どのくらいの時間が経っただろう?
いや、実際どのくらいも立っていないだろうが…ちょっとユウ達と喋っただけだし…。
まぁ、あれだよ…どう始めようかなぁ…みたいな?
取り敢えず最後に並んでいたほんの数名の客が全員居なくなるくらいの時間は経過した。
今日、1日分働き続けたクレープ屋の中からはなんとも言いえない甘いピンク色のような香りが冷たい夜風に運ばれ、私の嗅覚の底まで届けられている。
「でも、どうしようか?傷残っちゃったらどうする?」
「…いいよ…別に。」
「えぇ?よくないよー!僕が嫌なの!」
…せっかく何かそれっぽい可愛らしい演出したのに横では香りなんかの遥か上をいくピンク色のオーラを放出して、トモミとユウが戯れている。
大体!何が『傷残っちゃったらどうする?』だよ!!
女かてめぇは!!!
それに対して『…いいよ…別に。』じゃねーよ!!
よくねーだろ!!お前もっと気にしろよ!!!無関心にも程があるわ!!女かてめぇ!!!!
「ど、どうしたの?ミキ…?息切れてるよ?」
「ぜぇ…ぜぇ…え?」
おっとしまった、ついつい興奮してしまった。
…しかも、少3女子に思いっきり引かれるほどに…。
「い、いや大丈夫…ちょっとひき殺してやりてーなって思っただけだから!」
心配そうかつ、軽蔑の眼差しで私を見上げてきているユリカちゃんに全然大丈夫じゃない大丈夫な理由を告げ、笑顔で微笑む。
その笑顔を見るとユリカちゃんは苦虫でも噛み砕いたかのような顔して、はは…なんて感じの反応を見せた。
驚きだ…この歳でもうそんな高等技術を使いこなすと言うのか…いや、私達といるならこれくらい出来なければ地に足をつける事すらできないのかもしれない…。
「あれ?マキは?」
変な関心をしていると不意にユリカちゃんが私の手を握ってくる。
ああ…そういえばベンチで寝ちゃったまま放置してたっけな…。
ユリカちゃんはまた、さっきと同じ感じで下から私の顔を見上げてしている。
…カメラにおさめて拡散してやろうか…。
あいにくまだ、あのフリルいっぱいの服は着たままなので、なんだか…うん。
自分で言っててなんだか惨めに思えてきた…なにやってんだろ…私。
「マキはさっきベンチで寝ちゃってさ、もうじき帰れそうだし呼びに行くか。」
「え?寝てるの…?風邪ひかないかな…。」
ユリカちゃんは少し視線を下に落としながら心配そうな顔をする。
うわー!なんて考え方がピュアなんだー!!
風邪ってお前…私、心配したことねーよ!?
え、私のが異常なのか…?
「ま、まぁ呼んでくるよ私。」
よく分からない敗北感を自分の半分ちょっとしか生きていない子供に感じ、虚しさをごまかす為にその嫌な空気を…まぁ、個人的な物だが、断ち切り早足でマキの所を目指し始める。
…が、その必要は無かったらしい。
向きを変え、私が歩き出そうとした少し手前の暗闇からメガネをずらし眠そうに目を擦りながらフラフラとマキが顔を出す。
…なんというか普通にしてれば綺麗系の一般女子中学生なんだけどな…。
「お、起きたのかマキ。今呼びいこうとしてたんだけど…。」
「………。」
まだ目が覚めきっていないのだろうか?返事は無くそのまま目を何回か擦った後、メガネをかけ直すとなんだか泥みたいな顔をあげる。
そんな長い時間寝ていただろうか?あんまり時間はたってないように思えるが…?
「…今、何時?」
「…え?」
いきなり、しかも唐突な質問ですこしビビってしまったがすぐに理解し近くに時計がないか辺りを見渡す。
携帯見ればいいじゃんとか、思ったやついねーだろーな?!?!
勘違いすんなよ!?中学生だから!!!!ここに出てきてるやつら中学生だから!!!!!
中学生でも持ってていいじゃんって??
生憎!そんな贅沢な暮らしはしてないもんでね!!
「7時だよ!!」
必死に時計を探す私の右下からユリカちゃんの声がする。
「お、見つけたのか…え!?!?!」
「…ん?」
私はユリカちゃんが時計見つけたのかと思ってさり気なくユリカちゃんを見たのだ…そう、さり気なく…。
…なんか…小さい手に収まらないくらいの大きさの四角い物体を両手で包む様に持って眺めているのであるのだ…?!?!
「な…なに見てんの…?」
「…?なにって…。」
そこまで言ってユリカちゃんはそれを両手で持ったまま私に突きつけてくる。
もう…もういいよ…素直に言うよ…スマホって言うんだっけ?これ?はは…へぇ…。
「なぁぁぁぁんで!!!!!もっっってぇんねん!!!!!!!!」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。