よすがを辿りし炎は透き通る世界へ   作:紙コップ113

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あにまんのスレでなぜか発掘されたので復活してみました。


人道なき策略

「校舎より南15km地点付近で大規模な兵力を確認。」

 

アヤネのドローンから撮影された映像を見る。

特徴的なヘルメットを被っていない。どうやらヘルメット団勢力ではなさそうだ。

となると、別の勢力になるが、先頭に便利屋の4人がいた。

 

「食費を削ってここまで数を揃えたのか。仕事に対する真摯な態度は評価できるね。」

「じゃあそろそろ彼女たちに合図を送って。準備通り進めよう。」

 

「……本当にいいのですか?せっかく仲良くなれたのに。」

 

「向こうは仕事で来てるんだ。雇われの身では避けられないことだよ。」

 

自分は校舎を出てグラウンドに向かう。

 

 

 

 

 

『前方に便利屋68率いる傭兵集団を確認!』

 

目標は目の前だ。ここはわざとらしく盛大に歓迎しよう。

 

「や、みんな。まさか会って次の日に敵対することになるとは、残念だよ。」

 

「なっ、ベレス!?どうしてここに……」

 

「君と同じ、仕事だよ。今日はアビドスの皆が休みだから、その間の護衛で雇われたんだ。」

 

「一人だけとはいえ、相手は相当なベテランだよ、アルちゃん?どうする?」

 

「に、逃げるわけないでしょ!金を貰えばなんでもする、それが私たちのモットーよ!」

 

便利屋と話に紛れ、自分は手腕を高く上げる。

 

「ん?あれは何かの合図でしょうか?」

 

手を前に振り下ろす。

 

「……!社長伏せて!」

 

「え、何!?うわっ!」

 

その瞬間、伏せていたノノミのガトリングとシロコが投げた手榴弾の爆音が響き渡る。

砂埃が晴れるころには……

 

「……休みだってのは多分嘘。私たち、嵌められたみたい。」

 

便利屋が大金を使って雇った傭兵が倒れ伏せてる。

 

「ありゃりゃ……折角雇った傭兵ちゃんたち、みんなぐったりしてるよ?」

 

「な……な……」

「何ですってぇーーーー!?」

 

「フン!」 「ゴホォッ!?」

 

困惑するアルを逃さず、鳩尾に拳をねじ込む。

 

「悪いね。まともにやりあって勝てる物量ではなかったからさ。」

 

以前ヘルメット団から回収した銃をアルの頭に数発撃ち込む。

……ヘイローが消えた。白目剥いてるし。

 

「えぇっ!?シャーレの先生は銃を使えないって聞いてたんだけど!?」

 

使い方はシロコに教えてもらった。とはいえ遠距離の命中はまだ安定しないため、近距離連射のような使い方になるけど。どこかで弓を手に入れたいのだが、近くの店では売っていなかった。

 

「あ、アル様をどこに連れて行く気ですか……?」

「まさか、磔にして殺そうと………!?」

「許さない許さない許さない……!」

 

ハルカが自分に突貫してきたが、隠れていたホシノが盾で防ぐ。

 

「まーまー落ち着いて。おじさんたち、君たちに聞きたいことがあるんだよ。」

 

ホシノはぐるんとハルカの背後に一瞬で回り込み、銃弾を数発撃ちこんで気絶させた。

今までの戦闘を見てきたが、重装兵の役回りの割には機動力がある。戦力にもっと余裕があれば、盾を装備せずに遊撃を担当したほうがいいのではないかと思っている。

 

次はカヨコだ。

これ以上使い道のなさそうな銃を投擲する。

 

「ちょっ……投げた!?」

 

回避されるも想定通り。避けた方向を天帝の剣で攻撃し、カヨコを制圧した。格闘術で鍛え上げた投石術がここで役に立ったね。

 

最後にムツキ。

 

「って、もう私だけじゃん!?」

「ちょっ、待って待って!降参、降参するからさ!」

 

残り一人なので、何も考えず集中砲火。ムツキを制圧。

 

 

 

 

 

 

「……さて、色々話してもらおうかな、便利屋68の皆さん。」

 

「……」

 

気絶している間に、4人を並べて拘束しておいた。武器も校内に置いてあるため、こちらに被害は及ばないだろう。

 

「……その前に、一つ聞いてもいい?シャーレの先生。」

 

初めに口を開いたのはカヨコだった。

 

「私たちの計画、いつから気付いてたの?」

「あなたたちの動きは私たちの考えが全て筒抜けだったような気がしたから。」

 

「うーん、そうだね……。」

「全部分かってたわけじゃ無いけど、君たちが傭兵を連れて攻めてくることは、昨日の柴崎ラーメンで会話を盗み聞きした時から分かってたよ。」

「そのおかげで、君たちと別れた後に学校に戻って策を練れた。」

 

「えぇーーーっ!?」

 

「言っても遅いけど、君たちの方は数がいたわけだし、自分たちを囲うように戦力を分散させておけば、少しは善戦出来たと思うよ?」

 

 

 

「うわぁ……完全敗北じゃん。これ、クライアントにどう説明するの?アルちゃん。」

 

「やっぱり雇い主がいたんだ。」

「答えて、これは誰の差金なの?」

 

「お、教える訳ないでしょう!?仕事が失敗しても、クライアントを売るようなことはしないわ!」

 

「ん、アウトローは裏切りぐらい平気なはず。」

 

「ひぃっ……!」

「出来るわけないでしょ!?相手はカイザーコーポレーションよ!そんなことしたら私たち……。」

 

「ん。」 「ありゃー。」 「言ってくれましたね☆」 「手間が省けた。」

 

『シロコと言ったか。あの小童、尋問が上手よのう。』

 

「ちょっ社長!何ポロッと吐いちゃってるの!?」

 

「あぁぁ……私たちお終いです……!カイザーにゴミクズのように捨てられるのですね……!」

 

「いや、捨てないから……!」

 

とりあえず、情報を吐いてくれたので用はない。手早く4人を気絶させ、人気のない所に置いた。

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ました便利屋68は、自分たちのオフィスに戻る。だが、彼女たちの気分は晴れやかではなかった。

それもそのはず、高い金と知略を掛けた作戦が、たったの6人に処理されたのだから。

 

「はぁ……。」

 

「やつれたねぇ、アルちゃん。あの先生にコテンパンにされたこと、まだ引き摺ってるの?」

 

「当り前じゃない……食費を削ってまでバイトを雇ったのに……。」

 

アルの中で引っ掛かるのは、やはりベレス。計算上では確実に勝てる数を用意したはずが、戦闘開始早々に壊滅され、自分たちもあっさりと制圧された。

たった一人の傭兵が、あの戦局を大きくひっくり返した。それはまさに、アルが憧れているハードボイルドそのものである。引き受けた仕事を確実にこなし、なおかつ自軍への被害はほとんどゼロ。ある意味便利屋68の理想形でもあるのだ。

 

「あぁ……クライアントになんて説明しよう。失敗しただけじゃなくて、情報までバラしちゃって……。」

 

「うーん、だったらバックレちゃう?背に腹は代えられないってことでさ。」

 

「そ、それは駄目よ!そんなことしたら便利屋の名に傷がつくわ!」

 

アルとムツキがこの後について話し合ってる時に、オフィスのチャイムが鳴る。

 

「社長、お客さんだよ。」

 

「えっ?あ、はい、少々お待ちください!」

 

アルが急いでドアを開ける。

 

「どうも、ここが便利屋68のオフィスで合ってるよな?」

「アンタらにちょっと仕事の依頼をしたくて訪ねたんだが、ちょっと時間が悪かったか?」

 

ドアの前にいたのは、焦げ茶の髪に緑の目、やや褐色の肌が特徴の青年だった。横髪には三つ編みが作られ、左耳にはピアスがある。

 

「あぁ、はい!大丈夫ですよ!どうぞこちらへ。」

 

アルは先ほどの陰鬱とした表情を振り払うように笑顔を取り繕い、訪ねた客人を中へ入れる。

 

ハルカはコーヒーを淹れ、客人の前に置く。

 

「ふむ……やっぱキヴォトスでは紅茶よりテフの方が人気なのは間違いなさそうだな。フォドラとは文化も技術もまっ逆さまだ。」

 

「(フォドラ……?)」

 

客人はコーヒーを飲む。カヨコにはフォドラという単語に引っ掛かりを覚えた。

 

「……さて、本題に入ろうか。アンタら、さっきまでシャーレの先生と戦ってただろ?」

 

「えぇっ!?どうしてそれを!?」

 

「たまたま通りかかった時に見ただけさ。その顔を見た限り、相当コテンパンにされたようだけどな。」

 

アルは痛いところを突かれて項垂れる。

 

「まぁ無理もないさ。策略には自信がある俺でも、いざ敵に回れば最後まで勝てるかどうか分からないからな。」

「あの人を打ち倒すには、それこそ国が一丸となる勢いで勝算が出るぐらいだ。」

 

「……アンタ、シャーレの先生を倒したいの?私たちが負けたことを知ってるなら、他の傭兵に頼んだ方がいいんじゃないの?」

 

「いやいや、俺が求めているのは、先生との面識があって、それで自由に動ける連中だ。」

「アンタらにやってもらいたいのは、ベレス先生の調査。可能な限り、あの人についての情報を集めてもらいたい。」

 

「情報……?そんなことを集めて何する気?」

 

「うちのお偉いさんがシャーレの情報を血眼で探っていてね。特にあの、伸びる剣の構造や脅威を知ろうとしてるんだ。」

「俺が直接集めてもいいが、こっちもこっちで調べたいことがあるもんで。だから、アンタらに任せようって話だ。どうだ、報酬は高くつくぜ?」

 

アルは悩む。仕事に対する報酬はこちらの方がいいが、カイザーからの依頼を断れば、便利屋としての名に傷を付けることになる。

 

「一つ質問いいかしら?先生の調査をする過程で、戦っちゃいけないってことはないわよね?」

 

「もちろんいいぜ。あまりお勧めしないけどな。」

 

「……フフフッ、心配無用よ。一度負けた相手には必ず勝つわ。」

「便利屋68はお金さえ払ってもらえば何でもやる、それが私たちのモットーだから!」

 

「まぁ、先生も見た感じ本気出してなさそうだったけどな……。」

「とにかく、取引成立だな。いい知らせを待ってるぜ。」

 

「えぇ、大船に乗った気分で任せておきなさい!」

 

取引が成立し、客人はオフィスを出た。

その直後、アルは緊張がほぐれ、座っていた椅子に倒れこむ。

 

「お疲れーアルちゃん。簡単そうな仕事がもらえてよかったー!」

 

「えぇ。でも、任されたからには気を引き締めてやるわよ!」

「(その場の勢いで引き受けちゃったけど、カイザーからの仕事まだ断ってないわよ!?さっきのお客さん、先生が全然本気出してないってサラッと言ってたし!)」

 

決め台詞を言うと同時にアルの額から冷や汗が流れる。

 

その間、カヨコはインターネットでベレスのことについて調べていた。

 

「(フォドラ……調べてみた様子だと、先生が元居た場所。どうして彼の口からその言葉が?)」

「(可能性があるとすれば、あの客は先生と同じ場所から来たの?文化や技術がまっ逆さまってどういう意味?)」




読んでいただきありがとうございました。

便利屋に依頼したのは誰でしょうかねぇ?いやーキヴォトスにはあんな人見たことないですが。
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