強さを窮めたくて   作:自堕落無力

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百四話

 

 この世界には吸血鬼という人外の存在がいる。しかも千年以上、昔からだ。

 

 吸血鬼の始祖は『血の女王』と呼ばれるエリザベートであり、無論、強大なる強さを有している。もう一人、吸血鬼の始祖はいるがともかく、昔において世界の夜を吸血鬼は確かに支配していた。

 

 しかし、その支配は長く続かなかった。吸血鬼の弱点が知られてしまったからだ。

 

 

 吸血鬼の弱点は三つあり、一つは心臓を破壊する事だ。驚異的な再生力の源となっているのが心臓であり、だからこそ、心蔵を破壊されてしまうと再生が出来なくなってしまうのだ。

 

 二つめは吸血鬼は吸血行為をしなければ強大な力を維持できなくなってしまうという事。長期間吸血行為をしない、血抜きをした吸血鬼は人と変わらない力にまで劣化してしまうのである。

 

 そして、最後の三つ目は吸血鬼は日の光に当たると灰になってしまう。日の光にさえ当てれば、どれだけ強い吸血鬼でも消滅してしまうのである。

 

 吸血鬼の弱点を知り、人間たちは反撃していく事で吸血鬼の勢力を削っていった。そうして世界の夜から吸血鬼が逃げ出すようになったが、ある日、吸血鬼はとんでもない暴威を振るった。

 

 『赤き月』がある日、夜に浮かび上がった事で吸血鬼と眷属の能力を飛躍的に上昇させたのだ。『赤き月』は三日間、続いたのだが最初の一晩で国が一つ滅んだ。

 

 後の二晩で三つの国が壊滅的な被害を受けたのだ。

 

 『赤き月』が終わると血の女王も眷属も忽然と姿を消した。

 

 そうして、今は無法都市という犯罪者や悪人の楽園のような場所に建てられている二つの塔のうちの一つ、『紅の塔』の中で活動していた。

 

 『血の女王』であるエリザベートは今、長き眠りについていて吸血鬼を仕切っているのはエリザベートの側近、クリムゾンである。

 

 

 本来なら、クリムゾンと吸血鬼たちは無法都市を支配してもおかしくはなった。

 

 だが、無法都市には『黒の塔』の主で傭兵などを率いているジャガノートがいて、吸血鬼と勢力を競い合いながら対抗していた。

 

 もっとも黒の塔の裏にはシド達、『シャドウ・ガーディアン』がいていずれ、無法都市を乗っ取りながら大きく革新して安全なる都市に変えようと計画を立ててもいる。

 

「『赤き月』が浮かび上がれば、エリザベートも復活するだろうな」

 

 シドは長年、眠っているエリザベートをクリムゾンが復活させようと企んでいるのを察していた。

 

「(機会を見て吸血鬼たちを倒し、『紅の塔』を潰さないとな)」

 

 シドはどんどん、赤みが増している月を見ながら『紅の塔』も吸血鬼も片付ける計画を考え始めたのであった……。

 

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