エマはどういう意味で現場を盛り上げたのか不明だが、宇宙人と語り合うという目的に沿ってジローは妹へ歩み寄ったらしい。
「ほかに質問をさせてもらいますね」
「ええ。どうぞ」
と、ナターシャの朗らかな笑みにスタッフ含めて野次馬の人たちもほぉっ、と見惚れる。
「ご家族で、なにか最近美味しかったものはなんでしょう」
(海外から来た女優によく質問されるものをされるとは)
己の立場でそうなるとは。
「それはですね」
「エマはきゅうり。しゃくしゃくして美味しかった」
「きゅうり!聞きましたか地球のみなさん。宇宙の方に我々の星の野菜が好まれています」
司会の女性が嬉しそうにカメラに向かって笑いかける。
そんなにうれしいものなのかと不思議な気持ちになった。
あえて言うなら、この星の食べ物は美味しいので、特別これが一番というものはない。
「きゅうりがどっさりホテルに届きそうなことを……」
絶対に各地から、どしどし送られてくるかもそれない。
「ナターシャさんはどうですか」
「私はですね、食べ物も美味しいのですけど、飲み物がお気に入りです」
「飲み物ですか」
「炭酸の入った飲み物が美味しくて冷蔵庫にたくさんあります」
買い込んでいる。
昔からやりたかった大人買いをしているので、こちらは満足なのだ。
ナターシャは冷蔵庫の中身を思い出して内容を語る。
「炭酸水ですか。若いですねえ」
ジローをずっとエマは観察しているので、目線が彼を見上げている。
それに気付いているのだろう男は、知らぬふりをしてくれていた。
司会の人もなんとかなにもないふりをして番組用のカメラを見ている。
「そろそろ名残惜しですが、散歩は終わりですね」
番組は終盤になり、番組の名前と手を振るシーンに映る。
「ありがとうございます」
二人の姉妹は撮影を終わらせると俳優やスタッフ達にお礼を言い、エマはジローに質問をしている。
それを見ながら色紙を取り出すとジローへ向かってサインをください、と笑みを携え頼み込む。
「ありがとう。こちらこそ」
快くサインを書いてくれる人にお!っと内心歓喜に揺れた。
エマも首を傾げながらジローからサインをもらう。
「スタンプラリーかなにか?」
「違うよ。好きな人にあったら、貰えるかもしれない……記念品ってところかな」
エマにサインをもらう意味を説明していけば、妹はやはり首を傾げる。
「もらった方がいい?」
「どっちでもいいよ。貰っておく方がいいかも。出会った記念にね」
「写真撮る方が残る」
エマはこくっと頷く。
「そうだね。じゃあ記念品写真」
「うん。撮る」
エマは頷くと、スタッフから始めて俳優や司会者の女性を最後に声をかけ出す。
「え?私達もですか?」
「うん。出会った記念」
「いや、俺らよりも向こうのジローさん達だけの方がいいですよ」
汗汗とした顔をして向こうをさすけど、エマは気にせずに集まってねと声をかけていく。
二十人近い人達を、集めて集合写真を撮る。
カメラはエマの持つ、浮遊するカメラ。
それだけでも彼らは、すごいすごいとカメラを見つめる。
「携帯が浮いているっ」
「あのスマホ欲しい」
「すげぇ」
彼らはザワザワしながらも、エマはカメラを気にせずに撮る。
それをその場で現像し、一枚の写真として渡して全員のスマホに直接、データとして送りつけた。
「えっ、スマホに写真ある」
「すごぉ!」
などなど、技術に驚きを手にみんなが話し合っていた。
ジローもスマホを出して、おやおやとなった顔つきで見ていた。
一枚の写真も全員に行き渡る。
ちなみにその写真は、宇宙技術で色褪せない。
「みなさん、ありがとうございました」
エマとナターシャは頭を下げて、スタッフらや俳優らに顔を向ける。
それをスタッフ達は拍手をして、お礼を言ってくれた。
そして、撮影する人達は撤収をし始める。
ジローにまたいくつか質問をして、手を振ってみんなと別れる。
帰ったら家族とキュー太郎に話そう。
二人になったら手を繋いでぽつぽつ歩く。
散歩をしたくなったのだ。
「どうだった」
「ジロー、俳優。記憶できた」
「色々質問してたね」
「興味があったしデータに必要だったから。まだ必要」
「なら、ジローさんが出てるドラマ見よ」
「うん。見る」
「やった。おすすめしたかったけど、見る順番待ちだったんだよねぇ」
他にも色々見るものがあって、おすすめを言うもなかなか複数を見るのは大変なのでその順番待ちが繰り上がるのは喜ばしいことだ。
「帰ったら見よう」
「何シリーズあるの?」
「確か、私の時は最新が十九とかだったから今はうーん、わからないなぁ」
エマは手繋ぎの力をキュッとした。
「全話見通しして、今日はジローさん祭りだ」
「だー」
エマは手を挙げて後に続いた。