すばる好き、めんどくせーって言われたい。
短編なので続かない。
誰かすばる供給して
待ち合わせ場所の公園に少年が着くと、そこには少年を呼び出した張本人、安和すばるがいた。
「なんだよ、わざわざ会って報告することって」
「おーい!久々に会ったんだから挨拶が先でしょ!」
「めんどくせー」
「そんなんだから友達少ないんでしょ!どう?高校で友達できた?私がいなくても元気でやってるか?」
「うるせぇよ、友達は少ないけど部活に入って仲間はできた。まぁ元気」
「へー、仲間かー、また軽音部?」
「いや、剣道部」
中学の頃は一緒に軽音部に入っていた男が、突然剣道に入ったことにすばるは驚き、目を丸くする。
「あんたが剣道部!?似合ってないよ!礼儀の対義語みたいな奴だし!」
「わかってるよ!でも尊敬できる人に会えたし、最近は礼儀もだいぶ身についてきた」
「へー、そっか」
自分の知らないところで、かつての友が知らない成長をしていることに、すばるは寂しげな表情をする。
明るく元気な彼女なのに、その姿が夜の闇に呑まれるような弱弱しさを感じて、それが嫌で少年は話を本題へと戻す。
「で、会って話したい事ってのはなんだったんだよ」
「あー、それね、お礼と招待」
「は?礼?なんの?」
本気でわかってない少年に、くすりと笑ってからすばるは、舞台のようにわざとらしく話す。
「まだ私が若かりし頃、将来の不安に悩むあなたは言ってくれましたね……『難しいことは置いといてバンドやろうぜ!ドラムはやる奴少ないから将来的にも重宝されるって!』と、そこから私は軽音部に入り、あなたのおかげで楽しい生活を送り……最近、またバンドを組みました」
「あー、あん時は部活入ってない奴に適当に声かけてドラム頼んでたんだよ」
「そういうのは言わなくていいの!んで、はいこれ!」
少年に渡されたのは1枚のチケット。
「あんたの言う通り、ドラムやっててよかった。だから見に来い、というか見に来る責任がある」
「「めんどくせー!」」
少年の発する言葉が何かなんて簡単に読める。とでも言うようにドヤ顔ですばるが言葉をかぶせた。
「言うと思った、次言ったら叩くから!来いよ!絶対な!」
返事を聞く前に駆けていく彼女の背中に、少年は叫ぶ。
「ダメ出ししに行ってやる!絶対な!」
振り返った彼女と目が合うと、互いにあっかんべーをする。
それ以上の言葉はなく、大きな笑い声をあげながら、二人は互いに帰路についた。
後日、ダメ出しどころか、仁菜の歌と桃香の演奏に惚れ込んで少年はその後熱心なファンになる。
すばるに対して一切言及せずに怒られながら。