フリーレンと一京の魔法使い   作:練菓子

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ゼーリエみてたら思いついたので。

フリーレンってクロスオーバー適正あり得ないくらい高いのでもうちょっと開拓されて欲しい。


ちょっと多めに魔法が使える人外がいるだけ。
大体1京2115兆0499億6763万4554個くらい。




腐敗の賢老と一京の魔法使い

 

 

 ハーメルンをご覧の皆さん、こんにちは。

 

 数ある小説の中でこの作品を手に取ってくれたことに、心より御礼申し上げるよ。

 

 はじめましての人は初めまして。そうでない人は久方ぶりかな。

 

 僕は安心院(あじむ)なじみ。完璧な人間作りなんて無理難題に取り組んだり、気分で星一つを消し飛ばしちゃったりする、悪平等()なだけの人外だ。

 

 親しみを込めて、安心院(あんしんいん)さんと呼びなさい。

 

 僕の活躍や生い立ちについては、『めだかボックス』本誌にて綴られているから、そちらで補完してくれ。顔だけ知りたいというなら、上や下やに表示されてる検索エンジンで調べるといい。僕のカラー写真が拝めるはずさ。

 

 差し当たっては、このような他愛もないおしゃべりをしている状況について、説明させてもらうとしよう。

 

 まず前提として。

 

 君が知るかもしれない安心院なじみの世界と、今僕がいる世界は異なっている。

 

 俗にいうパラレルワールドというやつかな。

 

 どうしてそうなったか、という小難しい話は省略させてもらうけれど。今僕のいる世界には、本来存在さえなかったエルフ、ドワーフなんかの人類種や、魔族なんかの人でなし(じんがい)が存在している。

 

 まぁ何が言いたいかというと。

 

『世界観は原作と一緒だから、安心してね』

 

 ということが言いたいわけだよ。悪平等()という不純物が入り込んだだけ。クロスオーバー地雷の皆さんもこれで安心だ。まぁボーナストラックみたいなもんだと思って、気楽に見てくれたまえ。

 

 しかし。知っての通り長命種の気は長い。その分歴史が進むのも、技術の発展も遅くなってしまう。この調子では僕の出番はいつになることやら。少なくとも、あと100年は先かな。

 

 まぁ、僕の寿命は無限だし、君たちも、僕を観測できるということは時間の制限はないだろう。

 

 しかし。人間の基準で世界を覗くつもりなら、くれぐれも、これだけは気をつけなさい。

 

 この作品を見るときは。

 

 頭を空っぽにして、原作から切り離して見てね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────魔王討伐の7年前。

 

「どうした。この程度か、勇者ヒンメル」

「クソっ、やっぱり厳しいか……」

「そりゃそうですよ! 今生きてるだけ奇跡です!」

 

 勇者ヒンメルが率いるパーティー一行(いっこう)は、今までにないほどの窮地に陥っていた。

 

 相手は、魔王軍屈指の魔法使い『腐敗の賢老』クヴァール。

 

 特筆すべきは、クヴァールが開発した

 人を殺す魔法(ゾルトラーク)。史上初の貫通魔法。人類の防御魔法、装備の魔法耐性を貫通し、人体を直接破壊する。

 

 その力は凄まじく、フリーレン達勇者一行の力を以てすら、侵攻を止めることはできなかった。

 

 幸いだったのは、クヴァールの魔王に対する忠誠心がさほど高くなかったこと。何より、人類への殲滅よりも魔法の研究を優先する魔族だったことだ。

 

 その対応は、必須であっても急務ではなかった。一行の実力不足を圧してまで挑む必要性はなかったのだ。

 

 しかし。無理な迎撃を余儀なくされる事態が起こった。

 

『……妙だな』

『どうした、フリーレン』

『魔力の残滓が前と違っている。人を殺す魔法(ゾルトラーク)ではあるけど……』

『まさか、クヴァール以外に人を殺す魔法(ゾルトラーク)を使う魔族が……?』

『いや。魔族は魔法に関してはプライドが高い。いくら機能的だからといって、他の魔族が開発した魔法を使うとは考えにくいかな……』

『つまり、どういうことだ』

 

 

「クヴァール。お前、人を殺す魔法(ゾルトラーク)を更に改良しようとしているね」

「……ほう。一目見てそれを悟るか。流石じゃ、フリーレン」

 

 勇者パーティーの魔法使い、エルフのフリーレンの予測を、クヴァールは隠し立てることなく肯定する。

 

 そして、これこそがヒンメル達がクヴァールを無理に相手取る理由。

 

 人を殺す魔法(ゾルトラーク)を見ればわかる。こと魔法において、目の前の存在は天才だ。

 

 今でさえ十分な脅威だが、このまま放置すれば必ず手が付けられなくなる。多少の犠牲を覚悟してでも、ヒンメルらは打って出るしかなかった。

 

「クヴァール。これほどのものを作っておいて、何故これ以上を求めようとする。何が目的だ」

 

 勇者ヒンメルは問いかける。

 

 ヒンメルは魔法を知らない。けれど、クヴァールの魔法が人並み外れた凄まじいものであることはわかる。知る中で最も優れた魔法使いのフリーレンですら、魔族相手に手放しで賞賛するほどだ。

 

 フリーレンは言った。『人を殺す魔法(ゾルトラーク)()()()()()()()()()』と。洗練された魔法式。魔法として、発揮しているポテンシャルは100%。

 

 逆に言えば、人を殺す魔法(ゾルトラーク)には改良の余地がない。威力を求めれば魔力を無駄に消費し。発動速度を上げれば精度が落ちる。防御不能な上、当たれば確実に人間を殺せる人を殺す魔法(ゾルトラーク)にこれ以上の威力は不要だ。発動速度も、魔法式を弄るくらいなら魔力操作の技量を上げた方が何倍も効率がいいそうだ。

 

 全てが完璧なバランスで成り立つ人を殺す魔法(ゾルトラーク)。時代を何十年も先取りした天才の作品(オーパーツ)は、文字通り()()()改良のしようがないほど『完成』していた。

 

 故に、危険視すると同時に人類は測りかねていた。完璧で完全な人を殺す魔法(オーバースペック)を前に、なお改良を続けようとするクヴァールの真意を。

 

「……これほどのもの、のう」

 

 問を前に、魔族の天才は含みのある様子だった。老人がそうするように髭を摩り、一つ、一つと。勇者の正論を拾い上げる。

 

「確かに。人を殺す魔法(ゾルトラーク)は、儂が作った最高傑作。殺傷力だけを見れば、これ以上の魔法などないとも思えよう。かく言う儂にも、改良のイメージは沸いておらん」

 

 フリーレンは言っていた。魔法はイメージの世界だ、と。

 

 できると思ったことはできるし、できないと思ったことはできない。

 

 つまり、今のクヴァールには人を殺す魔法(ゾルトラーク)は改良できない。いや、開発者がそうなのだとしたら、やはり人を殺す魔法(ゾルトラーク)にこれ以上などないのか──

 

「──しかし、だ」

 

 それでもなお、と。クヴァールは食い下がった。まるで、必死に何かに抗うかのように。

 

 それは、死への恐怖だろうか。或いは、自らの才の限界か。若しくは、いずれ来る脅威へか。

 

 否。そんなものではない。クヴァールに恐怖はない。不安もない。ましてや、それは不確定なものへの周到さでもない。

 

「しかし、殺せぬ。殺せぬのよ、この程度では。ただひとつ例外がある。ただひとつ、殺せぬものがある。儂はその例外を許せなんだ」

 

 そこにあるのは、執念。

 

 普遍の真理のような。常人ならば当然のように屈服するモノに対する、尋常でない執着の炎。

 

 天才らしからぬ……否。天才だからこそ持つ、熱。

 

「…………あぁ、そうか、そういうこと。だから

 人を殺す魔法(ゾルトラーク)()()()()()()なのか」

「そうさ。そうとも、フリーレン。やはりお前も知っているな、1000年生きた魔法使いよ」

 

 納得顔のフリーレンと、思い返すように考えを馳せるクヴァール。

 

 長寿同士の常識のようなものか……とヒンメルはアイゼンを見やるが、彼も困惑している様子。

 

 二人に共通する何か。何かが、この不可思議な会話を紐解く鍵なのだ。

 

「どういうことだ、フリーレン」

「簡単だよ」

 

 ヒンメルの問いで、フリーレンも思い返す。誰か、ではなく誰も、であり。いつも、どこにでもいる彼女の姿。

 

 髪、茶髪。背丈、普通。体格、華奢。何もかもが普通に見えるのに、どこまでも異常(アブノーマル)で、そして悪平等(ノットイコール)な人外のことを。

 

 そう。極めて単純かつ、当然の道理。当然の理不尽。

 

 人を殺す魔法(ゾルトラーク)。史上初の貫通魔法。人類の防御魔法、装備の魔法耐性を貫通し、人体を直接破壊する。

 

 そこに至るまで、どれだけの研鑽を積んだのか想像すらつかない。今後百年語り継がれるだろう、最悪にして最高にして最強の魔法。

 

 しかし。

 

人を殺す魔法(この魔法)では、人外の安心院(あんしんいん)さんは倒せない」

 

 

 

 ────安心院(あじむ)なじみは、人を殺す(この)程度の魔法で殺せない。

 






またも活躍が盛られるクヴァールさん(いつもの)
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