悪の組織は私だけ   作:十六夜冬歌・読9書1

5 / 5
第4話:魔導妖精マカロン

 

 

「はやく!いそいで!!」

 

 町が怪物に壊されていく。

 少し前まではあの怪物と戦ってた女の子達がいた。

 でもいつの間にかいなくなって、それからずっとあの怪物が暴れている。

 

「おねえちゃん!あし、いたいよ!」

 

「それでもはしるの!きゃぁ!?」

 

「わぁぁ!?」

 

 怪物の撃ったエネルギー弾が飛んできて近くで爆発が起きる。

 とっさに弟を抱きしめて守ったけど吹き飛ばされて全身が痛い。

 怪物がすぐそこまで来てる。もうダメかもしれない。

 

 そう思った時、それを見つけた。

 

「なにこれ‥‥‥」

 

 私たちのすぐ側で開いた状態のアタッシュケース。

 中には黒い宝石と白い宝石が入っていて、私は導かれるように黒い宝石を手に取り、弟は白い宝石を手にした。

 

「おねえちゃんこれって!」

 

「えぇ、いくわよ!」

 

 手にした瞬間に分かった。これは戦う為の力なんだって。

 

「「魔導変身ッ!!」」

 

 この町は私たちが守るッ!!

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 モニターの向こう側で何も知らない姉弟が変身アイテム『マカロンジュエル』を使い、ジュエルから発生した光の繭に包まれて、姉は黒いローブを纏った男性に、弟は白いローブを纏ったミニスカ少女に変身して繭の中から現れた。

 

『黒き魔導戦士ブラックマジシャン!』

 

『白き魔導戦士ホワイトマジシャン!』

 

『『見参!』』

 

 そして名乗りと背中合わせの決めポーズをバッチリ決めて悪の組織『シルクロード』の怪人『アクアロス』へと襲いかかった。

 

『たあぁぁぁ!』

 

『やあぁぁ!』

 

 ビシバシビシバシと打撃音が響く。

 戦況は圧倒的姉弟有利。じきに怪人は倒されるだろう。

 それを見てヒールはうむうむと笑顔で頷いた。

 

「さすがムボー200体分のパワー、一般怪人なんて目じゃないね!ところでこの子達はどれに適合したのかな?」

 

 尋ねると現場で撮影している怪人『魔導妖精マカロン』が答える。

 

『『ブラックマジシャン』ガ『コクライジュウ(黒雷獣)ブラックライサー』、『ホワイトマジシャン』ガ『ジュンシンインマ(純心淫魔)ピュア・リリス』デス』

 

「へぇ!良いの引いてるしこの子達は当たりだね。死なないようしっかりサポートするんだよ?」

 

『モチロンデス』

 

 変身アイテム『マカロンジュエル』、その正体は先日手に入れた変身アイテムを作れるマスコットを素材に作られた怪人『魔導妖精マカロン』の能力によって作られた悪の変身アイテムである。

 

 材料にはムボー200体と過去に作成・捕獲した数多の怪人や怪獣達の細胞を使っていて、使用すると変身シーンの光の繭に擬態したムボーが使用者の身体を包み込んで吸収し『元の身体』『ムボー』『適合した怪人・怪獣の細胞』の3つを混ぜ合わせた物へと瞬時に作り変え、その代わりに使用者はムボー200体分のパワーと適合した怪人・怪獣の能力の一部が使えるようになり、加えて時間経過と変身・戦闘を繰り返す事で怪人・怪獣の細胞との適合率が上昇していき更に怪人・怪獣の力を引き出せるようになるという仕様だ。

 

『くらえ!ブラックサンダーマジック!』

 

『ホワイトハートショット!えい!』

 

 しかし当然のことながらそれだけで簡単に悪の組織の怪人と戦える程世界は甘くはない。という事で『魔導妖精マカロン』がちょちょいと思考操作で使用者の恐怖心を削除して戦意を向上させ、オマケに基本的な戦い方を直接頭にぶち込む事でケンカのケの字も知らない様な子供でも戦えるようにするのだ。

 

『これで!』『とどめ!』

 

『『マーブルフォトンストリームッッ!!』』

 

『グアァァァァァ!!??』

 

 戦う力を得た子供達はこれからもヒーローヒロインの様に強く明るくたくましく戦う事だろう。

 それこそがヒールの仕掛けた罠だとも知らずに。

 

『サイボウテキゴウリツ、ブラックマジシャン11%、ホワイトマジシャン8%デス』

 

「うんうん、初戦闘だしそんなもんだろうね。『シルクロード』もまだまだ怪人がいるだろうしこれなら結構早く100%になりそうだね!」

 

 そうして戦い続け、適合率が100%へと到達すると『マカロンジュエル』の最後の機能が発動。

 適合した怪人・怪獣の精神が覚醒して使用者の精神を残したまま肉体を完全に乗っ取り、それからヒーローヒロインの姿から怪人・怪獣の姿へと変身して今まで守ってきたものが己の手で破壊される様を見せつけられる事になるのだ。

 

「そしてその瞬間を激写して動画サイトに流してヒーロー達の評判をズタボロにしてやるんだから!」

 

 これが今回の姉弟のように絶体絶命なピンチの瞬間の子供に力を与えて他の悪の組織と戦わせて妨害し、最終的に再生怪人・再生怪獣となる動画でヒーローヒロインの悪印象を広げる計画、その名も『一石三鳥大作戦』なのである。

 

 

 

 

 

『やった!勝ったよおね‥おにいちゃん!』

 

『ちょっと何言い直してるのよ』

 

『だって今おねえちゃんじゃなくておにいちゃんになってるから‥‥?』

 

『それを言ったらあなたも弟から妹になってるじゃない。しかもすけすけのエッチなパンツ履いて』

 

『えっ!?何それ知らないよ!?えっちじゃないもん!』

 

『戦ってる時スカートめくれて丸見えだったわよ?』

 

『うぅぅ‥‥‥おねえちゃんのエッチ!』

 

 

 ちなみにホワイトマジシャンのパンツがすけすけなのは『魔導妖精マカロン』の趣味である。

 TSっ子はいいぞー。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。