World Happy Project   作:ルクコ

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 今回は後編ということでいつもより少し長めになっています。
 楽しく読んで頂ければ幸いです。

 ※漢字スキルがクソです。ご了承ください。


依頼!脱走ハムスターを追え!!! 後編

「だー!!どっこだよ!!!!」

 

 「チユうっさい!!逃げたらどうすんの!?」

 

 まぁ、そろそろだとは思っていたが案の定コイツらがイライラし始めてきた。

 

 正直言って私もかなりイライラしている。

 

 「逃げたらって居ねぇんだから、逃げるもクソも無ぇだろ!!」

 

 「近くに居たらって話でしょ!!ちゃんと考えたら?」

 

 二人は立ち上がり、その貯まったイライラを脳内で悪口に変換しぶつけ合う。

 

 はぁ、全く困った奴らだ。

 

 私は少しも気にせずハムスター探しを黙々と続けた。

 

 「ふ、二人共…お、落ち着いて…。」

 

 時々このような言い合いを聞くことのある私は大して気に止める事は無いのだが、ユリカちゃんは初めてなのだ、二人の間に入りその醜い言い争いを止めようとする。

 

 しかし、この二人は止まらない、止めようとするユリカちゃんなど目に入っていないのだろう。

 

 「んだとテメェ!!」

 

 チユは右足で思い切りマキの両足と重なる程度の所まで踏み込み、そのまま胸ぐらを掴みとった。

 

 かなり力強く引っ張っているのだろう、服とズボンの間からマキの素肌が表になる。

 

 「全く単細胞はケンカっ早くて困るね。」

 

 マキはそう言いながら右手でゆっくりとチユの胸ぐらを掴んだ。

 

 「み、ミキィ…。」

 

 ユリカちゃんが泣きそうに成りながら私にSOSの眼差しを向けてくる…が、個々まで悪化してしまえば私にはどうしようも無い。

 

 無理に止めようとすれば一発KOであの世の果てまでブッ飛ばされてしまうだろう。

 

 ユリカちゃんの右肩に手を当て、首を横にふる。そう、私には何も出来ないのだ…。

 

 両者は胸ぐらを掴んだまま空いている左手に拳を握り大きく後ろに振りかぶる。

 

 ボサボサで奇抜な髪と綺麗に整えられているポニーテールの髪の毛が何処からか吹いてくる乱暴な風に扇がれ逆立つ様に揺れる。

 

 どうか大事に成りませんように…まぁ、無理か…。

 

 私はため息混じりにその今にも大爆発しそうな光景から目をそらした。

 

 ほんの僅かだった、だが私はそれを見逃さなかった。

 

 明らかに周りの雑草に比べ、奇妙な動きをする草場を…。

 

 「あ!!」

 

 「「あ!?!?」」

 

 思わず叫んでしまった私に今多分日本一イライラしているであろう二人組の獣の様な目が向けられる。

 

 「え?あ…ってあれあれ!!」

 

 こんなことで私の人生が終わってしまうなんて余りにも納得がいかない。

 

 私は慌てて今さっき発見したばかりの草場に指を差した。

 

 「あ?…あ…。」

 

 そう、その草場には私達が今こうなっている原状、私達を苦しめてきたあの忌々しき小動物がその円らすぎる瞳で私達を見上げていた。

 

 「…っ!!逃がすかーーーーー!!!!!!!!!」

 

 チユはもうケンカの事など忘れたかのようにマキを押し退けハムスター目掛けてヘッドスライディングの様な形に成りながら手を伸ばすが、ハムスターは伸ばされたチユの手の中に収まる瞬間チユの手のひらを踏み台にでもするかのようにして高く高く飛び上がりチユの頭上を越えて、そのまま左回転のひねりを加えながら空中を舞った後ポーズを極めて着地した。

 

 「……ハムスター…?」

 

 コイツは本当にハムスターなのか????

 

 呆気にとられ私の思考は一瞬停止した。

 

 「逃がすな!!!!!」

 

 チユの叫び声で私は我にかえる。と略同時にマキがハムスターに向かって全力疾走で走りだす。

 

 それに続き私、ユリカちゃん、チユの順でハムスターを追いかける。

 

 まぁ、直ぐに私は一番最後尾になったが…。

 

 「絶対逃がさないんだから…!!」 

 

 マキは走りながらそう呟くとさらに速度をあげる。

 

 はぁ…はぁ…あ、アイツは本当に私と同じ人間なのだろうか…私にはもう絶対に追い付けないだろう。

 

 マキはその尋常じゃないそのスピードでハムスターを飛び越え足で行き先を塞ぐがその動きを読んだかのようにハムスターはその足をヒラリとかわしてしまう。

 

 「なっ…!!」

 

 「ボケっとすんな!!ブスメガネ!!!!!」

 

 チユは呆然とするマキを追い越しながら耳元で叫ぶ。

 

 「…っ!!分かってるよ!!怪力男は黙ってろ!!」

 

 直ぐにあのスピードを取り戻しマキは走りだす。

 

 あの整えられていたサラサラの髪はもうサラサラとは言えないほどに崩れている。

 

 「はぁ…はぁ…ま、待って…はぁはぁ…。」

 

 私の少し前でユリカちゃんがどんどん減速していく。

 

 やはり小3には私と同様あのスピーディーな追いかけっこには着いていけないようで膝に手をおき、息を切らして止まってしまった。

 

 「はぁはぁ…大丈夫か?」

 

 「だ、大丈夫…はぁはぁ…。」

 

 なぜそうしたのかは自分でも分からなかった。

 

 こんな体力のない私がこんな事をしてもただ直ぐに体力が無くなり走れなくなること位分かっているはずなのに。

 

 「ほら、捕まって…。」

 

 「…え?」

 

 ユリカちゃんも分かっているのだろう、少し同様するがもう言ってしまったのだ、『やっぱダメ』何て言えるハズもない。

 

 「早く…私の気が変わるのは早いよ?」

 

 ユリカちゃんはその言葉を聞くと少し躊躇いながら私の背中に雄総った。

 

 

 

 

 

 「っのヤロー!!!!」

 

 チユはハムスターに手を伸ばすがまたもやそれはかわされてしまう。

 

 「マキ!!!」

 

 「分かってる!!」

 

 マキはチユの手をかわして少しバランスを崩しているハムスターに思い切り左足を踏み込み回し蹴りのような形でハムスターギリギリの所に右足を掠めるように払った。

 

 「ぶっ飛べ!!!」

 

 マキがそう囁くように言うと同時に辺りに一瞬台風でも通ったかのように暴風が吹き荒れハムスターを遥か上空まで舞い上げた。

 

 「見たかネズミめ…!!!!」

 

 「しゃー!!後は任せとけ!!!!」

 

 チユはハムスターがぶっ飛んだのを見届けると、少し助走しながら両手を後ろに振り上げる。

 

 「待ってろ!!!ネズミ!!!!!!!」

 

 振り上げた両手が前に来るのと同時にチユも遥か上空までぶっ飛んでいった。

 

 その衝撃で砂ぼこりがかなり広範囲まで舞い上がる。

 

 「ゲホッゲホッ!!あの怪力が!!ちゃんと捕まえてなかったら握り潰す…!!!」

 

 

 

 

 「どこだー!!!!ネズミーーーー!!!!!!!!」

 

 チユは上空でハムスターの行方を物凄い風が吹く中決して見逃さぬよう目を凝らして探す。

 

 辺りを一週ぐるりと見回すとチユから見て左の方向に空中で自由が効かなく手足を伸ばしたり引っ込めたりしている小さなものを発見した。

 

 「見っけ!!待ってろよ。」

 

 チユは左手をその発見した物の所まで伸ばしゆっくりと優しくその中に納めた。

 

 

 

 

 

 「はぁはぁ…もう、限界だ…。」

 

 「だ、大丈夫?降りる?」

 

 バカヤロー!あんなカッコつけた後なのに『はい、降りて』なんて言えるわけないだろー(泣)

 

 そんなフラフラな私が意地という名の筋肉で、骨で、魂で走っていると、前方に此方を見ながら座っている二人の影が微かに見えてきた。

 

 最後の力を振り絞りその二人がいる所まで走る。

 

 二人の所まで行きユリカちゃんを下ろすと私は身体中の力が抜けるかのようにその場に倒れこんだ。

 

 「ねぇ、どうだったの?」

 

 ユリカちゃんが声を震わせて心配そうに聞くが、二人はそんな言葉に反応せずに下を向いている。

 

 「お、おい…まさか…!!」

 

 おいおい、まさか逃がしたんじゃないよな、そう言ったつもりだが余りにも肺と心臓が圧迫していて言葉にならない。

 

 「クックックッ」

 

 チユとマキはそんな私の心配はよそうに勢い良く顔を上げにこやかに笑った。

 

 「んな訳ねぇだろ?」

 

 高々と上げられたチユの左手には確かにハムスターと思われる物が握られていた。

 

 

 

 

 「はぁ、今日は散々な日だった…。」

 

 帰り道私はそう呟かずにはいられなかった。

 

 チユはその私の言葉が聞こえたのだろう、私の顔じっとに見つめてくる。

 

 「な、なんだよ…。」

 

 チユは何も言わずにマキと楽しそうに話ているユリカちゃんの所まで行き肩を叩いた。

 

 「なぁ、ユリカ。」

 

 「なに?」

 

 チユはユリカちゃんが自分の方を向いたことを確認すると、少し間を開けてからハッキリした言葉で尋ねた。

 

 「お前、今幸せか?」

 

 「うん、すっごい幸せ!!」

 

 ユリカちゃんは心の底から本当に幸せそうに笑った。

 

 太陽は山の向こうに沈み欠けその自信の放つ赤い色だけをこの場に届けていた。

 

 

 




 ここまで読んで頂きありがとうございます。
 これで一区切りということになります。
 これからも頑張って書いていくのでどうか暖かい目で見守って頂ければ嬉しいです。
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