感想、評価、ここすき、毎回わざわざ本当にありがとうございます。
重ね重ね皆様には改めて感謝を……。
あと、毎日更新途切れて申し訳ないです……。
鬼達に会いに各地に行く予定だったが……その後、黒死牟の提案を採用し、逆に鬼達を私の元へと招待する形とする事にした。
理由はいくつかあるが……まぁ単純にそのほうがリスクが少ないからだ。
鬼殺隊に見つかれば、無駄に戦闘になるだろうからな……面倒はないほうがいい。
それに加えて、会いに行く鬼が私をどう思っているかも、また問題となる。
私の感覚として、黒死牟に勝てるような鬼は私しかいない。
黒死牟は未だ血鬼術の感覚は掴めていないが、一度覚えてしまえばその強さは更に一段階上がる事だろう。
となれば、だ。万が一……鬼達が反旗を翻した場合、黒死牟がいれば何の問題もないという事だ。
鬼殺隊の事もよく知っている為に、護衛としては黒死牟が最も優れていると言っても良い。
要人を護衛するという経験もあるらしく、人材としては完璧なのだが……。
「……どう、なされた……?」
「なんでもない」
その容姿では、人里を歩く事は出来ないだろう……。
また鳴女のような事が起きるかもしれない。
なのでまあ、私の護衛として黒死牟がつくのは良いのだが、外に出るには相応しくない……また別の騒ぎが起きてしまう。
そう言った面から、鬼達を呼びだしていく事が決まったのだが、今度はその場所が問題となる。
まぁ、丁度拠点にしていた民家が黒死牟の手でズタズタになった訳だし、この機に新たな拠点を構えても良いだろう。
という訳で作り始めたのが、外からはけして入り込む事は出来ない、鳴女の能力でのみ出入り出来る拠点……。
それが我が居城、無限城(仮)である。
べべんっ
「頭を垂れ……平伏せよ……無惨様の……御前である……」
琵琶の音が響き、目の前に3人の鬼が現れる。
そして、黒死牟の静かな声が響いた。
キョロキョロと辺りを見渡していた鬼達は、その声と……壇上に立つ私を見付けて、その頭を下げた。
「ははー!これは無惨様!お久し振りです!」
……ここは無限城(仮)の一室、一段高い雛壇のような所で座らされた私は、こうやって鬼達と対面を果たしていた。
……なんだこれは、何故私はこんな所に座っているのだ。
まるで何処かの殿様ではないか。
べん、べべんっ
「無惨様との繋がり……途切れている事に……気付いていたか……?」
「え、ええまぁ。心配しましたよ、無惨様!ご無事で何よりです!」
「お元気そうで良かったぁ……。ねー?」
「てかあの六つ目の鬼誰……?」
鬼達は平伏しながら、喜びや安堵……そして困惑の感情を浮かべる。
……まあ、いきなり拉致して、見覚えのない鬼が仕切っていれば、困惑も当然か……。
私の口から説明しようと口を開こうとすれば、それを遮るように琵琶の音が鳴った。
べべんっべべべんっ
そこから間髪入れずに、黒死牟が言葉を紡ぐ。
「無惨様は……先日、鬼狩りと戦闘になったのだ……」
「なっ……!」
口を挟む間もないな……。
鬼達は息をのみ、私のほうを見つめてくる。
大丈夫だという意思を頷く事で示してやれば、彼等は安心したように胸を撫で下ろしていた。
べんっべべんっ
「その為……此度は……無惨様直々に……再びの繋がりの復旧……並びに……お言葉を頂戴する場となっている……」
「おおっ!」
鬼達から歓喜の感情が吹き出した。
何がそこまで嬉しいのかまったくわからんが……。
まあ、これで漸く本題に入れそうだ。
「あ―――」
べべべべべんっべべべべんっべんっ
「それではこれより……無惨様より直々に……御言葉を戴く……身を正し……一語一句たりとも……聞き逃す事のないように……その身に刻むといい……」
「ははーっ!」
(いや、それは良いけど……頷いちゃったけど……この鬼は結局誰なんだ?)
いや、鳴女に黒死牟、お前達目を合わせればいつもいがみ合ってるというのに、こういう時は結託するのだな……?
なんとも上手く演奏するものだ……黒死牟も演奏の合間に言葉を上手いこと合わせ、互いに邪魔をしていない……。
……その仲の良さを普段発揮して貰いたいものだ。
その否、と言わせぬ連携に、鬼達も思わず平伏している。
内心では非常に戸惑っているがな。
「……では……無惨様……御言葉を……お願い致します……」
「あ、ああ……わかった」
べべんっ
べべんっじゃない、合いの手を入れるな……。
「久しいな、お前達を鬼にして70年程か。
兄妹仲良くしているようで何よりだ。
此度はわざわざ呼び出してすまないな。
理由はそこの六つ目、黒死牟の言う通りだ」
そこで一度言葉を切り……上手く説明出来ない感覚だが、目の前の鬼達とまた繋がる事が出来た。
その途端、ピクリと肩を震わせた鬼達は……ん?何故頭を下げたまま……。
……なに?私が許可を出さねば顔をあげてはいけない?
別にお前の采配で勝手にやってくれていいぞ黒死牟。
今後はお前に任せるからな。
べべべん、べんっべべべべべん
「顔を上げてくれ。今その用件は終わった。
今後とも、青い彼岸花の捜索を中心に活動してくれ。
後は、あまり無闇に人を殺さないでいてくれると嬉しい」
「勿論ですよ!無惨様がお優しいのは知ってますから、俺らこの70年、死体しか食ってないです!」
「兄、踊り食いでもない限り食うのは死体だよ」
「そんな趣味悪い真似する奴いないだろ……なんだよ人の踊り食いって……おぞましすぎるだろ……」
「あっ、えっと……なんらかの理由で亡くなった人の死体を食ってた、って事、なんですが……」
しどろもどろになる鬼達だが……ああ、大丈夫だ。
お前達は比較的善良だからな。
元はただの村の三兄妹、略奪されて殺されかけてる時に偶然居合わせて助けた……性根の純朴な鬼達だ。
べんっべべんっ
「……わかっている、お前達は私の言いつけをよく守ってくれていたからな」
そう言って笑みを浮かべてやれば、兄妹達は安心したように笑みを浮かべていた。
「それ以外は好きに生きろ。
折角の第二の生だ、精々満喫すると良い。
ああ、鬼狩り達には気をつけておけ」
「あ、はい!」
「青い彼岸花、見付けてみせます!」
「無惨様本当に素敵だよねぇ……」
末妹がなんだかぽやぽやしているが、まあ些事だろう。
こ奴等も一先ず健勝のようで良かった。
まぁ、言う通り死体ばかり食っているのであれば、鬼殺隊もあまり躍起になって探す事もなかろう。
べべんっべべんっ
「以上で……無惨様の御言葉とする……これからも……無惨様の為……励むが良い……」
「…………あの、貴方は結局、なんなんで――」
ベベンッ
ガラッ
鬼の長兄が黒死牟に視線を向けたその瞬間、彼等の足元に襖が開き、そのまま落ちていった。
言葉もなく落ちていく彼等は、やはり何処か怪訝な表情だったが……その疑問、いつか氷解するのだろうか……?
「ふ……」
この満足気な六つ目の鬼をしらっとした瞳で眺めて、そう思った。
さて……対面してわかったが、やはり私と面識のある鬼や、比較的善良な鬼達は大丈夫そうだ。
だが……私が直接鬼にしていない鬼、また、そもそも多少の反感を持っていた鬼は、繋がりが完全に途切れている者もいる。
そんな奴等が何をするのか……まず間違いなくろくな事ではないが……。
「無惨様はあまり……この居城から出ぬ事を……お願いしたく……」
黒死牟に止められていて、そんな彼等は放置状態なのが実情だった。
この間に身を隠されてしまえば面倒になる予感があるのだが……黒死牟はおろか、鳴女も首を縦には振らなかった。
「……何故だ」
「まだ、縁壱が生きているからです……奴は神の寵愛を一身に受けし者……。
恐れながら……無惨様の命にも……届き得る唯一の存在……。
奴が生きている間……どうか無惨様には……ご自愛していただきたく……」
……納得は、出来るが。
縁壱という存在は、鬼である私から見ても確かに異端……人の柵から解放された存在だとは思うが……。
黒死牟の顔には……嫌悪、恐怖、そして……強い嫉妬が見てとれた。
実の兄から見ても……こうか。
ちら、と鳴女に視線を向けてみても、ただ悲しげに此方を見るだけで……私の外に出たいという我が儘を押し通せる雰囲気ではなかった。
私は肩を落として息を吐くと、小さく頷いた。
「……わかった。縁壱が天命を全うするまで……私は外に出ないようにしよう」
「ありがとうございます……その間の些事はお任せくだされ……。
しかし……そう時間はかからないことでしょう……」
私の目の前に跪き、頭を深く下げた黒死牟はそんなことを言う。
あと50年程は引きこもらねばならないのかと辟易していたんだが……。
「痣です……痣を出した人間は痣者と呼ばれ……強大な力と引き換えに……25を越えて生きること叶いませぬ……。
縁壱もその例に漏れぬのであれば……」
「……そう、か」
鬼殺隊の、ひいては縁壱の痣にそんな理由があったとは……。
黒死牟が少し触れてはいたが、とんでもない代償だ。
黒死牟も巌勝であった頃、そんな代償を払ってでも強くなりたかったのだろうな……。
鬼殺隊は……よほど鬼に恨みがあると見える。
まぁ、人食いの化け物だ、当然か……。
「だがまぁ、50年程の様子は見ておくか。暫く私は拠点の作成に勤しむとしよう……鳴女、頼むぞ」
「はい、無惨様」
改めて深く頭を下げた黒死牟を尻目に、私は壇上から下りていく。
胸に込み上げる、一抹の悲しみ。
もう二度と縁壱には会えぬのだという、寂しさを感じていた。
……そんな、今更な感情を思う私に、自分自身で呆れてしまう。
縁壱から二度も逃げておきながら……なんとも浅ましい。
それに……そもそも人を友とすれば、いずれ別れが来ることはわかっていた筈だ。
全て見ないふりをした、私の自業自得……。
「はぁ……」
誰にも聞こえないようため息を吐き、その場を後にするのだった。
――――――――――――――――――――――――――
猗窩座が座して待つ空間、そこに複数の鬼殺隊の剣士達が姿を現していた。
いや、厳密には鳴女の血鬼術で落ちてきているのか。
「……来たか、鬼殺隊」
猗窩座はゆらりとその身を起こし、その瞳で鬼殺隊を静かに眺めた。
「上弦の……参!」
「構えろ!炎柱様をやった鬼だ!囲め!」
鬼殺隊は額に汗と、表情に焦りを滲ませ、日輪刀を構えながら、猗窩座をぐるりと包囲する。
どれも一定鍛えられているようだが……。
「……ふん、弱者ばかりか」
猗窩座のお気には召さなかったようだ。
「まあいい、俺の今の役割は……無惨様を守る為に貴様達鬼狩りを滅ぼすこと……。
お前達のような弱者に手を下すことも、わざわざ殺すことも好まないが……」
ゆらり、と揺れた猗窩座の足が床を力強く踏み締める。
発される殺意が、物理的な圧力となって鬼殺隊に襲い掛かった。
「くっ……!?」
「お前達が無惨様を害そうとするならば、話は別だ」
静かに構えた猗窩座の足元に、光が生まれる。
人間であった頃……猗窩座が修めていた武術、それと血鬼術を組み合わせた独自の技。
「術式展開」
破壊殺 羅針
猗窩座を中心に雪の結晶を模した陣が広がっていく。
鬼殺隊は警戒を強めているようだが……猗窩座相手にあの程度の実力では……。
「無惨様の障害は全て俺が取り除く。
貴様達のような弱者は、大人しく死ぬが良い!」
ドンッ!
猗窩座が床を蹴り、その拳を1人の鬼殺隊へと放つ。
そのあまりの速さにか、その剣士は反応すら出来ず、自分の目前に拳がきて漸く、顔を青くしていた。
恐らくこのまま、ここの鬼殺隊は猗窩座に殺されて終わりだろう……。
そう思い見るのをやめようとした、その時だった。
ズドンッ!
その丁度猗窩座の真上から、何かが勢いよく落下してきた。
猗窩座は即座に拳を止めると床を蹴り、後ろへと下がった。
……その、落ちてきた何かに、感じるものがあったらしい。
ギラリと一瞬光った赤い光、猗窩座が怪訝な表情を浮かべた視線の先。
死にかけた剣士を庇うように……炎のような模様の羽織を着た男が立っていた。
「よもや、よもやだ!」
赤い刀を手に、燃え上がるような特徴的な髪をした男……。
煉獄……と言ったか。
かつて私も会った事がある男の子孫……か。
代々炎の呼吸を扱い、炎柱を務めているという……。
いや、なんだこれは、本当にあの男と瓜二つではないか……。
……なんと強い遺伝子なのだ。
「また君と相まみえようとは!なんたる僥倖!」
男は、今の炎柱であろう煉獄は左腕と左目がないにも関わらず、強い意志の籠った視線で猗窩座を睨み付けていた。
「腕と目を喪い被った汚名、ここで返させて貰おう!」
闘志を高めていく煉獄とは裏腹に、猗窩座はその視線を冷たいものに変えていく。
その視線は最早悲しげですらあった。
「杏寿郎……無理をするな。腕と目を喪ったお前はもう、強者足り得ない。
今のお前と、弱者の群れで一体何が出来る?
かつて強者だった男の強がりは醜い……俺には耐えられない……ここで引導を渡してやろう」
猗窩座はそう吐き捨てて、改めて構えを取った。
その雰囲気は冷たく、目の前の男を必ず屠る、その意志だけが鋭く研ぎ澄まされていく。
「君は勘違いをしている」
「……勘違いだと?」
「隊士達は誰一人として弱者ではない。皆、悪鬼滅殺の覚悟を持ってここにいる。弱者など誰一人としていない。
そして……俺がここにいるのは強がりなどではない!」
ぶん、と杏寿郎と呼ばれた男は、日輪刀を横に振る。
その軌道でボゥ、と炎が燃えたような気がした。
「俺は炎柱!煉獄杏寿郎!例えどれだけ体を喪おうと、この身が燃え尽きるその時まで戦い続ける!
罪なき人々に牙を剥く悪鬼猗窩座よ、覚悟するがいい!」
チャキ、と杏寿郎の刀が猗窩座へと真っ直ぐ向けられた。
すぅ、と猗窩座の瞳が細められ……杏寿郎の瞳は大きく見開かれた。
「この煉獄の赫き炎刀が!貴様を骨まで焼き付くす!」
ドンッ!
その言葉と同時に床を蹴った二人がぶつかり合った。
凄まじい衝撃波が発生し、二人は至近距離で睨みあう。
「ふん……良いだろう!鬼殺隊を滅ぼすその時まで、俺を踊らせてみろ!杏寿郎!」
誤字報告ありがとうございます。
修正しました。