エマはその間に、なにやら作業をしていて、気になった私は聞いてみる。
彼女の画面はいつもコードばかりで何をしているのか聞かねば分からない。
「スマホとか携帯機器のゲームアプリを開発しているの」
「ゲーム作ってるの?凄いね」
「こんなの直ぐ終わる。ママの道場のCMも入れておけば良い広告にもなるし、金銭も稼げる」
エマは昔から天才だから片手間なのは本当のこと。
なんのジャンルを作っているのかと聞いてみたら「乙女ゲーム」「RPG」「男性用ゲーム」と返ってきた。
まさかの3つ同時進行。
凄過ぎて、楽しみ。
オマケに、地球のゲーム傾向を分析しているので、かなり面白くなりそうな予感がした。
母親の、真っ赤な美女具合に釣られてきた人達から初期費用をきっちり回収し、投げ飛ばされる光景を見ながら、父が働く場所へ向かうのを見送る。
姉妹だけぽつんと残ったが、やることは沢山沢山ある。
妹は芸能活動を候補に挙げていたが、私的に特にこだわりもない。
どうしたものかと悩む。
3日後、他に作っていたゲームが完成したのでやってみてと妹から誘われて、妹の作成したスマホが手渡される。
まさかのスマホすら自作!
しかも、凄く高性能。
これを売り出したら地球の携帯が駆逐されかねない。
「お、今のゲームって感じじゃん」
エマは私がするのをずっと見ている。
「牧場経営のやつ?」
「違う。牧場、戦闘、街経営、店経営、料理、動物管理、パズル要素が入ってる」
「すごいなんてもんじゃないよ、妹ちゃん」
サバゲーのリアルゲーを作ってしまう彼女からすれば簡単だったとは思うけど、いちゲーマーからしたら今流行りの要素に頭がふやけそう。
おまけにキャラの恋愛要素まで。
ストーリー濃いし、長い。
「メインストーリーは100時間、サブストは50時間、その他のイベントストーリーも用意させた。追加も予定」
「いやもう、覇者かなこの子」
このゲームしか勝てない。
「既にありとあるゲームの情報を飛び込んでプログラムとして完成させているから、続編も作らせている。細かい調節を私がするだけ。ストーリーの配信はナターシャの気分で良い」
「私の気分なんだ?姉贔屓が過ぎるから半月に一回とかで良いんじゃ無いかな」
いや、1ヶ月一回でも普通に許される。
半年もいけるかもしれない。
長過ぎ?
「低いスペックの機器にも対応させたから、出来ない人は居ない」
「んー、天才」
グラフィックが3頭身で、これが動くのって、ありえるのかなと心配だったけど、妹が言うには3等身でも軽々動かせるコードを自作したとか。
デフォルメモードというモードもあって、小さい子のためのモードらしい。
美しい女性や刺激的な男性をキャラクターとして出してもデフォルメされているので法律や規約に引っかからずに済むらしい。
「天才だなうちの子は。偉い偉い」
「エマだからね」
やがて、妹はスマホゲーム【私からの贈り物】とタイトルを付けて配信準備を行う。
政府からは別に止められなかった。
止められたら妹がサイバー的に攻撃する可能性を私は知っていたので安堵した。
自分の天才的な作品を、理由なく止めようとする輩に妹は躊躇なく叩き潰すところがある。
インフラどころか、国々の防衛が崩壊することこの上なし。
おまけに私じゃエマの文野はちんぷんかんぷんだから止めるのも無理。
配信するにあたって、自分もなにか手を打とうかと考えていた。
例えば、動画を投稿するとか?
いやでもなあ、そんなことをせずとも爆売れ間違いなしだしなあ。
主題歌でもいっそ流すか?
悩んでいる間に妹の配信は近づく。
実は配信日も私に委ねられてしまった。
仕方なく1ヶ月後ね、と言った。
凄く凄く適当に。
「姉さん、CM撮る」
「CM?なんの?」
「スマホアプリの」
「なんで?ゲーム内映像でしょそこは。え?」
「黒服の人達に懇願された」
いつ懇願されたのだろう。
「え?」
よくよく聞いてみるとアプリの企画を知った人達が私達姉妹のビジュアルを使いたいと何故か言ってきたらしい。
ゲームのCMに製作者が出るのって、普通五周年とかじゃないのか。
ゲームに実写って……。
そもそもなんでそんなことをたかだかゲーム管理をする人達が。
「この地域を収める代表の人が電話してきた」
地域じゃなくて、国だよエマよ。
「総理大臣じゃん!」
とは言っても、私達の母親は超がつくくらい有名人で、ファンも多いので、星の一番偉い人が会いに来るというのは、かなりあること。
代表一家とか、族というひとまとめの人達がミーハーで来たこともある。
それよりも大統領が電話とか、その人や周りも忙しいんだろうに。
ホテルを特定して、CMしてくれないかってオファーを誰かが発案したってことだ。
そういや、ニュースにルビー色の美しすぎる一家が地球を来訪しにきましたとかやってたけど、あれ、許可してないよ。
私達はこの星では一般のカテゴリなので、プライバシーとかのお話によれば赤裸々にやってはいけない。
これも法律にある。
とは、いうものの規制しても目立つものは目立つので仕方ないと思う部分もある。
やれることは姿を変えることなのだが、私はこのルビー色の髪や色素が家族の一員を表している事が自慢。
出来たらこの色を褒められたい。
「私は出ても良い。だって、ママの道場にまな板の魚、哀れな牛、連れて行かれる子羊が増える」
翻訳とか優秀だから言い間違いじゃなく、はっきりしっかり言われちゃってる。
笑う。
「ふふ。確かに」
ふらふらとCMに惹かれる人達が浮かぶ。
母もサプライズで出て道場の番宣を一部いれるとのこと。
私達はこの姿を見せながらゲームをして、家族の雰囲気をCMにするのだとか。
ファミリーゲームじゃないのに。
完全にビジュアル採用。
全て妹セレクション。
CMに口を出す企業はどこにも居ない。
何故ならゲームに出資者は居ないから。
妹が指示した通りにCMを作るだけ。
早速スタジオを押さえたエマ。
私達は母に見られながらCMを撮りにスタジオへ。
機材も人手も全て妹だ。
どうやら大統領や首相が頼んだのは私たちの出演に関してらしい。
その他の指示は妹がノーと言い退けたとか。
私のゲームにこれ以上欲望を入れようとするな、と怨念のこもった声音なので引き下がったのだと母が解説する。
因みに母が代わりに話をつけていたら、私達はきっと好き勝手にされていたかもしれない。
水着とか、アーマーとか。
母からすれば恥ずかしさの範囲があまりないからね。
傭兵だからヤバい時は裸同然で敵を薙ぎ払ったこともあるとか、ないとか。
まあ、政府やお偉方もそんな無茶振りはしないだろう。
CM撮影は浮遊するカメラと3人の美しい親子しか居ない。
真白と緑のグリーンの中で撮影。
2人でワイワイする。
妹が、早く出たくて予定より早い出演にしようとする母へ雷を落とす。
私達の間にぬっと割って入ってきたせい。
「ジュスティヌ!あっちいって!」
これは流石に庇えない。
「母よ、出たがりは今引っ込めようよ。ね?」