魔剣士学園による夏休みは終わり、二学期が正式に始まる前の始業式が行われた。
シドは夏休み中に聖地リンドブルムで『女神の試練』をクリアしたり、二年に一度開催される大規模な武闘大会である『ブシン祭』に優勝している。
魔剣士学園の生徒としてシドは偉大も偉大な功績を残したのでそれを讃えられ、表彰され、勲章も授けられたのである。
そうして中々に良いスタートを切ったシドであるが、それはそれとして『ブシン祭』での試合の時、シドの勝ちに賭け続けた事で莫大な財産を稼いだヒョロがジャガを誘って豪遊しようとしていたのをしっかりと把握していた。
そして、二人が始業式が終わったどさくさ紛れに逃げ出したのもしっかり見ていた。シドは二人の思惑が上手く行っていると思わせるために泳がせつつ、最後にはしっかりと接触した。
二人の性格を考えても鍛錬や勉強を夏休みにおいてはサボっている、あるいは緩くやっていると分かっていた。とりあえず、愚行はどういう代償を伴うかを分からせるために制裁を与えた。
案の定、二人の実力は一学期の最後の時より激しく劣化していたのだ。
当然、一学期の時より激しく鍛え直し、勉強もさせる事を告げて絶望させたのである。
そうして、ぼろ雑巾の如くとなって倒れ伏したヒョロとジャガを放置してシドは寮へと帰って着替えを始める。
今日はこれより、クリスティーナに招待されたので公爵家で開催されるパーティに向かった。無論、ブシン祭によるシドの実力を讃えるのと交流を図るためのものだ。
こうした事は貴族の処世術であり、貴族どうしの付き合いである。
「ご招待いただき、ありがとうございます。クリスティーナ嬢」
「こちらこそ招待に応じていただき、ありがとうございます」
クリスティーナに対し、シドはパーティの招待について礼を述べた。クリスティーナも自分の招待に応じた事への礼を言った。
そうして、パーティで出される料理や飲み物を口にしながら、近づいてくる者達と挨拶に会話を交わしていく。
ともかく、シドの成績は学生としては勿論、魔剣士としても本当に偉大で優秀である。
なのでホープ家だけでなく、他のミドガル王国の貴族達はシドをパーティに誘い、シドはそれらに応えていき、自分からも挨拶をしていった。
シドの二学期の序盤はそうした事で忙しかったのだ。
しかして……。
「おら、俺は忙しいんだ。その上で時間を割いてやってるんだから頑張れや」
『ぴぎゃあああっ!!』
ちゃんと厳しくヒョロとジャガに勉強を指導し、稽古をつけてやったのだった……。