宣伝と心を掴む言葉を言っていく。
「さて、ではえーっとナターシャさんとエマさんにご質問コーナーといきますか」
歩きながらも、瞳を輝かせて進行役の女性が進める。
「はい」
今回は台本なんて、ないようなものになっている。
「なにを聞きましょうかね。考えたことなどないのでねえ?」
それでも、最高視聴率になるだろうと全員が思っている。
「あ、では、なぜ地球に来たのかというのを聞きたいですね」
「あー、旅行先に選んだからですよ」
元々来るつもりだったとは言えないので、ありきたりの内容になる。
「地球を旅行先なんて珍しいですけれど」
女性が眉を下げる。
「それは……アニメを見たかったんですよ」
地球は人気の星ではないし、宇宙人への対応はまだまだなところがある。
「アニメ、ですか?」
ホテルに滞在しているとわかること。
彼女の言いたいことはわかるので頷く。
確かに、思っているほどウケないサブカル。
という宇宙人の中ではそう認識されているみたい。
「人が宇宙人にアニメを進めても、専門用語ばかりで受けは悪いと思います。例えば愛とか恋とか、剣とか」
「愛と恋などが専門用語なのですか?」
名俳優ジローは驚きに目を見張る。
「はい。恋愛観は地球と宇宙では違いますし。剣も宇宙では使われてませんから」
オリジナルな武器なわけ。
あれはなんだろう、これは何をしているのだろうという、わからないまま終わる。
結局ハマれない。
「翻訳したり、翻訳されたりしないとよくわかりませんし」
翻訳するならばしばらくその星の文化を身に取り込んでいかねば、複雑な翻訳でサブカルなどを楽しむにはかなりマニアックなところになってしまう。
「ねえね、エマそろそろ聞きたいことある。いっぱい。聞いていいよね?」
「え、うん」
エマがくいくいと、服を引いて今か今かと待っている。
「ジロー、ジローって呼んでいい?」
「あ、エマ……さんを付けなさい」
流石に年上だし、トラブル回避のためにと注意する。
さんとつけるのは、地球の独自文化の呼び方なので郷に入って行かないと騒ぎになったりと、それを回避しないと。
テレビの視聴者の人たちもきっと画面の向こうで怒るので。
なんとか、改める。
「おや!宇宙人の方に名前を呼んでもらうなんて初めてです。嬉しいですねえ!構いませんよ。では、わたしはあなたを」
「エマって呼んでいいよ。ジローと他にも話したいことあるから」
「おお、ありがとうございます」
俳優のジロー氏はとても嬉しそうにしている。
俳優なので本音なのかは、プロでもない自分達にはさっぱりわからない。
明らかな子供に、呼び捨てにされてはいい気分にはなれないと思うんだけど。
ハラハラしながら、ジローと司会の女性を交互に見る。
「みなさん!ジローさんがエマさんと今友好を結んだようですよ」
エマとジローの会話に女性は楽しそうに語る。
それでいいのか。
撮れ高というものなのかな。
ナターシャはなんだ、と心配するのをやめることにした。