エマとナターシャはいつものようにぶらりと街中を歩いていた。
「なにかないかなぁ?面白いこと」
「ゲームでもないとそんなことは起きない」
「私たちが一番言えないセリフ、よく言えたね!?」
宇宙人の己達から縁遠い話題の内容に思わず驚く。
2人はそうやって会話をしていると、人だかりができていることに気づく。
そういえば、珍しくこちらにあまり注目されていないことに思い至る。
大体どれだけ短くとも誰かしらの話題になるのだけれど。
「あそこが原因だよね、絶対」
「うん。行く」
「あ、エマ、エマまってまって」
ナターシャは妹に手を引かれて軽く笑って、付き合う。
何が行われているのかは気になるので、結局行くことになったろうけど。
エマに手を引かれるままについて行く。
しかし、自分達の身長は低いので大人の集まる場所なんて、ろくに見えない。
「んー、見えない。浮かべばいいや」
「それは目立つよ」
言い終わる前にエマはフワーッと浮かぶ。
浮遊能力はエマが一番後ろにいたから気づかれることはなかった。
ナターシャも浮かぶ。
「あ、ロケだ」
「ロケ?」
「テレビの番組を撮影してるんだよ」
「おお、これが撮影」
エマが見るそこには、何人もの人達が集まり、有名人が撮影用のカメラに向かってなにか言っていた。
「あ!あの人って刑事シリーズのジローさんだ」
長寿ドラマの推理もののドラマで、もう何年も流され続けている番組の名俳優である。
そんな人がこの町で番組を撮影しているとは。
え、幸運すぎない?
「おねー、好きなの?」
「長年見てたから好きというより馴染みの人に会ったなって感覚かな?」
あらためて見るとなにかの別の番組みたい。
うまく言えない。
二人してその場面を見ていると、有名俳優と若い女性が何かを話しているのが見えて恐らく、現在撮影を行っていると思われる。
「わー、俳優を生で見れるなんて初めて!感動〜」
「おねえ嬉しそう」
「そりゃ嬉しいよ。地球に住んでいた時だって会ったことがないからね。本当に嬉しいなぁ」
ほくほくした気持ちを持ったまま見ているとエマが、撮影箇所をずっと眺めてからふーん、と呟いた。
「エマ?え、エマ?ちょ、エマ!」
ナターシャは、エマがふわふわと浮いたまま彼らの方へ進んでいくのが見えるので、慌てた。
このままじゃ撮影を邪魔してしまう。
慌てて追いかける。
何か変なことを言ってしまっただろう思ったが、今は追いかけることを優先することにした。
「エマぁー!」
小声でと、テレパシーで呼びかけても全く止まってくれず困惑する。
「どうしたの、エマ」
ナターシャは顔を憂いにさせて呟いた。