ちょこっとだけww
今、私の目には真っ白で流れるような髪をその小さな体の腰辺りまで伸ばし、汚れ灰色になっている穴だらけの服を…いや、最早あれは服というより汚い布を体に巻き付けているといった感じだろう、少女がベンチに座ってこちらを見つめて来ている風景しか写っていなかった。
実際にはその子の周りに少し緑色が混じった桜の木やその下の日陰でクレープを頬張る人々などが居るはずなのだがどういう訳か今は、まるでその子と二人きりでどこか真っ白な何も無い空間にでも居るようなのだ。
ジッと目を見つめて来る少女はそのベンチの上でピクリとも動かない。
それを見ているからなのか私も動かない、というか動くという事を脳で考える事が出来ない。
どの位そのような時間が続いただろう?現実では一分も経過していない様な時間だというのにそんな事を考えてしまった。
突然その少女は小さな手を股の横に置いたかと思うと足を大きく上げ今まで足の届いていなかったコンクリートに何も履いていない素足を着けた。
思わず体を引いて身構えてしまう私。
「ねぇ!!ミキ、ユウどう思う!?もうあれ反則…ミキ?」
クレープ屋の中でフルーツやらを切っていたマキがユウの活躍により『休んでいいよ。』などと言われ追い払われて来たのであろう。私の所に来るが直ぐに異変に気付き私の視線の先に目を向ける。
「…ミキ?あの子…知り合い…?」
マキがもう一度私の方を見て訪ねるが私の耳には入らない。
少女はゆっくりと歩を進め私の目の前まで来ると私を見上げる。
喋る事は出来ない、体が震えているのかも分からない、暑いのか、寒いのか、気持ち悪いのか、良いのか、私と私の体とのリンクが切れでもしたのか何もすることが出来ない。
「今頃…何…。」
無意識に出た言葉、しかし少女は反応するどころか私が言っている最中にその言葉を区切るようにその小さな腕を上げ人差し指を突き立てた。
どうやら私の横にあるクレープのメニュー看板を指しているようだ。
「美味い!!」
「…え…?」
少女は看板を見て指を指したまま『美味い!!』という言葉を続けて何度も叫ぶ。
動揺して何も出来ない私を見て隣でマキがため息を漏らす。
「そっかぁミキ、ガキ苦手だもんね。ビックリしたじゃない!」
そう言うとマキは少女の近くでしゃがみ目線を合わせる。
「クレープ美味いよ!!食べる?」
その言葉に反応した少女は表情は変えずマキに顔を向けた。
相変わらず人差し指はメニュー看板を指している。
「たべる…?」
「うん、ミキ買って来て。」
マキは私の方へと振り返り急かすように言う。
愕然としていた私だがその言葉で一気に目が覚める。
今まで動かす事が出来なかった体の器官と繋がったようだ。
今やさっきまで何を考えていたのかも分からない。
「お、おう!…って何で私が!?」
「いいでしょ?ガキの苦手なアンタがこの子に出来ること何てそんなもんよ?」
マキは私の顔を見上げてながら見下す様に睨み付ける。
「なっ…大体何で私がその子為に…」
「さっさと買って来なさいよ…じゃないと、こうよ!」
マキは右手を自分の首の左から右へとスライドさせ、舌をだす。
「っ…分かったよ。」
私は少し慌てながら体を回転させクレープ屋まで走った。
全くアイツがそういう事をすると冗談なのかマジなのか分からないのだ。
一度そういう展開でチユが蹴り飛ばされ10メートル位吹っ飛んだところを見たことがある。
そんな事を思い出し顔を青くしながら私はクレープ屋の前で立ち止まった。
私はとんでもない事に気づいたのだ。
「クレープ買うって…並ぶの…?」
ここまで読んで頂きありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。