ルビー家滞在記【オリジナル】完結   作:苺のタルトですが

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05視線を感じる

とうとう、地球へと繋がる場所へ踏み出した日、それは……。

それは、凄まじい視線に襲われる日でもあった。

外見が宝石みたいにキラキラしたしていたら、つい見てしまう。

それは、うん。

わかるよ、うん。

 

「突き刺さる、すっごい突き刺さる」

 

「美人は3日で飽きる。地球の書に記されていた。すぐに皆飽きる」

 

「我慢するしかない」

 

息を深くして吐いた。

 

歩いているとフードコートになっている。

 

「やたら高級店が目立つな」

 

立地的に、異星人が降り立って目に入る場所だからか、値段が高いのだろう。

両替はしたので資金はある。

しかし、ナターシャが食べたいのはB級グルメ。

 

「エマはたこ焼き食べたい」

 

「母はなんでもいいぞ」

 

「私も」

 

3人の意見を統合して、たこ焼きを目指した。

途中、案内人が立っていたので訪ねるために声をかける。

案内人は美しいロイヤルオーラを奏でる一家が近付いてきただけでなく、話しかけてきたので、声を裏返して返事をした。

 

「たこ焼き屋はどこですか?」

 

案内人がたこ焼きを認識するのに2分要したが、教えてもらえて一家はそこへ向かう。

人は波のように避けられる。

カメラを構えた人達がいたが、撮ってもいいかと許可を出し合って取るのがマナーなので、シャッター音がする度に家族は認識阻害を自分にかけて映像に残らないようにした。

 

トラブル回避の為であり、嫌だというわけではない。

許可をしてないので、こちらも無言で対応したというだけだ。

慣れていた。

視線も、母が有名な人なので、見られる事から始まることは少なくない。

 

ナターシャを見るのは良いが、不躾なのは不快だ。

エマはケロッとしていて、両親もケロッとしている。

無断で撮るのも良い気はしない。

 

「種族差か」

 

己は記憶持ち故に、落ち着かないのだろうな。

あちらこちらから美しい、と聞こえてくる。

 

「たこ焼き、まだ?」

 

エマがウズウズしている。

 

「もうちょっと……あれ、かも」

 

たこ焼きと暖簾に書いてある。

暇そうにしている御仁に話しかける妹。

ここは宇宙人街とも呼ばれていて、活気がある。

 

「はいよ……いくつ注文だ……あ……?」

 

いつの間にか家族動画を撮影していた父の行動は、図らずとも我が家が初めて粉物との出会いを記録する。

 

店主はジュ〜、と焼ける音を背景に呆然と私達を眺めていた。

 

「返事がない、ただのしかばモガ」

 

エマが定番ネタを飛ばそうとしたので、サイフで口元を塞いだ。

 

「あー、エマ?エマはいくつ食べたい?」

 

「*個」

 

父母にも統計を集めて店主に伝える。

 

「すみませえん。**個ください」

 

「……」

 

「ナターシャ、やはりこの人はしかモググ」

 

エマの口元をキュッと指と指の間に挟んでパックした。

 

「す!み!ま!せ!ん!」

 

「っはあ!?はい!?」

 

漸く現実に戻ってきた店主は意識をこちらへやる。

 

数を伝えると慌ただしく動き出す相手。

私達は青いベンチへ座って待つ。

たこ焼き屋の横で並んで座る4人に人々の視線は離れない。

シャッター音が鳴っても、レンズはなにも映さない。

真っ黒だ。

 

「たこ焼きは前にナターシャが絵に描いた通りだったな」

 

母が誇らしげに思い出を語る。

昔、絵に描いた。

シンプルで書きやすくて、美味しさは伝え切れてなかったけど。

 

「とってもいい香り」

 

父は鼻を上に向けて嗅ぐ。

私達も上を向いてお揃いで匂いを吸い込む。

 

「焼ける良い音」

 

「待つのも美味しさの秘訣だよ」

 

ナターシャはどんどん実感していく。

店主に焼けていく順で渡される。

一パックを4人で分け合う。

プスッと爪楊枝をタコに差す。

 

「柔らかい」

 

エマが頬を赤くして呟く。

 

「どうやって食べるのだ」

 

母が聞くのでそのまま口にいれるのだと説明する。

 

「いただきます」

 

4人はぱくりと一つを食べる。

 

「あついっ!」

 

(あ、違った)

 

ナターシャは元地球人の味覚の名残で熱さを勘違いしたが、この身体では、このくらいの熱さなど痛みを感じない。

それを思い出してちらっと周辺を盗み見て、なに食わぬ顔に戻す。

 

4人は同時に破顔し、天に向かって事前に決めていた言葉を押し出した。

 

 

 

 

「「うまあい!!」」

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