よすがを辿りし炎は透き通る世界へ   作:紙コップ113

7 / 8
ソティス、ホットドック着ろ。
レタス増し増しのヘルシーなホットドックになるんだ。

英雄総選挙でフェリクスとベルナデッタが1位2位になってるの見ると、今だに風花雪月の人気エグイですよね


雇われる者同士

セリカを救出した後、夜中に起きた分の睡眠を取るために一度解散した。

 

そして朝の10時ごろに学校へ集まることとなった。

 

今から始まるのは、対策委員会の定例会議だ。

 

「では早速議題に入ります。本日は、私たちにとって重要な問題……”学校の負債をどう返済するか”について、具体的な方法を議論します。」

「ご意見のある方は、挙手をお願いします!」

 

「はい!はい!」

 

初めに意見を出すのはセリカだった。

 

「対策委員会の会計担当としては、我が校の財政状況は言いようがないわっ!」

「毎月の返済額は、778万円!私たちも頑張って稼いでいるけど、正直利息の返済も追いつかない。」

「つまりこのままじゃ、らちが明かないわ!ここはなんかこう、でっかく一発狙わないと!」

 

なるほど?地道に稼ぐより一つ大きな仕事をして大金を稼ぐ方法か。それ相応の危険は伴うが、成功した際には多大な報酬が手に入る。

となると、国からの仕事となるか……だが彼女たちにそれほどの信頼があるのか?

 

セリカが一枚の紙を見せる。どれどれ……

 

「『ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金』…ねぇ…?」

 

「そう!これでガッポガッポ稼ごうよ!」

 

いや……これは……

 

「本当に稼げるのなら、そんな紙を配って皆に教えないと思うけど。」

 

「却下ー。」

 

ホシノの気怠そうな、容赦ない一言でこの案は破棄された。

大体、身に着ければ運気が上がるという具体性のないものでは稼ごうにも稼げない。

絶対ないと思うが、これがセイロス教関連であれば、中央教会が黙っていないだろう。

 

『いわゆるマルチ商法ですね……………』

 

『こんな簡単な手に騙されおって…あのセリカという小童は、一度商売を学ぶべきじゃなかろうか?』

 

セリカにとっては絶対成功すると考えていたのだろう。膝から崩れ落ち、落胆していた。

どうやら彼女はすでにブレスレットを二個ほど買っていたらしい。

 

次に手を挙げたのはホシノだった。

 

「我が校の一番の問題は、全校生徒がここにいる数人だけってことなんだよねー。」

「生徒数イコール学校の力。トリニティやゲヘナのように、生徒数を桁違いに増やせば、毎月のお金だけでもかなりの金額になるはずー。」

 

ふむ。稼ぐ方法ではなく、組織力を高める方針か。確かに人手が増えれば、単純な稼ぎ方でもそれなりの金額になる。肝心の増やし方については……………

 

「簡単だよー、他校のスクールバスを拉致ればオッケー!」

 

「はい!?」

 

「登校中のスクールバスをジャックして、うちの学校への転入学書類ハンコを押さないとバスから降りられないようにするのー。」

 

……………ずいぶん力任せな方法だった。というか、そんなやり方ではせっかく転入した生徒がアビドスに定着せず、別の学校へ転校するだけなのでは?

 

『あー。目の付け所はよかったのじゃが、やり方はどうにかならんかったのかのう。』

 

「それ、他校の風紀委員が黙っていませんよ?」

 

「うへ~やっぱそうだよねー。」

 

シロコは興味津々だったようだが、アヤネが何とか却下してくれた。

 

次はシロコが銀行強盗を提案したが、当然の如く却下。人様の生活を脅かすのなら盗賊とやることは同じだ。

 

最後にノノミがスクールアイドルという提案をしてきた。聞き覚えのない言葉だったため、どんなものかを聞いてみたら、いわゆる歌劇団と似た感じらしい。ほかの案と比べてまだ可能性のあるものだったが、ホシノに却下された。彼女たちの歌劇は少し見てみたい気もあるが……………

 

「あのう……………議論がなかなか進まないんですけど、そろそろ結論を…。」

 

「そういえば先生は何か意見がある?ここは大人としての意見が欲しいなー。」

 

自分に発言権が回ってきたので、少し考えてみる。

今の対策委員会の収入源は、セリカがやっていた個人のアルバイト、学校に残された資産の売却、そしてアビドスに滞留している指名手配犯の逮捕……………これだ。

 

「君たちは指名手配犯の逮捕による賞金も確保していたよね。だったら、アビドスの外で賞金を得るってのはどうかな?」

 

アビドスの中で借金を返済することは正直なこと無理だ。だからこそ、経済が回っている郊外での活動が重要になってくる。いわゆる傭兵に近い稼ぎ方だ。

 

「例えばゲヘナ学園。あそこには美食研究会や温泉開発部といった指名手配がいる。彼女達を捕まえてヴァルキューレに突き出せば、それなりに稼げるんじゃないかな。」

 

「確かに、アビドスの知名度も上がるわけだし、一石二鳥よね。やってみる?」

 

「ちょっと待ってください、まだヘルメット団が攻めてこないとは限らないのですよ!」

 

「そこが問題だよね。そうなると、ホシノのバスジャックで人数を増やす手も一理あるけど、とにかくやり方が悪い。」

「……………アイドル、やってみる?」

 

「あはははー!よし、アイドルで決まり!それじゃあまずはユニット名を決めよー!」

 

「水着少女団のクリスティーナで~す♧」

 

「計画は大胆な方がいい。でしょ、アヤネ?」

 

「……………い……………。」

 

あ、まずい。調子に乗りすぎた。

来るべき未来を予想できた自分はそそくさと教室から退避した。

 

「いいわけないじゃないですかぁ!!」

 

『おぉー、机が宙を舞っておるのう。あやつ、華奢な体に反して結構な力を持っておる。』

 

身の危険を感じ、学校外へ出ようとしたところ、アヤネに捕まって滅茶苦茶説教された。

 

 

 

 

 

 

「いやぁー悪かったってば、アヤネちゃん。ラーメン奢ってあげるから、怒らないで、ねっ?」

 

「怒ってません……………。」

 

「はい、お口拭いてー。はい、よくできましたねー☆」

 

「赤ちゃんじゃありませんからっ。」

 

アヤネを怒らせてしまったので、お詫びとしてラーメンを奢ることになった。

 

「アヤネ、チャーシューもっと食べる?」

 

「ふぁい(モゴモゴ)。」

 

と、なんとかアヤネの機嫌を持ちなおそうとしているところ、ガラガラ、と出入り口の扉の開く音がした。

茨状のヘイローをした、紫の髪をした少女が入ってきた。

 

「あ…あのう…。」

 

「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

 

「こ、ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」

 

「一番安いのは…580円の紫関ラーメンです!看板メニューなんで、美味しいですよ!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

そう言って店を出た。

少し後、仲間と思わしき三人を連れて再び入ってきた。

 

「えへへっ、やっと見つかった、600円以下のメニュー!」

 

と、白髪サイドテールの少女が、

 

「ふふふ。ほら、何事にも解決策はあるのよ。全部想定内だわ。」

 

と、赤髪の高そうなコートを羽織った少女が、

そして後ろには白と黒の髪色をした少女がため息をしながら入ってきた。

 

「4名様ですか?お席にご案内しますね。」

 

「んーん、どうせ一杯しか頼まないから大丈夫。」

 

「一杯だけ…?でも…どうせならごゆっくりお席へどうぞ。今は暇な時間なので、空いてる席もおおいですし。」

 

そうセリカが説明すると、お言葉に甘えてと自分たちの近くに座っていった。また箸は4膳と追加で。

というかラーメン一杯を4人で分けるのか?他人の懐事情を探るわけではないが、そこまで高いわけでない一杯分しか食べられないほど困窮しているというのだろうか。

 

「ご、ご、ごめんなさいっ。貧乏ですみません!!お金がなくてすみません!」

 

「あ、いや……別にそこまで謝らなくても……………。」

 

「いいえ!お金がないのは首がないのも同じ!生きる資格なんてないんです!虫けらにも劣る存在なのです!虫けら以下ですみません……!」

 

ああいう卑屈な言葉を聞いていると、髪色と合わせてベルナデッタを少し連想する。

……………いや、ベルナデッタはああ見えて大分図太い一面があるからまた違うか。

 

「はぁ…ちょっと声デカいよ、ハルカ。周りに迷惑……。」

 

「そんな!お金がないことは罪じゃないよ!胸を張って!」

「お金は天下の回りもの、ってね。そもそもまだ学生だし!それでも、小銭をかき集めて食べに来てくれたんでしょ?そういうのが大事なんだよ!」

 

いつも借金返済に全力を尽くすセリカの言っていることだ。説得力がある。

 

「何か妙な勘違いをされてるみたいだけど?」

 

「まぁ、私たちはいつもはそんなに貧乏ってわけじゃないんだけどね。強いて言えば、金遣いの荒いアルちゃんのせいだし。」

 

「”アルちゃん”じゃなくて社長でしょ?ムツキ室長、肩書はちゃんと付けてよ。」

 

「だってもう仕事終わった後じゃん?社長の癖に社員にラーメン一杯奢れないなんて。」

 

赤髪の少女もといアルは、痛いところを突かれたように目を見開く。

 

「今日の襲撃任務に投入する人員を雇うために、ほぼ全財産使っちゃったし……。」

 

「ふふふ。でもこうして実際ラーメンは口にできるわけでしょ?それぐらい想定内よ。」

 

『嘘じゃな。無駄に虚勢張りおって、今日の飯のことも考えられんとは無様よのう。』

 

「たったの一杯分じゃん。せめて四杯分のお金は確保しておこうよ……。」

 

アルの金銭管理が壊滅的なのはともかく、”今日の襲撃任務”が気になる。

彼女の肩書である”社長”は確か、組織の最高責任者であるため、フォドラでいう首領や大司教に当たる意味だろうか。

 

「はぁ。ま、リスクは減らせた方がいいし。今回のターゲットは、ヘルメット団みたいな雑魚みたいには扱えないってことには同意する。」

「でも全財産をはたいて人を雇わなきゃいけないほど、アビドスは危険な連中なの?」

 

「それは……。」

 

待て、なぜ彼女たちの口からアビドスが出てきた?

……………理由はともかく、彼女たちがアビドスを攻めてくる可能性は高い。もっと情報を吐いてほしいのだが、いけるか?

 

「多分アルちゃんもよくわかってないと思うよ。だからビビッていっぱい雇ってるんだよ。」

 

「誰がビビってるって!?全部私の想定内!」

 

「失敗は許されない。あらゆるリソースを総動員して挑むわ。それが我が便利屋68のモットーよ!」

 

組織名は”便利屋68”か。先ほどの話からすると、雇われの傭兵組織といったところか。少し親近感が湧かないでもない。

 

「お待たせしました!お熱いのでお気をつけて!」

 

セリカから運ばれたラーメンは、一人前と言い張るには無理のある量だった。

 

「ひえっ、何これ!?ラーメン超大盛じゃん!」

 

「ざっと10人前はあるね……。」

 

「こ、これはオーダーミスなのでは?こんなの食べるお金、ありませんよう……。」

 

「いやいや、これで合ってますって。580円の紫関ラーメン並!ですよね、大将?」

 

「あぁ、ちょっと手元が狂って量が増えちまったんだ。気にしないでくれ。」

 

「大将もああ言ってるんだから、気にしないで!それじゃ、ごゆっくりどうぞー!」

 

量を増やしたのは、おそらくわざとだろう。

とはいえ気持ちは分かる。子供たちが今日の食事を十分に摂れず、ひもじい姿を見るのは決して気分のいいものではないからね。

 

「うわぁ……………。」

 

「よく分かんないけど、ラッキー!いっただっきまーす!」

 

サイドテールのムツキを初め、便利屋の4人が一斉にラーメンを口に運んだ。

 

「お、おいしいっ!」

 

「なかなかイケるじゃん?こんな辺ぴな場所なのに、このクオリティなんて。」

 

……………折角だ。傭兵同士、少し話を振ってみようか。

 

「おや、かの有名な便利屋68と会えるとは、光栄だね。」

 

「あれ……?隣の席の……。」

 

「自分も最近、仕事でアビドスに来たんだ。ここのラーメンは仕事終わりには最高だよね。」

 

「へぇ……まさかここで私たちを知ってる人に会えるなんて。名前を聞いてもいいかしら?」

 

「ベレス。キヴォトスで傭兵をやっている。」

「これも何かの縁だ。雇われる者同士、いろいろ話がしたいな。」

 

「えぇもちろん。あなたが想像したこともないエピソードがたくさんあるの。ぜひとも聞いてほしいわ。」

 

「想像したこともない、か。それなら自分の話もそうかもしれないね。」

 

 

 

 

 

「よ、夜明けに三人の貴族が助けを求めて……。」

「それで助けたら、その先で教師になってたと……。」

 

「……………ちょっと誇張し過ぎない?」

 

「……………まぁ、自分でも何で教師になったか今でも分からないし、人脈や運によって未来が変わるってことだよ、多分。」

 

ガルク=マク大修道院に来た経緯を簡潔に話したが、ムツキとカヨコにはあまり信じてもらえなかった。まぁ冷静に考えればありえない話だから仕方ない。

 

「……………。」

 

「……アルちゃん?」

 

「……………いわ。」

 

「ん?」

 

「信じられないわ!貴族様からの依頼が来るなんて!」

「その貴族って、どこの人なの?私にも紹介して!」

 

……………あー、そこで引っかかったか。

 

「偶然だよ。もう大分昔のことだし。そんな奇跡は頻繁にはないよ。」

「それに教師になった後も色々あってね。例えば……………」

 

とまぁ、士官学校時代の思い出話を色々語った。

死神騎士の話をしていたときは、アルが白目を剥いていたのは少し面白かった。

 

 

 

 

 

 

話がひと段落したので、便利屋とはここで解散することにした。

 

「それじゃあ、気を付けてね!」

 

「お仕事、うまくいきますように!」

 

「また縁があれば、君たちと同じ雇い主の下で仕事ができるといいな。」

 

「あははっ、了解!ベレスたちも仕事、頑張ってね!私も応援してるから!」

「じゃあね!」

 

アルは満面の笑みで手を振り、去っていった。

 

『……何というか、わしらが申し訳なく感じてしまう奴らじゃったな。』

 

話をして分かったことは、彼女たちは傭兵として生きていくにはかなり心配になる性格だった。特にアル。

 

「みんな、この後学校に戻ってほしい。」

 

「ん?どうしてですか?」

 

「……………便利屋68を始末する策を練るためだよ。」

 

「「「ええっ!?」」」

 

『せ、先生!?あんなに仲良くしてたのに、どうして倒す必要があるんですか?』

 

『少し考えたら分かることじゃろ。傭兵の便利屋がなぜアビドスにいるのかをな。』

 

「ま、そういうこと。傭兵である以上、顔見知りと戦うことになるのはよくあることさ。」

「自分の予想だと、彼女たちは今回の襲撃にかなり無理をしている。それに彼女たちを雇い主を知ることができれば、状況が大きく動くかもしれないしね。」




読んでいただきありがとうございました。
便利屋68がフォドラにいたら、どれだけやれるんでしょうかね。ジェラルト傭兵団にエンカウントしなければ、それなりに立ち回れそうな気がしますが。
もしよければ評価、感想もお待ちしております。

(ネタバレ注意)ホシノ*テンプラーはセンスありすぎる
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。