鬼滅の刃柱稽古編面白かったですよね。そんなことを考えながら書き上げた作品。
パラレルワールドに迷い込んだ…何を言ってるのか分からねーと思うが、俺も何をされたのか分からなかった…頭がどうにかなりそうだった。夢を見ているだとか、白昼夢だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてない、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。
だって感覚だけど、出来るようになってるんだよ、波紋の呼吸ってヤツが…
周りの景色も古くなっている…昭和の景色より古い、明治時代か?…いやその時代の建物の中に洋式が取り入れられている家もある。まさか大正時代とかじゃあないだろうな?。
ところで今は何時だ?月の位置が高い、夜中だろうか?それに夜空も澄んでるしこの気温…秋に入る頃だろうか
しかし忍者村みたいなところでスーツ姿の男とはミスマッチがすごいな、パラレルワールドに迷い込んだのなら出来るだけ目立ちたくないのだが…そもそも元の場所に帰られる保証もないが…。
「けひっ、仕立てのいい服を着ているな、旨そうな匂いを出しおって…今夜は女の気分だったがまぁ、良しとするか」
曲がり角で出会したのは男だった。靴を履かず素足でやや見窄らしい格好の平民のような…頭にツノを生やした男だッ!。
「クソッ!鬼滅の世界かよッ!」
「訳の分からん事を言うな、食料は黙って胃袋に収まれ」
鬼は鋭利な爪を生やした手で俺の胴体を掻っ切ろうはとしたが、少し下がれた事で掠める程度に抑えた。
「ほぉ?避けたか」
「
しかしイケるか?血鬼術を使ってこないあまり人を食らっていないだろう鬼だが、出来ることが知覚出来た程度の波紋で仕留め切れるか?
いや、出来るかじゃあないだろッ!やるしかないんだよ!。
「コォォォォォ…」
「まさか呼吸か?クソッ鬼狩りだったか…しかし刀を持っていない鬼狩りなぞ普通の人間と変わらぬものだ!」
鬼が右手の大振りの引っ掻き、首筋から袈裟斬りのように振り下ろしてくるが…油断してか大した速度じゃあないッ!
「震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!!おおおおっ刻むぞ血液のビート!!!
俺の拳は鬼の突き出し出した手のひらを突き抜け、そのまま肩の辺りで止まった。くっ!やはり訓練なしでは不完全な波紋疾走だった!
「お前!刀ッ…刀無しで俺の腕をッ!許せん!!」
鬼の左手の鉤爪ッ!急いで波紋を練らなければ…
「カハっ!」
肺が震えている、頭痛も酷い、正当な形の波紋疾走じゃなかったから体にガタが来たのか!目眩もしてきた…鬼が左腕を振りかぶり…マズイ、このままでは…。
「かひゅ」
あわや鋭利な爪が俺の体を引き裂こうとした途端、目の前の鬼の首が地面に落ちた。
「危ないところだった、大丈夫か?」
塵のように朽ちていく鬼の後ろでは刀を下ろした金髪の先端が赤い男が立っていた…煉獄さん!
しかし酷い酸欠と助かったという安心感から俺の視界は暗転した。
◆◆◆
知らない天井だ…。
うっすらと開いた目線の先は昔の造りの家みたいだった…夢じゃあなかったのか…。
「おっ、目が覚めたようだな…体の具合はどうだ?」
俺が目を覚ました辺りで横の襖が開き、煉獄さんが現れた。
「あっ、えーと…身体の方はなんとか無事です。この度は助けていただきありがとうございます。煉獄さn…」
やっばい…やってしまったッ…ついうっかり口が滑っちゃった…。相手は何も知らないのに、こっちが一方的に知ってるだけなのにどう説明したものか…。
「なんだぁ、隊士だったのか?それとも何処かで噂を聞きつけた一般人か?まぁいい知ってるなら話しは早い。俺は
しんじゅうろう…槇寿郎…あっ!煉獄杏寿郎のお父さんか!えっ、うわーやっぱり息子と瓜二つだ………いや逆か、杏寿郎がお父さんと瓜二つなんだ…。やさぐれる前のお父さんかぁ…なんだか感慨深いものがある。待てよ、じゃあ原作開始時点からかなり前では?。
「俺は
「鬼殺隊…について知っていることは?」
「名前だけは…噂程度でしたが、目立つ髪の色の隊士が"煉獄"という名の家の人である"らしい"という。それだけです」
「俺が到着する前にどうやら交戦していたようだが、その時鬼の腕は片方無かった…それについては?」
疑われている?…いや違うな単に知りたいだけか。
「俺が海外に渡った時、太陽のエネルギー…力を体に作り出す特殊な呼吸法、"波紋呼吸法"と呼ばれる術がありました。悪を払う…魔除けのようなものだと教えられ、実践する機会がなかったのでしたが、古い伝聞に聞く鬼のようなものにあの夜に出会し、そこで初めて実践した結果…鬼の腕が吹っ飛びました」
「…それは、大変な体験だったな。しかし、鍛錬なしで鬼に反撃できる戦闘能力、それに鬼についてある程度の知識があるところを見るに、鬼殺隊に入隊できる才能は十分にあると見られる。無理にとは言わないが、鬼殺隊に入る気は無いか?」
俺が…鬼殺隊?現代っ子の俺が?…ただまぁ、元の世界に帰る方法も無いし…いっちょチャレンジしてみますか!。
「はいっ!よろしくお願いします!」
俺はこの後、想像を絶する過酷な訓練を体感し、鬼殺隊に入ると言ったその時の自分を呪うのであった…。
◆◆◆
「ほら、ペースが落ちてるぞ!そんなんじゃ昼メシは抜きにするぞ!」
「おえ…ちょっと、休みを…」
「泣き言言ったから残りの走り込みは倍走れよー」
槇寿郎さんはかなりのスパルタだった。基礎体力作りに付近の山の麓から頂上に行き、戻ってくる走り込みを十周させられた。最初からやる練習量じゃあないぜ…しかもこれがウォーミングアップ?…助けてくれた命の恩人だけどあの人シバいたろか…いや、槇寿郎さん既に炎柱だから無理だわ…。
そして既に死にそうになってるところに木刀の素振り千回?…。
なんで現代からパラレルワールドに来て、いきなり柱稽古編せにゃならんのだ…あっ、鬼殺隊になるって言ったの俺だったわ…。
全部俺のせいじゃん…いや、パラレルワールドに来たのは俺のせいじゃないわ、どうせ神様とかそんな所だろ?。
「しっかし、刀の才能はほとんどないな…。日輪刀を使わずとも鬼を損傷させられる特殊な呼吸法を使えるんだったら、いっそのこと徒手空拳を極める形にしたほうがいいんじゃないか?」
「俺も…そんな気はフッ…してきましたけどフン!…拳だけというのもフン!不安が、残りフッ!刀と言う手もフン!持っていようとフッ!思います!」
せっかく鬼滅の刃の世界に来て刀を持たないと言うのは考えられない。それに才能がなくとも無駄にはならないだろう、こういうのはどこかで必ず役に立つ場面がきっとあるはずだ。
「それもそうか…それと形が崩れていたから、さっきまでの素振りは数えるなよ」
素振りの途中に話しかけてきたのはアンタだろ…オッサン。*1
お疲れ様でした。
槇寿郎さんが何歳で柱になったのかわからないので、ここでは二十歳で柱になって二十五歳で結婚、現在結婚から一年時点とします。つまり二十六歳ですね。原作時点の槇寿郎さんの年齢がわからないので見た目だけなら四十代後半辺りではないかと思います。この作品の主人公の八城條景(ジョジョ)くんは、一歳下の二十五歳くらいですかね…。