭りは地元の祭りだ」
検索してくれたキュー太郎は、エマにも声をかけて出かける準備をしろと伝える。
「祭り?」
「地元の祭りで屋台たくさん出てるってさ」
エマを誘い、母親にも使えると飛んで帰ってきて、3人で向かう。
祭りの場所はすでに把握しているので、ひとっ飛び。
3人と1羽が現すとやはり目立つ。
ここ最近は動画をアップしているから余計に知名度もあり、VR機器の発明者としても名を知られている。
エマとジュスティヌは全くこれっぽっちも気にすることなく歩む。
冬の祭りを好きに回る中、スマホのカメラを起動して撮る動作など、すでに撮られているのを感じるが、私達のプロテクトを貫通する事は不可能に近いので、どれだけ撮っても無駄だ。
キュー太郎も撮れはしない。
キュー太郎を見てシマエナガ!?と驚く声があちこちから聞こえる。
下手をしたら宇宙人よりも珍しいかもしれない。
私もシマエナガはテレビの中でしか見た事はないけど、宇宙人はたくさん見たことあるもん。
なんて思っている間にも冬の地元の祭りのお店に全て顔を出す私の身内達。
二人とも同じものを頼んでいる。
あ、広島焼き。
「広島焼きひとつお願いします」
「はーい、はい!?」
返事をしながら前を向いた屋台の男性はこちらの真っ赤な姿を見て顔をこわばらせ、目をぱちぱちさせる。
「り、ナターシャちゃん!?」
「はい。こんちは」
「う、うん。あの、握手と……サイン良いですか?おまけで広島焼き10個付けとくんで!」
「え?あ、はい。良いですよ」
サインを求められたのは初めてかもしれない。
エマのゲームの話し合いの時はエマのサインとかを強請る人ばかりで、私はあくまで保護者的についてきただけ。
今回はお初のサインになっている。
「オークションに売られていたらその場で燃えるように設定しておきますが、宜しいですか?」
「え?う、売りません!」
「なら、書きますね」
色紙を生成して名前をサインして、握手をすると広島焼きを15個もらう。
五つも増えてる。
けど、食べるから構わない。
キュー太郎もキュと鳴き広島焼きを食べる。
美味しそうに食べるね。
見ている人達が癒やされている。
母達はどこだろうかと見回したら、鉄砲が出来るところにいた。
(アンドロイドもご飯を食べるんだなぁ)
周りに人が集まっているのが見えるので分かり易い。
投擲屋に行き、ナターシャは笑みを浮かべて二人を見る。
でも赤い髪だから丸わかりで、あっという間に真ん中が割れる。
どうぞってことだ。
二人は楽しそうに打っていた。
普通は落ちないんだけど……落ちた。
「や、やめてくれぇ」
店主の悲壮感のある声に、私は止める。