波紋の呼吸で赤血操術モドキ   作:山吹乙女

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 お疲れ様です。
 筆がノりました。前回の投稿時間、間違えちゃった…。


波紋伝播-弍-

「無事かッ!」

 

 重い瞼の所為か、まばたきがゆっくりになっていて、その一瞬の間で景色が変わっていた。

 

「槇寿郎…さん…」

 

 俺を助けてくれたのは槇寿郎さんだった。

 

「合流が遅くなって済まなかった。後は俺に任せてくれ」

 

「鬼の血鬼術は、空間を削り取ります、防御は意味がないです。空間削りの瞬間移動、攻撃は五秒間隔…どうか、気をつけて」

 

 簡潔に、最低限の情報を伝えると槇寿郎さんは深く頷いた。

 

「じゃあ、ここでじっとしていろよ」

 

 槇寿郎さんも簡潔に、やや早口に言うと、鬼へと向かって行った。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 條景…外傷こそ左腕の欠損以外見当たらないが、あの怪我では隊士としてはもう…。いや、今は目の前の鬼だ。

 彼が危険を冒してまで読み解いた特殊な鬼の血鬼術、十分すぎる情報だ。

 

「待ってろ、すぐに終わらせてやる」

 

 鬼は條景の攻撃によって、体の約縦半分を失っており、波紋の効果で徐々に体が崩壊していようとしていた。

 

「がぁぁぁ、痛い痛いッ!クソぉぉぉ!」

 

 奴は何をしている…自分の体、條景の作ってくれたキズの波紋に侵食されていない部分を触れて……コイツまさかッ!

 

「そんなことさせねぇよ!炎の呼吸、壱ノ型、不知火!」

 

 コイツ、波紋が伝わっていない部分を、自分の血鬼術で()()()()()としているッ!

 

「邪魔をするな鬼狩りが!」

 

 俺は無防備となった鬼に斬り掛かるが、見えない透明な壁の様なモノに阻まれ鬼まで刃が届かないッ!

 

「こんのぉぉぉ!!!うぉぉぉぉ!」

 

「無駄だぁ!俺の血鬼術は無敵なんだァ!」

 

 そんな無駄なんてものが、あるもんかよ!奴の血鬼術には何かカラクリがあるはずだ!

 

「炎の呼吸、弍ノ型、昇り炎天!」

 

「体が再生したら、あの忌々しい鬼狩りをお前の目の前で喰らってやるからなァ」

 

 クソ、せっかく條景が追い詰めた鬼が、ゆっくりだが回復しつつある。急げ!

 

「炎の呼吸、伍ノ型、炎虎!」

 

「柱も存外大したことないじゃないかァ…そうだな、あの鬼狩りはまず足から喰らい、徐々に頭に行き着く恐怖を味わいながら俺もその恐怖を味わうことにするかァ」

 

 柱になっても、救いたい奴を救えず、このまま…あんな気のいい奴を死なせることになるのか…。

 

「槇寿郎さんッ!」

 

「ッ!来るな!條景ェ!!」

 

 あの馬鹿野郎!出てくるなと言っていたはずなのに、出て来やがってッ!

 

「その血の塊を、使ってくださいッ!俺の、ありったけの波紋を込めましたッ!!受け取ってください!槇寿郎さん!!!」

 

 條景が投げたビー玉の様な小さな玉を受ける取るが…コレは條景が血溜まりから作った百歛かっ!

 あの野郎、腕を無くしてるのに俺の助けになると思って駆け付けたのか…馬鹿野郎が…。ちくしょう、俺が…()が、諦めてどうするッ!

 俺は條景から百歛経由で波紋を受け取ると、体に波紋がなだれ込んでくる。

 

「使わせてもらうぞ!コォォォォ…波紋、波紋伝播(オーバーロード)!」

 

()()()()()

 

炎の波紋、玖ノ型、煉獄!!!」

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 クックック、俺の血鬼術、"空龍口"は削り取った空間を自分の周りに壁のように溜めておける。貯められる空間に上限こそあるが、一つの村を跡形もなく削り取ったあとでもまだ、溜められる空間が上限に達していなかった。

 あの鬼狩りの攻撃は、速すぎて壁と壁の間をすり抜けられたが、目の前の柱の攻撃を止めることなど、造作もない…。

 

「おぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 なん…だ…。何かがおかしい、俺の溜めた空間は攻撃を受けるたびに少しずつ、ほんの少しずつだが減少していく。しかし明らかに…そうだ、明らかに減少する勢いが速すぎるッ!

 あり得ない…村一つ!その空間を削り取り、俺は溜めていたんだぞ!…馬鹿な…馬鹿な馬鹿な馬鹿な!

 

「うぉぉぉぉ!!!」

 

「やめろやめろやめろやめろやめろやめろ!!」

 

 やめ…最後の、空間が………。

 

 俺には居場所がなかった。誰からも見向きもされず…だから自分から壁を作り、周りを見ない様にしていた。

 そんな時、俺は病気で倒れた。だが、周りに壁を作っていた俺は、誰かに看病してもらえる様な人はいなかった。病気は酷く、徐々に動けなくなり、死を待つだけとなった時、あの方が、無惨様が俺を鬼にしてくださった。

 俺はあの時、初めて俺の壁を壊してくれたんだと…そう思い、誰かに必要とされた様に感じて、嬉しかった。

 

 そして、俺の頭はゴロンと転がり、柱と目があった。

 

「俺の…壁を壊してくれて…ありがとう…」

 

「ハァハァ、礼を言われる様なことはしてねぇよ」

 

「フッ…ありが___」

 

 

 

 

◆◆◆

 

 鬼を討伐して馬が引く荷車に運よく乗せてもらっての帰路。

 いやぁ強力な血鬼術を持った鬼を討伐できて、良かった良かった…。

 

「良くねぇよ!」

 

「いったァ!俺、心の声出してないのになんで殴るんですか!」

 

「心が読めなくても、お前の顔見りゃ何考えてるかお見通しなんだよ」

 

「だからって、殴ることはないでしょ!?」

 

「うるせぇ!腕失って良かったなんて、言うんじゃねぇよ…瑠火が心配しちまうじゃねぇかッ」

 

 あっ…瑠火さん引き合いに出されると困る…。そうだよなぁ、片腕無くなってるの見ると、めちゃくちゃ怒るよなぁ瑠火さん…それから悲しませちゃうよなぁ…。あ…なんだか憂鬱になって来た。

 

「落ち込んでるとこ悪いが、これからお前どうするよ。片腕が無くなっちまったんだ…鬼殺隊として、柱として…いや、お前の友人として、お前にはもう任務に行ってほしくねぇ…」

 

「槇寿郎さん…俺、すいません………俺は鬼殺隊を続けます」

 

「條景…お前…」

 

「すいません、これは俺のワガママです。俺がいることで、救えなかった命が救えるかもしれない…それが、例え自己満足だったとしても救える命を、ただ()()()()()()()だけなのは嫌なんです」

 

 これが、俺がこの世界に来た意味なのかもしれない。俺の思い上がりかもしれないが、手の届く命は護ってみせるって。

 

「はぁぁぁ…わかったよ!」

 

 ボリボリと後頭部をかきむしり、不貞腐れる様に目線をはずす。

 

「槇寿郎さん…」

 

「その代わり…帰ってからは炎柱特別稽古だからな」

 

「うっ…頑張ります」

 

 帰宅してからの俺には…地獄の特別稽古が待っていた。しかし、それ以上の地獄を体験することとなる。




 お疲れ様でした。
 なんだか書いてる私も「展開アツいな」って思っちゃった。
 波紋伝播で受け渡された波紋を使った各々の呼吸は「○○の波紋」って感じにやっていこうかと思います。
 このジョジョめちゃくちゃ熱い男じゃん…。筆が乗ってこんな性格になってしまった…。しかしこのジョジョ、やってることはツェペリ魂の方の様な…。
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