なんだか続きます。
ワシの目の前で起こった一部始終は、鬼の攻撃を敢えて誘導させ、條景は自身の必殺の一撃を叩き込む、相手の不意を突く常套手段である。
文字で表すなら簡素なものであるが、その必殺の一撃をワシは
それは柱としての実績のあるワシも、人間の身体能力を悠に超える鬼ですら知覚できないほどの速度を持った一撃。それを遠距離から撃てるというのは事前に聞いていたワシでも自身の目を疑ったほどだ。
柱の元で修行して一年弱だろう…。鬼殺隊の扱う呼吸の誰にも当てはまらない、外国に存在するらしい特異な呼吸を独学でここまでとは…。
"その呼吸使いは大きな戦力になり、必ずや鬼舞辻無惨を打ち取れる"と煉獄が、柱合会議でお館様に力説していたが、あながち間違いではないのかもしれん。
「條景、どうだ…初の任務であったが、大事ではないか?」
「ええ…まぁ、槇寿郎さんの訓練に比べれば遥かにマシでした」
「…そうか」
煉獄よ…おぬしは彼奴にどれだけ鍛錬を積ませたのだ…。
◆◆◆
"赤血操術"というものがある。文字列や一見するなら血鬼術の一種にも見えるこの技だが、鬼滅の刃の世界でも、ジョジョの世界でも、ましてや俺のオリジナル技でもない。全く別の作品の能力になる。*1
その能力というのが、血液を操作するという簡単かつ応用の利く能力となる。本家では血液を使わないと効果が発揮しないところだが、俺の赤血操術モドキは水に波紋を流すことによって体外操作はある程度賄えるようになる。流石に水で刀剣や手裏剣なんて出来ないが…待てよ、粘性のある木の蜜なんてものがあればいけるか…?
…まぁそれは後から試すとして…加えて本家同様に血液の流れを波紋によって操り、ドーピングのような一時的に身体能力を上げる方法も可能となっており、俺の生み出す波紋では筋組織の一つ一つにも波紋を流し、瞬間的ではあるが驚異的身体能力を出すこともできる。
「おい!お前も逃げろ!」
「これ…コレは俺らが敵うような相手じゃない!」
一般隊士数名によるの合同任務、那谷蜘蛛山ではないが、そういった複数名の隊士で処理する任務は多くないもののゼロではない。もちろんそう言った任務も槇寿郎さん経由で俺に回ってくる。こういう時に限って厄介な案件なのだが…マジで厄介だわ。
だって意気揚々と突っ込んで行った一般隊士が、慌てて逃げてきてんだもん。あっ、コイツら人里の方に逃げるのかよ!必死とはいえ逃げる方向は流石に考えろよ…。
確かに五メートルほどある大柄の鬼が、周りの樹木を片手で掴んで引っこ抜くような膂力があるなら、見た目で気圧されても仕方がないかもしれないが…。
「
…これ一度は言って見たかったんだ。さて、頑張るか。
「コォォォォ…波紋の呼吸、
「んーちっぽけな鬼狩りが1人残ったのか?…こんなちっこいの腹の足しにも_」
赫鱗躍動は体内の血液を操作してドーピングのように、身体能力をあげる技であり、高速に動き文字通りの"手刀"によって鬼の巨体を袈裟斬りのように両断する。
樹木を掴んでいない手で頭を掻きむしっていた鬼には、俺の姿が消えたように感じた事だろう。次の瞬間に宙に浮く胴体と、俯瞰の視点から見える下半身、波紋の効果で体が急速に崩壊していってる鬼が現在を理解する頃には、全てが終わった後だ…。
「さぁ、次に行こうか」
俺は手の埃を払うようにパンパンと二度手を叩くように払った。
◆◆◆
なんなんだよ!なんなんだよ、あの鬼狩り!!
今まで殺してきた鬼狩りとは一線を画す強さ!前衛を任せていた巨漢の牛頭がアッサリと、しかも素手でやられやがった!
頭脳担当と力担当の俺らは無敵…このまま行くなら下弦の鬼になるにも時間の問題だと思っていた…それなのに、それなのに!!
待て…あの鬼狩り…どうして素手だったんだ?刀は腰に吊るしてあった…まさか刀が苦手なのか?だから素手を?…だがおかしい、鬼狩りが素手で触れたところで、鬼の体は崩壊しない…。まさか…あの鬼狩り…太陽の、陽の光そのものと同じ呼吸を扱える?…無惨様に…無惨様に知らせなくてはッ………。
「気配を断つのが、上手い鬼だな」
「ヒィぃぃぃぃぃ!!!」
鬼、鬼狩り!木の影に隠れて、動こうとした俺の位置まで一瞬で動いてきやがったッ!
鬼狩りが手刀を振りかぶった瞬間、目を瞑ってしまった…しかし俺が想像したような衝撃は一向に訪れない。
目を瞑った瞬間に耳に響いた琵琶の"ベベン"と弾く音…それを頼りに俺は恐る恐る目を開くと、外の景色は雑木林から一変しており、様々な回廊が入り組む室内に移動していた。
「馬頭…貴様が私に呼ばれた意味、分かっているな?」
無惨様の声だ…。俺の声がちゃんとどいてくれたッ!…ありがたき幸せ…。
「は、はい…鬼狩りの…素手で闘う特異な鬼狩りをこの目で見てまいりました」
「それだけか?」
「いえっ!その鬼狩りは体に触れただけで、鬼が陽に照らされたように体が崩壊し…やがて死ぬ、まるで太陽の陽そのものを体に作り出しているような、鬼の天敵のような…そんな鬼狩りでした」
「それで、私に伝えたところでどうする。私にその鬼狩りを殺してこいと、命令する気か?この私に向かって」
「そんな…滅相もありません…善意、わたくしめの無惨様を思う善意で、その危険性を伝えただけに過ぎません」
「まぁいい…貴様の情報に、少し興味が湧いた」
土下座の姿勢を崩さなかった俺は視線を無惨様に向けると、無惨様の指が伸び、俺の額に突き刺さる。
「私の血を少量分けてやった。その鬼狩りの首をここに持ってこい」
「は、はい!必ずや!必ずやお役に立って見せましょう」
この力があれば…あんな鬼狩りなんか…。
お疲れ様でした。
多分無惨様、丁度無限城とかに居て呼ばれた気がしたから、ちょっと不快だけど呼んでみたとか、そんな感じなのかもしれない。
でもこの鬼は、無惨様パーフェクトコミュニケーションを引き当てて力を貰えたんだね…豪運すぎんか?