現代においては無法都市の『紅の塔』で身を潜めつつ、動いている種族、吸血鬼。もっともその活動は本当にゆっくりとしたものである。
それは無論、『黒の塔』の主であるジャガノートを下し、仲間としてシドが動かしながら様々な妨害を行っているからだ。
しかし、千年前に当時、追い詰められていた吸血鬼が人々を恐怖させながら幾つかの国をも滅ぼす程の暴威を放った『赤い月』が訪れようとしている。
よってシドは大きく備える事にした。それとは別にシドは大忙しな状態だ。
『女神の試練』を突破した事に加え、『ブシン祭』で優勝し、初代ブシン祭の優勝者であるベアトリクスと戦って勝利したシドの注目はかなりの物だ。
なので学校が終わればいろんな貴族への挨拶やパーティやらで忙しかったのだ。
とはいえ……。
「ったく、ようやく夏休み前くらいの実力まで戻れたな。だが、まだまだいくぞ」
「も、もう許してくれぇっ!!」
「し、死んじゃいますぅぅぅぅっ!!」
ヒョロとジャガへの訓練は短い時間しか出来ないからこそ、相当厳しくやり続けた。
死にかけになるような量の訓練をやらせては模擬戦も対処を誤れば、死ぬような事をしながら自らの魔力で回復してやりながらという物を行って、一週間もするとようやく夏休みに入ろうという時に一年生の中では少し強い位の実力までは戻った。
「ほら、ちゃんとこれをこなせよ」
「ひぎいいっ!!」
「ぎびゃああっ!!」
勉強の方も当然、きついものであったがシドはこれもヒョロとジャガの学力を夏休み前まで戻し、これも一年生の中では多少優れた学力を持つ状態へと戻したのである。
鍛錬と勉強を課す事でシドの『ブシン祭』による試合で賭けて大儲けした金で豪遊しないようにしているのである。
そんな中……。
「シド、祝勝会をしましょう。ニーナが『ミツゴシ商会グループの高級レスラン』のフルコース無料チケットを当てたからってくれたの」
「それは嬉しいな」
シドはチケットを見せながら言うクレアに対し、笑みを浮かべながらも内心では苦笑していた。
何故ならクレアの友人であるニーナは実はリリムが諜報活動などでサポートしてもらうために独自に部下としている者であるからだ。
『シャドウ・ガーディアン』の皆も知らないし、シドも知らないフリを敢えてしているが……。
「えぇ、姉弟二人水入らずの時間を楽しみましょう」
「そうだね、姉さん」
こうして、学校が終わった後に一緒にレストランへと行く事を約束しながら、それぞれのクラスの教室へとシドとクレアは向かうのであった……。